RDF(固形化燃料)に関する包括的レビュー
RDFの製造方法と原料種類
RDF(Refuse Derived Fuel、固形化燃料)とは、主に各種の廃棄物から可燃性成分を取り出し、加工して得られる固形燃料ですen.wikipedia.org。原料としては都市ごみ(一般廃棄物)をはじめ、商業・産業廃棄物などリサイクルが困難な可燃性廃棄物が利用されますen.wikipedia.org。典型的なRDFの原料成分は、リサイクル不能なプラスチック類(※塩素を多く含むPVC等は除去)や紙・紙板、繊維くず、木くずなどでありen.wikipedia.org、これらを含む可燃ごみから金属・ガラスなど不燃物や水分・塩素の多い成分を除去して製造されますen.wikipedia.org。
RDF製造は通常、廃棄物処理施設(例:機械的生物学的処理プラント, MBT)において段階的に行われますen.wikipedia.orgen.wikipedia.org。具体的な工程の例を以下に示しますen.wikipedia.orgen.wikipedia.org:
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破砕・袋開封: ごみ袋を開封し粗大な可燃ごみを破砕するen.wikipedia.org。
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手選別: PVC製品や大型異物など燃焼に不適な物を人手で除去するen.wikipedia.org。
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ふるい分け: 粒径に基づき微細な不燃物や塵芥を分離するen.wikipedia.org。
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金属類の分離: 磁選や渦電流分離により鉄・非鉄金属を除去するen.wikipedia.orgen.wikipedia.org。
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比重分離: エア分類(エアナイフなど)で軽量画分(紙やプラ等の高発熱量成分)を回収し、重い残渣(土砂・ガラス等)は除去または埋立処分とするen.wikipedia.orgen.wikipedia.org。
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二次破砕: 回収した可燃性画分を均質な粒度(数十mm程度)になるまで細かく破砕するpelletmillsolution.com。
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乾燥処理: 必要に応じ、生ごみ等に由来する水分を飛ばすため乾燥または生物乾燥(バイオドライ)を行い、含水率を低減するen.wikipedia.org。特に高品位なRDFペレットを製造する際は、含水率20%以下への乾燥が推奨されますen.wikipedia.org。
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成形・圧縮: 最後に材料を圧縮成形してペレット状やブロケット状に固めますen.wikipedia.orgen.wikipedia.org。成形により燃料は均質化・高密度化され、取り扱いや貯蔵が容易になります。
以上のように機械的処理(破砕・選別)と、必要に応じて乾燥などの前処理を組み合わせることで、廃棄物からRDFが製造されますen.wikipedia.orgen.wikipedia.org。製造過程では不燃物や湿った有機物が除去されるため、最終的なRDFは可燃成分を濃縮した燃料となります。典型的な組成例として、RDF中にプラスチック15~35%、紙・板紙20~50%、木質2~10%、生ごみ由来有機物5~20%、不燃残渣5~10%が含まれるとの報告がありますmdpi.commdpi.com。製造時に多くの可燃ごみ成分が除去されてしまうことから、従来の焼却(ワンステップ焼却)と比べ資源効率が良いか議論がある点にも留意が必要ですen.wikipedia.org。一方で、RDFは原料ごみより発熱量が飛躍的に向上し得るため(極端なケースではMSWの8.4MJ/kgがRDFで27MJ/kgに向上mdpi.commdpi.com)、エネルギー回収効率の観点では有利です。
日本においては、家庭系一般ごみを原料とするRDFが「ごみ固形燃料」として2000年代に導入されました。国の廃棄物処理法上、一般廃棄物を固形燃料化する際の品質基準が定められ、JIS規格(例:JIS Z7311)において**低位発熱量12,500kJ/kg超(約12.5MJ/kg)、含水率10%未満(または灰分20%未満)等の基準が示されていますsustain.ubc.ca。また産業廃棄物由来の紙・プラスチックを原料とする固形燃料はRPF(Refuse Paper & Plastic Fuel)**と呼ばれ、こちらもJIS Z7311:2010で4等級に分類され品質管理されていますsustain.ubc.casustain.ubc.ca。最高等級の「RPFコークス」は発熱量33MJ/kg超という高品位な燃料で、低灰分・低水分が特徴ですsustain.ubc.ca。
RDFの熱的・物理的特性
RDFは原料や製造法によって性状のばらつきがありますが、一般に普通の可燃ごみより高いエネルギー密度を有しますmdpi.com。典型的なRDFの熱的・物理的特性を以下に整理します。
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発熱量(Heating Value): RDFの低位発熱量はおおむね 10~20MJ/kg 程度が一般的な範囲とされていますsciencedirect.com。高品質に選別・乾燥されたRDF(SRF)は25MJ/kg以上に達するものもあり、一方で簡易な処理のRDF(粗大なフラフ燃料)は8~14MJ/kg程度の例も報告されていますen.wikipedia.orgmdpi.com。例えばBrożekら(2022)の実験では、市販RDFを焼却した際に約13,860kJ/kg(=13.86MJ/kg)の熱量が得られたと報告されていますmdpi.com。発熱量は含有するプラスチックや紙の割合に大きく依存し、生ごみ等水分・灰分の多い成分を除去することで大幅に向上しますmdpi.commdpi.com。
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含水率(Moisture Content): 製造されたRDFの含水率は通常5~25wt%程度の範囲にありますmdpi.com。生ごみ等を多く含むと75%以上の高水分画分となり品質低下を招くため、欧州では食品廃棄物の分別収集によるRDF含水率低減策が提案されていますmdpi.com。高品位なペレットRDFを作る際は10~20%以下への乾燥が推奨されmdpi.com、日本のRDF基準でも10%未満が目安とされていますsustain.ubc.ca。例えばポーランドでの研究では、生ごみ除去によりRDFの水分を22.9%から1.4%にまで低減し、燃料の低位発熱量が19.6→25.3MJ/kgに向上した例がありますmdpi.com。
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灰分・不燃物含有率(Ash Content): RDF中の灰分は原料由来の無機物含有量で決まり、組成により5~60wt%と非常に幅広く変動しますmdpi.com。金属・ガラスを徹底除去し紙プラ中心としたSRFでは灰分数%~1割程度と低く抑えられますが、逆に建設廃材等が混入した低品位RDFでは高灰分となりますmdpi.com。灰分が多いと燃焼残渣量が増え熱効率も低下するため、欧州のSRF規格では灰分低減や塩素・水銀等の品質クラス分けが行われていますmdpi.commdpi.com。例えばEN ISO 21640では、発熱量や塩素・重金属含有量に基づき1~5類に分類し、最上位クラス1では発熱量25MJ/kg以上・塩素0.2%以下等の厳しい基準が設定されていますmdpi.com。
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化学組成(Ultimate Analysis): RDFの元素組成は元の廃棄物組成に依存しますが、一例として炭素41~58%、水素5~10%、酸素1~50%、窒素0.8~2.5%、硫黄0.1~0.4%程度との報告がありますmdpi.com。プラスチック由来で塩素(Cl)が数千ppmレベル含まれることも多く、特にPVC混入で塩素濃度が上がると燃焼時のダイオキシン生成や腐食の原因となるため注意が必要ですmdpi.com。欧州の商業SRFの平均Cl含有率は0.76wt%と報告されており、セメント炉での利用時にはCl濃度が主要な制限要因となりますen.wikipedia.org。
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物理形状・密度: RDFはフラフ状(裁断紙片状)やペレット状で供給されます。フラフRDFはかさ比重が低く(例:0.2~0.3程度)、輸送・供給時に舞いやすい欠点があります。一方、ペレット化により嵩密度が増し(生バイオマスの数倍の固さ)、扱いやすくなりますmdpi.com。ペレット成形では、廃棄物には木質バイオマスのような天然バインダー(リグニン)が少ないため、必要に応じて添加剤利用や高温成形(120℃程度)によって高い機械的耐久性・見かけ密度を実現しますmdpi.com。成形RDFペレットは輸送性・貯蔵性が向上し、燃焼特性も均質化する利点がありますmdpi.com。日本のRDFも直径約4cm・長さ10cm前後の円筒ペレットに成形されておりecotopia.earth、発酵防止や強度確保のため化学薬品を添加して乾燥させる方式が採用されましたsustain.ubc.ca。
なお、近年はRDFの熱分解前処理(トレファクションや半炭化)により燃料特性を向上させる研究も行われていますmdpi.commdpi.com。例えばトレファクション(200~300℃の低温乾留)を1時間施すと、水分が極端に減少し発熱量が約20→25MJ/kgに向上することが示されていますmdpi.com。また400℃程度のトレファクションで23.5→31.1MJ/kgまでエネルギー密度を高めた例もありますmdpi.com。ただし加熱に伴い灰分や硫黄分が微増する傾向も報告されており、重金属や塩素を含む炭化残渣の処理など課題も残りますmdpi.commdpi.com。
焼却・熱利用技術
図: RDFのエネルギー回収経路(焼却・ガス化の概略)mdpi.com. RDFは埋立処分ではなく、主に熱利用(Waste-to-Energy, WtE)によってエネルギー回収されます。熱利用の方式として、大きく直接燃焼(焼却)による熱回収と、ガス化・油化など熱分解による燃料化の二つが挙げられますmdpi.com。以下、それぞれの技術について代表的なものを解説します。
焼却(直接燃焼)による発電・熱利用
焼却(Incineration)はRDFやごみを高温で完全燃焼させ、その熱で蒸気を発生させ発電や温水供給を行う方式ですmdpi.commdpi.com。最も実用化された成熟度の高い技術であり、世界の廃棄物発電容量の90%以上は焼却方式が占めますmdpi.com。焼却炉にはストーカ式(ごみ焼却炉と同様の移動炉床)や流動床式などが用いられ、RDFペレットは通常のごみと比べ均質で発熱量も高いため安定した燃焼が可能です。焼却炉では温度850~1100℃程度で2秒以上のガス滞留時間を確保し、完全燃焼・有害物質の分解を図りますmdpi.com。
RDF専焼炉の一例として、日本では三重県に1日240トンのRDFを燃やし約1.2万kWを発電する流動床ボイラー設備が運転されていましたecotopia.earthecotopia.earth。このプラントでは発電効率25%を達成し、焼却残渣の主灰は路盤材やセメント原料に再利用するシステムを採用していましたecotopia.earth。焼却により廃棄物体積は最大80%減容されmdpi.com、副産物として発生する炉底灰・飛灰は適切に処理(重金属固定や資材化等)されますmdpi.com。
またセメント窯や石炭火力ボイラーでの代替燃料としてRDFを共燃焼(co-incineration)利用するケースも多く報告されていますen.wikipedia.orgen.wikipedia.org。特にセメント産業は高温炉を必要とし、石炭の一部をRDF/SRFで代替することで化石燃料の削減と廃棄物のエネルギー利用を両立していますen.wikipedia.org。例えばドイツでは1980年代後半よりセメント窯での代替燃料利用が進み、1987年には化石燃料代替率5%未満だったものが2015年には62%近くまで上昇しましたen.wikipedia.org。ポーランドではRDF消費量が年150万トンに達し、セメント業界のエネルギー代替率は60~85%に及ぶ工場もありますsustain.ubc.ca。高品位RDF(SRF)は商品燃料として国際取引もされており、RDFは実質的にエネルギー資源の一部となりつつありますsbmurban.orgsbmurban.org。
一方、焼却発電は技術的に成熟している反面、発電効率は20%前後と低めで(蒸気サイクルの制約による)、燃焼に伴うCO₂や窒素酸化物(NOx)の排出も多いと指摘されていますmdpi.com。近年は熱回収と併せて余熱利用(地域暖房等)を行うコージェネレーションや、高効率化技術(高温高圧ボイラー、余熱タービンなど)の導入が図られています。また排ガス処理装置の高度化により、ダイオキシン類や酸性ガスの排出は厳重に抑制されます(環境影響の節で後述)。
ガス化・熱分解技術
**ガス化(Gasification)**とは、廃棄物を高温で部分酸化・熱分解し、可燃性ガス(合成ガス:COやH₂主体)を生成して利用する技術ですmdpi.com。ガス化は生成ガスを燃焼ガスタービンやエンジンで利用することで、理論的に焼却よりも高い発電効率を達成可能とされますmdpi.com。また生成ガスを洗浄することで、排ガス中の汚染物質を大幅に低減できる点も利点ですmdpi.com。
ガス化技術には固定床式、流動床式、プラズマガス化など複数があります。RDFは性状が均質なためガス化の安定運転に向いており、日本でも一部の自治体でRDFを原料としたシャフト炉ガス化発電設備(いわゆる「廃棄物ガス化溶融炉」)が実用化されました。そのほか、欧州でもRDFガス化の実証プラントが試みられています。例えばイタリアのあるガス化プロジェクトでは、日本の技術を導入しRDFから合成ガスを生成して発電する試験が行われました(残念ながら商業的な成功には至っていません)。総じて、ガス化は技術成熟度こそ焼却より低いものの環境負荷や効率の点で有望と評価されており、LCA比較でも焼却より優位となるケースが報告されていますmdpi.com。
熱分解・油化(Pyrolysis)もRDF利用のもう一つのアプローチです。熱分解炉で廃棄物を無酸素加熱し、炭化固形物(チャー)、液体燃料(油)、可燃性ガスに分解しますmdpi.com。例えばRDFとプラスチックの混合物を高速熱分解すると、高カロリーなガスや石油に類する油を取り出せますmdpi.com。もっともRDFはプラスチック成分由来のタール発生が多く、100%RDFの熱分解では装置内に重質分が付着しやすい問題がありますmdpi.com。そのためバイオマスとの混焼熱分解によるタール抑制などの研究が進められていますmdpi.com。熱分解油やガスは産業用燃料や化学品原料としての利用も検討されていますが、現状では実証研究段階であり、商業規模でのRDF熱分解プラントは限定的です。
以上をまとめると、焼却がRDF利用の主流である一方、将来的にはガス化・熱分解技術の進展により効率向上や環境負荷低減が期待されていますmdpi.com。実際、技術成熟度(TRL)は焼却が9(商業規模)であるのに対し、ガス化はそれより低いものの、各国でパイロットから商用プラントへの展開が進んでいますmdpi.com。
RDF利用に伴う環境影響
RDFの熱利用に際しては、大気排出物や残渣中の有害物質、そして温室効果ガスの排出など環境面の配慮が重要です。それぞれの観点から最新の知見を整理します。
排ガス中の大気汚染物質
RDFの燃焼排ガスには、従来のごみ焼却と同様にNOx(窒素酸化物)やSOx(硫黄酸化物)、塩化水素、微粒子(ばいじん)などが含まれますmdpi.com。また、燃料中のプラスチック由来の塩素に起因してダイオキシン類が微量生成する可能性がありますmdpi.com。これら大気汚染物質に対して、先進国の法規制(例えばEUの廃棄物焼却指令や日本のダイオキシン類特措法)では厳しい排出基準が定められており、焼却炉・セメント窯などRDF利用設備には高度な排ガス処理システムが設置されていますen.wikipedia.org。典型的には急冷によるダイオキシン再合成抑制、バグフィルタや電気集塵機による粉じん捕集、活性炭吸着や洗浄塔による有害ガス除去などの工程を組み合わせ、法規制値を大幅に下回る清浄な排ガスを実現していますmdpi.com。現に最新の焼却炉からのダイオキシン排出量は1990年代以前に比べ桁違いに低下し、「ダイオキシン汚染源=焼却炉」という過去のイメージは大きく改善しました。さらに、RDF製造段階でPVC等塩素源を除去することでもダイオキシン対策に貢献できますen.wikipedia.org。
具体的な排出実績の例として、Dongら(2018)の報告ではフランスの機械式ストーカ焼却炉でNOx約927g/トン廃棄物、SO₂約51g/トンの排出が計測されていますmdpi.com。これは欧州の排出基準(例:NOx 200mg/Nm³以下)を満たす水準であり、大気環境への影響は最小化されています。また水銀や鉛など重金属についても、活性炭吸着やキレート剤添加で排ガス中への放出を技術的に抑制可能ですe3s-conferences.org。特に水銀(Hg)は揮発性が高いため重点管理対象で、EUのSRF規格でも水銀含有量が品質分類に含まれますmdpi.com。日本でも焼却炉排ガス中の水銀について2018年に新たな排出基準が施行され、より厳格な管理が行われています。
総じて、近代的な焼却・共燃設備で適切にRDFを燃やす限り、大気汚染物質の排出は環境許容レベルに管理できると言えますmdpi.com。もっとも、焼却炉のない途上国等でRDFを不適切燃焼すれば深刻な大気汚染を招きかねず、適正技術の使用と規制枠組みの整備が前提となります。
燃焼残渣・重金属の処理
RDF焼却後には**底灰(炉内に残る灰)と飛灰(集塵装置で捕集される微細灰)**が発生します。底灰には未燃の鉱物成分や金属類が多く含まれ、飛灰には重金属や塩素分が濃縮されがちです。日本ではRDF焼却炉の底灰を無害化処理した上で路盤材等にリサイクルしたり、飛灰をセメント原料として溶融固化・封じ込めする取り組みが行われましたecotopia.earth。セメント窯でのRDF共燃焼では、発生灰分の大部分がクリンカーに取り込まれるため追加の廃棄物を出さない利点がありますecotopia.earth(ただし高塩素のSRFを多用すると塩素成分がバイパスダストとして排出され、別途処理が必要となる場合があります)。
重金属に関しては、RDF原料中の有害重金属を事前に除去しておくことが望ましいです。例えば乾電池由来の水銀・カドミウム、蛍光灯由来の水銀、塗料由来の鉛などは分別回収でRDF原料から排除すべきです。一般に都市ごみ由来のRDFには大半の重金属は微量(数十ppm以下)ですが、焼却時にそれらは一部大気排出・一部灰濃縮するため、適切な排ガス処理と灰固化処分が必須ですe3s-conferences.org。幸い現在の技術では重金属の大気放出はごく微量(規制値内)に抑えられており、また焼却飛灰を薬剤安定化・溶融固化することで重金属の溶出を防ぐことが可能です。欧州ではSRF中の水銀含有量クラス分け(0.02~0.5 mg/MJの範囲mdpi.com)や、セメント中の重金属濃度規制など多層的に管理していますmdpi.com。
温室効果ガス(GHG)排出への影響
RDF利用は気候変動への影響という点で賛否が分かれる側面があります。ポジティブな面として、RDFには紙や生ごみなどバイオマス由来炭素が一定量含まれるため、その燃焼によるCO₂排出はカーボンニュートラル(炭素中立)と見なされますen.wikipedia.org。EU-ETS(排出量取引)やイギリスのRenewable Obligation証書制度では、燃焼排出CO₂中のバイオマス比率を測定し、その分を排出計上しない仕組みがありますen.wikipedia.org。実際、欧州の商業SRFでは平均で約50%がバイオマス炭素と推定されておりen.wikipedia.orgen.wikipedia.org、化石燃料と比べればCO₂排出削減に寄与します。
さらに、RDFが石炭など化石燃料の代替となる場合、その分の化石CO₂排出を削減できます。例えばポーランドのセメント産業では、年間150万トンの石炭使用をRDFで代替することで年間250万トンのCO₂削減効果を上げたとの試算がありますsustain.ubc.ca。ドイツでも焼却炉の余熱利用や発電による化石エネルギー代替でGHG削減効果を認めています。
一方ネガティブな点は、RDF中のプラスチック由来炭素は化石起源であるため、その燃焼は新たなCO₂排出源となることですmdpi.com。高プラスチック比のRDFを大量に燃やせば、それは実質的に化石燃料を燃やすことと同義であり、場合によっては廃棄物を焼却せず埋め立てた方が短期的CO₂排出は少ないという議論もあります(ただし埋立はメタンCH₄発生による長期GHG影響が大きい)。また焼却発電のエネルギー回収効率が低いため、同じ廃棄物をリサイクルした場合に比べGHG排出原単位が高い可能性も指摘されていますsciencedirect.com。このためEUでは焼却はリサイクルの下位に位置付けられ、できる限りリサイクルを優先して不可避な残渣のみエネルギー回収すべきとの方針をとっていますmdpi.com。
総合的に見れば、RDF利用は適切に行えば化石燃料削減とメタン回避によりネットでのGHG削減に資するものの、プラスチック等リサイクル可能資源まで焼却するとかえって炭素排出を増やす恐れがあります。各国の政策でも、リサイクル率向上とエネルギー回収のバランスをとりながら、GHG排出削減効果を最大化することが目標とされていますmdpi.com。
国内外における利用事例と普及状況
日本国内の事例と動向
日本では1990年代後半、「家庭ごみが燃料によみがえる夢のリサイクル」として政府主導で自治体へのRDF導入が推進されましたecotopia.earth。各地で広域的に一般可燃ごみを集めて固形燃料化し、専用の発電施設でエネルギー回収する計画が立てられ、ピーク時には20箇所以上のRDFセンター・発電所が整備されました。しかし 技術的・経済的な課題が相次ぎ、導入初期の期待に反して普及は停滞しましたecotopia.eartheria.org。
最も著名な事例が三重県の広域RDF発電施設です。14市町のごみを集約し1日240トンのRDFペレットを製造、2003年から専用プラントで発電を行ってきましたecotopia.earth。高効率発電や灰の資源化など技術的成果はあったものの、運営コストが非常に高く、平成30年度には年間約6億円の赤字、累積赤字は24億円に達しましたecotopia.earth。さらに操業翌年の2003年8月には貯蔵サイロ内のRDFが自然発熱し火災・爆発事故を起こし、消火にあたった消防士2名が殉職する惨事となりましたeria.orgeria.org。この事故後、安全対策強化でコストが増加し、また他地域への普及が見込めなくなったこともあり、同施設は2019年に17年の歴史に幕を下ろしましたecotopia.earthecotopia.earth。担当者は「RDF事業は当初計画通りにいかなかった。事故対策コストや想定した全国普及の不発が大きい」と総括していますecotopia.earth。
他の自治体でも、RDFセンターの相次ぐトラブル(燃料品質の不安定、需要先の確保難)や財政負担から、2010年代に入り撤退が相次ぎましたeria.orgeria.org。例えば静岡県の御殿場・小山広域組合では、食品残さ由来の塩分でRDFの塩素値が上昇し需要先が敬遠、遠方輸送費がかさむ中で2015年に施設閉鎖に追い込まれていますeria.orgeria.org。こうした経緯から、日本の自治体RDF発電は現在ほとんど姿を消し、代わりに各自治体が従来型のごみ焼却発電を充実させる方向へシフトしました。
一方、産業系のRPF(紙・プラスチック固形燃料)はセメント工場等で堅調に利用が拡大してきました。全国で数十社の燃料メーカーが事業化し、製紙・製鉄などのボイラーにも供給されています。RPFは水分が少なく高カロリーなため需要があり、JIS規格に沿った品質保証も浸透していますsustain.ubc.casustain.ubc.ca。また石炭代替燃料利用を進めるセメント業界では、廃タイヤや廃油と並んでRDF/RPFが重要なエネルギー源となっており、国内クリンカー焼成エネルギーの約20%以上を代替燃料が占めるまでになっています(欧州に比べるとまだ低いが、年々向上傾向)。
日本全体で見ると、2020年度の一般廃棄物処理量約4000万トンのうち焼却処理は81%にも達しsustain.ubc.ca、熱回収(発電・温水プール等)付き焼却炉が主流です。固形燃料化そのものは下火になりましたが、「燃やしてエネルギー有効利用」は現在も日本の廃棄物政策の柱となっています。近年では従来RDF施設が廃止された地域で、新たに最新式の高効率焼却炉を建設する動きも見られます。総じて日本ではごみ処理のエネルギー利用は進んでいるが、RDFという形態への固執はなくなったと言えるでしょう。
欧州を中心とした海外の事例
欧州では2000年代以降、埋立廃棄削減政策に伴いRDF/SRFの利用が急速に広がりましたen.wikipedia.org。ドイツはその典型例で、1993年の規制決定により2005年以降は未処理廃棄物の埋立禁止(ゼロ埋立て)を実現しましたsbmurban.org。この移行期に各種リサイクル規制と並行してMBTプラントでのSRF製造が推進され、多くの焼却・セメント施設がSRFを受け入れ始めましたsbmurban.orgsbmurban.org。2000年代半ばにはSRF需要が供給を上回り、ピーク時には逆に「燃料を引き取ってもらう側が有料(30~50€/t)で支払う」ほどでしたがsbmurban.org、現在では供給過剰気味となり一部地域では逆に**燃料代として支払いを受ける(-20€/t 等)**ケースも出ていますsbmurban.org。ドイツでは焼却容量の増強と相まって、現在SRF市場は安定しつつあります。またドイツ政府は石炭火力廃止方針(脱リグナイト)を打ち出しており、代替燃料としてのRDF/SRFへの期待が更に高まっていますsbmurban.org。
オランダも埋立税強化と規制で焼却・エネルギー回収へ大きく転換し、セメント業界では代替燃料比80%以上を達成していますsbmurban.org。フランス・イタリア・イギリスなどでも、RDFを利用する発電所や工業炉が増加しました。特にイギリスとアイルランドは、自国内の処理能力不足と埋立課税の高騰から、RDFを他国へ輸出するビジネスが生まれましたsustain.ubc.ca。イギリスは2010年代に焼却インフラ整備が遅れていたため、ピークの2015年頃には年間330万トンものRDFを欧州大陸へ輸出していますen.wikipedia.org。主な受入先は焼却余力のあるオランダ・ドイツ・スウェーデンなどで、特にドイツは年間約160万トンを輸入、その約半分は英国産との報告がありますsbmurban.orgsbmurban.org。もっとも英国でも近年は国内処理能力増強が進み、輸出量は減少傾向にあります。
その他の地域では、東欧・中東などでもセメント産業を中心にRDF利用が広がっています。ポーランドは前述の通りセメントで大量利用しつつあり、東南アジアでもタイやマレーシアでRDFボイラーの導入事例があります。また発電用途では米国で都市ごみをRDF化して燃やす施設(アイオワ州アメス市など)が古くから存在しますen.wikipedia.org。ただし米国では埋立費用が安いこともあってRDF事業は限定的で、むしろヨーロッパや日本がこの分野をリードしています。
欧州の事例から言えるのは、政策誘導(埋立制限や炭素税等)によってRDF需要が創出されるという点ですmdpi.com。埋立コストが高騰した国ほどRDFエネルギー利用が盛んであり、例えばイタリア・スペインでも2020年代に埋立税導入や焼却推進の政策転換がみられます。もっとも各国で受入先となる焼却炉や工業炉の整備状況が異なるため、EU域内でもRDFの越境移動が起きていますsustain.ubc.ca。環境的観点からは域内での自己処理が望ましいものの、市場原理で輸出入が行われているのが現状です。
関連する法規制・政策動向(日本・欧州を中心に)
日本の法規制・政策
日本では廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)が廃棄物処理全般の枠組みを定めており、焼却や燃料化についてもこの中で規定されています。一般廃棄物の焼却施設には環境省令でダイオキシン排出基準等が課され、小規模焼却炉の廃止や高性能化が図られました(1997~2002年頃のダイオキシン規制強化)。この結果、小規模炉を統廃合して広域高効率処理を行う構想が生まれ、RDF広域化事業もその流れで推進された経緯がありますecotopia.earth。しかし上述の通りRDF事業は各地で頓挫し、現在では直接焼却+発電が主流です。廃棄物処理法では無許可の野焼き等は原則禁止されており、RDF利用も許可施設(焼却炉やボイラー)で行う必要があります。
RDFの品質規格として、JIS Z7311:2010「固形燃料‐紙類及びプラスチック類混合物固形化燃料」が制定され、発熱量や塩素分、灰分、強度などについて試験方法が定められていますsustain.ubc.ca。一般ごみ由来RDFについても、かつて通商産業省(現経済産業省)が策定したRDF品質基準があり、前述のNCV>12.5MJ/kgや塩素0.6%以下などの数値目標が示されましたsustain.ubc.ca。これらは法的拘束力というより行政指導上の指標でしたが、RDF事業者は遵守に努めていました。
政策的には、2000年成立の循環型社会形成推進基本法や各種リサイクル法の下で、「熱回収も含むサーマルリサイクル」が資源循環の一手段として位置付けられています。容器包装リサイクル法などで分別収集が進み高カロリーな廃プラが増加したことも、RDF導入の背景でした。また再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)では、バイオマス発電に占める廃棄物由来部分(一般木質以外は「その他バイオマス」区分)としてごみ発電が認定され、RDF発電もFIT適用を受けていましたecotopia.earth。三重県のRDF発電所ではバイオマス発電として16円/kWhの買取価格が設定され、売電収入を得ていましたecotopia.earth(もっともそれでも経営は成り立たなかったのですが)。現在ではごみ発電一般がFIT対象(地域廃棄物バイオマス)となっており、RDF固有の支援策は特にありません。
総じて日本では法制度は焼却含めた熱回収を容認・促進する一方、RDFそのものを特別扱いする規制・奨励措置は限定的です。むしろ前述のように安全面・経済面で課題を残したことから、RDFという方式への新規参入は慎重になっています。一部ではRDF貯蔵の火災爆発リスクを踏まえ、製造から速やかに使い切る体制や、防爆・換気設備の義務付けが検討されましたeria.orgeria.org。
欧州の法規制・政策
欧州連合(EU)では廃棄物分野の包括的な指令として2008年廃棄物枠組指令(2008/98/EC)があり、ここで廃棄物の優先順位(廃棄物のヒエラルキー)が明確化されていますmdpi.com。ヒエラルキーでは、最上位が廃棄物発生抑制、次いで再使用、リサイクル、そして材料・エネルギー回収、最下位が処分(埋立)と規定され、RDFによるエネルギー回収はリサイクルの後の第四順位に位置付けられますmdpi.com。つまり「リサイクルできないものはエネルギー回収し、有害・無価値な残留物のみ最終処分せよ」という考え方で、これが各国の政策目標にもなっています。
埋立削減については1999年埋立指令(1999/31/EC)で有機性ごみの埋立抑制が謳われ、さらに2018年改正の新廃棄物枠組指令では2035年までにMSW埋立率を10%以下にする数値目標が設定されましたmdpi.com。これを達成するため、各国は埋立税引上げや埋立禁止品目の拡大などを行っておりmdpi.com、結果としてRDFや焼却の需要が高まる構造になっています。例えばドイツは前述の通り2005年に事実上の可燃ごみ埋立禁止を実施しましたsbmurban.org。イギリスも2020年代にプラスチックなど可燃資源の埋立制限を検討しています。またEU全域でリサイクル率向上(2035年までに65%以上)目標が課されているためmdpi.com、各自治体はまずリサイクル、残渣はエネルギー回収という処理体系を整えつつあります。
環境汚染防止の規制面では、EUの廃棄物焼却指令(WID)(2000/76/EC、現行では産業排出物指令IEDに統合)が焼却炉・焼却設備全般に適用されます。セメント窯等であっても廃棄物を燃やす場合はWID準拠の排ガス規制を満たす必要があり、これがRDF利用の最低環境基準となっていますen.wikipedia.org。WIDではダイオキシン類0.1ng-TEQ/Nm³以下、塩化水素10mg/Nm³以下、Hg 0.05mg/Nm³以下など非常に厳しい排出限界が設定され、EU域内のRDF利用設備は高度な処理技術でこれらを遵守していますen.wikipedia.org。またEUレベルでSRF(固形再生燃料)の品質規格も策定されました。CEN(欧州標準化委員会)のTC343で標準化が行われ、前述のとおり品質分類の基準(EN15359→ISO21640)や、試験法、サンプリング法などが整備されていますmdpi.commdpi.com。これに沿って製造・検査された燃料は「SRF」と呼ばれ、ヨーロッパSRF協会(ERFO)による品質マーク制度も存在しますen.wikipedia.org。ただしRDF/SRFは法的には依然「廃棄物」の扱いであり、多くの国では廃棄物のまま越境移動されています(輸出入にはBasel条約やEU廃棄物搬送規則の適用あり)。
政策動向として注目されるのは、気候変動対策との連携です。EUでは廃棄物焼却からのCO₂排出について、将来的に排出量取引(ETS)の対象に含める議論があります。イギリスではEU離脱後、独自に2028年から全ての焼却・RDF発電施設を排出量取引スキームに組み込む方針を発表しましたenvea.global。これによりCO₂コストが内部化され、リサイクル促進やプラスチック削減へのインセンティブとなることが期待されています。同様にEUでもグリーンディール政策の下、廃棄物発電のGHG対策強化が検討されています。
またプラスチック規制の強化もRDF市場に影響します。EUでは使い捨てプラスチック削減指令やプラスチック包装リサイクル義務拡大が進んでおり、将来的に可燃ごみ中のプラ含有率が下がればRDFの発熱量や量にも影響が出るでしょう。一部環境団体は「RDFはプラスチック廃棄物の迂回的焼却であり、適切に規制すべき」と訴えていますstoppoisonplastic.org。例えばIPEN/GAIAの報告では「RDFの50%はプラスチックで、しばしば貿易上『廃棄物でない燃料』として扱われ規制が緩いが、実質有害廃棄物だ」と指摘されていますstoppoisonplastic.org。このような主張を受け、欧州廃棄物エネルギー協会(CEWEP)は「RDF/SRFは引き続き廃棄物規制下に置き、End-of-Waste(廃棄物の終焉)認定はすべきでない」と勧告していますcms-lawnow.com。つまり、エネルギー資源化といえど廃棄物は廃棄物として厳格管理すべきという流れです。
まとめると、欧州では埋立抑制と循環経済推進がRDF普及のドライバーであり、環境保護の枠組みの中でRDF利用が位置付けられていますmdpi.com。日本でも今後、脱炭素政策との関連で廃棄物燃料利用の在り方が見直される可能性があります。
リサイクルや廃棄物管理との関係性
RDFは廃棄物処理と資源循環の接点に位置する技術であり、リサイクルとの競合と補完の両面があります。その関係性について論点を整理します。
まず、廃棄物管理の優先順位から言えば「リサイクルできるものは材料リサイクルし、できないものをエネルギー回収する」というのが原則ですmdpi.com。RDFはまさに「リサイクル困難な可燃残渣」をエネルギーに変える手段であり、本来であればリサイクル可能な紙・プラスチックが大量に混入すべきではありません。しかし現実には、分別収集やリサイクル市場の不完全さからリサイクル可能資源がRDF原料に紛れ込むことがあります。イギリスの事例では、RDF中に本来リサイクルできるプラスチックや紙が相当量含まれていることが問題視され、「上流での選別不十分がRDF中のリサイクル素材混入を招いている」と指摘されましたassets.publishing.service.gov.uk。このため英国政府の報告では強制的な分別収集の徹底が提言されていますassets.publishing.service.gov.uk。日本でも、RDF事業を行った自治体ではリサイクルとの整合に悩んだ例があります。ある地域では「RDF製造施設に生ごみを多く含む可燃ごみが来ると燃料品質が下がるので、資源循環センターで極力生ごみを除去してからRDF工場へ送る」という工夫がされていましたecotopia.earth。このように、RDF製造は高度な分別と表裏一体であり、リサイクルとの役割分担が重要です。
一方、RDFは最終処分量の削減に大きく貢献します。直接焼却でも減容効果は得られますが、MBT工程で堆肥化やリサイクルを並行すると埋立に行く量を最小化できます。ドイツやオランダではMBT+RDF化により埋立ゼロを達成しましたsbmurban.org。この点でRDFは循環型社会に資する技術と言えます。ただし前述のようにMBTでRDFを作る際、どうしても機械選別の過程で一部の可燃物ロスが生じますen.wikipedia.org。この損失分(細かすぎる紙片やプラ片)は直接焼却していれば燃やせていたはずのエネルギーであり、見方によっては「わざわざRDF化することでエネルギーを無駄にしている」とも言えますen.wikipedia.org。つまり資源エネルギー効率 vs. 分別精度のトレードオフが存在します。
また、エネルギー回収の過度な推進はリサイクル率向上の阻害になり得ます。焼却施設に多額の投資をした自治体が、その処理量を確保するためリサイクルより焼却を優先してしまう例も指摘されています(いわゆる「焼却依存」問題)。EUでは焼却税導入や容量抑制でこれに歯止めをかけようという議論があります。一方で、リサイクルには限界があり、どうしても残るミックスプラスチックや汚染物について適切に処理しつつエネルギーを得るにはRDFしかないのも事実です。特に汚泥・残渣・破砕ごみなど低品質物を無理に材料リサイクルしても環境負荷が高くつく場合、RDF化が最適解となりますeria.org。
総合すると、RDFはリサイクルと対立するものではなく、両者を統合した廃棄物管理システムが望ましいと言えます。具体的には、(1)高品質リサイクル可能物は分別回収・リサイクル、(2)リサイクル困難な可燃物はできるだけ選別・乾燥してRDF化しエネルギー回収、(3)それでも残る無価値残渣のみ最終処分、という三段階が理想モデルですmdpi.commdpi.com。このモデルを実現するには行政の分別収集制度や、市民・企業の協力、そして処理施設間の連携(インフラシェア)が必要です。日本でも今後、プラスチック資源循環促進法の施行や炭素中立目標に向け、焼却・RDFの在り方が問われるでしょう。**「燃やす前にもう一分別」**を合言葉に資源の有効利用とエネルギー利用のバランスをとることが、持続可能な廃棄物管理におけるRDF活用の鍵となります。
参考文献・情報源: 本稿で参照した主要な文献・データソースを以下に示します。
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Santos, S. M. 他 (2023) 「Brief Overview of Refuse-Derived Fuel Production and Energetic Valorization: Applied Technology and Main Challenges」Sustainability 15(13): 10342mdpi.commdpi.commdpi.com 他. (ポルトガル・欧州のRDF現状と技術動向を概説した包括的レビュー)
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Wikipedia英語版 「Refuse-derived fuel」en.wikipedia.orgen.wikipedia.orgen.wikipedia.org(RDFの定義・歴史・処理工程・市場動向について)
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Srivastava, V. 他 (2021) 「Market Analysis & Literature Review on Refuse Derived Fuel (RDF)」UBC研究報告sustain.ubc.casustain.ubc.casustain.ubc.ca(各国のRDF利用状況、日本のRDF/RPF規格、ポーランド等の事例を含む報告)
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廃棄物広域処理に関する研究(2020, ERIA)「Inter-Municipal Cooperation on Solid Waste Management in Japan」eria.orgeria.org(日本の広域RDF事業の経緯と失敗要因について詳細な分析)
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杉本裕明 (2019) 「「夢のリサイクル」とうたわれたごみ固形化燃料・RDFの末路」エコトピア(WEB記事)ecotopia.earthecotopia.earth(三重県RDF発電所の閉鎖に関するルポルタージュ)
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その他、各種学術論文・報告書(Brożek et al., 2022mdpi.com; Dong et al., 2018mdpi.com; Białowiec et al., 2017mdpi.com; Chiemchaisri et al., GAIA/IPENレポートstoppoisonplastic.orgなど).
以上の情報を総合すると、RDFは廃棄物処理とエネルギー供給の双方に寄与し得る有用な技術ですが、その導入・運用には経済性、安全性、環境性そしてリサイクルとの調和といった多角的な検討が必要です。特に日本では過去の教訓を踏まえつつ、欧州の最新動向も参考に、今後の廃棄物資源化戦略の中でRDFを位置付けていくことが重要でしょう。





