令和3年度技術士第一次試験問題[機械部門] 専門科目Ⅲ-7 ねじりモーメントによる中空丸棒と中軸丸棒のせん断応力

著者:副業の宮殿|製造業に携わる現役エンジニア。技術士試験対策書籍をKindleで複数出版。技術ブログ「副業の宮殿」にて製造業DX・AI活用の情報を発信中。

$\tau_{\rm max} = | \tau (D/2) | = \frac{D}{2} G | \theta| = \frac{D |T|}{2 I_p}=\frac{|T|}{Z_p}$

それぞれの材料の極断面係数Zを求める
$Z_{pA} = \frac{\pi d^3}{16}$

$Z_{pB} = \frac{\pi (d^4-\frac{d^4}{\sqrt{2}})}{16d}$

せん断応力の比は

$\frac{\frac{\pi d^3}{16}}{\frac{\pi (d^4-\frac{d^4}{\sqrt{2}})}{16d}}=4/3$

[解答]②

参考

第10回 棒のねじり

ねじりモーメントを受ける丸棒のモールの応力円(H26)

材料力学  丸棒の断面に働くねじりモーメントと断面係数に関する問題(H25)

極断面2次モーメントとは何ですか?

極断面二次モーメント(polar moment of inertia)とは、
軸をねじるときの“ねじれにくさ”を表す量 です。

「ねじりに関しての慣性モーメント」と考えると直感的です。


✅ 1. 定義(数学的な形)

断面内の点の座標を ((x, y)) とすると、

[
J=\iint (x^{2}+y^{2}), dA
]

  • 点が軸から離れているほど(r が大きいほど)J に大きく効く
    → 外周の材料がねじりに強く寄与

✅ 2. なぜ必要なのか?

ねじり応力と角ねじれ角の式に必ず登場します。

● 最大せん断応力

[
\tau_{\max}=\frac{T c}{J}
]

● ねじれ角

[
\theta=\frac{T l}{GJ}
]

J が大きいほど:

  • ねじりに強い
  • ねじれが小さい
  • せん断応力も小さくなる

✅ 3. 直感イメージ(重要)

ねじるとき、中心の材料よりも「外周の材料の方が強く効く」。

これはてこの原理と同じで、

  • 中心にある材料 → モーメントアームがゼロ
  • 外側の材料 → モーメントアームが大きい

よって J の定義
[
J=\int r^2, dA
]
は「半径の2乗を重みづけ」に使うことで
外周の影響を大きく評価する。


✅ 4. 丸棒の公式

覚えておくと便利。

● 中実丸棒

[
J=\frac{\pi d^4}{32}
]

● 中空丸棒(外径 d、内径 d_i)

[
J=\frac{\pi (d^4 – d_i^4)}{32}
]


✅ 5. なぜ d^4 になるのか?

積分で外周が支配的になるから。

例えば中実丸棒では
[
J \propto \int_0^R r^2 (2\pi r, dr) = 2\pi \int r^3 dr \propto R^4
]

半径の4乗で効く
→ つまり直径を少し大きくするとねじり強度が爆増する。


✅ 6. 性質まとめ

効果 説明
せん断応力に効く (\tau = Tc/J)、J 大→応力小
ねじれ角に効く (\theta = Tl/(GJ))、J 大→ねじれ小
外周が効く r^2 の重みで外側の材料が支配的

✅ 7. 今回の問題との関係

中空丸棒 B の J が小さいので(肉が薄いため)

  • (\tau_B > \tau_A)

となり、比をとると 4/3 になった。


必要なら:

✅ J の導出(積分を全部見せる)
✅ ねじりの理論式の出発点
✅ G(せん断弾性係数)との関係
✅ なぜ丸棒はねじりに強いのか

などもさらに深く説明できます!

 

Jの導出をお願いします

 

いい質問です!ここでいう「極断面二次モーメント (J)」は、ねじり(純粋トルク)に対する断面の“ねじれにくさ”を表す幾何学量です。
(※質量に関する慣性モーメント (J= \sum m r^2) とは別物。ここでは断面形状だけで決まる量で、単位は ([\text{長さ}]^4) です。)


極断面二次モーメントとは

  • 定義(断面中心 (O) まわり)
    [
    \boxed{,J=\int_A \rho^2,\mathrm dA,}
    ]
    ここで (\rho) は断面上の点から中心 (O) までの距離、(A) は断面積。
  • ねじりの基本式
    [
    \boxed{,\tau(\rho)=\dfrac{T,\rho}{J},},\qquad
    \boxed{,\theta=\dfrac{T,L}{G,J},}
    ]
    (\tau):半径 (\rho) のせん断応力,(T):トルク,(L):軸長,(G):せん断弾性係数。
    → (J) が大きいほど応力が小さくねじれ角も小さい

(J) の導出(円形断面)

目次

1) 中実丸棒(半径 (R))

極座標で ( \mathrm dA=\rho,\mathrm d\rho,\mathrm d\phi ):
[
\begin{aligned}
J
&=\int_0^{2\pi}!!\int_0^{R}\rho^2(\rho,\mathrm d\rho,\mathrm d\phi)
= \int_0^{2\pi}!!\int_0^{R}\rho^{3},\mathrm d\rho,\mathrm d\phi \
&= \left[\int_0^{2\pi}\mathrm d\phi\right]!
\left[\frac{\rho^{4}}{4}\Big|_{0}^{R}\right]
= 2\pi \cdot \frac{R^{4}}{4}
= \boxed{\frac{\pi R^{4}}{2}}
\end{aligned}
]
直径 (d=2R) なら (J=\dfrac{\pi d^{4}}{32})。

2) 中空丸棒(外半径 (R_o), 内半径 (R_i))

[
\boxed{,J=\frac{\pi}{2}\left(R_o^{4}-R_i^{4}\right)
=\frac{\pi}{32}\left(d_o^{4}-d_i^{4}\right),}
]

3) 薄肉円管(板厚 (t\ll r)・平均半径 (r))

[
\boxed{,J \approx 2\pi r^{3}t,}
]
(工学的に便利な近似)


(J) と他の量の関係・注意

  • 直交主軸の二次モーメント (I_x, I_y) と
    [
    \boxed{,J = I_x + I_y,(=\int_A (x^2+y^2),\mathrm dA),}
    ]
    (円や正方形など中心対称断面で成り立つ)
  • 単位:([\text{m}^4])。
    質量慣性モーメント(([\text{kg m}^2]))とは違うので混同に注意。

よくある質問:「(J) に (1/2) が付くのは?」

中実円の結果が
[
J=\frac{\pi R^4}{2}
]
だから「(1/2) が付く」ように見えます。これは円の幾何学積分の結果で、定義 (J=\int_A \rho^2 dA) に特別な係数があるわけではありません。
(質量慣性モーメントで一様円板が (J_{\text{mass}}=\tfrac12 mR^2) となるのとは別の話です。)


必要なら、先の問題図(外径 (d)、内径 (d/\sqrt2) の中空丸棒)について 具体的に (J) を計算し、せん断応力比 (\tau_B/\tau_A) を出す手順も示します!

なぜ丸棒はねじりに強いのか?

 

丸棒(円形断面)が 特にねじりに強いのは、
外周の材料が最大限に“モーメントアーム”を使ってねじりに抵抗できるからです。

そしてその効果が、極断面二次モーメント
[
J=\int_A r^2 dA
]
に見事に現れます。

ここでは、直感 → 物理 → 数学 の順でスッキリ説明します。


✅ 1. 直感的に:ねじりで一番効くのは“外側の材料”

ねじりトルクは
[
T = \tau(r) \times (\text{面積}) \times r
]
のように 半径 r が大きいほど強く効く

つまり、

  • 軸の中心付近の材料 → r が小さい → ほとんど抵抗しない
  • 外周の材料 → r が最大 → ねじり抵抗力の主役

円形断面は 外周方向に材料を均等かつ最大に配置できる
→ ねじりに対して最も効率が良い形。


✅ 2. ねじりの式で見るともっと明確

最大せん断応力
[
\tau_{\max}=\frac{T c}{J}
]
ねじれ角
[
\theta=\frac{T L}{G J}
]

つまり J が大きいほど強い

円がねじりに強い理由

円は、同じ面積・同じ外形寸法の断面に比べて
[
J = \int r^2 dA
]
を最大化しやすい。

特に

  • 角のある形(四角形・H形鋼)は せん断応力が平均化しにくい
  • 薄板形状では外周にしか材料がないため局所的に弱い

円は
どの方向からねじっても均等に強い
(等方性がある)。


✅ 3. 数学的に:J は半径の4乗で効く

中実丸棒
[
J=\frac{\pi d^4}{32}
]

直径の 4乗 に比例する。

例えば、直径を2倍にすると

[
J_{new} = 2^4 = 16倍!
]

外周が支配的だから、円形のように外周を最大限使える形が一番強い。


✅ 4. 他の断面と比較(同じ断面積)

たとえば断面積が同じ

  • 正方形
  • 長方形(細長い)

を比較すると、ねじりの強さ(=J)は

[
\text{円} > \text{正方形} > \text{長方形}
]

特に長方形は
[
J \approx \frac{1}{3} b t^3
]
となり、厚みが小さいと急激に弱い。

つまり 平均して遠くに材料を配置するのは円が最も効率的。


✅ 5. 工学的利点

  • 車のシャフト
  • モーター軸
  • 工具のドリルチャック
  • 機械部品の回転軸

が丸棒なのは、

✅ 材料をムダなく使ってねじり強度を最大化
✅ どの方向のねじれにも均等に強い(等方性)
✅ 応力集中が小さい
✅ 製造しやすい(旋盤で作りやすい)

という理由。


✅ まとめ:丸棒がねじりに強い理由(3行)

  1. 外周材料が最大限に使える
  2. J が半径の4乗で効く → 円は最もJが大きくなる
  3. 方向による偏りがなく、ねじり応力が均等に分布する

だから、
同じ材料・同じ断面積なら、丸棒が最もねじりに強い。


必要なら:

✅ 四角形・I形鋼との J の比較
✅ 中空丸棒がさらに効率的な理由
✅ 材料力学としてのねじり応力分布の導出

も解説できます!

あわせて読みたい

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

目次