令和3年度技術士第一次試験問題[機械部門] 専門科目Ⅲ-33 円柱背後に生じるカルマン渦の放出周波数

著者:副業の宮殿|製造業に携わる現役エンジニア。技術士試験対策書籍をKindleで複数出版。技術ブログ「副業の宮殿」にて製造業DX・AI活用の情報を発信中。

$  S_t=\frac{ fd }{U}$よりカルマン渦の放出周波数は

$  f=\frac{ S_tU }{d}=\frac{ 0.2・10 }{2×10^{-2}}=100$

[解答]④

参考:

ストローハル数とはなんですか

ストローハル数(Strouhal number, (St))とは、流体中で物体の後ろに周期的に生じる渦(カルマン渦)が、どれくらいの頻度で放出されるかを示す無次元数です。

■ 定義式

[
St = \frac{fD}{U}
]

  • (f):渦の放出周波数(Hz)
  • (D):代表長さ(円柱の直径など)
  • (U):流速(m/s)

■ 直感的な意味

ストローハル数は、

流れの速度や物体の大きさが変わると、渦の発生周期がどう変化するか

を表す指標です。

例えば流れが速くなると渦はより早く発生します。
逆に、物体が大きいと渦はゆっくり生じます。

■ なぜ「無次元数」なのか?

異なるスケールの流れでも比較できるように、
長さ・速度・周波数を組み合わせて次元を消した数です。

水槽実験から実際の橋梁や煙突の設計へスケールアップできる

という利点があります。

■ 円柱の場合の経験値

円柱後流では、レイノルズ数が一定範囲(約 (100 < Re < 10^5))で
[
St \approx 0.2
]
という経験値がよく使われます。

これが先ほどの問題の数値につながります。


■ 身近な例

  • 旗がパタパタ揺れる
  • 送風機の後ろに周期的な風の変動
  • スポーツカーの風切り音
  • 高層ビル・煙突の風揺れ

いずれも、渦が定期的にできる現象で、ストローハル数が重要な役割を持ちます。


■ まとめ

項目 内容
ストローハル数 渦が発生する周期性を表す無次元数
[St = \frac{fD}{U}]
円柱で一般的な値 [St \approx 0.2]
役割 流体振動・構造振動の予測

必要なら、カルマン渦の図やアニメーションで視覚的に説明することもできます。
また、レイノルズ数との関係についても補足できますが、続けますか?

どのように導出されたのですか

ストローハル数 [St = \frac{fD}{U}] が「どのように導出されたか」という質問ですね。
結論から言うと、これは理論から突然出てきた式ではなく

渦の発生周期と流れのスケール関係を表すために、流体力学で無次元化(次元解析)したとき自然に現れる指標

です。


目次

■ 導出の考え方:無次元化(次元解析)

渦の発生周期(周波数 (f))は、以下の量に依存すると考えることができます。

  • 流速 (U)(m/s)
  • 代表長さ (D)(物体の直径など)(m)
  • 周波数 (f)(1/s)

この3つを使って無次元数をつくりたい。
次元を見ます:

次元
(U) (L/T)
(D) (L)
(f) (1/T)

無次元にするためには、

[
\frac{fD}{U}
]

とすれば、次元が消えます:

[
\frac{(1/T)\cdot L}{L/T} = 1
]

つまり、自然に現れる無次元量です。

これがストローハル数 (St)。


■ なぜこの形で良いのか?

渦が次々と発生する周期 (T = 1/f) は、流れが物体サイズ (D) を通過する時間スケール (D/U) と関係があるはず、という物理的直感があります。

  • 流れが速い → 渦が早くちぎれる
  • 物体が大きい → 渦が形成に時間がかかる

よって、

[
T \propto \frac{D}{U}
\quad\Rightarrow\quad
f \propto \frac{U}{D}
]

そして比例定数を (St) とすると

[
f = St \frac{U}{D}
\quad\Rightarrow\quad
St = \frac{fD}{U}
]


■ 歴史的背景(実験的発見)

最初にカルマン渦列を理論的に説明したのはカルマン(1911年)が渦の安定性解析で示したものです。

その後、実験や理論で
渦発生周波数が [f = St\frac{U}{D}] に従うことが確かめられました。

特に円柱では

[
St \approx 0.2 \quad (100 < Re < 10^5)
]

という経験値が広く使われています。


■まとめ

事項 内容
ストローハル数の本質 渦の放出周波数と流れスケールの関係を無次元化したもの
導出方法 次元解析+渦の時間スケールの物理直感+実験結果
[St = \frac{fD}{U}]
典型値 円柱で (St ≈ 0.2)

■補足

  • ストローハル数は「自然に現れるスケール比」
  • 数値 (0.2) は実験的・経験的に決まった値
  • 渦列の発生(カルマン渦)は流体不安定性の現象

必要であれば、次は

  • カルマンの安定性解析(理論式の概要)
  • CFDでストローハル数を確認する方法
  • 実験動画での説明

なども解説できます。
どれが見たいですか?

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