条件
- モーメントのつり合い(A点周り):
- 変位と張力の関係(変位比と張力比が比例する):
よって:
計算
モーメントの式に
を代入すると:
S1を計算すると
鋼線にかかる張力は以下の通りです:
[解答] ⑤
参考:
技術士第一次試験-令和2年度機械部門Ⅲ-3解答例 | 技術士のたまご
モーメントのつり合いと、力のつり合いではもとめられないですか?
結論:
モーメントつり合い+力つり合いだけでは求まりません。
なぜ?
未知量は
- 鋼線の張力 (S_1,S_2)(2つ)
- 支点Aの鉛直反力 (A_y)(1つ)
の
計3つです。
静力学の式は
[
\begin{aligned}
&\text{鉛直力つり合い: } A_y+S_1+S_2=P \
&\text{Aまわりモーメント: } S_1 a+S_2 b=P l
\end{aligned}
]
の
2本しかないため,このままでは未知数が1つ多く
不静定です。
(水平力は0で自明。)
そこで,
変形の適合条件(剛体回転 ⇒ 伸び比 (\delta_1:\delta_2=a:b))を使い,
同一鋼線より (S_1:S_2=a:b) を与えて初めて
[
S_1=\frac{al}{a^2+b^2}P,\qquad
S_2=\frac{bl}{a^2+b^2}P
]
が一意に決まります(選択肢⑤)。
よくある誤り
Aの鉛直反力 (A_y) を勝手に 0 とおく(=Aをローラー支持とみなす)と,
[
S_1+S_2=P,\quad S_1 a+S_2 b=Pl
]
から
① が出ます。しかし本問のAはピン支持で (A_y\neq0) も取り得るため不適切。
実際,①は (a=b) で発散し,物理的に不合理です。
まとめ:この手の「剛体棒+複数のバネ(鋼線)」は静力学+適合条件が必須です。