https://www.jstage.jst.go.jp/article/pscjspe/2006S/0/2006S_0_381/_pdf/-char/ja

タイトル (Title): 湿式切削における切り屑の挙動 (Behavior of Chips in Wet Cutting)

ジャーナル名 & 出版年 (Journal Name & Publication Year): 2006年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集, 2006

第一著者と最後の著者 (First and Last Authors): 澤井信重 (Sawai Nobushige), 王 清 (Wang Qing)

第一所属機関 (First Affiliation): 産業技術総合研究所 (National Institute of Advanced Industrial Science and Technology)

概要 (Abstract):
本研究は、高速度カメラを使用して、湿式切削中の工具切れ刃と切り屑の状態を観察するための装置とその結果を報告している。切削液の供給ノズルとファイバーレンズをフレキシブルホースに挿入し、高速度カメラを接続可能とすることで、工具切刃および切り屑の挙動を観察できるようにした。

背景 (Background):
これまでの研究で、ITV装置を用いた工具のモニタリング手法が提案されており、湿式切削時の工具と切り屑の状態を観察するための装置の開発が求められていた。

方法 (Methods):
高速度カメラを湿式切削用のモニタリング装置に接続し、切削液用のフレキシブルホース内にファイバーレンズを挿入した。実験では、透明度の高い水溶性切削油剤を用いて、工具切れ刃と切り屑の状態を詳細に観察した。

結果 (Results):
湿式切削において、切り屑は切削液の噴流により工具切刃上から飛ばされるが、乾式切削では切り屑が工具すくい面上に付着し、次の切削時点まで残ることが観察された。また、湿式切削では、切り屑は次の切削時点までにすくい面から離脱することが確認された。

議論 (Discussion):
本研究で使用した高速度カメラとモニタリング装置は、湿式切削中の工具と切り屑の挙動を詳細に観察することを可能にした。また、今後の課題として解像度や輝度レベルの改善、広角度の範囲を撮影するレンズ系の改造が必要であることが示唆された。

従来の研究と比べた新規性 (Novelty compared to previous studies):
既存の湿式切削用ビデオカメラに加えて、高速度カメラを利用することで、より詳細な観察が可能となった点が新規性として挙げられる。

限界 (Limitations):
解像度や画像の輝度レベルに改善の余地があり、また、広角度の範囲をカバーするためのレンズ系の改造が今後の課題として残る。

潜在的な応用 (Potential Applications):
本研究の成果は、湿式切削における工具と切り屑の状態をリアルタイムで観察し、切削効率や品質の向上に寄与することが期待される。