[解答]② 参考 共振や固有振動数とは(H26) 1自由度振動系の運動方程式と変位の伝達率と減衰比(H26) 1自由度系の振動の振幅ζ と減衰比(H25) 2自由度振動系の状態方程式(H25)   各選択肢をサクッと検証します。
  1.  1自由度:(\omega_n=\sqrt{k/m})。質量 (m) を増やせば (\omega_n) は小さくなる。
  2. × 調和加振 (F_0\sin\omega t) に対し,変位の位相遅れ (\phi) は [ \tan\phi=\frac{c\omega}{k-m\omega^2} ] 共振近傍((\omega\approx\omega_n))で (\phi\approx 90^\circ)(減衰小なら厳密に (90^\circ))。 (\phi\to180^\circ) になるのは 高周波域((\omega\gg\omega_n))。 したがって「共振しているとき 180° ずれる」は誤り。
  3.  2自由度系の固有振動数は一般に 2個(モードが2つ)。
  4.  共振時の定常振幅は減衰比 (\zeta) に反比例((\propto 1/(2\zeta)) 程度)。減衰に依存する。
  5.  回転機械の危険速度は、横振動の固有振動数に一致(=クリティカルスピード)。
従って不適切なのは です。

5について詳しく教えて下さい

了解です。⑤の「回転機械の危険速度は固有振動数と関係している」について、 背景 → 物理法則 → 図解イメージ → 工学的な意味 の順で丁寧に説明します。

✅ ⑤ 回転機械の危険速度とは?

回転機械(モーター・タービン・軸受・シャフトなど)には、 軸が**完全に“まっすぐ”**ではないことが多いです。
  • わずかな偏心(芯ブレ)
  • 質量バランスの誤差
  • 取付け誤差
  • 製造ばらつき
これらにより、回転すると 軸の重心が小さく“振られながら”回ります。 回転数がシステムの固有角振動数(横振動の固有振動数)に近づくと、 強制加振と固有振動が一致して“共振”が起きる。 このときの危険な回転速度を “危険速度(critical speed)” と呼びます。

✅ 危険速度 ≒ 横振動の固有振動数

軸の横方向の固有振動数(シャフトの曲げモード)が [ f_n = \frac{\omega_n}{2\pi} ] であるなら、 [ \text{危険速度 (rpm)} = 60, f_n ] つまり 固有振動数そのものが危険速度の位置を決める

✅ なぜ固有振動数で危険なのか?(物理の根本)

回転軸は偏心があると、回転数 (\omega) で 軸の中心に 横方向の強制振動を加えます。 加振周波数 = 回転周波数 [ \omega_{\text{excitation}} = \omega_{\text{rotor}} ] 横振動の固有角振動数 (\omega_n) と一致すると [ \omega_{\text{rotor}} = \omega_n ] 共振 ⇒ 振幅が急増 ⇒ 壊れる危険大

✅ 図解イメージ(文章で表現)

偏心した軸(中心が 0.5 mm ズレているとする)を回転させると…
低速        中速             危険速度付近
|           |               | 
ほぼ静か → だんだん揺れる → ガタガタ大振幅
危険速度を超えると振動はまた落ち着くことがある(超臨界回転)。

✅ 工学的にどう使われるか?

回転機械を設計するときは:
  • 危険速度を必ず求める(固有振動数解析)
  • 危険速度で運転しないようにする
  • 通過する場合は素早く通過する(タービンなど)
  • ダンパを入れて振幅を抑える
車のプロペラシャフト、電車の車軸、風力タービン、モーターのロータ、 高速回転工具などすべてに必須の考え方。

✅ 実際の危険速度の求め方(単純モデル)

軸を単純化すると「ばね k で支持された質量 m」になるため [ \omega_n = \sqrt{\frac{k}{m}} ] 危険速度(rpm) [ N_{\text{critical}} = 60 \sqrt{\frac{k}{m}}\ ( \text{rpm}) ] これが回転速度と一致すると危険。

✅ 最後に:⑤の説明の意味

「回転機械の危険速度は固有振動数と関係している。」 これは ✅ 回転スピードが横振動の固有振動数に近づくと共振が起きる ✅ だから危険速度そのものが固有振動数で決まる という理由で 完全に正しい記述です。
必要なら、 ✅ ショートシャフトのモード形状 ✅ 危険速度を避ける設計手法(高速・低速側) ✅ MATLAB/FEMでの簡単な固有値解析の説明 なども解説できます!