令和2年度技術士第一次試験問題[機械部門] 専門科目Ⅲ-19 外力励振系における共振現象と関連用語

著者:副業の宮殿|製造業に携わる現役エンジニア。技術士試験対策書籍をKindleで複数出版。技術ブログ「副業の宮殿」にて製造業DX・AI活用の情報を発信中。

解答:②

  • ア:極大
    一定振幅の加振力でも周波数によって応答振幅が変化し,ある周波数で最大(極大)になる。
  • イ:共振
    その現象を「共振 (resonance)」という。
  • ウ:共振振動数
    共振が起きる周波数を「共振振動数」と呼ぶ。
  • エ:無限大
    無減衰系では,その共振周波数で振動が時間とともに発散し,振幅は理論上無限大に行く。

よって最適な組合せは ② 極大/共振/共振振動数/無限大 です。

 

参考:技術士第一次試験-令和2年度機械部門Ⅲ-19解答例 | 技術士のたまご

固有振動数、励振振動数について教えてください

固有振動数(natural frequency)

  • 定義:外力を切った後の「自由振動」のときに系が固有に振動する角周波数。ばね‐質点系なら
    ωn=km[rad/s] \omega_n = \sqrt{\frac{k}{m}} \quad[\mathrm{rad/s}](質量

    mm,ばね定数

    kk

  • 物理的意味:系の「慣性」と「剛性」が決める固有の周期で,減衰がなければ永遠に振動する。
  • 減衰付きの場合:減衰比
    ζ\zeta
     

    を導入すると自由振動は指数減衰しつつ振動し,その振動角周波数は

    ωd=ωn1ζ2(0<ζ<1) \omega_d = \omega_n\sqrt{1-\zeta^2} \quad(0<\zeta<1)となり,減衰があると実際の振動はややゆっくりになる。


励振振動数(forcing frequency/excitation frequency)

  • 定義:外力(入力力)が正弦波
    F(t)=F0sin(ωt)F(t)=F_0\sin(\omega\,t)
     

    の形で加えられるときの,その外力の角周波数

    ω\omega 

  • 物理的意味:系が「何回/秒」のリズムで引っ張られるかに対応し,この値を掃引(スイープ)することで系の周波数応答を調べる。
  • 共振との関係:外力の周波数
    ω\omega
     

    が系の固有振動数

    ωn\omega_n 

    (または減衰系の共振周波数

    ωr\omega_r 

    )に近いとき,応答振幅が最大になる(共振ピーク)。


強制振動の振幅特性

単一自由度・粘性減衰系の定常正弦応答振幅比は

X(ω)Xstatic=1(1(ω/ωn)2)2+(2ζω/ωn)2\frac{|X(\omega)|}{X_{\rm static}} =\frac{1}{\sqrt{(1-(\omega/\omega_n)^2)^2 + (2\zeta\,\omega/\omega_n)^2}}

 

となり,

ω\omega

を変えると振幅が変化する。

  • 無減衰では
    ω=ωn\omega = \omega_n
     

    で理論上振幅無限大(理想共振)

  • 減衰ありでもピークは
    ωr=ωn12ζ2\omega_r=\omega_n\sqrt{1-2\zeta^2}
     

    ζ<1/2\zeta<1/\sqrt2 

    )付近で立つ


まとめ

  • 固有振動数:系が「自由に」振動するときの周期(系固有)。
  • 励振振動数:外力が「何回/秒」で振動しているかの周波数(入力)。
  • これらが一致すると“共振”が起き,応答振幅が最大(あるいは発散)する。

固有振動数と共振振動数は同じ値になりますか?

固有振動数と共振振動数は,一般には一致しません(ただし無減衰系では同じになります)。


目次

1. 無減衰系の場合( ζ=0\zeta=0

 

 

  • 固有振動数
    ωn=k/m\displaystyle \omega_n=\sqrt{k/m}
     
  • 周波数応答のピーク(共振)が起きる周波数も
    ωr=ωn\omega_r=\omega_n
     

    → 無減衰では ωₙ=ωᵣ になります。


2. 減衰系の場合( ζ>0\zeta>0

 

 

  • 固有振動数 はあくまで「自由振動」の基準:
    ωn=km \omega_n=\sqrt{\frac{k}{m}} 
  • 共振振動数(周波数応答で最大振幅になる周波数)は,減衰があると自由振動とはずれて
    ωr=ωn12ζ2(ζ<1/2) \omega_r =\omega_n\sqrt{1-2\zeta^2} \quad(\zeta<1/\sqrt2)となり,

    ωr<ωn\omega_r<\omega_nです。


  • ζ\zeta
     

    が大きくなるほどピーク周波数はさらに低下し,

    ζ1/2\zeta\ge1/\sqrt2 

    以上では顕著な共振ピーク自体が消えます。


3. まとめ

系の状態 固有振動数

ωn\omega_n 

共振振動数

ωr\omega_r 

無減衰 (

ζ=0\zeta=0)

ωn\omega_n 

ωr=ωn\omega_r=\omega_n 

減衰 (

0<ζ<1/20<\zeta<1/\sqrt2)

ωn\omega_n 

ωn12ζ2  <ωn\omega_n\sqrt{1-2\zeta^2}\;<\omega_n 

強い減衰 (

ζ1/2\zeta\ge1/\sqrt2)

ωn\omega_n 

共振ピークなし

→ 減衰がある限り,固有振動数と共振振動数はずれる ことを押さえておいてください。

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