タイトル (Title): 切削加工を見える化するセンサ搭載切削工具 (Sensor-Equipped Cutting Tools to Visualize the Cutting Process)

ジャーナル名 & 出版年 (Journal Name & Publication Year): 住友電工テクニカルレビュー 第198号, 2021年1月

第一著者と最後の著者 (First and Last Authors): 小池 雄介 (Yusuke Koike), 村上 大介 (Daisuke Murakami)

第一所属機関 (First Affiliation): 住友電気工業株式会社 アドバンストマテリアル研究所 (Sumitomo Electric Industries, Ltd. Advanced Materials Laboratory)

概要 (Abstract):
本研究は、切削工具にセンサを搭載し、切削加工の見える化を実現することを目指している。センサ、無線通信装置、および電源を搭載した旋削工具と転削工具を開発し、その性能評価を行った結果、切削抵抗の異常や工具欠損の検出が可能であることが確認された。

背景 (Background):
デジタル化の進展により、機械加工の自動化や無人化が進む中、切削工具にセンサを搭載することで、加工状態の高精度な監視が求められている。しかし、センサや無線装置の大きさやコストの問題から、これまで実用化が進んでいなかった。

方法 (Methods):
旋削加工と転削加工におけるセンサ搭載切削工具を用いて、切削抵抗や加速度を測定し、加工状態の監視を行った。ひずみセンサと加速度センサを切削工具に取り付け、無線通信装置を使用してリアルタイムでデータを収集した。

結果 (Results):
センサ搭載旋削工具は、刃先の欠損や切削抵抗の変化を高精度で検出できることが確認された。また、センサ搭載転削工具では、刃先の欠損位置や切削抵抗の変動を測定し、加工状態の変化を詳細に把握することができた。

議論 (Discussion):
センサ搭載切削工具は、従来の方法に比べて加工点に近い位置での高感度な測定が可能であり、加工状態の異常検知において優れた性能を示した。また、今後の課題として、刃先摩耗などの切削現象との関係についてのさらなる調査が必要である。

従来の研究と比べた新規性 (Novelty compared to previous studies):
従来の測定手法では困難であった加工点での高精度な監視が可能となった点が、新規性として挙げられる。また、センサの小型化と無線通信の活用により、リアルタイムでの監視が実現した。

限界 (Limitations):
センサ搭載切削工具の適用には、ツールの種類による制約があり、汎用性が低い点が挙げられる。また、データ収集と分析には時間とコストがかかるため、効率的な運用が求められる。

潜在的な応用 (Potential Applications):
本研究で開発されたセンサ搭載切削工具は、機械加工の自動化や生産ロスの低減、切削現象の見える化を通じて、より最適な加工プロセスの実現に貢献する可能性がある。