(ア) エントロピーは気体が保有するエネルギーのことである。 これは誤りです。エントロピーはエネルギーではなく、系の無秩序さや乱雑さを定量的に表す物理量です。エネルギーと直接同一視することはできません。 (イ) エントロピーは必ず増大する。 これは、閉じた系におけるエントロピーに関する第二法則の簡略化された表現です。厳密には、孤立系において全体のエントロピーは増大する、または最大限に達した定常状態になると表現されます。しかし、部分系や非孤立系ではエントロピーが減少することもあり得ます。 (ウ) 断熱された容器内の液体をスクリューで攪拌したとき、液体のエントロピーは増大する。 これは正しいです。攪拌によってシステムに仕事が行われ、エネルギーが無秩序な形(熱)でシステムに加わるため、エントロピーが増大します。 (エ) 断熱された流路を流体が流れて抵抗により圧力が減少した。このとき流路は断熱されているので流体のエントロピーは変化しない。 これは誤りです。流体が抵抗により圧力が減少する過程は不可逆過程であり、この過程でエントロピーが増大します。 (才) 断熱された容器内に置かれた高温の物体から低温の物体へ熱が伝わるとき、容器内のエントロピーは増大する。 これは正しいです。熱が高温から低温へ移動する過程はエントロピーを増加させます。 選択肢から正しい組合せは (ウ) と (才)、つまり⑤ウ,才 が適切な答えとなります。 [解答]⑤ 参考:エントロピー変化の求め方