旋盤とは

旋盤(せんばん)とは、主に金属加工に用いられる工作機械の一種であり、回転する工具で加工物を削り取ることで形状加工や穴あけなどの加工を行うことができます。

一般的な旋盤には、回転する円盤(主軸)とその周りを囲むテールストックと呼ばれる部品があります。工具は主軸に取り付けられ、モーターなどによって回転します。また、テールストックには加工物を支えるためのセンターピースが取り付けられています。

旋盤は、削り取る量を調整するために、切削刃の位置や回転数、切削速度を調整できる工具ホルダーを備えています。また、旋盤には加工物を正確に回転させるためのチャックと呼ばれる装置があり、この装置によって加工物を固定することができます。

旋盤は、金属加工に限らず、プラスチックや木材などの材料を加工することもできます。また、工具の種類や取り付け方によって、様々な形状の加工物を作ることができます。

工具の種類と役割

センタ穴ドリル

センタリングドリル・センタードリル・スポットドリルとは、穴あけ加工をする前の、位置決めをするためのドリルです。センターモミツケを施すことにより、ドリルのチゼルによる振れや位置精度が向上します。モミツケに使う場合はドリルのチゼルよりやや大きめにとどめておくのがよく、深すぎると下穴の角とドリル先端の刃が当たりチッピングが発生する可能性があります。その他に旋削加工時の回転センターで保持するためのセンター穴などにも使用します。保持するためのセンター穴は、センタードリルの先端形状がA、R、B、Cなど多種の規格がありますので注意が必要です。

バイト

バイトのノーズ半径について

バイトのノーズ半径とは、旋盤においてバイト(切削工具)の先端部分が持つ半径のことを指します。バイトのノーズ半径は、切削時に加工物表面に残る切りくずの形状や、加工物表面の仕上がりに影響を与えます。ノーズ半径が小さいバイトは、より細かな切りくずを生じ、より滑らかな加工面を作り出すことができますが、逆にノーズ半径が大きいバイトは、より大きな切りくずを生じ、加工面が荒れる可能性があります。

また、ノーズ半径は加工物の形状に合わせて選ばれる必要があります。例えば、内径加工や凸面加工では、バイトが加工物に干渉しないように、小さなノーズ半径が必要です。一方、凹面加工や外径加工では、大きなノーズ半径が必要な場合があります。

加工物の材質や切削条件によっても、適切なノーズ半径は異なります。一般的には、ノーズ半径が小さいバイトは硬い材料の加工に適しており、ノーズ半径が大きいバイトは柔らかい材料の加工に適しています。

 

すくい角、切れ刃角、逃げ角

すくい角、切れ刃角、逃げ角は、切削工具の刃先の形状を表す重要な要素です。

すくい角:すくい角とは、切削面と刃先の接する面との間の角度を指します。すくい角は、切削力や表面粗さ、切りくずの形状に影響を与えます。一般的に、すくい角が大きくなると、表面粗さが改善される傾向がありますが、すくい角が大きすぎると、刃先にかかる負荷が増大することがあります。

切れ刃角:切れ刃角とは、刃先の刃先部分が切削面に対して傾いている角度を指します。切れ刃角は、切削力や表面粗さ、刃先の強度に影響を与えます。一般的に、切れ刃角が大きくなると、切削力や表面粗さが増加する傾向がありますが、切れ刃角が小さい場合は刃先が強くなります。

逃げ角:逃げ角とは、刃先の側面が切削面から離れる角度を指します。逃げ角は、切削力や刃先の強度に影響を与えます。一般的に、逃げ角が小さい場合は、刃先が強くなりますが、逃げ角が大きすぎると、切削力や表面粗さが増加することがあります。

すくい角と切削条件

すくい角は、切削時の刃先の負荷や切りくずの形状に影響を与えます。

一般的に、すくい角が大きくなると切りくずが細かくなり、表面粗さが改善される傾向があります。しかし、すくい角が大きすぎると、刃先にかかる負荷が増大し、刃先の磨耗や切削力の増加を引き起こすことがあります。

すくい角と切削条件の関係については、以下のような傾向があります。

切削深さが浅い場合:切削深さが浅い場合は、すくい角を大きくしても切削力や刃先の負荷が増えにくいため、細かい切りくずを得るためにすくい角を大きくすることができます。

切削速度が高い場合:切削速度が高い場合は、すくい角を小さくすることで刃先の負荷を減らし、切削力の増加を抑えることができます。

加工物の材質が硬い場合:材質が硬い場合は、すくい角を小さくすることで刃先の負荷を減らし、切削力の増加を抑えることができます。

刃先の形状によって異なる:刃先の形状によって最適なすくい角が異なります。例えば、正面フライスやボールエンドミルのように刃先が丸い場合は、すくい角を小さくすることが適しています。

 

銅のような比較的柔らかい材料は、切削時にチッピング(材料が削り取られる際の欠片のこと)が発生しやすく、切削面にギザギザができてしまうことがあります。このような場合、刃物のすくい角を大きくすることで、チッピングが発生せずに材料を切削できるため、より滑らかな仕上がりが得られます。

ただし、すくい角を大きくしすぎると、刃物の切れ味が落ちたり、刃物に大きな負荷がかかって損傷したりする可能性があります。したがって、最適なすくい角を選択することが重要です。

切れ刃角と切削条件

切れ刃角は、切削刃先の角度を表します。切削刃先の角度が鋭くなるほど、切削力が小さくなり、切削精度が向上しますが、一方で刃先の強度が低下し、摩耗が進むことがあります。したがって、適切な切れ刃角を選択することが重要です。

切削条件と切れ刃角の関係については、次のようなことが言えます。

切削深さが深い場合:切削深さが深い場合は、切れ刃角を大きくすることで、刃先の強度を向上させることができます。ただし、切れ刃角を大きくしすぎると、切削力が増加し、切削精度が悪化することがあります。

切削速度が速い場合:切削速度が速い場合は、切れ刃角を小さくすることで、刃先の強度を維持することができます。しかし、切れ刃角が小さい場合は、切削力が増加し、切削精度が悪化することがあります。

加工材料によって異なる:加工材料によって、適切な切れ刃角は異なります。例えば、硬い材料を加工する場合は、切れ刃角を大きくすることで、刃先の強度を向上させることができますが、柔らかい材料の場合は切れ刃角を小さくすることが望ましいです。

逃げ角と切削条件

逃げ角は、刃先の側面が切削面からどの程度離れているかを表します。逃げ角が小さい場合、刃先が強くなる傾向がありますが、逃げ角が大きすぎると、切削力や表面粗さが増加することがあります。

切削条件と逃げ角の関係については、次のようなことが言えます。

切削深さが深い場合:切削深さが深くなると、逃げ角が小さくする必要があります。逃げ角が大きいと、切削力が増加し、刃先の摩耗が進み、表面粗さが悪化することがあります。

切削速度が速い場合:切削速度が速い場合は、逃げ角が大きくなることが望ましいです。逃げ角が小さいと、切削力が増加し、刃先の摩耗が進み、表面粗さが悪化することがあります。逃げ角が大きい場合は、切削力が減少し、刃先の摩耗も緩和され、表面粗さが改善される傾向があります。

加工材料によって異なる:逃げ角は、加工材料によっても影響を受けます。例えば、脆い材料を加工する場合は逃げ角が大きいほうが安定した切削が可能ですが、柔らかい材料の場合は逃げ角が小さいほうが切削力を抑えることができます。

工具の材質と特徴

炭素工具鋼

炭素工具鋼は、主に炭素と鉄からなる合金で、高い硬度や耐摩耗性、切削性能に優れることから、工具製造に広く使用されている鋼の一種です。

炭素工具鋼は、炭素含有量が0.6%以上の鋼を指します。炭素含有量が高いほど、硬度が高くなりますが、同時に加工性も悪くなります。そのため、炭素含有量は、使用目的に応じて調整されます。

また、炭素工具鋼は、熱処理によって硬度を調整することができます。一般的には、高温での焼きなまし(オーステナイト焼戻し)や急冷凍(焼き戻し)などが行われます。これによって、硬度だけでなく、耐摩耗性や強度も向上させることができます。

炭素工具鋼は、刃物や金型、切削工具、機械部品など、多岐にわたる工業製品に使用されています。

炭素工具鋼の主な特徴をいくつか挙げてみます。

高い硬度:炭素工具鋼は、高い炭素含有量により、非常に高い硬度を持ちます。このため、鋸刃、ドリルビット、切削工具などの工具製造に広く使用されています。

耐摩耗性:炭素工具鋼は、その高い硬度とともに、優れた耐摩耗性を持ちます。このため、摩耗が起こりやすい工具の製造に適しています。

切削性能:炭素工具鋼は、鋼の中でも比較的切削性能に優れています。これは、その硬度が高く、かつ加工性に優れているためです。

加工性:炭素工具鋼は、加工性に優れており、機械加工や熱処理がしやすいという特徴があります。

低コスト:炭素工具鋼は、他の特殊鋼に比べて比較的低コストで入手できるため、広く使用されています。

ただし、炭素工具鋼には、錆びやすく、耐食性に欠けるという欠点もあります。また、熱処理による硬度調整が必要であるため、製造コストがかかる場合があります。

合金工具鋼

合金工具鋼は、主に炭素と鉄に加えて、クロム、バナジウム、モリブデン、タングステンなどの合金元素を添加した合金鋼の一種です。

合金工具鋼は、炭素工具鋼に比べて高い耐摩耗性、強度、硬度、靭性を持ちます。このため、高速切削工具や金型など、高負荷で使用される工具の製造に広く使用されています。

合金工具鋼も、熱処理によって硬度を調整することができます。一般的には、高温での焼きなまし(オーステナイト焼戻し)や急冷凍(焼き戻し)などが行われます。

添加元素と効果
添加元素 効果
炭素(C) 硬度・耐摩耗性・耐熱性を向上
クロム(Cr) 耐摩耗性・耐食性を向上
バナジウム(V) 硬度・強度・耐摩耗性を向上
モリブデン(Mo) 硬度・耐熱性・耐摩耗性を向上
マンガン(Mn) 均質性・強度を向上
ニッケル(Ni) 強度・延性を向上
タングステン(W) 硬度・耐摩耗性・耐熱性を向上
コバルト(Co) 耐摩耗性・耐熱性を向上

 

高速度工具鋼

高速度工具鋼は、切削加工や金属加工などの工具として使用される、非常に硬く強靭な鋼材です。高速度工具鋼は、鉄に加えて、タングステン、モリブデン、バナジウム、コバルトなどの合金元素が含まれており、高温での使用にも耐えるように設計されています。

炭素鋼のSK材にクロム(Cr)、タングステン(W)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)などの金属材料を大量に添加して非常に硬いのが特徴です。工具鋼では耐摩耗性が最も優れた鋼材ですが、多種の金属材料を大量に添加しているため、非常に高価な材料です。

 

超硬合金

超硬合金は、非常に硬くて耐久性がある合金です。一般的に、タングステンカーバイトやコバルト、チタンなどの金属粉末と、炭素や窒素などの非金属元素の粉末を混合して作られます。この混合物を高温で圧縮し、超硬合金の原形状である「グリーンコンパクト」と呼ばれる塊を作ります。グリーンコンパクトを高温で焼結して、密度を増やし、硬度を向上させます。

超硬合金は、その硬さや強度、摩耗抵抗性により、高速切削工具やドリル、砥石、粉砕機など、様々な産業で広く使用されています。また、航空宇宙産業や自動車産業などでも利用されています。

工具の使用分類

 切削用超硬質工具材料の、用途による呼び方をJISB4053―1998では規定している。ここで言う超硬質工具材料とは表1に示す材料が対象であり、それらの材料とともにそれを表す記号が定められている。
 その上で工具の用途に関して、切削の対象とする被削材と、そこに出てくる切屑の形状によって表2に示すP、M、Kの3類し、さら個々の用途がどのような被削材をどのような切削方式と作業条件下で使われるかによって細分類している。その一部を表3に示す。
  例:HW-P10・切りくずの出る鋼を作業条件の比較的良い状態で旋削するための超硬合金製工具
             (超硬合金の場合単にP10のみ表記でも良い)

材料記号 材料の分類
超硬合金 HW
HT
HF
HC
一般に超硬合金と呼ばれているもの
一般にサーメットと呼ばれているもの
一般に超微粒子超合金と呼ばれているもの
超硬質合金を母材としたものにコーティングしたもの
セラミックス CA
CM
CN
CC
酸化物セラミックの主成分がAl2O3であるもの
酸化物以外含んだセラクの主成分がAl2O3の
セラミックを母材としたものにコーティングしたもの
窒化セラミックの主成分がSi3N4であるもの
ダイヤモンド DP 主成分が多結晶性ダイヤモンドであるもの
窒化ホウ素 BN 主成分が多結晶性窒化ホウ素であるもの
表1 工具材料記号と分類1)

 

表2 用途記号(大分類) 1)
記号 用途
P 連続型切りくずの出る鉄系金属の切削用途
M 連続型若しくは非連続型切りくずの出る鉄系金属または非鉄金属の切削用途
K 非連続型切りくずの出てくる鉄系金属、非鉄金属または非金属の切削用途

 

表3 使用材料の分類の例1)
使用分類記号 被削材 切削方式 作業条件
P10 鋼、鋳鋼 旋削、ねじ切り、フライス削り 高―中速で小―中切削面積の時、または作業条件が比較的良いとき
K10 鋳鉄および特殊鋳鉄
(非連続切りくずが出る場合)
旋削、フライス削り、中ぐり 中速で小―中切削面積のとき、またはK列中の一般的作業の時
高硬度鋼 旋削 低速で小切削面積の時、または振動のない作業条件の時
非鉄金属、非金属材料、複合材料 旋削、フライス削り 比較的振動がない作業条件の時
耐熱合金、チタンおよびチタン合金 旋削、フライス削り

 

1) JIS B 4053―1998 切削用超硬質工具の使用分類及び呼び記号の付け方

引用:工具の使用分類

サーメット

サーメットとは、切削工具に使われる材質のひとつです。セラミック(ceramic)のように硬く、メタル(metal)のように粘り強いという意味で、2つを合わせてサーメット(cermet)と名付けられました。自然界には存在しない人工素材で、工具や機械部品などに広く使われています。

サーメットは超硬合金の代替素材として開発されたものですが、主成分は超硬合金と異なります。切削工具で使われる超硬合金は、WC(炭化タングステン)を主成分として、結合剤にはCo(コバルト)を用いています。一方、サーメットはTiC(炭化チタン)を主成分とし、結合剤にはNi(ニッケル)を使用しているのが特徴です。

しかし、TiCとNiの組み合わせは、WCとCoの組み合わせほど結合力を出すことはできず、もろくなってしまうという欠点がありました。そこで、Mo(モリブテン)や窒化チタン(TiN)を加えて靭性を向上させた「TiC-TiN-Mo-Ni」が、現在のサーメットでは主流になっています。

コーティング工具
膜の種類 凝着方法 外観色 標準膜厚 硬さ 摩擦係数 耐熱温度
TiN(チタンニトリド) PVD(物理蒸着法) 金色 1〜5μm 2000〜2500HV 0.4〜0.6 600℃
TiCN(チタンカーボニトリド) PVD 青灰色 1〜5μm 2500〜3500HV 0.2〜0.4 800℃
TiAlN(チタンアルミニウムニトリド) PVD 紫赤色 2〜6μm 3000〜4000HV 0.3〜0.6 900℃
CrN(クロムニトリド) PVD/CVD(化学気相蒸着法) 銀色 1〜5μm 2000〜2500HV 0.2〜0.4 700℃
DLC(ダイヤモンドライクカーボン) PVD 黒色 1〜3μm 1000〜3000HV 0.1〜0.2 400℃
CVDダイヤモンド CVD 無色透明 5〜10μm 8000〜10000HV 0.1〜0.2 1000℃

※ PVD:Physical Vapor Deposition、CVD:Chemical Vapor Deposition

これらのコーティング材料は、それぞれ異なる特性を持っており、切削工具の材質や切削条件によって最適なものが選ばれます。TiN、TiCN、TiAlNは、一般的に高速鋼や超硬合金に使用され、CrNはステンレス鋼に使用されます。一方、DLCやCVDダイヤモンドは、より高度な加工や極めて硬い材料の加工に使用されることが多く、高い性能を発揮します。

色々な材料と加工

一般構造圧延鋼材(SS材)

一般構造圧延鋼材は、建築、橋梁、自動車、鉄道車両、家電製品などの様々な産業分野で使用される広く利用される材料です。一般的に、構造物や機械部品などの製造に使用されます。

材料特性としては、高強度、耐摩耗性、耐腐食性、加工性に優れています。また、機械的特性が安定しており、高い靭性を持ちます。

 

機械構造用炭素鋼(S-C材)

機械構造用炭素鋼は、機械部品、工具、歯車、軸、軸受、ばね、ボルトなど、広い範囲の機械部品に使用される一般的な材料です。

材料特性としては、耐久性、疲労強度、加工性、溶接性、鍛造性に優れています。また、比較的低価格で入手しやすいことが特徴です。

炭素鋼は、炭素の含有量によって、低炭素鋼(0.05%以下)、中炭素鋼(0.05〜0.3%)、高炭素鋼(0.3〜1.7%)に分類されます。一般的に、機械構造用炭素鋼には中炭素鋼が使用され、材料の強度と加工性のバランスが良いことが特徴です。

また、炭素鋼は熱処理によって性質を変化させることができます。例えば、焼入れ処理によって硬度を高めることができます。熱処理によって材料特性を制御することで、材料の性能を最大限に引き出すことができます。

鋳鉄

鋳鉄は、炭素量が2%以上である鉄合金であり、その独特な組織や特性から、広い範囲で利用されています。

主な鋳鉄の用途としては以下のようなものがあります。

  1. 機械部品:鋳鉄の高い耐摩耗性や耐熱性を活かして、エンジンブロック、シリンダーヘッド、クランクシャフト、ギアなどの機械部品に使用されます。
  2. パイプやバルブ:耐食性に優れることから、配管やバルブに使用されます。
  3. 鉄道用品:高い強度を持つため、鉄道用部品に使用されます。レール、車輪、ブレーキドラム、鉄道クロスなどが該当します。
  4. 建築材料:鋳鉄は強度が高く、耐震性にも優れているため、建築材料としても利用されます。窓枠、柱、手すり、鉄骨などが挙げられます。

鋳鉄の特性としては、以下のようなものがあります。

  1. 耐摩耗性:摩擦や磨耗に強く、機械部品に使用する場合に優れた耐久性を発揮します。
  2. 耐熱性:高温に対しても変形せず、熱に強い特性があります。
  3. 耐食性:鋳鉄に含まれるシリコンが酸化物と反応して、腐食に強い特性があります。
  4. 加工性:鋳鉄は柔らかく加工しやすいため、機械加工や切削加工に適しています。

ステンレス

ステンレスは、錆や腐食に強い特性を持つ合金鋼の総称であり、以下のような用途と材料特性を持ちます。

【用途】

製鉄、化学、石油、医療機器、自動車、建築、食品加工、航空宇宙などの産業分野で多く利用されている。
切削加工が容易であるため、機械部品や工具などにも利用されている。
食器やキッチン用品、ジュエリーなどの日用品としても広く利用されている。
【材料特性】

錆や腐食に強く、耐食性に優れている。
高温に強く、耐熱性に優れている。
高い強度を持ち、機械的特性に優れている。
一般的に軽量であり、加工が容易である。
磁性がないまたは弱いものが多く、電磁波の影響を受けにくい。
一定程度の耐磨耗性があり、表面処理によって美観性を向上できる。

材料記号、成分、特徴
材料記号 成分 特徴
SUS301 Cr: 16-18%, Ni: 6-8%, C: 0.15%以下 強度・靭性・加工性に優れる
SUS304 Cr: 18-20%, Ni: 8-10%, C: 0.08%以下 耐食性に優れる
SUS316 Cr: 16-18%, Ni: 10-14%, Mo: 2-3%, C: 0.08%以下 腐食性に優れ、高温下でも耐食性がある
SUS430 Cr: 16-18%, C: 0.12%以下 強度が高く、焼き付きやすい
SUS420J2 Cr: 12-14%, C: 0.26-0.40% 切削加工性に優れる
SUS440C Cr: 16-18%, Mo: 0.75%, C: 0.95-1.20% 高硬度・耐摩耗性に優れる

ステンレスにはさまざまな種類があり、用途によって適した種類が異なります。

マルテンサイト系ステンレスは、炭素量が0.1%未満の低炭素ステンレス鋼で、加熱後急冷することにより得られるマルテンサイト組織を持っています。マルテンサイトは硬く脆いため、加工性は悪いですが、磁性があり、強度と耐食性が高いため、刃物やボルトなどの高強度部品に用いられます。

フェライト系ステンレスは、クロム含有量が12%未満のステンレス鋼で、フェライト組織を持っています。フェライトは加工性がよく、磁性がありますが、強度と耐食性は低く、一般的には低負荷部品や低磁力部品に用いられます。

オーステナイト系ステンレスは、クロム含有量が12%以上、ニッケル含有量が8%以上のステンレス鋼で、オーステナイト組織を持っています。オーステナイトは加工性がよく、強度と耐食性が高いため、一般的なステンレス鋼として幅広く用いられます。また、オーステナイトは非磁性であるため、磁気的特性を要求される部品にも使用されます。

銅と黄銅

【銅】
用途:

電気伝導率が高く、電線や電気機器などの電気部品の材料として使用される。
耐食性に優れるため、管やタンク、ボイラーなどの配管材料として使用される。
熱伝導率が高く、冷却装置の材料として使用される。
彫刻、装飾品などの美術工芸品の材料として使用される。
材料特性:

軟らかく加工しやすい。
耐食性が高く、錆びにくい。
電気伝導率、熱伝導率が高い。
【黄銅】
用途:

金属加工用の工具の材料として使用される。
スプリング、ネジ、螺旋バネなどの材料として使用される。
管やバルブなどの配管材料として使用される。
時計や装飾品などの美術工芸品の材料として使用される。
材料特性:

銅と亜鉛を主成分とし、機械的特性が良好。
錆びにくく、耐食性がある。
比重が小さいため、軽量化が可能。
高温で脆化しやすく、加工時の温度管理が必要。

アルミニウムとアルミニウム合金

【アルミニウムの用途と材料特性】

用途:航空機、自動車、建築材料、家電製品、容器・包装材料、機械部品、電子部品など幅広い分野に使用される。
材料特性:軽量、耐食性に優れるが、比較的低い強度が特徴。加工性に優れ、簡単に切削、曲げ、押し出し、鋳造などの加工が可能。
【アルミニウム合金の用途と材料特性】

用途:航空機、自動車、建築材料、家電製品、スポーツ用品、機械部品、電子部品などに使用される。
材料特性:アルミニウムと他の金属を合金化することで、強度、耐食性、耐熱性、加工性などを改善した材料。種類によって異なるが、一般的にアルミニウムよりも強度が高く、加工性も良好である。ただし、比較的高価であることが欠点として挙げられる。

合金系統 材料記号 材料特性 主な用途
純アルミニウム系 A1 純アルミニウムは、軽量で強度が低く、加工性が良い特徴があります。耐食性も高く、表面処理により耐久性を向上させることができます。また、電気・熱伝導性が非常に高く、電子部品や熱交換器などの分野で広く使用されています。ただし、純度が高いほど加工が難しくなり、価格も高くなる傾向があります。 電線、圧延板、薄板、箔
Al-Cu系 A2 比較的高い強度と硬度がある。
良好な耐食性を持ち、腐食に強い。
良好な可鍛性と可加工性を持ち、熱間鍛造ができる。
無機酸に対しては比較的耐性があるが、有機酸やアルカリに弱い。
熱処理によって強度を高めることができる。
溶接性があり、酸素アセチレン溶接、TIG溶接、MIG溶接などで加工が可能。
航空機部品、高圧容器、自動車部品
Al-Mg系 A5 強度が高く、軽量である。
耐食性が高い。
熱伝導性が良好で、熱膨張率が低いため、熱交換器や圧縮機などの部品に適している。
比較的低い加工性を持ち、切削や成形にあたっては注意が必要である。
代表的な合金には、A5052、A5083、A5754などがある。
航空機部品、自動車部品、建築材料
Al-Si系 A4 軽量で強度があり、熱伝導性が高い
結晶粒が細かく、熱処理によって強度が上がる
銅やマグネシウムを含まないため、腐食に強い
優れた流動性と耐摩耗性があり、鋳造に適している
熱膨張率が小さいため、精密な部品に適している
エンジン部品、自動車部品、建築材料
Al-Zn系 A7 強度が高く、加工性も良好であることが挙げられます。一方、耐食性はあまり良くないため、耐食性が求められる場合には別の材料が選択されることがあります。代表的な合金としては、7075合金や2024合金があります。 自動車部品、船舶部品、建築材料
Al-Li系 A8 比強度が高く、高い剛性を持つことが挙げられます。また、高い耐食性や高温強度を持つことも特徴です。代表的な合金としては、8090合金や2090合金があります。ただし、加工性や溶接性には課題があるため、使用に際しては注意が必要です。 航空機部品、宇宙船部品、自動車部品

高硬度鋼

非常に高い硬度、強度、耐磨耗性、耐腐食性などの特性を持つ鋼材です。主な用途としては、以下のようなものがあります。

工具:切削工具やプレス型など、高い硬度や寸法安定性が要求される工具に使用されます。
自動車部品:エンジンバルブ、クランクシャフト、カムシャフトなど、高い強度や耐摩耗性が要求される部品に使用されます。
ローラーベアリング:耐磨耗性が要求されるローラーベアリングの外輪、内輪などに使用されます。
刃物:包丁やカミソリなど、切れ味が重要な刃物に使用されます。
高硬度鋼は、主に炭素鋼に添加物を加えることで作られます。この添加物には、タングステン、クロム、バナジウム、モリブデンなどが含まれます。高硬度鋼は、高い炭素含有量や添加物の影響によって、以下のような特性を持ちます。

非常に高い硬度:ロックウェル硬さCで60以上となることがあります。
高い耐摩耗性:非常に長い寿命を持ちます。
高い強度:引張強さや耐食性に優れます。
良好な熱処理性:焼入れや焼戻しが可能で、硬度や強度を調整できます。
腐食に対する耐性:一部の高硬度鋼は、耐食性にも優れます。

耐熱合金

高温環境下での使用が求められる箇所に使用される合金であり、以下のような用途と材料特性があります。

用途:

ガスタービンエンジンのタービンブレード
石油化学プラントの熱交換器、反応器、軽油のクラッキング管など
原子力発電所の制御棒、炉心部材、熱交換器、配管など
材料特性:

高温での強度が要求される
耐酸化性に優れる
耐食性に優れる
耐疲労性に優れる
低膨張率である
主な耐熱合金としては、ニッケルベース合金やコバルトベース合金、チタンベース合金などがあります。それぞれの合金によって特性が異なるため、使用目的に合わせて適切な合金を選択する必要があります。

マグネシウム

比重が小さく軽量かつ強度が高いため、以下のような用途に使用されています。

航空機や自動車などの軽量化部品
電子機器の筐体やノートパソコンのケースなどの電磁波シールド部品
電池の陽極材料
熱交換器や冷却装置などの熱伝導性の高い材料
スパークプラグ、マグネシウムリボンなどの消耗品
マグネシウムの材料特性は以下の通りです。

比重が小さく、軽量かつ強度が高い。
耐食性が高いが、高温や湿気の影響を受けやすいため、表面処理が必要とされる。
加工性が良く、鍛造、押出、加工などが容易に行える。
熱伝導性が高く、熱膨張率が小さい。
燃焼時に酸素と反応して発火しやすく、燃焼温度が非常に高くなるため、取り扱いには注意が必要とされる。

加工について

バックラッシ

バックラッシは、機械装置において、動作方向が変わった時に生じる、歯車などのギア機構やネジなどの可動部品の隙間やゆるみのことを指します。具体的には、可動部品が動作方向に進むときには隙間がなく動きがスムーズだが、逆方向に動くときには隙間が生じるため、可動部品が一度動いた方向と反対の方向に動くときには、隙間が埋まるまで遊びが発生して動作が遅れたり、正確な位置に戻らなかったりする現象です。

例えば、自動車のトランスミッションのように、動力を伝達する機構では、バックラッシは不可避の現象です。

糸面取り

工作物の角部を削り、面を作ることを面取りと呼びます。図面ではCで表します。
図面に面取り指示がない場合にも、糸面取りと呼ばれるC0.2~0.3程度の面取りを行います。

切削現象と基本理論

切削加工は、工作物を加工するために切削工具を使用する加工方法です。切削加工を行うには、以下の3つの条件が必要です。

切削速度(Cutting speed):切削工具が工作物に対して移動する速度です。切削速度が高いほど、加工時間は短縮されますが、切削工具の摩耗が激しくなります。切削速度は、切削材料の種類や切削工具の材質、工作物の形状や材質によって異なります。

送り速度(Feed rate):切削工具が工作物に対して進行する速度です。送り速度が高いほど、一定時間で切り込み量が増加するため、加工時間が短縮されます。ただし、切削工具や工作物に過度な負荷をかけることになります。

切削深さ(Depth of cut):切削工具が工作物に対してどの程度深く入るかを決定する量です。切削深さが深いほど、加工時間は短縮されますが、切削工具に負荷がかかり、切削時の振動や切りくずの排出が困難になる場合があります。切削深さは、工作物の材質や形状、切削工具の材質や形状によって異なります。

一般的な荒加工と仕上げ加工の加工条件は以下の通りです。

荒加工の加工条件:

切削速度:低速(一般的に80~150 m/min)
送り速度:高速(一般的に0.3~0.6 mm/rev)
切削深さ:深め(一般的に0.5~1.5 mm)
荒加工は、材料を大量に削り取り、材料を早く除去するために高速の送り速度が必要です。切削速度は低速にします。また、切削深さを深めに設定することで、加工時間を短縮することができます。

仕上げ加工の加工条件:

切削速度:高速(一般的に150~250 m/min)
送り速度:低速(一般的に0.05~0.2 mm/rev)
切削深さ:浅め(一般的に0.05~0.5 mm)
仕上げ加工は、表面の仕上げや寸法精度を高めるために行われる加工です。送り速度を低速に設定することで、材料を削り取りながら表面粗さを抑えることができます。切削速度は高速にします。また、切削深さを浅めに設定することで、表面の仕上げや寸法精度を高めることができます。

 

切削速度

切削速度から回転数を求める

切削速度から回転数を求める公式は以下の通りです。

回転数 (rpm) = (切削速度 (m/min) × 1000) ÷ (π × 刃先直径 (mm))

この公式は、切削速度から回転数を求めるためのものです。

切削速度は、刃先が加工材料に接触して削り取る速度を表しており、単位はm/min(メートル毎分)です。一方、回転数は、刃先が1分間に何回回転するかを表しており、単位はrpm(回転数/分)です。刃先直径は、加工工具の刃先の直径を表し、単位はmm(ミリメートル)です。

 

工作物の理論粗さ

仕上げ面粗さの公式:Ry = (F^2) / (8R)
この公式は、仕上げ面の粗さを表すRy値を計算するための公式です。

Ry値は、仕上げ面の高低差を表す値であり、単位はmm(ミリメートル)で表されます。Fはバイトの送り量(mm/rev)、Rはノーズ半径(mm)で、8は定数です。

式からわかるように、工作物の理論仕上げ面粗さはバイトの送り量(mm/rev)とノーズ半径(mm)のみに影響されることになります。
工作物の面粗さを小さくするためには、バイトの送り量を小さくし、ノーズ半径を大きくすることが必要です。

 

切りくずの種類

流れ形
切削条件のバランスや刃物の状態が良く、切削の抵抗や変動が少なく安定した状態で削られている形状です。加工精度も良いとされています。

せん断形
切削に少し変動が起きている状態で削られている形状で、加工精度は流れ形よりも落ちます。切削条件や刃物にやや難があったり、ややもろい材質の時にも生成されます。

き裂形
材質が非常にもろい場合に、切りくずが流れ形のように繋がらず出来る形状です。削り切る前に亀裂が起きてしまっているので加工精度は良くありません。

むしれ形
切りくずがうまく排出されておらず、切削に干渉が起きている状態で削られている形状です。切削面に裂けが生じており、加工精度が良くありません。延性材料(粘り気のある材質)でも生成されやすいです。

 

せん断角

旋盤加工における切りくずの形状は、材料の物性と切削条件によって大きく左右されます。その中でも、切りくずの形状に最も影響を与える要因のひとつが、せん断角と呼ばれる角度です。

せん断角は、切削面と切りくず面の間の角度で、切りくずの形状を表す重要な指標となります。

一般的に、切削速度を上げるとせん断角が増加し、材料の硬度が高くなるとせん断角が減少します。また、刃先角や刃先半径を大きくすると、せん断角が小さくなります。

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