川岸工業株式会社の調査と投資評価

会社概要

項目 内容
商号 川岸工業株式会社 (KAWAGISHI BRIDGE WORKS CO.,LTD.)
創業/設立 創業 1906年(明治39年)、設立 1947年3月22日kawagishi.co.jp
資本金 9億55百万円 (955百万円)kawagishi.co.jp
事業内容 鉄骨の製作・施工および建築用プレキャストコンクリート製品の製造が主事業kawagishi.co.jp。子会社の川岸プランニングが設計・積算業務を行うkitaishihon.com
生産能力 鉄骨: 月産 8,500t、プレキャストコンクリート: 月産 1,500㎥kawagishi.co.jp
従業員数 353名(2024年9月30日現在)kawagishi.co.jp
所在地 本社: 東京都港区東新橋1丁目2番13号kawagishi.co.jp。東京支店、西日本支店があり、千葉・山口・岡山・大阪・筑波などに工場を持つkawagishi.co.jp
上場市場 東京証券取引所スタンダード市場、証券コード 5921kawagishi.co.jp

事業の特徴

鉄骨事業

  • 国内でも数少ない最高位 SグレードおよびHグレード認定工場を持つ鉄骨製作会社であり、超高層ビルをはじめ多くの大型案件を手がけるkawagishi.co.jp

  • 鋼材の発注から設計、現寸、加工、組立・溶接、検査、出荷まで一貫して対応しており、ミリ単位の精度が求められる工程を高度な生産設備でこなすkawagishi.co.jp

プレキャストコンクリート事業

  • 1991年に筑波工場を新設して開始kawagishi.co.jp

  • プレハブ建築協会の品質認定(H認定)を取得し、主に高層住宅向けの柱・梁などを生産kawagishi.co.jp

  • 工場で製品を製作し現場に搬入するため、現場工事の省力化と工期短縮が可能で、高層マンションなどで利用されるkawagishi.co.jp

財務概況(2024年9月期=2024年度)

  • 完成工事高は 2,756億6千万円(27,566百万円)で、前年同期比 6.0%増。内訳は鉄骨 25,711百万円、プレキャストコンクリート 1,854百万円kitaishihon.com

  • 営業利益は 16億69百万円(1,669百万円)で前年同期比 17.9%増kitaishihon.com。原材料価格の高騰を受けながらも採算性の良い大型工事の完成などが利益増加に寄与したkitaishihon.com

  • 経常利益は 19億77百万円(1,977百万円)で前年同期比 15.8%増kitaishihon.com

  • 当期純利益は 14億69百万円(1,469百万円)で前年同期比 17.7%増。人材への投資と賃上げ促進税制による税負担軽減が効果を発揮したkitaishihon.com

  • 総資産は 341億70百万円(34,170百万円)で前期比 1,730百万円増加。流動資産の増加が主因kitaishihon.com

  • 負債総額は 59億67百万円(5,967百万円)で前期比 787百万円増加、純資産は 282億03百万円(28,203百万円)で 943百万円増加kitaishihon.com

  • 現金及び現金同等物残高は 12億59百万円(1,259百万円)で、前年末比 2,336百万円減少kitaishihon.com。借入金残高はなく、自己資本比率は 83.5%(バフェット・コードの指標より)で財務は非常に健全。

  • 受注高は 26,729百万円で前期比 10.4%増だが、受注残高は 25,645百万円で前期比 3.2%減kitaishihon.com。大型案件の完成が影響した。

2025年9月期業績見通し

  • 2024年度の好調から一転し、2025年度は原材料や物流コスト高騰、人手不足による採算悪化、受注の延期など厳しい環境が予想されるkitaishihon.com

  • 会社は2025年9月期の完成工事高を 27,000百万円、営業利益 1,200百万円、経常利益 1,400百万円、当期純利益 1,000百万円と予想し、減益を見込んでいるkitaishihon.com

株式・財務指標(2025年9月19日終値ベース)

指標 数値 出典
株価(終値) 4,510円(2025/09/19)
時価総額 135億円(株式数3,000千株×株価)
出来高 500株と流動性が極めて低いminkabu.jp
PER (調整後) 約9.6倍minkabu.jp
PBR 約0.43〜0.47倍minkabu.jp
配当利回り 約3.1%(1株当たり年間配当予想140円)minkabu.jp
ROE 約5.2%(バフェット・コードより)
自己資本比率 83.5%(バフェット・コードより)
一株当たり配当金 会社予想 140円minkabu.jp
配当性向 30.1%(Yahoo!ファイナンスの配当情報より)

※株価や指標は市場環境により変動します。最新の数値は証券会社等で確認してください。

主な株主構成(2025年3月31日現在)

上位株主は総合商社系の鉄鋼流通企業が大半を占め、筆頭株主の 伊藤忠丸紅住商テクノスチールエムエム建材がそれぞれ約 **16.7%(500,000株)**を保有しているkabutan.jp。自社株(自己株口)が **9.43%(282,800株)**で流通株比率は低いkabutan.jp。その他、SBI証券(5.90%)、川岸興産(5.17%)、神鋼商事(4.70%)、川岸隆一(2.73%)などkabutan.jp。持ち株比率が分散しており、オーナー企業色は薄く、商社系による安定株主が多いことから敵対的買収の可能性は低い。

業界環境とリスク要因

  • 建設需要の動向 – 半導体工場や大型再開発などの大型案件需要は底堅いが、資材価格の高止まりや人件費の上昇により予算不足で発注が見送られる事例が増え、鉄骨需要は低水準で推移しているkitaishihon.com

  • 原材料コストの上昇 – 鉄鋼価格やエネルギーコストが上昇しており、利益率を圧迫しているkitaishihon.com。価格転嫁できない案件では採算が悪化するリスクがある。

  • 2024年問題による物流制約 – 働き方改革関連法によるトラック運転手の時間外労働規制(いわゆる2024年問題)により物流コストが上昇し、人手不足も深刻であるkitaishihon.com

  • プロジェクト集中による業績変動 – 大型案件への依存が大きく、受注時期や進捗によって売上と利益が大きく変動する。受注残高が減少すると翌期の業績に影響が出るkitaishihon.com

  • 景気変動や地政学リスク – ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢など地政学的リスクにより資源価格が高止まりし、国内外の景気変動が続くkitaishihon.com

  • 流動性の低さ – 出来高が500株程度と極端に少なく、売買に伴う株価変動が大きくなりやすいminkabu.jp。大口投資家が取引する際に流動性リスクがある。

投資適格性の評価

ポジティブ要因

  1. 高い財務健全性 – 自己資本比率が80%を超え、借入金はゼロkitaishihon.com。財務基盤が強固で倒産リスクは低い。

  2. 安定した需要基盤 – 高層ビルや公共インフラなど長期的な需要が見込まれる分野で実績を持つ。プレキャストコンクリート事業は工期短縮や省力化ニーズに合致し、今後の建設現場の人手不足対策として期待できるkawagishi.co.jp

  3. 割安感 – PER約9倍・PBR約0.4倍・配当利回り約3%と、株価指標は市場平均より低く、財務内容を考慮すると割安感があるminkabu.jp

  4. 安定株主による経営安定 – 商社系企業が大株主で、経営基盤が安定しているkabutan.jp

ネガティブ要因

  1. 利益の頭打ちと来期の減益予想 – 2024年度は大型案件の完成で増益となったが、会社予想では2025年度の営業利益が約30%減少する見通しkitaishihon.com。受注残高の減少やコスト高の影響を織り込む必要がある。

  2. 景気と政策への敏感さ – 高層建築や工場建設は景気変動や政策の影響を受けやすく、外部環境の変化によって受注が大きく変動するkitaishihon.com

  3. 流動性リスク – 流通株式が少なく日々の出来高が極端に低いため、株価が急変動しやすいminkabu.jp

  4. ROEの低さ – 自己資本が厚いためROEは約5%と日本の製造業平均(約8〜10%)より低い。資本効率を高める施策が求められる。

結論

川岸工業は110年以上の歴史を持ち、国内でも数少ないSグレード認定工場を保有する鉄骨メーカーで、プレキャストコンクリート事業でも省力化需要を捉えている。財務は極めて健全で、配当利回りも3%程度あり株主還元姿勢は堅実である。一方で、業績は大型案件に左右されやすく、2025年度は減益が予想される上、出来高が少ないため流動性リスクが高い。株価指標は割安感があるが、短期的には景気や資材価格の動向に注意する必要がある。投資を検討する際は、建設業界の景気動向や同社の受注状況、利益率の推移、流動性リスクを十分に見極め、中長期的な観点で安定的な収益と株主還元を期待するスタンスが望ましい。

今後の予想ネットキャッシュ比率はどのようになっていきますか ネットキャッシュとは「流動資産+投資有価証券×70%-負債」であり、ネットキャッシュ比率はネットキャッシュを時価総額で割った数値です

川岸工業の最新データをもとに、お示しの定義(ネットキャッシュ = 流動資産 + 投資有価証券×70% − 負債)を使って、直近の推定ネットキャッシュ比率を計算し、今後の動きがどうなりそうか予想してみます。前提と仮定を明示したうえでの見立てですので、参考程度にどうぞ。

最新の数値による計算(第3四半期時点)

まず、最新の決算(2025年9月期 第3四半期、期末 2025年6月30日)の貸借対照表から、必要な項目を整理します。 (Yahoo!ファイナンス)
項目 金額(千円) 補足
流動資産合計 25,418,709 千円 現金預金・受取手形等含む (Yahoo!ファイナンス)
投資有価証券(流動のもの) 1,637,423 千円 投資その他資産のうちの投資有価証券部分 (Yahoo!ファイナンス)
負債合計 5,635,056 千円 流動負債+固定負債合計 (Yahoo!ファイナンス)
時価総額 13,530 百万円 = 13,530,000 千円 Yahoo! Finance より(2025/09/19日時点) (Yahoo!ファイナンス)
計算式に当てはめると、
  • 投資有価証券×70% = 1,637,423 × 0.70 = 1,146,196 千円
  • 流動資産 + 投資有価証券×70% = 25,418,709 + 1,146,196 = 26,564,905 千円
  • ネットキャッシュ = この値 − 負債 = 26,564,905 − 5,635,056 = 20,929,849 千円
ネットキャッシュ比率 = ネットキャッシュ ÷ 時価総額 → 20,929,849 ÷ 13,530,000 ≒ 1.546 = 約154.6% つまり、直近ではネットキャッシュ比率が 約150〜160% 程度、非常に高く、理論上は時価総額を超えるネットキャッシュを保有している状態です。

仮定と注意点

この数値にはいくつかの仮定および留意点があります:
  1. 投資有価証券は流動・非流動のものか区別が必要ですが、今回用いた「投資その他資産」の中の「投資有価証券」が流動・非流動どちらか完全には分からない部分がある。流動でないものを含むならば、×70%対象にするかどうかや、売却可能性をどう見積もるかで結果が変わる。
  2. 時価総額は株価の変動に連動し、また発行済株式数の変動(自己株式の取得など)もある。今回の時価総額は一点時点のもの。株価が上がれば比率は下がりやすく、下がれば上がりやすい。
  3. 負債の性質(流動・固定、利子負担、返済スケジュールなど)や資産の流動性(流動資産のうち現金・現金同等物の比率など)もネットキャッシュの実効性に影響する。
  4. 決算期が進むにつれていろいろな変動がある(売上・利益、キャッシュフロー、資本支出、借入れなど)。期末時点以外の季節変動等もありうる。

今後の予想

このネットキャッシュ比率が将来どのように推移するかについて、以下のようなシナリオを考えられます。
要因 予想の方向 理由
営業活動によるキャッシュの増減 やや増加または維持 最新第3四半期では売上が減少傾向ながら利益を確保・改善しており、キャッシュフローの健全性が保たれている可能性。流動資産中の現金預金が第3四半期で “4,503,883 千円” と、前期末(1,269,971千円)から大きく増えている点からもキャッシュ保有が強化されていることが読み取れる。 (Yahoo!ファイナンス)
資本支出・設備投資 やや抑制から中程度の支出 鉄骨・プレキャストなど製造・施工型企業であり、工場設備や生産能力維持/拡大のための投資は必要。だが過去数期の固定資産の増減を見ても、目立った大型投資が見られるわけではない。現時点では固定資産が若干減少していたり、投資その他資産中の動きも比較的穏やか。 (Yahoo!ファイナンス)
負債の増加リスク 低〜中程度 現時点で短期借入金などの負債増加の項目は一部見られるが、大きな長期借入金の返済負担が重くなっているとの報告は少ない。事業拡大や資金需要が出てくれば借入増加もあり得る。 (Yahoo!ファイナンス)
株価の変動 比率を下げる方向に働く可能性 時価総額が上がれば比率は下がる。特に業績が改善し投資家が評価を上げれば、株価が上昇する可能性あり。その時には「ネットキャッシュ比率」が高いというメリットが株価に織り込まれて、それ自身が比率を下げる圧力となる。

結論:将来のネットキャッシュ比率見込み

以上を踏まえると、今後 1~2 年でのネットキャッシュ比率は以下のような水準レンジになる可能性が高い、と見ています:
  • 楽観シナリオ:比率が現在より少し上昇し、170〜200%付近まで上がる可能性。これは利益およびキャッシュフローが改善し、資本支出などが抑えられ、流動資産・現金預金の増加が続くケース。
  • ベースシナリオ:現状維持またはやや低下し、120〜160%前後に収まる。株価の上昇が比率を抑える要因、また設備投資や仕入・在庫増で流動資産は増えても負債も増える可能性あり。
  • 悲観シナリオ:比率が 100〜120%あたりまで下がる可能性もある。これはキャッシュが使われるか、株価が急激に上がるか、あるいは負債が予想外に増えるケース。ただしこの会社の場合、負債はもともと小さく、自己資本比率が高いため、大きなリスク要因がない限りこのシナリオが実現する可能性は低め。

もしよければ、将来のキャッシュフロー見通しや資本支出計画を入れて、もう少しモデルを作って「○年後にネットキャッシュ比率がどれくらいか」を数値でシミュレートしてみましょうか?

自社株買いはしていますか

はい、川岸工業は最近「自社株買い(自己株式の取得)」を実施しています。主だった情報を以下に整理します。

自社株買いの実績

発表日 内容 取得上限/取得実績
2024年2月26日 自己株式取得を決議。上限が 発行済株式総数の 3.34%(約 10 万株)、または 5 億円。目的は「資本効率の向上および株主還元の充実」。 (株探) 上限設定のみ。 (株探)
2025年1月31日 自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)による取得を発表。 (Yahoo!ファイナンス) 上限 200,000 株・金額 736,000,000 円。実績は 182,300 株・取得価格 約 670,864,000 円 (達成率 約 91.2%)。 (かぶりたん)
2024年12月 前記の 2024 年2月の取締役会決議に基づく取得が、2024年11月から 12月にかけて実施され、取得終了。 (Yahoo!ファイナンス) 総数 100,000 株・総額約 4.22413 億円。 (EDINET)

コメント/特徴

  • 川岸工業は複数回にわたって自己株式を取得しており、株主還元や資本効率の改善を目的としていることが明記されている。 (かぶりたん)
  • 2025年1月の取得では、上限の200,000株に対し実際には約 182,300 株を取得し、91.2% の達成率となっており、高い実行率を示している。 (かぶりたん)
  • 自己株買いの方法として、市場買付 (取引市場での購入) や立会外買付取引 (ToSTNeT-3) が採用されており、実施の柔軟性がある。 (Yahoo!ファイナンス)

もしよければ、「最近いつどれだけ買ったか」「将来の自社株買いがどの程度可能か」も合わせて見てみましょうか?

毎年黒字ですか?

川岸工業が「毎年黒字かどうか」について、過去の業績データを見たところ、以下のような傾向があります。

黒字/赤字の推移

以下は直近10年~15年程度(主に2008年~)の「当期純利益(最終利益)」の推移、および営業利益・経常利益の動向です。データは個別(会社単体)決算ベース。 (IR BANK)
決算期 売上高増減 当期純利益 備考
2008/09 黒字(約 +3,650 万円) (IR BANK) 利益は小規模
2009/09 増収 黒字(4 億円台) (IR BANK)
2010/09 減収 黒字(3~4 億円台) (IR BANK)
2011-2013 減収傾向+コスト増などで 赤字(複数年) (IR BANK)
2014-2016 回復基調。黒字に転じる年あり。 (IR BANK)
2017-2024 比較的安定して 黒字。特に 2021, 2022, 2023, 2024 期は純利益もプラス。 (IR BANK)
2025 予想(2025/09 期予想) 減収見込み 純利益予想はプラスだが前期比マイナス予想(減益) (IR BANK)

結論:毎年黒字か?

  • 全期間を通して「毎年」黒字というわけではありません。特に 2011年〜2013年 の期間に赤字決算が続いたことがあります。 (IR BANK)
  • ただし、近年(ここ5〜6年程度)は黒字が続いており、業績も比較的安定してきています。営業利益・経常利益・純利益がプラスの年が多いです。 (IR BANK)
  • 2025年9月期については、売上高は減収予想であるものの、純利益はプラス予想になっており、減益見込みの年とはなりそうですが、赤字予想ではありません。 (IR BANK)

もしよければ、予測モデルを使って「今後5年毎期に黒字を維持できるか」の見通しも出してみますか?

最上位のSグレードおよびHグレードとはなんですか

川岸工業の説明に出てきた「Sグレード」「Hグレード」というのは、建築鉄骨の製作工場に対する国土交通大臣認定の工場製作認定グレードを指します。これは「鉄骨製作工場認定制度」と呼ばれる制度で、建築物の規模や重要性に応じて鉄骨の品質や施工能力を保証するための仕組みです。

鉄骨製作工場認定制度とは

  • 日本建築学会・国土交通省の基準に基づき、鉄骨を製作する工場の技術力・品質管理体制・施工能力を評価してランク付けする制度。
  • 認定を受けた工場のみが、特定の規模以上の建築物に使われる鉄骨を製作できます。
  • グレードが高いほど、超高層ビルや大規模施設といった高度な施工精度を要求される建物に対応可能となります。

グレード区分

鉄骨工場は「S・H・M・R・J」の5段階に分類されています。
グレード 対応できる建物規模 特徴
Sグレード もっとも厳格。超高層ビル、大型スタジアム、発電所など 技術者数、検査体制、製造設備すべてが最高レベル
Hグレード 高層建築(高さ45m超〜60m未満)や大規模施設 高精度の溶接技術と検査体制が求められる
Mグレード 中層建築(高さ31m超〜45m未満) 一般的な中規模ビルや商業施設
Rグレード 低層建築(31m以下) 倉庫や中小規模建物
Jグレード 小規模鉄骨 住宅や簡易な建築物向け

まとめ

川岸工業が「Sグレード」「Hグレード」両方の認定を持っているというのは、超高層ビルや大規模建築物に必要な鉄骨を製作できる最高水準の能力を有していることを意味します。 この点は、同社が日本の大規模建築プロジェクト(高層ビルや公共施設)に参画できる強みとなっています。
ご希望なら、SやHグレードの取得要件(技術者資格・溶接検査・設備条件など)をさらに具体的に一覧化して説明しますか?

SやHグレードの取得要件(技術者資格・溶接検査・設備条件など)をさらに具体的に一覧化してださい。 あと国内で取得している他社はどの程度ありますか?

  了解です。公式の性能評価基準(全鉄評)に基づいて、S・Hグレードの取得要件を“要点だけ短く”まとめます。最後に、いま日本でS/Hを持つ工場数も示します。

取得要件(抜粋の要点)

Hグレード(高層・大規模向けの上位グレード)

  • 対象範囲 400N/490N/520N級の鋼材、板厚60mm以下(特定部位は60mm超も可)。溶接姿勢は下向・横向・立向。溶接技能者は SA-3F/3H/3V または A-3F/3H/3V
  • 必置の管理人員(正社員を含むことが明記)
    • 製作管理技術者:1名以上(鉄骨製作管理技術者1級または一級建築士)。
    • 溶接管理技術者:1名以上(溶接管理技術者1級または鉄骨製作管理技術者1級で、資格取得後3年の実務経験)。
    • 検査管理技術者:製品検査(建築鉄骨製品検査技術者)、UT(建築鉄骨超音波検査技術者または非破壊試験技術者 UT)、必要に応じてPT/MT担当者。
  • 必置の製造設備 のこ盤/直立ボール盤/自動ガス切断機/被覆アーク・CO₂溶接機/エアアーク/クレーン(10t×1以上または5t以上×2以上)/下向溶接用回転治具/ブラスト設備/溶接棒乾燥機。 ※箱形断面(BOX柱)を自社製作する場合は、SAW(サブマージアーク)・ESW(エレクトロスラグ)・フェーシングマシンを必置。
  • 必置の検査設備 検査台/各種精度測定器具/電流・電圧計/表面温度計・温度チョーク/UT装置PT器具/ルーペ(×5以上)/膜厚計、など。
  • 社内基準の整備 工作基準・検査基準・製作要領書作成基準・外注管理基準は必須。

Sグレード(最上位:超高難度・大規模案件に対応)

  • 適用・審査の骨子 Hと同様に品質管理体制・製作工程図・実績、各種社内基準(工作/検査/製作要領/外注管理)を厳しく審査。検査設備の必置リスト(検査台、UT・PT装置、膜厚計など)も明示。
  • 人員要件 管理技術者・管理責任者・溶接技能者に正社員配置が求められ、大型・特殊構造物の製作実績大型PJの技術取りまとめ実績も要求。
  • 検査・製作要領 検査は有資格者が担当し、製作要領書には入熱・パス間温度・予熱管理などを具体に記載し、管理技術者・溶接管理技術者・検査管理技術者が確認・押印。
  • 設備要件 製造設備の保守・点検・台帳管理が必須(設備種類・能力・設置数の適切性も確認)。
補足(BOX柱設備について) 「SグレードはBOX柱製造設備が事実上必須」という実務解説は業界記事にも見られますが、公式要件としては「箱形断面部材を自社製作する場合にSAW/ESW等が必須」と明記されています。S工場の多くが超高層案件に対応するためBOX柱製造設備を備えるのが通例、という理解が近いです。

いま日本での保有状況(工場数)

**全鉄評の最新公表(2025年3月31日現在)**によるグレード別・所在地別工場数です(海外拠点を含む)。全国合計は次の通り:
  • S:8工場/H:304工場/M:834工場/R:584工場/J:39工場(計 1,769)。 (全鉄標)
※都道府県別の内訳(例:愛知S=0/H=14/M=32/R=48/J=7、東京S=0/H=1/M=8/R=4/J=0 など)も公開されています。必要なら地域・社名リストも引けます。 (全鉄標)
「川岸工業(千葉第一工場など)」のSグレード登録可否や、同社のHグレード取得工場の照合も可能です。名寄せして一覧にしますか?(全鉄評の大臣認定工場リストSグレード名簿から抽出します。) (jsa-center.co.jp

工場は古いですか?更新で資金が多く必要ですか

工場が「古いか」「更新に資金が多く必要か」について調べたところ、いくつかのヒントがあり、完全な情報ではないですが、下記の通り整理できます。

手がかりとなる事実

  1. 設備増強・更新の動き 川岸工業は設備増強やメンテナンス、環境投資に積極的である、との報道があります。具体例として、2025年4月の記事では以下が挙げられています。 (鉄鋼・非鉄金属業界の専門紙「日刊産業新聞」)
  2. 老舗かつ歴史のある会社 川岸工業は創業 1906年(明治39年)で、120年以上の歴史を持つ企業です。工場・拠点も複数あり、事業規模と歴史を考えると、古い設備や既存の設備の継続使用部分が多い可能性は高い。 (EDINET)
  3. 工場紹介での設備内容 工場紹介ページでは「鉄骨製作/検査設備」など比較的充実した設備を持っている旨の記載があります。工場は “伸線設備や製品検査試験設備などの多彩で充実した設備” を保有しているとの記載も見つかります。 (Baseconnect)

推論:工場の“古さ”と更新ニーズ

これらの情報から以下のように考えられます:
  • 歴史の長い会社であるため、初期または中期設立の設備の一部は古くなっている可能性があります(建屋・機械・補助設備など)。
  • ただし、Sグレード工場など高い認定を維持するためには、検査設備・溶接設備・溶接管理体制等、一定の更新・保守が必要であり、それを行ってきている様子が「設備増強」「環境投資」「メンテナンス」の文脈で見える。したがって、「完全に古びていて使い物にならない」状態ではなく、継続的に更新・補修が行われていると見られる。

更新で必要となる資金の見立て

更新・設備投資がどの程度必要かを見積もる際のポイント:
要素 見込みコスト源 規模感
機械・設備更新(溶接機/加工機/検査機器) 高価な工作機械や検査機器は数千万円~数十億円規模になることも(新規導入または置き換え) 会社が「8.2億円」の設備投資を1 年で行っていること認められており、小~中規模の更新が年度ごとに発生している。 (鉄鋼・非鉄金属業界の専門紙「日刊産業新聞」)
環境・安全規制対応 ボイラー燃焼方式の改修、排ガス処理、温度管理/保温などの対応などが含まれる。これらは改修・設置コストがそこそこかかる。 (鉄鋼・非鉄金属業界の専門紙「日刊産業新聞」)
建屋・インフラ(クレーン等重機の支持構造・床耐荷重・電力容量など) 古い工場では電力インフラやクレーン、荷揚げ設備の改修が必要な場合があり得る。見える化がされていないが可能性あり。 規模による。古い部分を残している工場であれば、これらの設備更新や保守も定期的に必要。
検査・品質管理設備の維持・更新 UT・PT・各種測定器・治具などの校正・更新・追加が必要。品質基準が高い案件(Sグレード等)対応のため、検査設備を常に最新要件に合致させる必要。 比較的小規模から中規模の投資で済むが、頻度・品質要件が高まる程コストがかかる。

総合判断

  • 工場は古い部分が残っている可能性は高いですが、“老朽化”が放置されて使い物にならないというレベルではなく、更新や設備投資を定期的に実施しており、S/Hグレードの認定を保つための水準を維持しようとしている動きが見える。
  • それでも、設備の世代交代、新規設備の導入、環境規制などの強化に対応する必要性はあり、中期的にはかなりの資金投入が継続的に必要と見られる。
  • 今回のような「8億2000万円規模」の年度での設備投資が、ある程度の基準になっている可能性があり、それを上回るかどうかは案件受注規模、新規需要、技術革新、顧客要求などに左右される。

もしよければ、過去 5 年間の設備投資額を推移で集めて、「更新コストペース」を数値で見えるようにしてみますか?それによって、今後の必要資金の見積もりがより具体的になります。