$  S_t=\frac{ fd }{U}$よりカルマン渦の放出周波数は $  f=\frac{ S_tU }{d}=\frac{ 0.2・10 }{2×10^{-2}}=100$ [解答]④ 参考:

ストローハル数とはなんですか

ストローハル数(Strouhal number, (St))とは、流体中で物体の後ろに周期的に生じる渦(カルマン渦)が、どれくらいの頻度で放出されるかを示す無次元数です。

■ 定義式

[ St = \frac{fD}{U} ]
  • (f):渦の放出周波数(Hz)
  • (D):代表長さ(円柱の直径など)
  • (U):流速(m/s)

■ 直感的な意味

ストローハル数は、
流れの速度や物体の大きさが変わると、渦の発生周期がどう変化するか
を表す指標です。 例えば流れが速くなると渦はより早く発生します。 逆に、物体が大きいと渦はゆっくり生じます。

■ なぜ「無次元数」なのか?

異なるスケールの流れでも比較できるように、 長さ・速度・周波数を組み合わせて次元を消した数です。
水槽実験から実際の橋梁や煙突の設計へスケールアップできる
という利点があります。

■ 円柱の場合の経験値

円柱後流では、レイノルズ数が一定範囲(約 (100 < Re < 10^5))で [ St \approx 0.2 ] という経験値がよく使われます。 これが先ほどの問題の数値につながります。

■ 身近な例

  • 旗がパタパタ揺れる
  • 送風機の後ろに周期的な風の変動
  • スポーツカーの風切り音
  • 高層ビル・煙突の風揺れ
いずれも、渦が定期的にできる現象で、ストローハル数が重要な役割を持ちます。

■ まとめ

項目 内容
ストローハル数 渦が発生する周期性を表す無次元数
[St = \frac{fD}{U}]
円柱で一般的な値 [St \approx 0.2]
役割 流体振動・構造振動の予測

必要なら、カルマン渦の図やアニメーションで視覚的に説明することもできます。 また、レイノルズ数との関係についても補足できますが、続けますか?

どのように導出されたのですか

ストローハル数 [St = \frac{fD}{U}] が「どのように導出されたか」という質問ですね。 結論から言うと、これは理論から突然出てきた式ではなく
渦の発生周期と流れのスケール関係を表すために、流体力学で無次元化(次元解析)したとき自然に現れる指標
です。

■ 導出の考え方:無次元化(次元解析)

渦の発生周期(周波数 (f))は、以下の量に依存すると考えることができます。
  • 流速 (U)(m/s)
  • 代表長さ (D)(物体の直径など)(m)
  • 周波数 (f)(1/s)
この3つを使って無次元数をつくりたい。 次元を見ます:
次元
(U) (L/T)
(D) (L)
(f) (1/T)
無次元にするためには、 [ \frac{fD}{U} ] とすれば、次元が消えます: [ \frac{(1/T)\cdot L}{L/T} = 1 ] つまり、自然に現れる無次元量です。 これがストローハル数 (St)。

■ なぜこの形で良いのか?

渦が次々と発生する周期 (T = 1/f) は、流れが物体サイズ (D) を通過する時間スケール (D/U) と関係があるはず、という物理的直感があります。
  • 流れが速い → 渦が早くちぎれる
  • 物体が大きい → 渦が形成に時間がかかる
よって、 [ T \propto \frac{D}{U} \quad\Rightarrow\quad f \propto \frac{U}{D} ] そして比例定数を (St) とすると [ f = St \frac{U}{D} \quad\Rightarrow\quad St = \frac{fD}{U} ]

■ 歴史的背景(実験的発見)

最初にカルマン渦列を理論的に説明したのはカルマン(1911年)が渦の安定性解析で示したものです。 その後、実験や理論で 渦発生周波数が [f = St\frac{U}{D}] に従うことが確かめられました。 特に円柱では [ St \approx 0.2 \quad (100 < Re < 10^5) ] という経験値が広く使われています。

■まとめ

事項 内容
ストローハル数の本質 渦の放出周波数と流れスケールの関係を無次元化したもの
導出方法 次元解析+渦の時間スケールの物理直感+実験結果
[St = \frac{fD}{U}]
典型値 円柱で (St ≈ 0.2)

■補足

  • ストローハル数は「自然に現れるスケール比」
  • 数値 (0.2) は実験的・経験的に決まった値
  • 渦列の発生(カルマン渦)は流体不安定性の現象

必要であれば、次は
  • カルマンの安定性解析(理論式の概要)
  • CFDでストローハル数を確認する方法
  • 実験動画での説明
なども解説できます。 どれが見たいですか?