最近のサバクトビバッタのニュースをまとめてください
かしこまりました。まずは、現在の最新情報を把握するために、サバクトビバッタ(サバクトビバッタとは、砂漠のバッタ類)に関連したニュースを調べます。日本の最新ニュースソースを中心に調査し、最新の話題や状況をまとめて提供いたします。少々お待ちください。 サバクトビバッタ( desert locust )は、東アフリカ~中東・北アフリカなどに生息する大発生性バッタです。2024年以降は大規模な大繁殖は起きていませんが、降雨と気温の変化により2024~25年も局地的な発生が続き、国際機関や研究者の注目が続いています。以下に最近の動向をまとめます。2024年の動向
- 紅海・アデン湾沿岸での多発生(2024年初) 国連食糧農業機関(FAO)によれば、2023年末に紅海とアデン湾沿岸のエジプト、エリトリア、サウジアラビア、ソマリア、スーダンでサバクトビバッタの第一世代・第二世代の幼虫が大量に発生し、2024年1月には駆除面積が急増しました。2月以降は雨量が減ったため、春までに終息すると予想されました。
- 産卵時の新しい行動の発見(2024年9月) 国際農研(JIRCAS)がサハラで行った野外調査で、夜間に集団で産卵するメスが主流である一方、気温50°Cを超える日中にも産卵する個体が存在し、その際オスが背に乗って“日傘”のようにメスを覆って体温を下げる行動が確認されました。この行動を利用すれば、産卵時に狙いを定めた殺虫剤散布ができ、環境負荷の低減が期待されます。
2025年の発生状況
- 春~初夏:北アフリカで発生継続 2025年4月、南サハラで起きたバッタの繁殖が北西アフリカへ拡大し、アルジェリア・リビア・モロッコ・チュニジアに成虫群が到来したとFAOが報告しました。5月にはアルジェリア・リビア・チュニジアで成虫群や群生幼虫が増加し、チャドやニジェールにも成虫が出現しました。翌月には未熟成虫や小規模な群れが北アフリカで確認され、これらの群れが7月にサヘルへ南下し夏繁殖を始めると予測されました。
- 7月~8月:北アフリカの発生は減少 7月4日のFAO速報では、北アフリカ北部の発生は減ったものの、リビアやアルジェリアの成虫群は残存し、成虫群と小群が南下してサヘル各地で夏繁殖を始めると予想されました。8月5日には北アフリカでの発生が大幅に減少したものの、モーリタニアやニジェール、チャドなどサヘル諸国で孤在成虫が報告されており、7月の降雨により新たな繁殖が起きる可能性が強調されました。
- 9月~10月:モーリタニアで小規模なアウトブレイク 9月4日のFAO月報は、モーリタニア中央部で小規模なアウトブレイク(群れ形成)が発生し、他国でも孤在成虫が見つかったと報告しました。10月3日の月報では、モーリタニアで第二世代の成虫群が出現し、成虫の一部はセネガルに逃れて繁殖したと伝えています。サヘルの多くの地域で繁殖条件が良好なため、モーリタニアだけでなくマリやニジェール、チャド、南アルジェリアに新たな群れが出現する恐れがあり、監視と防除が求められています。
- 降水予測 FAOは9月19日に、2025年9月末は北サヘルやスーダン、アラビア半島南部、インド・パキスタン国境で例年より多雨になり、10~11月は負のインド洋ダイポールにより乾燥傾向となるが、12月以降はエジプト・スーダン・サウジアラビアの紅海沿岸で再び降雨が増え、春まで繁殖が続く可能性があると発表しました。
国際的な対応
- 西部地域委員会(CLCPRO)の行動計画 FAOとCLCPRO加盟11カ国は、2025年夏以降のリスク増大に備え、農薬の事前備蓄や調査チームの早期展開、緊急対応体制の準備などを盛り込んだ地域対応計画を策定しました。デジタルツールeLocust3を活用し、住民からの通報と衛星データを統合して早期警報を強化することが打ち出されています。
- イラン・パキスタンの監視強化 FAOは2025年3月、イランとパキスタンの砂漠バッタ情報担当官(DLIO)を対象とした研修をローマで実施し、eLocust3KやKoboToolBoxを使ったデータ収集・分析、RAMSESシステムによる地理情報の活用方法などを指導しました。両国は春(バロチスタン州)と夏(シンド州・パンジャブ州)の二つの繁殖期があり、継続的な監視が重要とされます。
- 北アフリカへの警戒 FAOは2025年5月、北アフリカ各国に監視強化を要請し、前年8~9月の大雨によって植生が維持され、アルジェリア・リビア・チュニジア・モロッコで成虫群や小規模な群れが発生していると警告しました。砂漠バッタの群れは1平方キロメートルあたり40~80万匹が密集し、1日に最大150 km移動し、3.5万人分の食料に匹敵する植物を食べ尽くすため、初期段階での防除が不可欠と説明しています。
気候変動と研究の進展
- 気候変動の影響 モンガベイのレポートによると、2024年後半から2025年初にかけての豪雨と高温が北アフリカでサバクトビバッタの繁殖を促し、アルジェリアやチュニジア、リビアで群れが発生しました。温暖化により卵のふ化期間が短縮し、幼虫の発育も加速すると指摘されています。
- 乾燥適応戦略の解明 国際農研は2025年5月、乾燥環境下でふ化した幼虫が体内に多くの卵黄を残し、小型ながら餌がなくても約2倍長く生存できることを明らかにしました。この卵黄は「ランチボックス」のような役割を果たし、これを除去すると生存期間は湿潤条件の幼虫並みに短くなるという実験結果が示されました。この知見は、乾燥年における個体数変動のモデル化や防除計画に役立つとされています。
- 集団運動の仕組みの再評価 2025年2月、ドイツ・コンスタンツ大学とマックスプランク動物行動研究所のチームは、バーチャルリアリティを用いた実験によって、幼虫の集団行動が従来モデルで仮定されていた「隣個体との方向合わせ」ではなく、前方に動く個体を追従する視覚情報に依存していると報告しました。群れの秩序は個体密度ではなく視覚情報の質によって決まり、これを再現する認知モデル(リングアトラクター型)が提案されています。この研究は将来の群れ移動予測に応用可能と評価されています。
- 新しい早期警報モデル ケンブリッジ大学の研究チームは2024年末、気象予測と計算モデルを組み合わせてバッタの発生場所と時期を数日前に予測する早期警報ツールを開発しました。従来より精度が高く、気候変動で発生が増える中、適時の防除が期待されています。
今後の見通し
2025年10月時点では、東アフリカやアラビア半島で大規模な新発生は報告されていませんが、サヘル西部(モーリタニアなど)では局地的な繁殖が続いています。9月後半に降雨が多かった地域では繁殖が続き、12月以降は紅海沿岸で再び雨が増える見込みで、冬季の繁殖に注意が必要とされています。気候変動が繁殖条件を複雑化しているため、各国は衛星データ、モバイルアプリ(eLocust3)や地元の観測を統合した早期警報と、環境に配慮した防除体制を整えることが求められます。サバクトビバッタに関する近年の研究動向
発生生態および生息地
サバクトビバッタ(Schistocerca gregaria)は西アフリカのモーリタニアから中東、インドに至る半乾燥地帯に広く分布し、この「常発生地帯」は約60か国、地球陸地面積の20%・世界人口の10%に及ぶと言われますjircas.go.jp。平常時には降雨量の少ない砂漠・サバンナに点在する孤独相の成虫がわずかに生息しており、これらの成虫は繁殖せず未成熟のまま雨を待っていますjircas.go.jp。十分な大雨が降り野草が生い茂ると、成虫は餌を得て性的に成熟し繁殖を開始しますjircas.go.jp。産卵には湿った砂地が必要で、メスは腹部を伸ばして土中5~15cmに卵鞘を産み付けますjircas.go.jp。卵は約2週間で孵化しますが(気温によって10~65日と幅あり)、孵化には土中水分の吸収が不可欠ですcabi.orgjircas.go.jp。孵化した幼虫(ホッパー)は5~6齢期間(約30~40日)かけて成長しcabi.org、羽化後の若虫(フレッジリング)からさらに10日前後で成虫となりますcabi.org。温暖で餌が豊富な環境下では全生活環を約3か月(8週間程度)で完了しうるため、条件が整えば年に数世代が発生しますworldbank.orgcabi.org。一方で乾季に入って土壌が乾燥すると、卵は発生できず幼虫も成長できなくなるため、バッタの増殖は自然に頭打ちになりますjircas.go.jp。
通常期の生息環境は雨量400mm未満の乾燥地域に限られ、サバクトビバッタは湿潤な地域には定着しないことが知られていますjircas.go.jp。高湿度地域で繁殖しない理由は十分解明されていませんが、降雨の多い環境では病原菌など天敵の影響を受けやすい可能性がありますjircas.go.jp。一般に孤独相個体は高温乾燥環境に強く、餌や水が乏しい状況でも長期間生存できますが、繁殖開始にはまとまった雨による緑餌の出現が必要ですjircas.go.jp。近年の研究では、群生相への相変異そのものが砂漠環境への適応戦略であることが示唆されており、卵・幼虫・成虫の各段階で乾燥や高温ストレスへの耐性が向上する生理・行動変化が確認されていますkaken.nii.ac.jp。このような適応的能力により、サバクトビバッタは過酷な砂漠環境下でも大発生に至る素地を持つと考えられます。
群生相の形成と行動メカニズム
サバクトビバッタ最大の特徴は、個体密度に応じて形態・行動・生理を可逆的に変化させる「相変異(phase polyphenism)」能力ですjircas.go.jp。普段は孤立してお互いを避け合う孤独相ですが、降雨による繁殖で個体数が急増し乾季に餌場が局所的に集中すると、接触刺激などをきっかけに群生相へのスイッチが入りますjircas.go.jpjircas.go.jp。群生相化の行動変化は数時間以内と非常に速く、わずかな群れでも互いに引き寄せ合い集団行動を示すようになりますjircas.go.jp。一方、形態的変化(体色や体格の変化)は数日~数週間かけ徐々に表れ、数世代にわたり累積しますjircas.go.jp。ロシアの昆虫学者Uvarov卿は1921年にこの現象を報告し、以後世界各地のトビバッタ類で相変異が研究されてきましたjircas.go.jp。群生相へ移行したバッタは孤独相に比べて発育・繁殖能力が高まり、個体群爆発(アウトブレイク)に直接つながりますjircas.go.jp。
孤独相と群生相の比較: サバクトビバッタの孤独相と群生相では、形態や行動に以下のような顕著な差異が見られます(表)jircas.go.jpcabi.org。
| 特徴 | 孤独相(Solitarious) | 群生相(Gregarious) |
|---|---|---|
| 個体密度・行動 | 低密度で単独行動し、互いに避け合うjircas.go.jp | 高密度で群れを形成し、互いに引き寄せ合って集団移動するjircas.go.jp |
| 体色(幼虫・成虫) | 幼虫は緑~褐色、成虫は茶色・緑色cabi.orgresearchgate.net | 幼虫は初齢時黒色で以降は黄黒色、成虫は羽化直後ピンクで成熟すると黄色cabi.orgresearchgate.net |
| 発育段階 | 幼虫期は6齢(羽化まで約40日)cabi.org | 幼虫期は5齢(羽化まで約30日)cabi.org(高密度下では1齢短縮) |
| 繁殖・成長力 | 繁殖力・成長速度は低く、平常時は未成熟のまま長寿jircas.go.jp | 繁殖力・成長速度が飛躍的に増大(個体群の20倍化も)し大発生を助長jircas.go.jpworldbank.org |
| 飛翔・移動 | 単独で夜間に中~長距離飛行(移住的移動)jircas.go.jp | 群れで日中に長距離飛翔(1日100km以上の移動)jircas.go.jp |
群生相化のメカニズムについては、2000年代以降の研究で神経伝達物質セロトニンが重要な役割を果たすことが判明しました。例えば**Ansteyら(2009年)**の実験では、孤独相バッタの後肢を刺激して群生相密度を模擬すると脳内セロトニン濃度が上昇し、数時間以内に群生相特有の群れる行動が引き起こされることが示されています。また逆にセロトニン合成を阻害すると群生相化が抑制されることから、セロトニンは群生相行動への誘導に「必要かつ十分」であると結論づけられましたscience.orgsciencedirect.com。この知見は、バッタの相変異が環境刺激に応答する脳内物質によって媒介されていることを示しています。
一方、群生相個体の群れ全体の行動メカニズムとして近年注目されているのが同種個体間の相互作用(協調と競合)です。群れでは個体同士が密集することで一見協調的に移動しますが、実際には共食い(カニバリズム)の脅威が群れの秩序を生み出す要因であると考えられています。観察研究によれば、群生相の幼虫は後方の個体が前方個体を食べようとする攻撃性を示し、各個体は食われまいとして前進し続けるため結果的に整然と行進することが確認されましたphys.orgphys.org。**Couzinら(2020年)は「群れでは協調ではなく互いに食われる恐怖こそが移動を駆動する」と報告していますphys.org。さらにHanssonら(2023年)**は群生相バッタが発するフェロモン物質(PAN:フェニルアセトニトリル)を同定し、この物質が他個体からの攻撃を抑制する「食われまいとする信号」として機能することを明らかにしましたphys.orgphys.org。これらの発見は、群生相バッタの集団運動が個体間の複雑な競合・コミュニケーションによって統御されていることを示しています。
また、群生相では繁殖行動にも特有のメカニズムが見られます。前野ほか(2021年)のフィールド研究は、繁殖期の砂漠でオス優勢群とメス優勢群に成虫が分かれて暮らすことを発見しましたjircas.go.jp。卵巣が成熟途中のメス成虫はオスから離れた雌集団に留まり、産卵直前になると日中にオス群に飛来して交尾し、夜間にペアで産卵しますjircas.go.jpjircas.go.jp。これは、オスと常に混在すると絶え間ない交尾の強要(ハラスメント)でメスに負担がかかるため、メスが産卵可能になるまで別居する戦略だと解釈されますjircas.go.jp。この性別別居行動は従来知られておらず、繁殖生態の新知見として注目されました。研究者らは「メス優勢群を目印にすれば次の産卵地点を予測できる」ことも指摘しておりjircas.go.jp、生態に基づく防除への応用が期待されています。
被害の規模と影響
サバクトビバッタは「世界で最も破壊的な移動性害虫」と称され、大発生時には農業・社会に甚大な被害をもたらしますworldbank.org。群生相の成虫群れ(スウォーム)はしばしば数千万~数億匹に達し、1平方キロメートルの群れ(約8000万匹)が1日に食べる植物量は人間35,000人分にも匹敵しますworldbank.org。例えば2020年の東アフリカにおける大発生では、ケニアで「70年ぶり」の規模といわれる未曾有の群れが出現し、エチオピアやソマリアでも「25年ぶり」の深刻な被害を出しましたmdpi.com。FAO(国連食糧農業機関)の推計では、東アフリカとイエメンだけで2020年に農業被害額・損失額は最大85億ドル(約1兆円)に上るとされますworldbank.org。この被害は作物の直接的な損失だけでなく、牧草の壊滅による家畜飼料不足や、それに伴う家畜売却・食料価格高騰など波及的な経済困難を招きますjircas.go.jp。実際、被災コミュニティでは食糧不足による栄養不良の悪化や、現金収入源の喪失による生活基盤崩壊が報告されていますjircas.go.jp。過去の蝗害の事例研究では、発生地域の児童の就学率低下や乳幼児の発育阻害(発育不良の増加)といった長期的影響も指摘されていますworldbank.org。
被害は脆弱な社会層に集中する傾向があります。アフリカのサヘル帯や中東・南アジアの農村では、元々食料不安や紛争に直面する人々が多く、そこにバッタ被害が追い打ちをかけますworldbank.org。例えば東アフリカの大発生初期(2020年初頭)には、被災国で既に約2300万人が深刻な食料不安状態にあり、人道支援を要する状況でしたworldbank.org。そこへ蝗害が発生したためWFP(世界食糧計画)や世界銀行は緊急支援に乗り出し、被害拡大を防ぐとともに食料・生計支援を行いましたworldbank.orgworldbank.org。このようにサバクトビバッタの蝗害は、一度発生すると膨大なコストと国際協力を要する深刻な災害となります。
分布と移動経路(気象との関係)
地理的分布: サバクトビバッタの常発生地帯(平常時の生息域)は西アフリカ~中東~南アジアに連なる半乾燥帯ですが、歴史的にその東限はインド東部までで、中国や東南アジアへの侵入は記録がほとんどありませんjircas.go.jp。これはヒマラヤ山脈などの高山による低温障壁や、東南アジアの高湿度環境が定着を阻んでいるためと考えられますjircas.go.jpjircas.go.jp。実際、成虫は変温動物で体温が21℃を下回ると長距離飛翔できず、高地や寒冷地で失速して死滅しますjircas.go.jp。過去に北アフリカで雪山に飛来した群れが低温で動けなくなり全滅した例も報告されていますjircas.go.jp。また熱帯雨林も物理的・生態的バリアとなっており、サバクトビバッタ属(Schistocerca)は東アジアやオセアニアには定着していませんjircas.go.jp(一方、同属のミナミアメリカトビバッタは南米の固有種として大発生しますjircas.go.jp)。
季節移動と風: 群生相バッタは強力な飛翔力をもち、気流に乗って季節的な長距離移動を行いますjircas.go.jp。典型的にはモンスーンや貿易風に乗り、「冬繁殖地」「春繁殖地」「夏繁殖地」と呼ばれる地域を渡り歩きますjircas.go.jp。移動経路はその時々の風向きと降雨状況に強く影響され、飛来先で雨が降っていることが多いと報告されていますjircas.go.jp。実際、バッタの群れは餌となる植物と産卵に適した湿潤土壌を求めて移動しており、風に運ばれた先で雨が降っていれば結果的に好適地に辿り着く仕組みですjircas.go.jp。群生相の成虫群は日中に高度数百メートルまで上昇気流に乗り1日に100km以上移動できますjircas.go.jp。記録上最長の移動例は、1988年に西アフリカの群れが大西洋を越えカリブ海まで飛来したケースで、推定飛行距離は4,500kmにも及びますjircas.go.jp。
一方、孤独相の成虫も飛翔能力は持っており、こちらは主に夜間に個体移動すると考えられていますjircas.go.jp。もっとも孤独相では群れを形成しないため大規模な長距離移動は稀で、分布拡大への寄与は限定的です。したがって蝗害リスクのある分布域は概ね常発生地帯に限られますが、いったん群生相の大発生が始まると侵入地域(invasion area)へ爆発的に広がりますjircas.go.jpjircas.go.jp。過去には、例えば1960年代のプラガではアラビア半島から西アフリカのニジェールまで約3,500kmを1か月で拡大した記録がありますjircas.go.jp。2003~2005年の大発生時も、発端となった北西アフリカから発生域が急速に南下・拡大し、西アフリカ11か国に群れが侵入する事態となりましたresearchgate.net。こうした広域移動は一国の防除体制を容易に超えてしまうため、周辺国との連携が不可欠となりますjircas.go.jp。
気象・気候との関係: バッタの発生・移動はいずれも気象条件に大きく左右されますicpac.medium.com。産卵から孵化・成長・羽化・群れ形成に至る全ての段階で、降雨・土壌水分・気温・風向風速など理想的な気象条件が揃う必要がありますicpac.medium.com。そのため異常気象が発生契機になることが多く、近年の東アフリカにおける巨大群発生も、インド洋ダイポール現象(IOD)の正相極値(60年ぶり)による記録的豪雨とサイクロン連発が引き金となりましたworldbank.org。2019年後半から2020年前半にかけてアラビア半島~東アフリカが例年より400mm以上も多い降雨に見舞われ、乾燥地に前代未聞の豊かな植生が出現したことがバッタ繁殖を爆発的に促進したのですworldbank.orgicpac.medium.com。実際、2019年6~9月にイエメンやオマーンで発生した群れが紅海・アラビア海を越えてエチオピア・ソマリアへ飛来し、その後東アフリカ一帯で世代を重ねて2020年に「数十年ぶり」の大災害規模に至りましたicpac.medium.comicpac.medium.com。このように異常気象の連鎖が重なることで大発生が「不定期かつ突発的(irregularかつsporadic)」に起こることがサバクトビバッタの大きな脅威ですjircas.go.jp。近年は気候変動による極端気象の増加が懸念されており、将来的に蝗害発生域の拡大や頻度上昇が指摘されていますjircas.go.jpworldbank.org。
防除技術(生物的・化学的・環境的)
サバクトビバッタ対策は長年FAO主導で確立されており、現在の防除法は化学農薬散布と生物農薬散布が二本柱ですjircas.go.jp。具体的には、有機リン系などの殺虫剤(マラソンやフェニトロチオン等)や、バッタ専用の糸状菌製剤(Metarhizium anisopliae:商品名「グリーンマッスル」など)を、地上車両または航空機でバッタの群れに対し直接散布しますjircas.go.jp。広域を効率的に処理するため超低容量(ULV)散布技術が用いられ、最小限の薬剤量で効果を上げる工夫がなされていますjircas.go.jp。過去には毒餌(薬剤を混ぜた餌)による誘殺も試みられましたが、大発生規模ではあまり実用化されていませんjircas.go.jp。
生物的防除としては、前述のバッタ病原菌(グリーンマッスル)が環境への影響が少ない手段として普及しつつあります。菌剤散布は化学殺虫剤より即効性は劣るものの、ホッパー(羽のない幼虫)の段階で使用すれば1~2週間で致死効果を発揮し、残留農薬を減らせるメリットがありますjircas.go.jp。また天敵の利用も研究されており、鳥類(コウノトリやサギ類)、爬虫類、アブやハチの捕食・寄生によるバッタ抑制効果が報告されています。しかし蝗害レベルの発生では天敵だけで十分な抑制は難しく、あくまで補助的な位置づけです。中国ではアヒルを大量投入してバッタを捕食させる試みが話題となりましたが、大発生規模では物理的制約が大きく限定的な対応策です。
環境的な防除・管理手法としては、早期発見・早期対処の徹底と、バッタの生態を利用した集中的な処理が挙げられます。近年の研究成果を踏まえ、例えば前野らは「日中に発見したオス主体の群れをすぐ駆除するより、夜間にペアで産卵中の雌雄をまとめて処理した方が効率的」と提案していますjircas.go.jp。産卵現場を狙い撃ちできれば卵塊ごと駆除でき、過剰な農薬散布を減らせるためですjircas.go.jp。またバッタは気温が低い早朝には動きが鈍く捕獲しやすい性質があり、現地住民は寒冷時に網や手で捕まえて利用することもありますjircas.go.jp(ただし防除で農薬散布済みの個体は食用厳禁)。一部では収穫したバッタを家畜飼料や人間の蛋白源に活用する研究も進められています。実際、サバクトビバッタは植物由来のフィトステロールを豊富に含み健康食品としての潜在価値も指摘されていますjircas.go.jp。
技術的な新展開としては、ドローン(無人航空機)の活用が注目されています。FAOは2018年頃から長距離固定翼ドローンによる砂漠偵察や、近年では小型マルチコプタードローンによる農薬の精密散布を試験導入していますfao.org。初期結果では起伏の激しい地域でもピンポイントで群れに薬剤散布できる高い効率が確認されましたfao.org。さらに、衛星画像では捉えきれない小規模な繁殖兆候をドローンで上空撮影し発見する試みも行われていますfao.org。一方、大発生への対処では広域航空防除が不可欠であり、軍用ヘリや農業飛行機による空中散布が各国で活用されていますworldbank.org。防除用車両・機材の準備や農薬備蓄、現地要員の訓練といった体制整備も重要で、日本を含む各国が支援を行っていますjircas.go.jpjircas.go.jp。
現在主流の広域防除策は環境負荷の大きい化学殺虫剤に依存しているため、将来的にはより持続可能な防除技術への転換が模索されていますcirad.fr。たとえば、Hanssonら(2023)の研究が示したカニバリズム忌避フェロモン(PAN)の利用により、群れの凝集を撹乱して分散させる新手法の可能性もありますphys.orgphys.org。加えて、発生地での植生管理(水源地の草刈りや耕起による産卵阻止)など環境改変による予防策も一部で検討されています。総じて、防除技術は「大量発生させない予防」と「発生時に効率的に抑える抑制」の二軸で研究開発が進められています。
監視・予測システム(AI、リモートセンシング、気象データの活用)
サバクトビバッタ対策では予察(早期警戒)が極めて重要であり、国際的な監視ネットワークが整備されています。FAOの砂漠バッタ情報サービス(DLIS)は各国からの現地観察情報を集約し、気象データに基づく発育予測モデル(卵や幼虫の発育を気温積算で予測する「発育モデル (DLDM)」など)と移動軌道モデル(風向・気圧データで成虫群の飛翔経路を予測する「軌道モデル (HYSPLIT等)」)を運用していますmdpi.com。従来型の予測は主に数日の天気予報に依存し、予測精度は担当専門官の経験に委ねられる部分もありましたmdpi.com。しかし近年、リモートセンシング(遠隔探査)技術とAI(人工知能)を活用したデータ駆動型の予測システムが台頭しています。
衛星による植生指数NDVIや土壌湿度データは、バッタの繁殖環境を把握する強力な手段です。**Piouら(2019年)**の研究では、衛星観測された土壌水分が20日間で+0.09cm³/cm³以上増加した後に減少に転じるパターンが検出された場合、およそ70日後に現地でバッタが出現する確率が高まることが示されましたresearchgate.net。これは従来用いられてきた植生(NDVI)指標より数週間早く繁殖兆候を捉えられると報告されており、土壌水分動態が早期警戒に有用な環境指標であることを示していますresearchgate.net。実際、降雨→土壌湿潤→植生繁茂→バッタ繁殖という一連のプロセスから約2ヶ月のタイムラグがあるため、衛星データで「大雨が降った地点」を監視することで繁殖予兆を掴めるわけですresearchgate.net。この知見は予察期間の延長に寄与し、現在FAOや研究者によって衛星土壌水分データを組み込んだ予測モデルが検討されています。
さらに、機械学習を用いたマルチデータ解析も進展しています。Chenら(2022年)は2000~2020年の過去データを機械学習に学習させ、環境変動と群生幼虫(ホッパー群れ)発生の時間遅れパターンを解析しましたmdpi.commdpi.com。SVM(サポートベクターマシン)によるモデルの結果、「降雨増加後41~64日で幼虫群れ発生」「土壌湿度が約0.05 m³/m³上昇し減少してから73~80日で発生」「NDVI(植生指数)が0.18から0.25に増加してから17~40日で発生」といった複数の重要指標が明らかになりましたmdpi.com。そして降雨・土壌水分・NDVI等の最適な時差変動を組み合わせることで、東アフリカ(ソマリア・エチオピア・ケニア)におけるホッパー発生を16日前から予測することに成功し、2020年2~12月の月次予測で**約77%の精度(ROC-AUC 0.77, F値0.77)**を達成しましたmdpi.commdpi.com。このようにAIを活用した動的予測フレームワークは、群れが羽化して災害化する前に防除隊を誘導する「早期介入」を現実的にサポートし始めていますmdpi.com。
監視手法としては、他にもドップラー気象レーダーの転用が試みられています。インドや中国では既設の降雨レーダーがバッタ群れを捉えることが報告されており、リアルタイムで群れの位置と移動方向を把握できる可能性がありますsciencedirect.com。これは夜間や雲下でも利用できる強みがあり、地上から目視困難な高高度を飛ぶ群れの追跡に有用です。またFAOはデジタル技術「eLocust3」を展開し、現地調査員がタブレット端末で観測位置・バッタ密度・状態を入力すると衛星通信で即座に本部へ集約されるシステムを運用しています。これにより従来紙と無線に頼っていた通報が迅速化・可視化され、各国の防除隊が最新情報を共有できるようになりましたjircas.go.jp。
総合的な予察体制の強化も重要課題です。2000年代以降、FAOはEMPRES計画(越境性病害虫緊急予防システム)により各国の常時監視と初期防除力を高めてきましたresearchgate.net。しかしバッタ発生は何十年も間隔が空くこともあり、平時に予算や人員が維持されにくい問題がありますjircas.go.jp。実際、東アフリカでは約70年ぶりの蝗害となったため対策が遅れましたが、西アフリカ諸国は2003-05年の苦い経験から平時も監視体制を維持し被害軽減に成功していますjircas.go.jp。専門家は「平穏期(リセッション)でも油断せず備えることが肝要」と指摘しており、そのための国際的な資金・人材支援、および地域内連携が求められていますjircas.go.jp。加えて、学術研究の継続も欠かせません。大発生のメカニズム解明や新技術開発には長期的投資が必要であり、関係研究者らは一般書の刊行などを通じて社会の関心を繋ぎ留める努力も行っていますjircas.go.jp。
大発生の事例研究(過去と近年)
歴史的にサバクトビバッタは数十年おきに**プラガ(大発生)**と呼ばれる広域蝗害を引き起こしてきました。記録に残る限り19世紀以降では、たとえば1920年代後半、1950年代、そして1986~1989年のプラガが有名ですicpac.medium.com。特に1987-89年のプラガは戦後最大級で、西アフリカから中東・南アジアまで群れが飛来し、作物被害により数百万人規模の食料不足が発生しました。またこのとき一部の群れが大西洋を横断し、新大陸まで飛来したことが報じられていますjircas.go.jp。
直近の大発生事例としては、2003~2005年の西アフリカ蝗害と2019~2021年の東アフリカ蝗害が挙げられます。2003-05年の事例は、北西アフリカ(モーリタニアやモロッコ)の降雨により発生した群れが予想以上に増殖し、制御が後手に回った結果、西アフリカ一帯に飛来しましたresearchgate.net。FAOは早期警戒を発していましたが国際支援の立ち上がりが遅れ、群れは最終的にマリ、ニジェール、セネガルなど11か国を侵略し、既に食料危機を抱えるサヘル諸国の農業に甚大な打撃を与えましたresearchgate.net。この教訓から、雨季の降水予報を活用した発生リスク予測や、平時からの常駐監視能力強化の必要性が強調されましたresearchgate.net。その後、西アフリカ諸国ではEMPRESプログラムの下で防除組織を整備し、以降の発生では被害を最小化していますjircas.go.jp。
2019~2021年の東アフリカ蝗害は、広範囲の異常気象が誘発した近年稀に見る規模のアップサージ(急増)でした。発端は2018年5月と10月にアラビア半島に上陸したサイクロンで、イエメン内戦下で防除が手薄だった地域に大量の雨をもたらし、繁殖に理想的な湿潤環境が出現しましたworldbank.org。無人地帯で少なくとも3世代分の増殖が起こった後、2019年6月頃から群れが紅海を越えてアフリカ角(エチオピア、ソマリア)に侵入しましたicpac.medium.com。折しも2019年後半は記録的なインド洋高温(IOD正相)で東アフリカも豪雨となり、侵入した群れは現地で世代交代しながら爆発的に増殖しましたicpac.medium.comicpac.medium.com。ケニアでは70年ぶりの巨大群が出現し、ウガンダやスーダン、南スーダン、タンザニア北部など普段バッタ被害のない地域にまで飛来が確認されていますicpac.medium.com。この未曾有の侵攻に対し、FAOはグローバル支援の呼びかけを行い、日本も含む各国が資金や機材、人員を拠出して史上最大規模の防除作戦が展開されましたworldbank.orgworldbank.org。同時期にパキスタン・インドでも群れが発生しており、東アフリカ発の群れとの合流が懸念されましたが、幸い季節風の変化もあり大陸東側への飛来は限定的でしたjircas.go.jpjircas.go.jp。その後、2021年中盤には中東~南アジアでの乾季入りと防除の奏功により、ようやくアップサージは終息に向かいましたjircas.go.jp。この事例は、気候変動が蝗害リスクを高めうることを世界に印象付け、同時に平時からの備えの重要性を再認識させましたicpac.medium.comworldbank.org。
以上、サバクトビバッタの発生生態から被害、防除・予測の最新動向、大発生事例までを概観しました。近年の研究は、バッタの相変異メカニズム解明やAI時代の予測技術など飛躍的に進展しており、これら知見の実用化によって将来的な蝗害リスクの低減が期待されます。しかし依然として解明されていない謎も多く、また不規則に訪れる大発生に社会が備え続ける体制づくりも課題ですjircas.go.jp。人類が古来から苦しめられてきた砂漠のバッタ問題に対し、科学と国際協力を駆使した総合的アプローチで挑み続ける必要があると言えるでしょう。
【参考文献】各種文献・論文より作成(JIRCAS国際農研ウェブ資料【9】【11】【13】【17】、前野ら研究成果【4】【38】、Cirad/CABIプレス【6】【32】、World Bank資料【34】、ChenらRemote Sens. 2022【22】、他)





こんにちは^^
ガックンですが台の個体差があります。
毎ゲームガックンしている台は正直判断出来ないので
打たない方がいいかと思います。
特にキタックは通常時もガックンするものと全くしないものがあります。
やっぱ個体差ってあるんですね。
ゲームやリールによってぴくつきが違うんで、
判断しづらかったんです
演出でわかる台がリセットかからなくなったら
狙うのをやめる方向で立ち回りたいと思います