直流機の構造
直流機(DC motor)は、電気のエネルギーを機械エネルギーに変換する装置です。その構造は、回転子と固定子の2つの部分からなります。
回転子は、直流電流を流すコイルを載せた磁石です。固定子は、回転子を囲む周りに配置された永久磁石です。回転子と固定子の間には、少なくとも1つのステーターがあります。ステーターは、回転子を回転させるために、固定子に向かって押し出す動力を供給するために使用されます。
直流機は、主に駆動装置やポンプ、ファンなどの機械を動かすために使用されます。また、電気自動車や電車、建設機械などにも使われています。
直流機の種類(他励式、自励式直流機)と特徴
独立した電源から界磁巻線に電流を流すものを1.他励式、電機子と界磁が電気回路で接続されているものを自励式という。
自励式の中で、電機子回路と界磁巻線を並列に設ぞ億したものを2.分巻式、直列に接続したものを3.直巻式という。
1.他励式直流機(Separately Excited DC Motor)は、回転子と固定子の両方に、独立したエネルギー源を供給するタイプの直流機です。以下が、他励式直流機の特徴です。
回転子の磁気が強い
他励式直流機は、回転子に流す電流を外部から供給するため、回転子の磁気が強くなります。そのため、他励式直流機は、高トルク(回転力)を発生させることができます。
回転速度が安定しやすい
他励式直流機は、回転子の磁気を独立したエネルギー源で維持するため、回転速度が安定しやすいです。これは、他励式直流機を回転速度を安定させる必要がある場合に有効です。
コントロールが容易
他励式直流機は、回転子に流す電流を外部から供給するため、回転速度やトルクをコントロールすることが容易です。
他励式直流機は、高トルクを発生させることができるため、駆動装置やポンプ、ファンなどの機械を動かすためによく使用されます。また、精密な位置制御が必要な場合にも使われます。
2.分巻式直流機(Shunt Wound DC Motor)は、回転子と固定子の両方に同じ電流を流すタイプの直流機です。以下が、分巻式直流機の特徴です。
回転子の磁気が弱い
分巻式直流機は、固定子に流す電流が分岐するように配置されているため、回転子の磁気が弱くなります。そのため、分巻式直流機は、トルクが低いです。
回転速度が高い
分巻式直流機は、回転子の磁気が弱いため、回転子を回転させるために必要なエネルギーが少なくなります。そのため、分巻式直流機は、高速で回転することができます。
コントロールが難しい
分巻式直流機は、回転子と固定子の両方に同じ電流を流すため、回転速度やトルクをコントロールすることが難しいです。
分巻式直流機は、高速で回転することができるため、プリンターやコピー機、スキャナーなどのオフィス機器を動かすためによく使用されます。また、高速で回転する必要がある場合にも使われます。
3.直巻式直流機(Series Wound DC Motor)は、回転子と固定子の両方に、同じ電流を流すタイプの直流機です。以下が、直巻式直流機の特徴です。
回転子の磁気が強い
直巻式直流機は、回転子と固定子の間に流す電流が直線的に流れるため、回転子の磁気が強くなります。そのため、直巻式直流機は、高トルクを発生させることができます。
回転速度が低い
直巻式直流機は、回転子の磁気が強いため、回転子を回転させるために必要なエネルギーが多くなります。そのため、直巻式直流機は、高速で回転することはできません。
コントロールが容易
直巻式直流機は、回転子と固定子の両方に同じ電流を流すため、回転速度やトルクをコントロールすることが容易です。
直巻式直流機は、高トルクを発生させることができるため、建設機械や起重機、電気トロリなどの重機を動かすためによく使われます。また、タイヤの表面を接地させるために使われるタイヤ発電装置や、電車のモーターとして使われることもあります。
重ね巻と波巻
重ね巻
重ね巻はコイル辺を1本ずつずらしながらスロットに収めていく巻き方です。重ね巻は、電機子コイル一巻きで、隣の整流子片に接続します。極数と並列回路数が等しくなりますので、多極機では並列回路数が多くなります。誘導起電力に微妙な差があると、循環電流が流れて巻線を過熱します。これを防ぐために、等電位となるべきコイルを結線し、均圧環を設けます。
磁極と同数の回路を並列に接続
磁極と同数のブラシがある
並列回路が多くなる場合は、均圧環が必要
定電圧、大電流機に適する
波巻
波巻は1回路のコイル辺が全スロットに収まるように、波巻に巻いていく巻き方です。電機子コイル一往復で、整流子片に接続します。ブラシからみると、コイルが2つに枝分かれしているので、並列回路数は2になります。
並列回路は磁極数にかかわらず2
ブラシの数は磁極数にかかわらず2(正負の1対)
均圧環は不要
高電圧、小電流機に適する
直流発電機の特性
直流機で界磁電流を増加しても磁束が増加しなくなる飽和現象はなぜ起こるのですか
直流機で界磁電流を増加しても磁束が増加しなくなる飽和現象は、磁性材料が持つ磁化能力に限界があるために起こります。磁性材料には、磁化を引き起こす電流が流れるときに磁化が進む場所(磁化単位)が存在し、それらの磁化単位がすべて磁化されると、それ以上の磁化は進みません。これが磁性材料の飽和現象です。
なぜ直流機の分巻発電機は残留磁気がない場合は自己励磁による電圧確立ができないのですか
直流機の分巻発電機は、磁気回路内に残留磁気があると、その磁気が界磁電流を流すために必要な磁束を提供します。残留磁気がない場合は、電流が流れると同時に磁束も生じますが、それが十分ではなく、界磁電流が維持されず、自己励磁による電圧確立ができなくなります。
もう少し具体的に言うと、分巻発電機は、磁気回路内の残留磁気によって、交流電流を直流電流に変換するために使用されます。この磁気は、磁石や磁鉄などの磁性材料を用いて作られ、界磁電流が流れることで維持されます。しかし、残留磁気がない場合は、界磁電流が流れても磁束が生じず、自己励磁による電圧確立ができなくなります。
なぜ直流機の回転速度は界磁電流に反比例するのですか
直流機の回転速度は、界磁電流に反比例するのは、それが原理的に正しいからです。
直流機は、磁気回路と電気回路が一体になっているため、磁気的な力と電気的な力が相互作用して、動力を生じます。そのため、磁気回路と電気回路の関係が特定の関係にあると、それに基づいて回転速度が決まります。
具体的には、直流機の磁気回路は、界磁電流によって磁束が生じ、その磁束によって磁力が作用します。この磁力によって、磁気回路内の磁石を回転させ、動力を生じます。しかし、この磁力は、界磁電流に比例しません。界磁電流が増加すると、磁束が増加しますが、それに伴って磁力も増加します。しかし、磁気回路内の磁石は、磁束によって磁力が作用するためには、回転する必要があります。そのため、磁気回路内の磁石が回転するためには、界磁電流を減少させる必要があります。そのため、界磁電流が増加すると、回転速度が減少し、界磁電流が減少すると、回転速度が増加することになり、回転速度は界磁電流に反比例することになります。
電機子反作用
発電機、電動機には界磁電流が固定子の磁極に作る主磁束と、導体すなわち電機子巻線に流れる電機子電流が作る磁束がある。それぞれの磁束が合成されて合成磁束となり、様々な影響が発生する。この電機子電流による磁束が及ぼす作用を電機子反作用という。
電機子反作用とは、電子が磁場に反応する現象を指します。この現象は、電子が磁場に沿って移動することによって発生し、電子を加速するために使用されます。この現象は、多くの電気機器や装置で使用され、例えば、モーターやジェネレーターなどです。
用語
電機子巻線と界磁巻線
電機子巻線と界磁巻線は、電機の巻線に関する用語です。
電機子巻線は、電機のコイルや発電機などで使用される巻線のことを指します。電機子巻線は、電流を流すことで磁気を発生させることができます。
界磁巻線は、電機のコイルや発電機などで使用される巻線のことを指します。界磁巻線は、外部の磁界を受けることで、磁気を発生させることができます。
界磁巻線は、電機子巻線と異なり、電流を流すことで磁気を発生させるのではなく、外部の磁界を受けることで磁気を発生させるため、界磁巻線は、発電装置を作る場合によく使われます。
また、界磁巻線は、電流を流すことで磁気を発生させる電機子巻線よりも、磁界を受けることで磁気を発生させるため、電流を流すことで生じる損失が少なく、発電効率が高いという特徴があります。