答え:④

各系の等価ばね定数 keqk_{\text{eq}}

     
構成 計算 keqk_{\text{eq}} 
壁― kk―質量 そのまま kk 
壁― kk kk―質量(直列) 1keq=1k+1k\dfrac{1}{k_{\text{eq}}}=\dfrac{1}{k}+\dfrac{1}{k}  k2\dfrac{k}{2} 
壁― kk―質量― kk―壁(左右対称) 並列的に左・右の両ばねが同じ変位 xxを受ける → 力 2kx2kx  2k2k 
左側に kk=2kk\parallel k=2k,右側に kk(両端固定で並列) 全体で 2k+k2k+k  3k3k 
左側 kk,右側 kk kkの直列 → k/2k/2(並列合成) k+k2k+\dfrac{k}{2}  3k2\dfrac{3k}{2} 

固有振動数

ωn=keqm\omega_n = \sqrt{\frac{k_{\text{eq}}}{m}}   よって keqk_{\text{eq}} が最大の ④( 3k3k ) が最も高い固有振動数をもつ。   参考:ばね | 副業の宮殿【PR】 技術士第一次試験-令和2年度機械部門Ⅲ-17解答例 | 技術士のたまご

ばねは直列、並列、物体を挟んで接続したときの効果を説明してください

ばねの組合せ・配置によって系全体の「剛性(ばね定数)」と応答特性が変わります。代表的な3つのケースを挙げて説明します。

1. 直列接続(Series)

構成例:壁― k1k_1 k2k_2 ―質量
  • 力の伝達:両ばねに同じ力 FF  がかかる。
  • 変位の合成:全変位 x=x1+x2x = x_1 + x_2  (それぞれの伸びの和)。
  • 等価ばね定数 1keq=1k1+1k2keq=(1k1+1k2)1 \frac{1}{k_{\rm eq}} =\frac{1}{k_1}+\frac{1}{k_2} \quad\Longrightarrow\quad k_{\rm eq}=\Bigl(\tfrac1{k_1}+\tfrac1{k_2}\Bigr)^{-1} 
  • 物理的効果:剛性が低下(コンプライアンス↑)。大きな変位を吸収したいときに用いる。

2. 並列接続(Parallel)

構成例:壁―【 k1k_1 ‖  k2k_2 】―質量
  • 変位の共通性:両ばねが同じ変位 xx  を受ける。
  • 力の分担:総力 F=F1+F2=k1x+k2xF = F_1 + F_2 = k_1 x + k_2 x  。
  • 等価ばね定数 keq=k1+k2 k_{\rm eq} = k_1 + k_2 
  • 物理的効果:剛性が上昇(コンプライアンス↓)。短い変位でも大きな復元力が必要なときに用いる。

3. 質量を挟んだ両側ばね(Sandwich/両端固定)

構成例:壁― k1k_1 ―質量― k2k_2 ―壁
  • 質量が少し右へずれると、両側のばねが同じ変位量だけ伸び縮みし、両ばねの力が質量を元の位置へ引き戻す。
  • 実は「並列接続」と同等:質量に対する合力は F=k1x+k2x=(k1+k2)x F = k_1 x + k_2 x = (k_1 + k_2)\,x 
  • 等価ばね定数 keq=k1+k2 k_{\rm eq} = k_1 + k_2 
  • 効果:質量は1本のばねより強く固定されるので,固有振動数は高くなる。

応用と注意点

  • シリーズ⇔並列の切り替え システム構成によっては「壁―ばね―質量―ばね―壁」を「質量に対して並列2本」と見なせる一方、「ばね―ばね―質量」のように質量の一側のみ接続だとシリーズモデルになります。
  • 固有振動数への影響 ωn=keq/m\omega_n=\sqrt{k_{\rm eq}/m}  より,並列(または両側)のばねで剛性を上げると固有振動数が上昇、シリーズで下げると固有振動数が低下します。
  • 実機では「ばねの変形量」「取付け位置」「取付剛性」 なども考慮が必要です。

以上が,直列・並列・挟み込み(並列と同等)のばね接続による主な効果です。必要に応じて「多自由度系での拡張」「柔軟体モデルとの違い」などもご説明できます。続きをどうぞ。