鉄鋼材料
鉄鋼材料は「炭素鋼」「合金鋼」「鋳鉄」にわかれます。 SS400やS45Cなどの炭素鋼はもっともよく使われる汎用材料です。 次に、ステンレス鋼やクロモリ鋼などの合金鋼は、炭素鋼にクロムやニッケル、モリブデンなどを加えることで、強さや耐熱性や化学的に安定した性質を持たせた材料です。 優れた性質を持つ反面、価格は高くなるので、炭素鋼で解決できない場合に合金鋼を使用します。 鋳鉄鋼は鋳物の材料です。鋳鉄は熱で溶かして方に流し込むことで形を作ります。 冷やせば一発で形ができるので加工効率が良く、大量生産にむいています。 〇炭素含有量による分類 鉄100%の純鉄は柔らかすぎて実用に適しません。 そこで炭素を含ませることで硬さをコントロールしており、炭素の含有量が増えるほど硬くなります。 0.02%以下:工業用純鉄 0.02~2.11%:鋼 2.11%以上:鋳鉄 鉄鋼材料は、炭素含有量によって強度をはじめとする特性が変化します。 鋼材規格(JIS 規格) 〇添加元素による分類 普通鋼:炭素、ケイ素、マンガン、リン、硫黄 (SS材、SM材、SB材、SPH材、SPHT材、SAPH材、SPC材) 特殊鋼:クロム、ニッケル、モリブデン (特殊鋼はさらに合金鋼、工具鋼、特殊用途鋼に分類される)合金鋼:SC材、SCr材、SCM材 工具鋼:炭素工具鋼(SK材)、合金工具鋼(SKS材、SKD材)、高速度工具鋼(SKH材) 特殊鋼:ステンレス鋼、耐熱鋼、ばね鋼、軸受鋼
材料記号
| JIS番号 | 材料名 | 材料記号 | 説明 | 用途 | 備考 | 
|---|---|---|---|---|---|
| G3101 | 一般構造用圧延鋼材 | SS400 | 引張強さ400N/mm2以上 | 車両、船舶、建築物、 一般機械部品 | ー | 
| G3106 | 溶接構造用圧延鋼材 | SM400 | SS400に対して溶接性を高めたもの | ||
| G4051 | 機械構造用炭素鋼鋼材 | S20C | 炭素含有量0.20% | ボルト、ナット、リベット | 炭素含有量が多いほど、引っ張り強さが大きくなる | 
| S45C | 炭素含有量0.45% | 軸、ロッド | |||
| G5501 | ねずみ鋳鉄品 | FC200 | 引張強さ200N/mm2以上 | ケーシング、 一般機械部品 | ー | 
| G4053 | 機械構造用 合金鋼鋼材 | SNC415 | ニッケルクロム鋼 | ボルト、ナット、軸類、歯車 | ー | 
| SCM430 | クロムモリブデン鋼 | 歯車、軸類、強力ボルト | ー | ||
| G4401 | 炭素工具鋼鋼材 | SK120 | ー | 鋼鉄やすり、かみそり | ー | 
| G4404 | 合金工具鋼鋼材 | SKS11 | ー | 切削用バイト | ー | 
| G4403 | 高速度工具鋼鋼材 | SKH40 | 高速度切削による熱に耐えられる工具、ハイスピード工具鋼なので”ハイス”と呼ばれ、 高温で軟化しにくい特性がある | ||
SPCC(冷間圧延鋼板)
3.2mmまでの薄板にはこのSPCCを使います。 表面はとてもなめらかできれいな面で、厚みのバリエーションもそろっています。 炭素の含有量が0.1%以下で柔らかい材料なので、カバーやセンサの取付けブラケットに適しています。 平板のまま使ったり、折り曲げて使用します。SS400(一般構造用圧延鋼材)
最も汎用的に使われる鉄鋼材料です。 引張強さ400N/mm2を意味します。 昔の図面ではSS41と表記されていました。(kgfとNの違いです。) 表面の状態が良いので、できるだけ表面をそのまま使うようにします。 表面を削ることで内部応力により、加工の反りが出る可能性があります。S45C(機械構造用炭素鋼鋼材)
SS400に次いでよく使われる材料です。 45は炭素の含有量0.45%を意味します。 炭素含有量の規定もあり、SS400より1~2割程度高めです。 必要ならば焼入れ、焼戻しを行います。 一方、溶接は冷却割れが生じるリスクがあり、また溶接熱で硬くなるため、溶接品はできるだけSS400を使います。SK95(炭素工具鋼鋼材)
炭素の含有量が0.95%の材料です。 硬さと耐摩耗性に優れており、摩擦や衝撃を受ける部品に適しています。 SK材は高温になると硬さが低下するので、実際には工具には使用されません。ステンレス鋼(SUS材)
鉄にCr(クロム)を12%以上添加したもので、表面に酸化クロムの精密な被膜をつくることで母材を守っています。 薄膜は100万分の1mmと非常に薄いのですが、きずにより皮膜が破れても瞬時に再生するのが特徴です。 ステンレスの品質はCrとNi(ニッケル)の含有量で大きく3つに分かれます。 含有量の多いほうからCr18%とNi8%の「18-8径ステンレス・・・SUS304など」、Cr18%の「18Cr系ステンレス・・・SUS430など」、Cr13%の「13Cr系ステンレス・・・SUS440Cなど」です。 ①クロム系の中のマルテンサイト系のステンレス鋼 焼き入れ処理で硬く強いマルテンサイト組織に変化するもので、この材料は耐食性が求められる高強度構造用材に利用されます。 この材料でどうしても溶接が必要な場合は、SUS410の溶接材を使用し300℃前後の予熱700℃前後の後熱を行うなどの十分な注意が必要となります。 ②フェライト系のステンレス鋼 同じクロム系でも炭素量を0.01%程度に抑え、Niが入らないことで安価なステンレス鋼として、また塩素系の腐食に強いなどの性質から水、海水関連の部品や構造材として使用されます。なお、炭素鋼でのフェライトは、常温の鉄に炭素を0.006%以下入り込ませた状態の組織であり、クロムを添加することで多い炭素が入り込めるようになったこの材料溶接では、素材と同質となるSUS430の溶接材を使用しフェライトとしての成り立ちから、炭素の量や溶接による炭素の挙動などに注意した溶接が必要になります。 ③オーステナイト系ステンレス鋼 オーステナイト自体の性質から加工性、溶接性が良く、耐熱性なども併せ持つことから広く工業用材料として利用されます。この材料の溶接に関しては、素材と同質となるSUS308や316の溶接材を使用します。なお、この系の材料と炭素鋼との異材溶接にはSUS309の溶接材を使用します。材料記号
| JIS番号 | 材料名 | 分類 | 材料記号 | 説明 | 磁性 | 
|---|---|---|---|---|---|
| G4303 | ステンレス鋼棒 溶接構造用圧延鋼材 | オーステナイト系 | SUS303 SUS304 | 耐食効果があるクロムCrを鉄に添加することで、Crの酸化被膜が保護膜となり、大気中ではほとんど腐食しない。 耐食性があって美観にも優れるため、医療器具、食品器具、化学器具、機械装置、一般用など広く用いられる | ×無し | 
| フェライト系 | SUS405 SUS430 | 〇有り | |||
| マルテンサイト系 | SUS403 SUS410 | 〇有り | |||
| オーステナイト・フェライト系 | SUS329J1 | 〇有り | |||
| 析出硬化系 | SUS630 SUS631 | 〇有り | 
FC250(ねずみ鋳鉄品)
250は引張強さ250N/mm2を表します。非鉄金属材料
銅、アルミニウム、チタン、マグネシウム、金、銀、亜鉛、錫などの金属およびその合金。 ●チタン軽金属で比強度が高く、耐食性に優れる。 航空機やスポーツ器具、化学プラントに使用される
●マグネシウム密度が低いため、輸送機器などの軽量化に向けた金属材料として期待されている。 耐食性が課題
●亜鉛鉄鋼材料の防食用メッキとして使われる。 (犠牲防食作用として使われる。鉄鋼材料の表面に亜鉛めっきをしたものをトタンと呼ぶ) 亜鉛にアルミニウムなどを添加した亜鉛合金は、融点が低く湯流れもよいため、ダイカスト用合金として用いられ、自動車や家電部品、玩具、日用品にしようされる。
●銅 銅の最大の特徴は、熱伝導率と伝導率の良さです。 価格が高く鉄鋼材料よりも少し重いので、機械部品には適しません。 品種により加工性は分かれ、黄銅(真鍮)は良く、リン青銅やベリリウム銅といった銅合金は加工しにくい材料です。 銅は他の金属が苦手とする塩分に対して良好な耐食性を持ちます。様々な銅合金 ・Cu-Sn:青銅 ・Cu-Zn:黄銅 ・Cu-Al:アルミニウム青銅 ・Cu-Ni:白銅
銅合金のミニ知識 ●アルミニウム アルミニウムは、鉄鋼材料に比べて「3の比率」の性質が多くあります。 密度が1/3、縦弾性係数も1/3なのでたわみは3倍、熱伝導率も3倍です。 鉄鋼材料よりも強さは劣りますが、超々ジュラルミンのA7075の引張強さは570N/mm2でSS400の強さを超えます。 切削の抵抗が小さく、熱の伝導率が良いので切削熱が逃げやすく加工性に優れます。 またステンレスと同じく表面に酸化皮膜を作るので、耐食性にも優れます。 非磁性で見栄えが良いことも特徴の1つです。密度が小さい。鉄の1/3程度 銅に次ぐ優れた電気伝導性を有している。 伸展用アルミニウム:熱処理型合金で6000系のAl-Mn-Si合金、7000系のAlーZnーMgーCu合金・・・等 鋳物用アルミニウム:AC3A、ADC1のAl-Si系
一般に使用されてきたのが5000系の材料です。ただ最近では、強度自体が大きく、押し出し加工で複雑な形状の型材が作れる6000系や7000系の材料が多く使われるようになっています。| 熱処理 | 混合合金 | 名称 | 説明 | 使用用途 | 
|---|---|---|---|---|
| 非熱処理材 | 純アルミニウム | A1070 A1100 | 工業用アルミニウム 純度が高いが硬度が低い | フィン材、電気機器材 化学装置材 | 
| Al-Mn系合金 | A3003 A3203 | Mnを添加することで1000系(純アルミニウム)より強い | フィン材、家庭用機器材 | |
| Al-Mg系合金 | A5052 A5154 A5083 | 耐食性が高く、加工、溶接もしやすい | 船舶・車両用材 板金加工用材 構造用材 | |
| 熱処理材 | Al-Cu系合金 | A2014 A2017 | 熱処理合金であり、強度が高く切削加工性も良い A2017はジュラルミン A2024は超ジュラルミン | 航空機などの構造用材 強力構造材 | 
| Al-MgーSi系合金 | A6 N01 A6063 | 熱処理合金であり強度が高い (A6061はCuを添加してさらに強度が高い) | 押出し型材として建築・車両・ その他構造用材 | |
| Al-Zn-Mg系合金 | A7 N01 | アルミニウム合金の中で最も強度が高く、A7075は超々ジュラルミンとも呼ばれる | 溶接構造用強力材 | 





