設計審査を通じた製品開発のマネジメント
(1)開発の進め方に関して調査、検討すべき事項
具体例として、家庭用の羽根式扇風機(以下扇風機という)を挙げる。扇風機はおもにモータと羽根およびそれらを支える架台で構成されている。扇風機は過去に部品の経年劣化による火災事故が発生し、長期使用製品の安全表示制度の対象品目となっている。製品には「設計上の標準使用期間」が表示されているが、実際には異常がなければ、その期間を超えて使用し続けるユーザーが多いと考えられる。このような背景を踏まえて、新たに扇風機を開発する際には製品の仕様環境について調査し、安全性を確保することを検討しなければならない。
(2)業務を進める手順について留意、工夫する点
開発プロセスの各段階では、設計部門以外の関係者を含めて設計審査(デザインレビュー、以下DRという)を実施する。そこで問題を抽出し、設計の見直しを行うことは関係者の時間を浪費し、コスト増につながる。そのため、事前に設計部門内でDRを行い、問題点を明確にして、関係者を含めたDRを進めやすいようにする。具体的には以下の取り組みを行う。
1)故障モード影響解析(以下FMEAという)
部品の劣化を含めて故障を細分化して想定し、製品にどのような影響を与えるかを検討する。さらに発生頻度、検出度、影響度に応じてリスクの度合いを数値化する。これにより直感的には想定しにくいリスクも幅広く抽出することができる。
2)リスクアセスメント(以下RAという)
前述のFMEAで抽出したリスクを危険源として、リスクの見積り、評価を行い、許容可能なレベルまでリスクを低減させる。扇風機の事例では、FMEAでモータ内部のコイル劣化による過度な温度上昇を想定した。RAでは、その温度上昇を以上と認識せずに使用を継続すると仮定した。対策としては、コイルに温度ヒューズを追加するなどの安全防護策が考えられる。
(3)業務を円滑に進めるための関係者との調整方策
開発の初期段階で、十分な設計情報を持たない製造や品質管理部門の関係者が、効率的に問題点を指導することは困難である。一方、製品の不具合は変更点に起因して発生する可能性が高い。そこで変更点に着目したデザインレビュー(以下DRBFM)を行う。これは変更点が製品にどのような影響をおよぼすかを明確にして整理、検討する手法である。扇風機の開発では、風量を細かく制御するために羽根の枚数を増やす変更を行った。この変更により、羽根全体の重量が増し、モータにかかる負荷が増大することを想定した。検討の結果、モータに流れる電流が増加し、従来の設備では検査できないことが判明した。このようにDRBFMを行い、後工程で発生し得る問題に設計段階で対処することで、業務を円滑に進めることができる。
以上
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