解答:⑤ s=8s=-8


1. ループ構成の確認

与えられたブロック線図は

  • 前向き(順方向)経路: P(s)=s+1s+3P(s)=\dfrac{s+1}{s+3}
  • フィードバック経路: K(s)=5s+1K(s)=\dfrac{5}{s+1}
  • 負帰還(− 印)

したがって閉ループ伝達関数は(フィードバック要素が KK の場合)

T(s)=P(s)1+P(s)K(s)T(s)=\frac{P(s)}{\,1+P(s)K(s)\,}

2. 特性方程式

1+P(s)K(s)=01 + P(s)K(s)=0 P(s)K(s)=s+1s+35s+1=5s+3P(s)K(s)= \frac{s+1}{s+3}\cdot\frac{5}{s+1}= \frac{5}{s+3}

(ここで (s+1)(s+1)完全に打ち消し される点に注意。)

1+5s+3=0    s+3+5s+3=0    s+8=01+\frac{5}{s+3}=0 \;\Longrightarrow\; \frac{s+3+5}{s+3}=0 \;\Longrightarrow\; s+8=0

3. 閉ループ極

s=8s=-8

打ち消し後、特性方程式は 1 次なので極は 1 つだけ。
選択肢で単独の s=8s=-8 を示すのは


4. 他の選択肢が誤りな理由

  • ①,③,④: s=1s=-1 を含む → (s+1)(s+1) は前向きの零点とフィードバック要素の極で相殺され、閉ループ分母には現れない。
  • ①,②,③: 2 つの極を挙げているが、閉ループ系は 1 次になっているので極は 1 つ。
  • ②: 正の実根 s=1s=1 は特性方程式から出てこない。
  • ④: s=1s=-1 単独は相殺を無視している。

5. コメント(極の相殺について)

内部での極・零点相殺(ここでは (s+1)(s+1))は理想的モデル上の話で、実際の物理系ではパラメータ不一致や未モデリングで完全には一致せず、残差が生じると隠れている不安定モードになる可能性があります。問題では理想相殺を前提として計算します。


必要なら「なぜ T(s)=P/(1+PK)T(s)=P/(1+PK) なのか」や「相殺が危ない理由」なども解説できます。続けますか?

 

参考:技術士第一次試験-令和2年度機械部門Ⅲ-13解答例 | 技術士のたまご

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