これは「LLM Wiki」という考え方のメモで、 LLMに“その場で毎回検索させる”のではなく、LLMに継続的に育てさせる個人用Wikiを作る、という使い方です。 使い方をかみくだいて言うと、こうです。

    何をするものか

    普通のRAGは、質問するたびに元資料から必要な断片を探して答えます。 一方この方式は、元資料を読むたびにLLMがWikiのページを更新し続けるので、知識が蓄積していきます。 つまり「毎回その場しのぎで答える」のではなく、自分専用の知識ベースを育てるのが目的です。

    基本構成

    この仕組みは3層です。 1. Raw sources 元になる資料置き場です。記事、PDF、メモ、画像など。ここは基本的に変更しません。 2. Wiki LLMが書くMarkdownページ群です。 要約ページ、人物ページ、概念ページ、比較ページなどを作って、相互リンクも張ります。 3. Schema 「このWikiをどういうルールで管理するか」をLLMに教える設定書です。 Claude Codeなら CLAUDE.md、Codex系なら AGENTS.md のようなファイルに書く想定です。

    実際の使い方

    1. まずWiki置き場を作る

    Obsidianやローカルフォルダで、たとえばこういう構成にします。
    my-wiki/
      raw/
      wiki/
      index.md
      log.md
      CLAUDE.md
    
    • raw/ に元資料を入れる
    • wiki/ にLLMがまとめたページを作る
    • index.md にページ一覧
    • log.md に履歴
    • CLAUDE.md に運用ルール
    これは文書中の考え方を、実用向けに最低限の形へ落としたものです。元文書でも、Raw sources / Wiki / Schema の3層構造が中心だと説明されています。

    2. 新しい資料を1つ入れる

    たとえば記事やPDFを raw/ に入れます。 そのうえでLLMに、こんな感じで頼みます。
    raw/ に入れた新しい資料を読んでください。
    要点を wiki/ に1ページ追加し、
    関連する既存ページも更新し、
    index.md と log.md も更新してください。
    
    この「読み込み→要約→既存ページ更新→索引更新→履歴追記」が、文書でいう Ingest です。 1つの資料で10〜15ページ触ることもある、という思想です。

    3. Wikiに対して質問する

    次に、LLMへこう聞きます。
    このWikiを読んで、
    A社とB社の戦略の違いを比較してください。
    根拠となるページも示してください。
    
    するとLLMは、まず index.md を見て関連ページを探し、必要なWikiページを読んで答える想定です。 さらに、その比較結果そのものを新しいWikiページとして保存してもよい、というのがこの方式のポイントです。

    4. 定期的にメンテする

    たまにLLMにこう頼みます。
    このWikiを点検してください。
    矛盾、古い記述、孤立ページ、足りない概念ページを見つけてください。
    
    これが Lint です。 Wikiの矛盾、古い主張、孤立ページ、抜けている概念などを洗い出します。

    重要ファイルの役割

    index.md

    内容ベースの目次です。 各ページへのリンク、1行説明、必要なら日付やソース数を載せます。 質問時にまずここを見れば、どのページを読むべきか探しやすい、という考え方です。

    log.md

    時系列の履歴です。 「いつ何を取り込んだか」「どんな質問をしたか」「lintしたか」を追記していきます。 更新の流れを把握しやすくなります。

    どういう用途に向いているか

    文書では次のような用途が挙げられています。
    • 個人の学習や自己分析
    • 研究テーマの深掘り
    • 本を読みながら人物・テーマ・展開を整理
    • 社内Wikiの更新補助
    • 競合分析、旅行計画、講義ノート、趣味の調査
    タナカさんの使い方に寄せると、かなり相性がいいのは次のあたりです。
    • 工作センター関連の規程・安全資料の整理
    • ロボット実験メモの蓄積
    • 助成金・予算申請の調査メモ
    • AI/製造業の記事の継続調査

    便利ツール

    文書で補助的に挙げられているものです。
    • Obsidian Web Clipper Web記事をMarkdown化して取り込みやすくする拡張機能です。
    • Obsidian Graph View ページ同士のつながりを見るのに便利です。
    • Marp Markdownからスライドを作る用途。
    • Dataview frontmatterを使って一覧表などを自動生成できます。
    • qmd Wikiが大きくなったときの検索エンジン候補です。

    一番簡単な始め方

    最初はこれだけで十分です。

    手順

    1. Obsidianで新しいVaultを作る
    2. raw/wiki/ を作る
    3. CLAUDE.md を作って「資料を読んだら、要約ページを作り、関連ページを更新し、index/logも更新する」と書く
    4. 記事やPDFを1件だけ入れる
    5. LLMに「取り込んでWiki化して」と頼む
    6. できたページを見ながら構成を調整する

    使うときのLLMへの指示例

    取り込み

    raw/ に追加した資料を読んでください。
    wiki/ に要約ページを作成し、
    既存の関連ページも更新し、
    index.md と log.md を更新してください。
    新しい情報が古い記述と矛盾する場合は、その点も明記してください。
    

    質問

    wiki/ と index.md を使って、
    このテーマの要点を整理してください。
    関連ページを横断して比較し、
    必要なら新しい比較ページとして保存してください。
    

    点検

    wiki全体を点検してください。
    矛盾、孤立ページ、古くなった主張、
    ページ化されていない重要概念を挙げてください。
    

    この方式の本質

    要するに、 資料そのものを毎回検索して答えるのではなく、LLMに“整理済みの知識地図”を育てさせる という発想です。 人間は資料集めと問い作りに集中し、LLMは要約・整理・相互リンク・更新を担当します。 文書でも「人はキュレーションと思考、LLMは面倒な保守全般」という分担が核になっています。 必要なら次に、Claude Code向けにそのまま使える CLAUDE.md の雛形を作れます。
     

    コマンドを整理して一覧にまとめて

        了解です。この「LLM Wiki」を実際に運用するための**コマンド一覧(CLI的な使い方)**を、シンプルかつ実用レベルで整理します。

    ■ 基本コマンド一覧(LLM Wiki運用)

    ① 初期化

    /llm-wiki init [path]

    用途:Wikiの雛形を作る
    /llm-wiki init ./cc-knowledge
    
    やること
    • フォルダ構成作成
      • raw/
      • wiki/
      • index.md
      • log.md
      • CLAUDE.md(または AGENTS.md)
    • 基本ルールを書き込む

    ② 取り込み(Ingest)

    /llm-wiki ingest <file>

    用途:資料をWikiに反映
    /llm-wiki ingest raw/article1.md
    
    内部処理
    • ファイルを読む
    • 要約ページ作成
    • 関連ページ更新
    • cross-link追加
    • index更新
    • logに記録
    👉 一番重要なコマンド

    ③ 質問(Query)

    /llm-wiki query <question>

    用途:Wikiを使って回答
    /llm-wiki query "OpenAIとAnthropicの戦略の違い"
    
    内部処理
    • index.mdを読む
    • 関連ページ特定
    • wikiページ横断して回答
    • 必要なら新規ページ生成
    👉 「RAG」ではなく「蓄積済み知識で回答」

    ④ 点検(Lint)

    /llm-wiki lint

    用途:Wikiの健康チェック
    /llm-wiki lint
    
    チェック内容
    • 矛盾
    • 古い情報
    • 孤立ページ
    • 不足している概念
    • リンク不足
    👉 長期運用で超重要

    ⑤ 再構築(Refactor)

    /llm-wiki refactor

    用途:構造整理・再設計
    /llm-wiki refactor
    
    やること
    • ページ分割・統合
    • カテゴリ整理
    • 命名修正
    • index構造改善
    👉 Wikiが肥大化したら必須

    ⑥ 再取り込み(Re-ingest)

    /llm-wiki reingest <file>

    用途:既存資料の再解釈
    /llm-wiki reingest raw/article1.md
    
    用途
    • 新しい視点で再整理
    • 矛盾修正
    • 最新情報反映

    ⑦ インデックス更新

    /llm-wiki index

    用途:index.mdの再生成
    /llm-wiki index
    
    やること
    • 全ページスキャン
    • 一覧整理
    • カテゴリ分け

    ⑧ ログ確認

    /llm-wiki log

    用途:履歴確認
    /llm-wiki log
    
    または
    tail -5 log.md
    

    ⑨ 検索(簡易)

    /llm-wiki search <keyword>

    /llm-wiki search "VPR"
    
    👉 indexベース or grep的検索

    ⑩ ページ生成

    /llm-wiki create <topic>

    /llm-wiki create "Scout E ナビゲーション"
    
    👉 概念ページを新規作成

    ⑪ ページ更新

    /llm-wiki update <topic>

    /llm-wiki update "HBMメモリ"
    
    👉 新情報を統合

    ■ 最小セット(これだけ覚えればOK)

    正直これだけで回ります👇
    /llm-wiki init
    /llm-wiki ingest
    /llm-wiki query
    /llm-wiki lint
    

    ■ 運用フロー(実務レベル)

    ① 情報収集

    /llm-wiki ingest raw/記事.md
    

    ② 理解

    /llm-wiki query "この技術の本質は?"
    

    ③ 深掘り

    /llm-wiki query "他との違いは?"
    
    → 回答をWiki化

    ④ メンテ

    /llm-wiki lint
    

    ■ Claude Codeでの実態

    実際は「コマンド」ではなく、こういう指示になります👇
    raw/の新しい資料を取り込んで、
    wikiを更新してください。
    indexとlogも更新してください。
    
    つまり: 👉 コマンドは「思考の型」 👉 実体は「プロンプト」

    ■ タナカさん向けおすすめ運用

    かなり相性いいのはこれ👇

    ① 技術メモWiki

    • NC加工
    • 工作機械
    • 治具
    • 材料

    ② ロボット実験Wiki

    • VPRログ
    • 実験結果
    • 仮説

    ③ AIニュースWiki

    • The Informationまとめ
    • Claude / Gemini / OpenAI
    👉 全部つながる知識になる
    必要なら次は👇作れます
    • CLAUDE.md 完全テンプレ
    • 実際に動くプロンプトセット
    • Obsidian構成テンプレ
    どこまで作りますか?

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