求めるのは領域 (C) の循環 [ \Gamma=\oint_{\partial C}\mathbf{v}\cdot d\mathbf{l} ] です。
  • 流れは境界 (S) の上下で一様:下側で (v_1),上側で (v_2)。いずれも水平方向。
  • 積分経路は図の細長い長方形(幅 (ds),高さ (dl))の外周。
外周の4辺での寄与を考えると:
  1. 上辺(長さ (ds))は上流域にあり、[\mathbf{v}=v_2] が進行方向と同向 → 寄与 [= v_2,ds]。
  2. 下辺(長さ (ds))は下流域にあり、[\mathbf{v}=v_1] は上辺と同じ向きだが、線素の向きは周回方向と逆向き → 寄与 [= -,v_1,ds]。
  3. 左右の辺は鉛直で、速度は水平方向なので [\mathbf{v}\cdot d\mathbf{l}=0] で寄与なし。
よって循環は [ \Gamma = v_2,ds - v_1,ds = (v_2 - v_1),ds . ] したがって適切なのは ③ ((v_2 - v_1)ds) です。 [解答]③ 参考 流体力学 循環

循環とはなんですか

**循環(circulation)**とは、流体がある閉じた経路に沿ってどれだけ「回っているか」を表す量で、速度ベクトルを経路に沿って積分したものです。

■ 定義式

閉曲線 (C) に沿う循環 (\Gamma) は [ \Gamma = \oint_C \mathbf{v}\cdot d\mathbf{l} ]
  • (\mathbf{v}):流体の速度ベクトル
  • (d\mathbf{l}):経路に沿った微小線素
  • 積分は閉曲線(ぐるっと一周)
つまり
流体が閉ループにそってどれくらい渦のように動いているか
を表す量です。

■ 直感的イメージ

  • 静止流体では循環 = 0
  • 均一にまっすぐ流れている流れでも循環 = 0 (左右対称に打ち消し合う)
  • 渦(回転流)では循環 ≠ 0
たとえば、水がぐるぐる回っている流れでは循環は大きくなります。

■ 渦度との関係

循環は渦度 (\omega)と密接です。 [ \Gamma = \iint_S \omega, dS ] 渦度は「局所的な回り」の指標、 循環はそれを面で積分した「全体の回り具合」。

■ 例:川の流れ vs 渦

流れ 循環
まっすぐ流れる川 0(回転していない)
渦巻き流れ 大きい(ぐるぐる回る)

■ なぜ重要?

流体力学で循環は多くの法則と関係します:
  • クッタ–ジュコフスキーの揚力公式 [ L' = \rho U \Gamma ]
  • 渦度輸送方程式
  • ケルビンの循環定理
つまり、翼が揚力を生む理論の核心でもあります。

■ まとめ

項目 内容
循環 閉経路に沿う速度成分の積分
意味 流れの「ぐるぐる具合」を表す
[\Gamma = \oint \mathbf{v}\cdot d\mathbf{l}]
渦との関係 渦度の面積積分
渦のある流れでは循環 ≠ 0

必要なら、簡単な数値例や、翼断面まわりの循環図も作ります。 次にケルビンの循環定理揚力との関係を解説しましょうか? v・dlは内積ですか?   はい、([\mathbf{v} \cdot d\mathbf{l} ] は**内積(dot product)**です。

■ 意味

[ \mathbf{v} \cdot d\mathbf{l} = |\mathbf{v}|,|d\mathbf{l}| \cos\theta ]
  • [\mathbf{v}]:流速ベクトル
  • [d\mathbf{l}]:線要素ベクトル(積分経路の向き)
  • [\theta]:両ベクトルの角度
つまり、
経路方向にどれだけ速度成分があるか
を表しています。 速度が経路と同じ方向→正 逆向き→負 直交→0

■ 直感例

  • 同じ方向に流れている水は、経路に沿って前進 → 正の寄与
  • 逆向きだと負の寄与
  • 直角方向の流れは循環には関係なし

■ 循環への関係

循環は [ \Gamma = \oint_C \mathbf{v} \cdot d\mathbf{l} ] ですから、 閉曲線に沿った速度の“向きあり”線積分になります。
流れがぐるっと回るほど内積積分が大きくなる → 循環が大きい

■ 補足:なぜ内積?

循環は「回転量」の指標ですが、まずは
  • 経路に沿った速度成分(内積)
  • それを経路に沿って積分
することで得られます。 後で Stokes の定理により、 それが渦度(curl)の面積積分と結びつきます。

✅結論

(v\cdot dl) は内積です。 流れの「経路方向成分」を積分して循環を求めています。

さらに理解を深めたいなら
  • 流線と循環
  • Stokes の定理とのつながり
  • 揚力(循環理論)
なども解説できます。どこまで進みます?