FIG/フィグマに関する最近のニュースまとめ
1. 2025年の上場と株価動向
IPOの概要
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初期公開価格と調達額 — 2025年7月、フィグマはニューヨーク証券取引所に上場し、ティッカーシンボルを FIG としました。公募価格は1株33ドルで、会社および既存株主は計1億2千万ドル(約19億ドルの完全希薄化後評価額)を調達しましたaxios.com。
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Adobeによる買収計画との比較 — この評価額は、米国規制当局の反対により2023年末に破談となったAdobeによる買収案(200億ドル)をほぼ上回るものでしたaxios.com。Axiosによると、フィグマはAdobeとの取引が破談になった直後からIPOの準備を開始し、2024年中にAI機能を実装した実製品を開発して投資家に示せるようにしてから上場に踏み切りましたaxios.com。
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初日の株価反応 — Fortune誌は、上場初日にフィグマ株が取引開始後数分で85ドルに跳ね上がり、最高107ドルまで上昇し、終値は115.5ドルとなったと報じていますfortune.com。この急騰により時価総額は約460億ドルに達し、Adobeが提示していた20億ドルの買収額を大きく上回りましたfortune.com。
上場後の株価・業績
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Q1~Q2の業績 — Fortuneは、2025年第1四半期の収益が前年同期比46%増の2億2,820万ドルで、純利益は4,480万ドルだったと記していますfortune.com。これはAI製品投入による好調な売上成長を示しています。
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2025年第3四半期の業績 — フィグマは11月5日、2025年第3四半期の売上高が2億7,420万ドルと前年比38%増加し、年間売上高ベースで10億ドルを超えたと発表しましたs206.q4cdn.com。一方、上場に伴う一時的な株式報酬費用9億7,570万ドルが計上されたため、GAAPベースでは11億ドルの営業損失となりましたs206.q4cdn.com。非GAAPベースでは営業利益3,400万ドルを確保し、ガイダンスを上方修正していますs206.q4cdn.com。
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顧客基盤の拡大 — 同期のネット・ドルリテンション率は131%に達し、年間ARR10万ドル超の有料顧客が1,262社と前年から140社以上増加したほかs206.q4cdn.com、有料顧客全体が1,2910社を超えるなど顧客基盤が拡大しましたs206.q4cdn.com。
2. AI製品と新機能
AIプロトタイピングツール「Figma Make」の一般公開
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ベータ版から一般公開へ — CMSWireは、フィグマが2025年7月24日にAI機能のベータを終了し、Figma Make を含むAIプロトタイピングツールを全ユーザーに開放したと伝えています。自然言語でプロンプトを入力すると高忠実度のプロトタイプを生成でき、技術的な知識がなくても制作が可能となりましたcmswire.com。有料プラン別に利用制限があり、Fullシート利用者は無制限、Starterプランは共有可能なMakeファイルが3件までなど段階的な仕組みになっていますcmswire.com。
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AI機能の特徴 — CMSWireによると、フィグマのAI機能にはプロンプトからアプリを生成する「Prompt‑to‑app」機能や画像編集、解像度の自動向上、非デザイナーでも使える共同作業機能が含まれており、プロジェクト全体のワークフローを効率化しますcmswire.com。
Config 2025で発表された新製品
ブログ「Thalion.pro」による「Figma Config 2025」のまとめでは、フィグマが従来のデザインツールに加えて次の4製品を発表したと紹介しています:
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Figma Sites – デザインキャンバスから直接レスポンシブなWebサイトを設計・公開するツール。視差効果やアニメーションにも対応し、将来的にCMS機能やコードレイヤーも追加予定thalion.pro。
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Figma Make – AIを用いてデザインを動くプロトタイプに変換するツール。ユーザーがデザインと要望をプロンプトで指定すると、LLMがコードを生成し、ReactやWebアプリとして動作させますthalion.pro。
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Figma Buzz – ブランドテンプレートを元に広告やサムネイルなど多数の資産を自動生成し、スプレッドシートデータに基づき内容を差し替えることができるアセット管理ツールthalion.pro。
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Figma Draw – ブラシや鉛筆ツール、テクスチャなどを備えたベクターイラスト作成ツールで、Illustratorを使わずに手描きのような表現が可能thalion.pro。
これらに加え、オートレイアウト用のグリッド機能強化やベクター操作の高速化など多数の改善が行われ、デザインから開発までの統合環境が大きく向上しましたthalion.pro。
AIエコシステムの拡張
デザイン会社Compositeによる2025年6月の記事では、フィグマがAIエコシステムを大幅に拡充し、プロダクト開発のあらゆる段階にAIを導入していると紹介しています。主な新機能は以下の通りですcomposite.global:
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Figma Make — Claude 3.7を用いてレイアウトやロジックを生成し、プロンプトだけで稼働するプロトタイプを構築できるcomposite.global。
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Figma Sites — AIがデザインをHTML/CSSコードに変換し、レスポンシブサイトを生成。パララックス効果やアニメーションも自動で付与し、β版からより多くのユーザーに提供composite.global。
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Buzz — 大量のブランド資産(広告・サムネイル・ソーシャル投稿など)を自動生成し、ブランドガイドラインに沿ってスプレッドシートのデータを適用するcomposite.global。
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Edit Image — テキストプロンプトで背景の差し替えやオブジェクトの抽出が行える画像編集機能composite.global。
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Model Picker — AI画像生成時にOpenAI、Google Imagen 3、Amazon Titan V2など複数モデルから選択できるcomposite.global。
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Figma Draw — 筆ブラシやテクスチャを備えた高機能ベクター描画ツールcomposite.global。
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MCP Server for Dev Mode — AIがコンポーネントのメタデータを読み取り、開発者向けのコードハンドオフを自動化するcomposite.global。
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Smarter AI Suggestions — キャンバス上のコンテキストに応じてレイアウトやカラーパレットなどを提案するcomposite.global。
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Visual Search & AI‑enhanced Asset Search — 画像やテキストを入力すると類似フレームやコンポーネントを即座に検索できるcomposite.global。
Compositeは、これらのAI機能がUXデザインを根本的に変えると指摘し、複数のデザイン方向を素早く試し、エンジニアリングとの連携を強めることで市場投入までの時間を短縮できるとしていますcomposite.global。
3. Schema 2025:デザインシステム向け機能
日本のデザインメディア「unprinted.design」によれば、フィグマは10月のカンファレンス “Schema 2025” でデザインシステム運用を支援する新機能を発表しました。主な内容は以下の通りです:
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Extended Collections — Enterpriseプラン向けに11月提供開始。親となるコアデザインシステムに基づいて、複数ブランド固有のテーマを追加できる機能で、色などを個別に上書きしつつ親システムの変更を自動継承できるunprinted.design。
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Make Kits — デザインライブラリをFigma Makeにインポートし、コンポーネントや変数から高品質なプロトタイプ・Reactコンポーネント・CSSファイルを生成する機能。すべての有料プランで利用可能予定unprinted.design。
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Code Connect UI — GitHubリポジトリと連携し、コンポーネントのマッピング推奨や実際のソースファイルに基づくコード例を自動生成。変数モードの上限をProfessionalプランで10モード、Organizationプランで20モードに拡大unprinted.design。
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SlotsとCheck designs(早期アクセス) — コンポーネント内のプレースホルダーとデザイン監査機能を提供し、設計の一貫性を保つ手助けをするunprinted.design。
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MCP Serverの全ユーザー提供 — コンポーネント定義をコードと同期させるMCPサーバーを全ユーザー向けに公開し、デザインとコード間の翻訳レイヤーとして機能するunprinted.design。
同記事は、これらの機能強化により静的なデザインシステムから動的なシステムへの進化が示され、AIがデザインとコードの橋渡し役となることを強調していますunprinted.design。
4. 研究報告と働き方の変化
フィグマは2025年に 「Shifting Roles: How Product Development Teams Are Evolving in 2025」 という調査報告を発表し、製品開発チームの役割がどのように変化しているかを定量化しました。この報告はオンラインでは閲覧できませんが、研究を紹介したLinkedInの投稿から次のような統計が読み取れます:
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複数役割の増加 — 64%の回答者が二つ以上の役割を担っていると答え、3つ以上の役割を担う人も3分の1を超えましたlinkedin.com。
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非デザイナーのデザイン業務への関与 — 非デザイナーの56%がプロトタイピングなどのデザインタスクを重要な業務だと回答し、前年から12ポイント増加しましたlinkedin.com。
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AIツールの利用時間 — 平均で作業時間の19%をAIツールに費やしており、今後12か月で27%まで増えると予想されていますlinkedin.com。この時間は個別作業時間から捻出されており、57%の回答者は「より高付加価値で戦略的な仕事に多くの時間を使えるようになった」と答えていますlinkedin.com。
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専門性の重要性 — 53%が「高度な知識は依然として必要」と答え、AIが専門性の重要性を低下させるとは考えていませんlinkedin.com。
報告書は、マーケティング・デザイン・開発など異なる専門分野間で意図を共有する需要が高まっていることも指摘し、役割の境界が今後さらに曖昧になるだろうと予測していますlinkedin.com。
5. その他の企業ニュース
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Weavyの買収 — フィグマはQ3決算発表時に、生成AIとプロフェッショナル編集ツールを提供するプラットフォーム Weavy を買収したことを明らかにし、今後は Figma Weave として画像・動画・アニメーション・モーションデザイン・VFXなどのメディア生成機能を拡充するとしていますs206.q4cdn.com。
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OpenAIとの提携 — 同じく第3四半期にはOpenAIと提携し、ChatGPT内からFigJamのダイアグラムやフローチャートを生成・編集できる Figma App for ChatGPT をローンチしましたs206.q4cdn.com。
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新任デザイン責任者 — 2025年、MetaでMessengerやInstagramの製品・デザインチームを率いていたロレダナ・クリサン氏がフィグマの最高デザイン責任者(Chief Design Officer)に就任しました。フィグマはこの人事により、AI時代にふさわしいユーザー体験とブランド表現の向上を目指すと述べていますs206.q4cdn.com。
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顧客向け研究レポート — 第3四半期決算資料には「Shifting Roles」報告書とは別に、AI時代におけるデザインシステムの運用や製品開発プロセスを調査したレポート『Shifting Roles』を公開したとあり、デザインやプロダクトの役割がAIによってどのように変容しているかを定量的に示していますs206.q4cdn.com。
6. 今後の見通し
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ガイダンスの上方修正 — フィグマは2025年通年の売上高見通しを10億4,400万〜10億4,600万ドルとし、非GAAPベースの営業利益を1億1,200万〜1億1,700万ドルと予測していますs206.q4cdn.com。第4四半期については売上高2億9,200万〜2億9,400万ドル(前年比約35%増)を見込んでいますs206.q4cdn.com。
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AIとプロダクトの連携強化 — Dylan Field CEOは、フィグマがAIを活用して誰もが「アイデアからプロダクトまで」一気通貫で実現できるプラットフォームを構築することを目指すと述べていますs206.q4cdn.com。Compositeも、今後のデザインプロセスは専門家がAIを共同制作者として活用するジェネラリスト志向へ進むだろうと分析していますcomposite.global。
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課題と倫理 — Compositeは、AIツールの使用が意図せぬデザインの均質化やバイアスを助長するリスクもあると警鐘を鳴らしています。AIはクリエイティブパートナーであり、人間の判断やコンテキスト付与が不可欠であること、データセットの倫理や持続可能性にも配慮が必要であると指摘していますcomposite.global。
まとめ
フィグマ(FIG)は2025年にNASDAQではなくニューヨーク証券取引所に上場し、初日の株価が公募価格の3倍以上に急騰するなど市場から高い評価を受けました。業績も好調で、AIを活用した新製品群 Make、Sites、Buzz、Draw を発表し、既存のデザインシステム機能を強化するなど、プラットフォームの拡張に積極的です。また、OpenAIとの提携やWeavyの買収、新しい研究報告「Shifting Roles」に見られるように、人材・役割の境界を広げる取り組みも進めています。これらの動向は、デザインと開発のプロセスがAIによって急速に再構築され、デザイナーやプロダクト開発者がますますジェネラリスト化していく未来を示唆しています。
figmaの顧客はどういった人ですか?
Figma の顧客(ユーザー)は かなり幅広い ですが、大きく分けると次のような層が中心です。
Figma の主な顧客層
① プロダクトデザイナー(UI/UX デザイナー)
最も大きな顧客層です。- Webアプリ / スマホアプリ の画面設計
- ワイヤーフレーム、プロトタイピング
- デザインシステムの構築
② プロダクトマネージャー(PM)
Figma が「FigJam」や「Figma Make(AIプロトタイプ)」を出したことで PM や企画職の利用が急増。- 画面遷移の検討
- プロトタイプで仕様検討
- 会議・ブレスト・要件定義(FigJam)
③ ソフトウェアエンジニア(フロントエンド・アプリ開発者)
数年前よりエンジニア顧客が増えています。- Dev Mode(コード参照・仕様受け渡し)
- デザインと実装の差分チェック
- 設計データをコンポーネント化してReact/Vue側と連携
④ マーケター・コンテンツ制作担当
2024〜2025の Figma AI(Make / Buzz / Sites) により、 非デザイン職の利用が急激に拡大。- SNS投稿画像
- 広告バナー
- LP(ランディングページ)制作(Figma Sites)
- ブランドガイドライン管理
⑤ デザインエージェンシー・制作会社
複数企業のプロジェクトを回す会社では Figma は必須になっています。- クライアント共有が簡単
- 実時間で修正・コメント
- 納品物管理しやすい
⑥ 企業の IT / DX 部門(大企業も多い)
Figma の エンタープライズ顧客 が急増。- アクセス権限の管理
- デザインシステム統合
- 部門横断コラボレーション
- セキュリティ要件(SSO、SOC2など)
- SaaS企業
- Fintech
- EC / 小売
- 医療アプリ
- 教育サービス
- 自動車(HMI/UI開発)
⑦ 学生・教育機関
Figma は教育用ライセンスが無料なため、学生ユーザーも非常に多いです。- デザイン学部・情報系学部
- プログラミングスクール
- UI/UX講座
まとめ:Figma の顧客は“デザインに関わるすべての人”へ拡大中
従来:
「誰でもデザインを作れるプラットフォーム」 に明確に進化しています。
必要なら、





