2012年の「学生生活実態調査」によると、東京大学の学生の親世帯の平均年収は1000万円となっており、
一般的な623万円と比較すると如何に突出した数値化がわかると思います。
しかし、親の学歴と年収が子供の学力と本当に関係があるのでしょうか。
東京といった物価が高い場所に立地しているからこそ、
必然的に高くなっているのではないでしょうか。
情報というのはそのまま鵜呑みにはせず、
色々な側面から見ないと誤りを犯す可能性も秘めています。
だから情報に触れる時は自分のフィルターを通して
原因と結果、すなわち因果関係を明らかにすることがとても大切になります。
では、次の事柄の因果関係についてはどうでしょうか。
「親の年収や学歴が低くても学力が高い児童は家で読書をしている」
といった分析結果をもとに、
「子供の学力を上げるために読書をさせることは重要だ」
と考察する事は正しいといえるでしょうか。
残念ながら正しいとは言えません。
これは相関関係を表しているにすぎない可能性があるのです。
つまり、読書をしているから子供の学力が高いのではなく、
学力が高い子供が読書をしているにすぎないという可能性があるわけです。
さらにまだ明らかになっていない他の要因がある事に目を向けなくてはなりません。
例えば、子供に本を与えるような教育に関心の高い親は、
子供を塾に行かせる可能性が高いわけですし、家でも勉強の面倒を見ているかもしれません。
こういった事実があるにも関わらず、
読書と学力の間に相関関係があるように見えてしまいます。
こういった判断を誤らないためにも、
根拠を持って情報を判断していかなくてはならないのです。
では、どう言った事を意識しながら情報に触れるとよいか。
とあなたは疑問に思うかもしれません。
その答えは、例えば本を読んで情報に触れた時には
単に学んだ事をそのまま取り入れるのではなく、
「自分のフィルターを通して取り入れる」
という事が重要です。
情報のキュレーション、
つまり、要らない情報を削ぎ落して、
重要なものだけを分かりやすい形にするという作業をしましょう。
カチッ・サー
あなたは条件反射的に物事を判断してしまい、損したなんてことはないでしょうか。
人間だれしも情報に対して常に吟味しているわけではありません。
だから誤りを犯すものなのです。
相手が心理を学んだプロならそういった性質を利用されて騙されるといった可能性もあります。
それを防ぐためにも
単に学んだ事をそのまま取り入れるのではなく、
「自分のフィルターを通して取り入れる」
という事が重要です。
情報を吟味しないで判断してしまう例をひとつ紹介します。
航空会社の職員が機長症候群と名付けた現象があります。
それは、機長が犯す明白なミスが他の乗員によって正されず、
その結果、航空機が墜落する事が多いという現象です。
なぜこんな事がおこるかというと、
機長という経験豊かなベテランが下す判断に対し乗員は
「専門家がそういうなら、正しいに違いない」と安易に判断してしまうからです。
実際に第二次世界大戦中にもそのような事件がありました。
伝説の機長と、副操縦士が飛行することになりました。
離陸の際、機長が歌を口ずさみながらリズムを取って、顎を上下に動かします。
それを見た副操縦士は、この動作を車輪を引っ込める合図と解釈し、
離陸速度に達していないのにも関わらず車輪を引っ込めたため、
機体の腹を滑走路に直撃させ大事故を起こしました。
副操縦士は機体が離陸速度に達していないのを知っていたにも関わらず
機長の動作を車輪を引っ込める合図と解釈し車輪を引っ込めてしまったのです。
このような大事な場面でも人間は機械的に物事を判断してしまうのです。
それを防ぐためにも
自分のフィルターを通して物事を判断する事が大切です。
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