解答
部分分数分解:
で
で
したがって
ラプラス逆変換:
より
正しい選択肢:⑤
参考
ラプラス変換 | 副業の宮殿【PR】
技術士第一次試験-令和2年度機械部門Ⅲ-12解答例 | 技術士のたまご
これを求めると何がわかるのですか?
この「ラプラス変換
から
を求める」作業で
何がわかる(何の意味がある) のかを整理します。
1. 時間応答(時間領域の実際の振る舞い)がわかる
は周波数(複素)領域の表現。逆変換して
と得ることで、時間とともにどう変化するかが直接読めます。
-
成分:発散モード(実部 +3)
-
成分:減衰モード(実部 −2)
→
全体として
で発散(安定でない)ことが瞬時にわかる。
(
は消えるが
が無限大へ。)
2. 極(システムの固有値)とモード分解の対応がわかる
分母
の各因子 ↔ モード
。
逆変換は「極を時間領域の指数モードへ写像」している。
3. 安定性評価
- 極が右半平面(
)にある → 不安定。
- 逆変換結果からも
が発散 → 安定でない。
伝達関数を見ただけでも言えるが、時間応答の具体的な成長率が数式で得られる。
4. 初期条件や応答形状の考察
係数
と
により
など
初期値や初期勾配 を容易に計算できる。
(微分方程式の解を直接得たのと同等。)
5. 元の微分方程式の一般解(入力応答)との関係
もし
なら時間領域では
という
インパルス応答 を求めたことになる(右辺がデルタ)。
→ 求めた
はその 2 次線形系のインパルス応答。
インパルス応答を知れば、任意入力
に対する出力は畳み込み
で計算でき、
システム応答を完全に記述できる。
6. モデルパラメータ設計への手がかり
不安定モード(+3)が問題なら、制御器設計でこの極を左半平面へ移動する必要があると判断できる。
→ 「どの極をどれだけ動かせば良いか」を逆変換を通じて直感的に理解。
7. 数値シミュレーションや近似の検証
シミュレーション結果(数値解)が
に一致するかを比較し、モデルや数値手法の正しさを確認できる。
8. よくある学習上の目的
- 部分分数分解と表の利用練習
- 極 ↔ 指数モードの対応理解
- 安定性と時間応答の結び付け
- インパルス応答概念の定着
まとめ(何がわかるか一言で)
逆ラプラス変換で時間領域の具体的な応答式を得ることで,システムの安定性・モード構成・初期挙動・インパルス応答(畳み込み核)が明確になる。
他に「この不安定をどう安定化するか」「別の分母形ならどうなるか」など知りたければ続けて聞いてください。