設問の系を空気中で振動させた場合の運動方程式は $  m\ddot{ x } +kx= 0$ 固有角振動数と周期は $  ω = \sqrt{\frac{ k }{m}} $ $  T = \frac{ 2π }{ω}=2π\sqrt{\frac{ m }{k}} $ となる。 液体中での運動方程式は $  m\ddot{ x } +c\dot{ x }+kx= 0$ 抵抗力はSと速度に比例するので、 $  m\ddot{ x } +c'S\dot{ x }+kx= 0$   固有角振動数と周期は $ ω = \frac{\sqrt{4mk-(c'S)^2}}{2m} $ $  T = \frac{ 2π }{ω}=\frac{4mπ}{\sqrt{4mk-(c'S)^2}} $ 題意より周期は空気中のn倍なので、 $ 2πn\sqrt{\frac{ m }{k}} =\frac{4mπ}{\sqrt{4mk-(c'S)^2}} $ $ c' =\frac{2\sqrt{mk(n^2-1)}}{nS} $   [解答]③ 参考 1自由度振動系の運動方程式と変位の伝達率と減衰比(H26) 1自由度系の振動の振幅ζ と減衰比(H25)

詳しく教えて下さい

  了解!図の設定を式に落として、最後に選択肢③になるところまで丁寧に追います。

問題の整理

  • 空気中(減衰なし)で周期:(T) (\displaystyle \omega_n=\frac{2\pi}{T}=\sqrt{\frac{k}{m}})
  • 液体中では、「速度比例」の抵抗(粘性減衰)を受ける: 抵抗力 (F_d=(\alpha S),\dot x) → 等価減衰係数 (c=\alpha S)(求めたいのは (\alpha))
  • 液体中の周期は (T_d=nT)((n>1))

減衰1自由度の基礎式

減衰ありの運動方程式: [ m\ddot x+c\dot x+kx=0 \quad (c=\alpha S) ] 固有値 (\lambda) は [ m\lambda^2+c\lambda+k=0 \Rightarrow \lambda=-\frac{c}{2m}\pm i\omega_d ] ここで減衰固有角振動数 [ \omega_d=\sqrt{\omega_n^2-\left(\frac{c}{2m}\right)^2},\qquad \omega_n=\sqrt{\frac{k}{m}} ] 周期は [ T_d=\frac{2\pi}{\omega_d},\qquad T=\frac{2\pi}{\omega_n} ]

「周期が (n) 倍」から (c) を求める

[ n=\frac{T_d}{T}=\frac{\omega_n}{\omega_d} =\frac{1}{\sqrt{1-\left(\frac{c}{2m\omega_n}\right)^2}} ] 両辺を変形して [ \left(\frac{c}{2m\omega_n}\right)^2 =1-\frac{1}{n^2} =\frac{n^2-1}{n^2} ] [ \Rightarrow\quad c=\frac{2m\omega_n}{n}\sqrt{n^2-1} =\frac{2}{n}\sqrt{m^2\omega_n^2,(n^2-1)} ] (,m\omega_n=\sqrt{mk},)(※ (\omega_n=\sqrt{k/m}) より)なので [ c=\frac{2}{n}\sqrt{mk,(n^2-1)} ]

比例係数 (\alpha) を出す

[ \alpha=\frac{c}{S} =\boxed{\frac{2\sqrt{mk,(n^{2}-1)}}{nS}} ] → 選択肢③

ちょい確認(次元と極限)

  • 次元:(\sqrt{mk}) は ([\mathrm{kg}/\mathrm{s}])。 (\alpha) は ([\mathrm{kg}/(\mathrm{s},\mathrm{m}^2)] = [\mathrm{N,s}/\mathrm{m}^3]) で、(F_d=(\alpha S)\dot x) の単位 ([\mathrm{N}]) に合う。
  • (n\to1)(周期ほぼ変化なし)で (\alpha\to0):抵抗なしに一致。
  • 減衰条件:(\omega_d) 実数 ⇒ (c<2\sqrt{mk})(アンダーダンピング)。本式はその範囲で成り立つ。
これで、液体による速度比例の抵抗が周期を (n) 倍にしたときの比例係数が厳密に導けました。    

固有角振動数はルートの中身だけですか?固有値の時はルートの前に-cという項がありますがそれは関係なくなりますか?

  とても良い質問です。 固有角振動数(=振動の“周波数”)と、固有値(=時間に対する指数解の“係数”)の違いが本質になります。 以下、結論 → 理由 → 図式まとめでしっかり整理します。

✅ 結論

固有角振動数(ω)は、固有値 λ の “虚部の絶対値” のみで決まる。

固有値 [ \lambda = -\frac{c}{2m} \pm i \omega_d ] のうち
  • 実部:(-c/(2m)) → 減衰による「減り方」を決める
  • 虚部:(\omega_d) → 振動の「速さ」(角振動数)を決める
したがって

✅ **固有角振動数は、√ の中身(虚数部分)だけであり、

前の (-c/2m) は周波数には関係しない。**

✅ 理由(なぜ -c/2m が関係しないのか?)

減衰振動の一般解は [ x(t)=e^{-\frac{c}{2m}t} \left(A\cos\omega_d t + B\sin\omega_d t\right) ] ここで分離して考えると:
部分 役割
(e^{-ct/(2m)}) 振幅が時間とともに減っていく(減衰)
(\cos\omega_d t, \sin\omega_d t) 振動の“周期”や“速さ”を決める
つまり

周波数(振動の速さ)だけを決めるのは虚部 (\omega_d)

実部((-c/2m))は 周波数には影響しない → ただし振幅が時間とともに小さくなる速度を決めるだけ。

✅「固有値」と「固有角振動数」の違い

✅ 固有値 λ

指数解 (e^{\lambda t}) に出てくるもの [ \lambda = -\frac{c}{2m} \pm i\omega_d ]

✅ 固有角振動数 ω(減衰固有角振動数)

固有値の虚部の絶対値 [ \omega_d = \sqrt{\omega_n^2 - \left(\frac{c}{2m}\right)^2} ] つまり
  • 固有値 λ:減衰も含んだ「複素数」
  • 固有角振動数 ω:そのうち“振動”のみを表す量

✅ 図で整理

固有値
λ =   - 応答の減衰速度(実部)
   ± i × 振動の速さ(虚部 = 固有角振動数)
減衰の有無
┌───────────────┐
│実部(−c/2m)   ⇒  振幅が減る速さだけを決める│
│虚部(ωd)      ⇒  振動周期を決める             │
└───────────────┘

✅ まとめ(質問に直接答える)

固有角振動数はルートの中身だけですか?
✅ はい。 固有角振動数 (\omega_d) は [ \omega_d = \sqrt{\frac{k}{m}-\left(\frac{c}{2m}\right)^2} ] の √ 内だけ が関係する。
固有値の時はルートの前に −c の項がありますがそれは関係なくなりますか?
はい、振動の周期(角振動数)を考えるときは無関係です。 その項は「減衰の速さ」を表すだけで「振動の速さ」には影響しません。
必要なら、 ✅ 物理的イメージ図 ✅ 実部が周波数に影響しない理由の数学的証明 ✅ 強制振動での応答周波数との違い なども詳しく説明できます!

周期は固有角振動数の逆数に2πをかけますか?

    はい、その通りです。 周期 (T) と角振動数 (\omega) の関係は [ \boxed{T=\frac{2\pi}{\omega}} ] です。

✅ 【減衰なし】のとき

固有角振動数: [ \omega_n=\sqrt{\frac{k}{m}} ] 周期: [ T=\frac{2\pi}{\omega_n} ]

✅ 【減衰あり(アンダーダンピング)】のとき

固有値は [ \lambda=-\frac{c}{2m}\pm i\omega_d ] この「虚部の絶対値」 (\omega_d) が 実際に振動する速さ です。 周期: [ \boxed{T_d=\frac{2\pi}{\omega_d}} ] ※減衰しても周期は
  • 減衰固有角振動数 (\omega_d) で決まる
  • 実部 (-c/(2m)) は周期には関係しない(振幅が減るだけ)

✅ なぜ 2π をかける?

角振動数の定義 [ \omega = \frac{\text{単位時間あたりの位相変化量(rad/s)}} {1 \text{秒}} ] 周期は「1周=2π rad 進むのにかかる時間」なので [ T = \frac{2\pi\ \text{rad}}{\omega\ \text{rad/s}} ] というだけです。

✅ まとめ

  • 周期 = (2\pi / \omega)
  • 減衰ありでも同じ
  • 使うのは固有値のうちの 虚部(角振動数)だけ

もし希望があれば ✅ 減衰が周期にどう影響するか(わずかに長くなる理由) ✅ 実部と虚部の役割の図解 ✅ 問題 III–18 の周期計算の丁寧な復元 も追加で説明します!  

振動は上下運動なのに、周波数hzではなく角振動数になるのはなぜですか?

とても良い質問です。 「上下運動なのに、なぜ普通の周波数(Hz)ではなく“角振動数(rad/s)”を使うのか?」 これには 数学的理由物理的理由 の両方があります。 結論から言うと:

✅ 結論

角振動数(rad/s)のほうが、方程式が“自動的にきれいな形になる”から。 そして 固有値(複素数)の形と直接対応するから。 Hz を使うと式がぐちゃぐちゃになります。

✅ 1. 振動は三角関数で表されるから

ばね振動の解は [ x(t) = A\cos(\omega t - \phi) ] ここで、 [ \omega t ] は 位相(フェーズ)です。 位相は「ラジアン(rad)」で表します。
  • 1 周 = (2\pi) rad
  • 1 秒で (\omega) rad 進む → (\omega) は「位相の時間変化率」

✅ 2. 角振動数は「三角関数の中で直接使える周波数」

三角関数の中身(位相)は必ずラジアンで表すので、 [ \text{三角関数の周期的な運動} \quad \Rightarrow\quad \text{自然に角振動数が登場する} ] つまり、
  • 上下運動の位置
  • 速度
  • 加速度
全てが 三角関数の微分 で出てくるので、 自然に (\omega) が出る。

✅ 3. なぜ Hz(f)を使わないのか?

使えます。ただし、式が汚くなる。 [ \omega = 2\pi f ] なので
  • 位置: [ x(t)=A\cos(2\pi ft) ]
  • 速度: [ v(t) = -2\pi f A\sin(2\pi ft) ]
  • 加速度: [ a(t)=-(2\pi f)^2 A\cos(2\pi ft) ]
これを運動方程式に入れると「(2\pi)" が大量に登場してしまう」。

✅ 4. 運動方程式が一発でシンプルになるのは「角振動数」

減衰なしばね振動の方程式: [ m\ddot x + kx = 0 ] 指数解を (x=e^{\lambda t}) とすると [ \lambda^2 + \frac{k}{m}=0 \Rightarrow \lambda = \pm i\sqrt{\frac{k}{m}} ] この [ \underbrace{\sqrt{\frac{k}{m}}}_{\omega_n} ] が 自然と固有角振動数になる。 Hz に変換すると [ f = \frac{\omega}{2\pi} ] と“わざわざ”変換が必要で不便。

✅ 5. 固有値(複素数)の形とも相性が良い

減衰振動では固有値が [ \lambda = -\frac{c}{2m} \pm i\omega_d ] になるので、 虚部が直接「角振動数」になっている。 普通の周波数(Hz)では [ \omega_d = 2\pi f_d ] と変換しないといけない。 固有値解析では 角振動数のほうが圧倒的に便利で自然

✅ 6. 工学では「角振動数のほうが本質的」

振動・波動・電気回路・量子力学・機械振動・制御工学… どの分野でも
  • 微分方程式にそのまま出る
  • 固有値の虚部と一致する
  • 三角関数(または複素指数)の中で自然に出る
という理由で 角振動数 = 本質的な周波数 として使われます。

✅ まとめ

意味 理由
Hz(f) 1秒あたりの振動回数 直感的だが式が複雑になる
角振動数(ω) 1秒あたりの位相変化(rad) 微分方程式、三角関数、固有値で自然に現れる

✅ 最後に一言

上下運動であっても 三角関数で表す以上、位相(ラジアン)が本質。 だから角振動数を使うのです。
必要なら: ✅ 図で位相と Hz の違い ✅ 固有値の実部・虚部と ω の関係 ✅ f と ω を直接比べる感覚的説明 も作れます!

ファンクションジェネレータで200hzのsin波を作った場合、これも角振動数で表す方がわかりやすいですか?

  とてもよいポイントです。 結論から言うと:

✅ 結論

用途によって使い分けるが、 “数学的に扱う(微分・位相・伝達関数)なら角振動数のほうが圧倒的にわかりやすい”。 ファンクションジェネレータの“200 Hz”という表示は人間にとって直感的ですが、 回路解析・機械振動・制御理論では必ず角振動数 (\omega = 2\pi f) を使います。

✅ ファンクションジェネレータの出力例(200 Hz)

200 Hz の正弦波なら [ x(t) = A\sin(2\pi\cdot 200,t) ] 角振動数は [ \omega = 2\pi f = 2\pi(200) = 400\pi \approx 1256; \mathrm{rad/s} ]

✅ では「角振動数」がわかりやすいのはどんなとき?

以下のような解析をするなら角振動数が圧倒的に便利です。

✅ 1. 微分を取るとき

[ x(t)=\sin(\omega t) ] [ \frac{dx}{dt} = \omega \cos(\omega t) ] → 微分しても構造が変わらない(超きれい) → 電気回路・振動解析・制御で必須 Hzのままだと [ 2\pi f ] が毎回出てきて複雑になります。

✅ 2. 複素指数(オイラーの公式)で扱うとき

[ \sin(\omega t) = \Im{e^{i\omega t}} ]
  • 伝達関数
  • 周波数応答
  • 固有値解析
  • フーリエ解析
全部「(i\omega)」という形になります。 Hzでは複素数との整合性が悪い。

✅ 3. Bode線図や回路・機械の共振解析

共振角周波数は [ \omega_0 = \sqrt{\frac{k}{m}} ] や [ \omega_0=\frac{1}{\sqrt{LC}} ] Hzを使うと毎回 [ f_0 = \frac{1}{2\pi\sqrt{LC}} ] のように (2\pi) が邪魔をします。 角振動数の方が構造がシンプル。

✅ 4. 位相の扱いが直感的になる

200 Hz の信号の1秒間の位相変化量は [ \Delta\phi = 2\pi f(1\text{s})= 400\pi \text{ rad} ] すなわち 角振動数は「1秒に何ラジアン進むか」という位相そのものを表す。 これは電気回路・振動・制御でとても有用。

✅ 一方で、人間の感覚的には Hz がわかりやすい

  • 「音が 440 Hz」
  • 「モーターが 3600 rpm (60 Hz)」
  • 「関数発生器で 200 Hz」
これは Hz の方が直感的で速い。

✅ まとめ:使い分け

場面 Hz 角振動数(rad/s)
人に説明、感覚的理解 ✅ 使いやすい △ 少し直感的でない
微分方程式で解析 △ 毎回 2π が出る ✅ 圧倒的に便利
振動・制御・回路解析 △ 不向き ✅ 必須レベル
位相(フェーズ)扱い △ 直感的でない ✅ 位相と直接対応

✅ 結論(改めて)

ファンクションジェネレータで200 Hzのsin波を作った場合、角振動数で表す方がわかりやすいですか?
解析・計算では角振動数の方が“圧倒的に”わかりやすい。設定や直感的理解には Hz の方がわかりやすい。 =目的に応じて使い分けが最適。
必要なら、 ✅ 角振動数と固有値の関係 ✅ 角振動数とフーリエ変換の関係 ✅ 直感的なアニメーション風解説(文章で) などもできます!