油圧の特徴

長所

  1. わずかな電気的な操作信号を油圧機器に与えることで、大きな負荷の位置(角度)、速度(角速度)、力(トルク)、加速度(角加速度)などを精密で構想に制御できる
  2. 負荷を駆動する力(トルク)や速度(角速度)を独立して無段階かつ広範囲に調整することが容易で、運動の方向も直線または回転と自由に変えられる。
  3. 1台の油圧ポンプからの管路やホースの長さを変え、柔軟に油圧動力を配分して、同時に複数のアクチュエータにより個々の負荷を駆動できる
  4. 過負荷が発生したとき、圧力制御弁により高圧油を自動的に逃がし、システムの安全性を確保できる。また、突然な外部からの衝撃に対しても頑丈で耐久性があり、重作業などに適している
  5. アクチュエータ単体でのパワー密度は、電気駆動や空圧駆動に比べ高い。したがってアクチュエータが小型軽量となり、その可動部の慣性が小さいため応答性を向上でき衝撃も少ない
  6. 作動油は空気に比べ圧縮性がほとんどなく、油圧ポンプにより極めて高い圧力まで昇圧できる。そのため、剛性の観点からアクチュエータによる位置決め精度や速応性は十分に優れている
  7. アキュームレータを用いて作動油の持つエネルギーが蓄積でき、瞬時に高圧・大容量の作動油をアクチュエータに送り込み、重量物を高速に移動できる
  8. 水圧に比べると、油圧での作動油は潤滑性、防錆性、が良好なため、機器やシステムの保守管理が容易である

短所

  1. 作動油の漏れは工場設備の環境を害し、ひいては自然環境や土壌汚染をもたらす。シール技術の進歩により外部漏れが問題となることはほとんどないが、少ないコストの中では皆無とすることは困難とされている。
  2. 油圧機器では多くの狭い隙間に作動油が流れているため、油中に混入するコンタミネーションの管理は厳しく行わなければならず、とくにサーボ弁を用いた油圧システムの信頼性向上には必要不可欠とされる
  3. 石油作動油は、引火点が200~250℃程度の可燃性物質であるので、消防法が適用されることもあり、火災に対する配慮を怠ってはならない
  4. 油圧ポンプから引起こされる騒音は、人間の耳に嫌悪感を持つ周波数領域であり、また制御弁からも流体音が生じ、電気駆動と比較するとき、低騒音化は大きな課題とされている。さらに油圧ポンプからの圧力脈動は、油圧回路内を伝播し管路などを励振させ、油圧機器や装置に損傷を与えることもある。
  5. 機械エネルギーを流体エネルギーに変換する油圧ポンプは、つねに摩擦や漏れによる損失を余儀なくされる。とくに、負荷が稼働していない状態でのエネルギー損失は、省エネ対策として十分に抑えなければならない
  6. 油圧ポンプ、原動機、油タンクなどから成る油圧源は、油圧システムに必須のものであり、設置場所を要する
  7. 作動油の温度変化により、その粘度が変わるため、ときとして流量制御は難しくなり、制御精度の低下をきたすこともある
  8. 油圧配管は、電気配線に比べてパイプや継手などで接合するため手間が掛かり面倒である

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