均質な断面をもつ Euler–Bernoulli 梁の自由曲げ振動の運動方程式は,単位長さ当たり質量

ρA

による慣性項と,曲げ剛性

B

による4次微分項のバランスで表されます。すなわち

ρA2wt2+B4wx4=0

 

となるので,選択肢①が正解です。

 

参考:技術士第一次試験-令和2年度機械部門Ⅲ-22解答例 | 技術士のたまご

導出過程の解説してください

以下の手順で,均質な Euler–Bernoulli 梁の自由曲げ振動方程式

ρA2wt2+B4wx4=0

 

を導出します。


1. モデル化と仮定

  1. 梁は長さ方向
    x
     

    に沿って細長く,断面は均質で変化しない。

  2. 変形は小振幅で,断面が変形せず「断面は変形前と平行に保たれる」(Plane sections remain plane).
  3. 軸方向変形やせん断ひずみは無視し,曲げのみを扱う(Euler–Bernoulli 仮定)。

2. 曲げモーメント–曲率関係

材料のヤング率

E

,断面2次モーメント

I

を用いると,曲げ剛性

B=EI

に対して,

M(x,t)=B2w(x,t)x2

 

が成り立ちます。ここで

w(x,t)

は梁のたわみです。


3. せん断力の定義

曲げモーメントが

x

方向に変化すると,せん断力

Q(x,t)

が生じ,

Q(x,t)=Mx=B3wx3.

 


4. 微小要素 dx

 

の垂直力釣り合い

梁の微小要素

[x,x+dx]

を取り,垂直方向力の釣り合いを考えると,
左端で受ける

Q(x)

と右端で受ける

Q(x+dx)

の差が,その要素の慣性力になる:

Q(x)Q(x+dx)  =  ρAdx  2wt2.

 

両辺を

dx

で割り,

dx0

とすると,

Qx=ρA2wt2.

 


5. せん断力 Q

 

の展開

上記の

Q=B3w/x3

を代入すると,

Bx(3wx3)=ρA2wt2B4wx4=ρA2wt2.

 


6. 最終形

両辺に

1

を掛けて整理すると,最終的に

ρA2wt2+B4wx4=0

 

が得られます。

以上が,Euler–Bernoulli 梁の自由曲げ振動方程式の導出過程です。