[解答]⑤   参考: 過去問ドットコム  
座屈はなぜ押される方向と直交する方向に変形するのですか?
座屈(ざくつ)は、圧縮荷重が細長い部材に加わったときに、押される方向に対して直交する方向に不安定な変形が生じる現象です。これは以下のような理由で起こります。 1. 圧縮荷重による不安定性 細長い部材(例えば細い柱や棒)に圧縮荷重が加わると、部材全体が短くなる方向に力が働きます。しかし、圧縮荷重が一定の限界を超えると、部材がそのままの形で圧縮に耐えられなくなり、横方向に変形して不安定になります。このような不安定性のために、部材が急に変形する方向を選ぶことになります。 2. 曲げ剛性の影響 座屈は、圧縮荷重によって発生する曲げの影響も大きく受けます。圧縮荷重がかかると、部材にはわずかな曲げ変形が生じます。この曲げ変形が荷重の増加に伴って大きくなり、やがて安定を失い、押される方向とは異なる横方向に大きく変形します。 3. エネルギー的な安定性 座屈が生じる際、部材はより低いエネルギー状態を取ろうとします。圧縮荷重が一定の限界を超えると、元の直線の形状を保つよりも、横方向に変形する方が安定になるため、直交する方向に変形が起こります。この現象は「弾性座屈」とも呼ばれ、特に細長い部材において顕著です。 まとめ 座屈が発生するのは、圧縮荷重が限界を超えたときに、押される方向ではなく直交する方向に変形することでエネルギー的に安定するためです。また、細長い形状の部材では、曲げ剛性が小さいため、圧縮荷重に対して横方向に変形しやすくなります。このため、座屈が押される方向と直交する方向に変形するという特性が現れます。