• TGV(Through-Glass Via)ガラス基板の学術・技術文献ディープリサーチ(2010–現在中心)

    エグゼクティブサマリ

    TGV(Through‑Glass Via)は、ガラス基板を貫通する垂直配線(ビア)を形成し、ガラスインターポーザ/ガラスコア基板/MEMS・光学パッケージの電気接続を担う中核技術である。ガラスは絶縁体であるため、高周波での低損失・低寄生容量が期待され、さらに材料組成でCTE(熱膨張係数)を調整でき、大面積(パネル)対応も見込まれる。

    技術的なボトルネックは大きく「①ガラス貫通孔を高精度・高密度・低欠陥で作る(形成)」「②高アスペクト比孔へ均一に金属化し、必要ならボイド無しで充填する(導通・充填)」「③熱・機械信頼性(Cu‑ガラスCTEミスマッチ起因の応力、Cu突出、クラック、界面剥離、湿熱・ヘリウム気密など)を満たす(信頼性)」の三領域に分解できる。

    形成法は、(A) 直接レーザー(CO₂/UV/ピコ秒など)に加え、(B) レーザー改質+選択湿式エッチング(LIDE/LMCE/SLE系)、(C) フォトストラクチャブルガラスの光化学エッチング(PCE)、(D) 乾式エッチング(ICP‑RIE/DRIE系)、(E) 放電加工(Focused Electrical Discharging/ECDM系)、(F) ガラスリフロー、(G) ワイヤ挿入(磁気組立)などが主流である。特にLIDEは「特徴サイズ~5 µm、AR~1:50、欠陥(マイクロクラック等)抑制、バッチエッチの高スループット」を前面に、パネル量産を想定した技術文献が急増している。

    金属化・充填では、(i) 高AR孔へのシード層形成(スパッタ、MOCVD等)、(ii) 電解めっきでのボイドレス充填、(iii) CMPによる平坦化、(iv) RDL形成がプロセス鎖の要点となる。高AR化に伴い、シード被覆・めっき均一性・ボイド/シーム・CMPのディッシング/エロージョンが歩留まり支配因子となる。

    信頼性面では、CuとガラスのCTEミスマッチが応力源になり、アニール工程や温度サイクルでクラック(放射状/周方向)やCu突出が顕在化する。加熱レートの上限設定でクラックを除去できた報告(≤6.5 °C/min)や、温度領域(~250 °C付近)でガラス面内変位が最大化し、その後Cuクリープと突出で変形が緩和されるとしたin‑situ観測が、実装プロファイル設計(レシピ制約)に直結する。

    産業応用は、高周波/ミリ波(低損失配線・AiP)、光学/MOEMS(透明・光学整合)、MEMSセンサ(WLP、気密封止)、2.5D/3D集積(ガラスコア基板)が中心である。ガラス基板の産業化に向けては、製造・計測・プロセス制御の「全工程最適化」と、実装互換(RDL/バンプ/接合/シンギュレーション)の標準化が鍵になる。

    調査範囲と手法

    本調査は、2010年以降(2010–2026)を中心に、原著論文→レビュー→特許→技術報告の優先度で、英語・日本語の公開資料を横断した。主に以下を用いた。ScienceDirect(Microelectronics Reliability等)、Springer(Journal of Materials Science: Materials in Electronics等)、PMC(オープンアクセス論文)、各社/学会PDF(IMAPS、メーカー資料)、特許(Google Patents)。

    一方、IEEE Xplore、Google Scholar、Web of Scienceは、環境側のアクセス制限(403/robot制限)により、本文献環境からの直接参照が一部困難だった。そのため、IEEE系は公開PDF(研究機関配布、IMAPS配布、大学リポジトリ等)・DOIメタデータ・出版社/二次リポジトリの情報を併用し、可能な範囲で相互照合した。

    引用数(被引用)は、プラットフォーム間で値が異なるため、「参照元サイトが表示する値(2026‑03‑04参照)」をそのまま記載し、比較表・ランキングではこの差異を注記した(例:CiNiiの引用カウントは収録範囲が限定されやすい)。

    TGVプロセスの全体像と工程リスク

    TGV製造は、(1)基板(ガラス)品質・厚み均一性の確保、(2)ビア形成、(3)洗浄・表面調整、(4)シード/バリア/密着層形成、(5)Cuめっき充填、(6)CMP平坦化、(7)RDL形成、(8)バンプ形成・実装、(9)洗浄・検査・シンギュレーション、(10)信頼性評価、の連鎖で理解するのが実務的である。欠陥や汚染は上流で増幅され、最終不良(クラック、未充填、断線、歩留まり低下)として顕在化する。

    ガラス基板選定・受入検査\n厚み均一性/微小欠陥/表面粗さ
    洗浄・表面調整\nウェット/プラズマ
    TGV形成
    レーザー直接(CO2/UV/ps/fs)\nアブレーション/穴あけ
    レーザー改質+選択エッチ\nLIDE/SLE/LMCE系
    光化学(フォトストラクチャブルガラス)\n露光→熱処理→HF等でエッチ
    乾式(ICP-RIE/DRIE)\nプラズマで深堀り
    放電(ECDM/Focused Discharge)
    ガラスリフロー/鋳込み\n金属プラグ封入等
    ワイヤ挿入/磁気組立
    形成後洗浄・欠陥検査\n欠け/微小クラック/テーパ
    シード/密着層形成\nTi/Cu, Cr/Cu, MOCVD等
    Cuめっき/充填\nボイド/シーム抑制
    CMP平坦化\nディッシング/エロージョン
    RDL形成\n露光・エッチ・再配線
    バンプ形成/接合\n熱プロファイル管理
    信頼性評価\n熱サイクル/熱衝撃/HAST/気密
    コードを表示する

    Application of Through Glass Via (TGV) Technology for Sensors Manufacturing  and Packaging

    TGV (Through glass vias)/ Interposers

    LIDE two-step process: 1) single pulse laser modification of the whole... |  Download Scientific Diagram

    Investigation of low-cost through glass vias formation on borosilicate glass  by picosecond laser-induced selective etching | Journal of Materials  Science: Materials in Electronics | Springer Nature Link

    工程リスクの典型例として、ガラスパネルの微小クラック・異物、フォトレジスト塗布欠陥、厚み不均一がビア形成の深さ・径ばらつきを誘発し、以後のメタライゼーションやCMPで欠陥が顕在化する(欠落TGV、未貫通、メタ後クラック等)。 さらに、シード層不良はCuめっきのボイド/シームに直結し、CMP条件不適合は平坦性不足やCuの過剰ディッシングでRDL断線・信頼性低下を招く。

    代表論文・レビュー・特許の整理

    原著論文・主要会議論文の代表例

    (表の「形成法」「電気特性」「熱/機械特性」「課題」は、公開本文・要旨・出版社ページ等に記載された範囲で要約。未記載は「—」。被引用は参照元の表示値。)

    代表文献(筆頭著者) 誌/会議 目的 材料 TGV形成法 導通/充填技術 電気特性(例) 熱/機械特性(例) 製造上の課題 主要結果 引用数* DOI/リンク
    Michael Töpper ほか 2010 ECTC Siインターポーザ代替としてTGVガラスを提案(RF/マイクロ波特性・実装可能性) SCHOTT HermeS(Wプラグ封入ガラス)等 ガラス溶融でWプラグ封入(ドリル/充填不要) Wプラグ(タングステン) 100 µm径/500 µm厚でRF伝送をEM解析、垂直ビアが有利 初期の熱サイクルで有望と報告 TSV(Si)に比べ製造コスト・プロセス複雑性 ガラス+Wプラグが薄膜RDL工程に適合し得ることを示唆 179(検索表示)/CiNiiでは3 doi:10.1109/ECTC.2010.5490887 
    Ping-Han Pei ほか 2012 ISOM フォトストラクチャブルガラスで低欠陥TGV形成 Foturan系(光感応ガラス) PCE(露光→結晶化→HFエッチ) 0.3 mm厚で37.5 µm径(AR≈7.8)等 「低コスト・大面積」志向、レーザー直接より低エネルギー 乾式は高コスト/長時間、直接レーザーは高エネルギー・クラック懸念 高選択比の光化学エッチでTGV形成を実証 2
    Ju-Yong Lee ほか 2013 J. Micromech. Microeng. RF MEMS向けにボイドレスCu充填TGVを実証 Pyrex(ホウケイ酸) パターンSiモールドでガラスリフロー→垂直ビア シードレスCu電解めっき(ボトムアップ) 例:TGV抵抗36 mΩ、挿入損失0.197 dB/反射損失20.032 dB@20 GHz(パッケージ構造) 低損失RFを示唆 ボイドレス充填、滑らか側壁 リフロー+シードレスで高品質Cu‑TGV 100(ADS表示) doi:10.1088/0960-1317/23/8/085012 
    Shintaro Takahashi ほか(AGC Inc.) 2013 IMAPS/ISOM 低コスト・高密度TGVと金属化を実証 アルカリフリーガラスEN‑A1 Focused Electrical Discharging(<1 msで局所溶融→破壊) TiW/Crシード+Cuめっき(コンフォーマル)、導電ペースト充填も検討 単一ビア抵抗15–18 mΩ(コンフォーマルCu) EN‑A1の物性(CTE≈3.8 ppm/°C等)提示 薄ガラス100 µmで50 µmピッチ、径20 µm達成 放電法で薄~厚ガラスに適用、充填/ペーストも提示 10(CiNii表示)
    Yu-Hsiang Tang ほか 2015 IEEE‑NEMS QuartzでのICP‑RIE TGV形成・設計ルールとプロセス鎖提示 石英ガラス フォトリソ+ICP‑RIE(C4F8/He等) Ti/Cuシード→PRめっき→シード除去 例:エッチ速度0.408 µm/min、側壁89°、径50–300 µm 厚ガラスでは時間増大(300–500 µmで12–16h等) チャージアップ/選択比/粗さ/マスク剥離 実プロセスフロー(シード→めっき)を含め提示
    Lei Lin ほか 2016 Microsyst. Technol. fused silicaのICPエッチ条件最適化 fused silica C4F8/Ar ICPエッチ エッチ>1 µm/min・角度≈90°の条件探索 速度と形状(垂直/テーパ)のトレードオフ ガラスDRIE/ICPの設計窓を提示 14 doi:10.1007/s00542-015-2449-z 
    Miku J. Laakso ほか 2018 IEEE Access 高品質側壁が得にくいTGVを「金属ワイヤ充填」で回避 ガラス(孔は別工程で形成) (孔形成は前提)ワイヤを磁気組立で挿入 金属ワイヤ挿入、上面にソルダ設置実証 典型抵抗64 mΩ 中空でなく上面バンプ配置が可能 高ARめっきの難しさ回避 めっき依存を下げる新しい導通コンセプト 46(EPFL表示) doi:10.1109/ACCESS.2018.2861886 
    Fang Yang ほか 2018 Micromachines(PMC) MEMS WLP向けにレーザードリルTGVと課題(デブリ/金属化)に対処 Pyrex 7740 ピコ秒レーザー(532 nm)ドリル 金属化工程含む(本文では信頼性懸念も議論) 300 µm厚で最小入口径90 µm、出口48 µm、4インチで4874穴に~9h58m テーパ・デブリ・金属化が課題 WLPプロセスとして成立性提示 30(PMC表示)
    Yoichiro Sato ほか 2019 J. Mater. Sci.: Mater. Electron. ポリマーラミネート薄ガラスで欠陥の少ないTGVレーザードリル探索 アルカリフリーガラスEN‑A1+ポリマー CO2、UV‑YAG(355/266)、ArFエキシマ等比較 (主題は形成欠陥) ガラス+ポリマー界面損傷/応力などを議論 ポリマー界面損傷→後工程で剥離等の懸念 ArFが損傷最小など形成メカニズムを整理 22(RG表示) doi:10.1007/s10854-019-01354-5 
    Chukwudi Okoro ほか(Corning Incorporated) 2021 Microelectron. Reliab. Cu‑TGV基板の放射状クラック要因と除去(アニール条件) Corning HPFS fused silica (既製TGV)アニール工程起因クラックを解析 CuメタライズTGV 加熱レートがクラック発生を指数的に増加、≤6.5 °C/minで除去 420 °CアニールでCTEミスマッチ応力→クラック 熱プロファイル設計/応力制御 工程レシピ制約(上限加熱レート)を具体化 39(SD表示) doi:10.1016/j.microrel.2021.114092 
    Ke Pan ほか 2022 Microelectron. Reliab. 温度負荷時のCu突出とガラス変形をin‑situ計測 Cu‑TGV(ガラス) 23→400 °C加熱冷却でCu突出を計測、ガラス面内変位は~250 °Cで最大、ランプレート依存 Cuクリープ/突出と変位緩和を議論 実装温度プロファイルと力学応答の連結 ランプレート最適化の必要性 30(SD/ADS表示)
    Chukwudi Okoro ほか 2022 Microelectron. Reliab. Cu‑TGVのヘリウム気密信頼性評価 HPFS fused silica CuメタライズTGV 失敗基準>1×10⁻⁸ atm·cm³/s、HTS/熱衝撃/HAST等を実施 熱衝撃9000サイクル等で多くが規格を上回る、HASTでTi–Cu界面の酸化腐食が原因例 湿熱・界面腐食 気密用途の成立性と失敗メカニズムを提示 6(SD表示)
    Yu-Hsun Chang ほか 2024 J. Mater. Res. Technol. CuめっきTGVの均一性・結晶組織最適化 500 µm厚ガラス、X字形TGV (既製TGV形状を前提) 単段/多段DCめっき比較 多段めっきでスローイングパワー改善、粒径/HAGB/TB増で延性等に有利 均一被覆/機械特性改善 FEA+EBSDで多段めっきの優位を提示 20(SD表示) doi:10.1016/j.jmrt.2024.06.137 
    Chul Hwa Jung ほか 2025 J. Alloys Compd. LMCEでTGV形成→PPR電解でCuボトムアップ充填、はんだバンプ形成 ガラスインターポーザ LMCE(レーザー改質+化学エッチ) PPR電解めっきでCu充填、Sn‑57Bi‑0.3Agバンプ ボイドレス充填・バンプ形成の統合 形成+充填+バンプの一体化を実証 3(SD表示)
    Daniel Franz ほか 2025 Optics & Lasers in Engineering USPレーザー孔あけのテーパ/クラック抑制と熱耐性評価 Borofloat 33(200 µm厚) USPレーザー(fs/ps比較)多経路スキャン 125 µm径、最小テーパ7.3°(ps条件、クラック無し)、ピッチ最小180 µm 950 °Cまでの熱サイクル/衝撃で最小ピッチではクラック無し、残留応力平均8.2 MPaへ低減(‑37.4%) fsではmicrocrack/裏面アブレーション等 スキャン戦略で形成品質と熱耐性を改善 1(SD表示) doi:10.1016/j.optlaseng.2025.109106 

    *引用数は参照元プラットフォーム表示(2026‑03‑04参照)であり、データベース間で不一致になり得る。

    レビュー論文(俯瞰に有用な代表例)

    レビュー(筆頭著者) 対象範囲 主要論点 引用数(表示) DOI/リンク
    Yangyang Lai ほか 2024 Microelectronics Reliability ガラス基板/ガラスインターポーザ/TGVの熱機械信頼性レビュー ガラス脆性・クラック感受性、TGV・RDLの信頼性論点を体系化 44(SD表示) doi:10.1016/j.microrel.2024.115477 
    Chao Yu ほか 2023(誌面は2024号) Sensors(MDPI) センサ製造/パッケージ向けTGV形成・金属化・応用レビュー 形成法(AJM/ECDM/レーザー/フォト感応ガラス等)、サイズ/ARレンジ、産業応用 64(MDPI表示) doi:10.3390/s24010171 

    特許(形成・金属化・パッケージの代表例)

    公報番号 出願/公開年 出願人/権利者(例) 主題 TGV関連ポイント リンク
    WO2018210484A1 2018 (LIDE系) LIDEによるガラス加工/分割等 LIDEがTGV形成(精密孔)として言及、レーザー改質+エッチの枠組み
    WO2020061437A1 2020 (TGV Cu金属化) 薄ガラスTGVのCu金属化 TGVへの銅メタライゼーション工程に焦点
    US9686861B2 2012/2017 (ガラスコア基板) IC向けガラスコア基板 ガラスコア、貫通ビア、配線層の構成
    US10903157B2 2017/2021 (半導体デバイス) ガラス基板コア層+コアビア ガラス貫通ビアと両面配線の接続構造
    US20220406696A1 2022 (パッケージ基板) ガラスコアで垂直電源プレーン レーザー支援エッチで高密度孔(~50 µm級)を想定

    形成法・導通/充填法の技術比較

    形成法別の能力レンジ(報告値/公開仕様に基づく)

    まず、形成法の「穴径の下限(代表値)」を、公開文献で比較する(同一条件比較ではなく、各法の“到達例”として読む)。

    TGV形成法:報告される最小穴径の代表例(小さいほど微細)LIDE(レーザー改質+エッチ)放電法(Focused Discharge)光化学(PCE/Foturan)レーザー直接(psドリル)1009080706050403020100最小穴径 (µm)
    コードを表示する

    次に、代表論文を形成法カテゴリーで俯瞰する(本レポートの「代表原著」集合における内訳であり、市場シェアではない)。

    30%20%10%10%10%10%10%代表原著(本レポート選定)における形成アプローチ内訳(概数)レーザー直接(CO2/UV/ps/fs)レーザー改質+選択エッチ(LIDE/LMCE/SLE)光化学(PCE/フォト感応ガラス)乾式(ICP-RIE/DRIE)放電加工(ECDM/Focused Discharge)ガラスリフロー/鋳込みワイヤ挿入(磁気組立)
    コードを表示する

    形成法の比較表(長所短所・径/AR・スループット・歩留まり・コスト概算・信頼性課題)

    以下は、公開文献から得られる「数字」と、工程時間や欠陥要因からの合理的推定(推定を明記)を併記した比較である。数値はガラス種・厚み・装置に強く依存するため、設計時はテストビークルでの再評価が必須。

    形成法 長所 短所 径/ARの到達例 スループット目安 歩留まり/品質の論点 コスト概算(相対) 主要信頼性課題
    LIDE(レーザー改質+選択湿式エッチ) 欠陥(マイクロクラック等)抑制を志向、AR~1:50、パネル対応、精度(±5 µm級) 薬液(HF/アルカリ等)・均一性・工程制御が難、設備/インフラ投資 特徴サイズ~5 µm、AR~1:50、パネル510×515 mmで±5 µm精度、数千TGV/s “数千TGV/秒”の主張(レーザー改質+バッチエッチ) 洗浄/残渣、形成径分布、後工程めっきのボイド/シーム 中~低(量産時):高スループット前提で単位孔コスト低下が期待(推定) Cu突出・Cu/ガラス界面応力、後工程汚染による欠陥増幅
    レーザー直接ドリル(CO₂/UV/ps/fs等) 工程が単純、材料適用範囲が広い テーパ、熱影響/微小クラック、デブリ、裏面損傷 300 µm厚で入口90 µm(テーパあり)、USP条件でテーパ7.3°・クラック無し例 4874穴/約10h(~0.14穴/s、研究例)、条件で大きく変動 デブリ・界面損傷(ラミネート材)、テーパがめっき均一性を阻害 :装置費は中~高、孔数に比例して加工時間増(推定) 微小クラックの潜在欠陥→熱サイクルで成長、裏面欠損
    光化学(PCE:フォト感応ガラス) 大面積・低エネルギー志向、クラック抑制 材料が限定(Foturan等)、熱処理・薬液・選択比設計が必要 0.3 mm厚×37.5 µm径(AR≈7.8)など 露光・熱処理・エッチでバッチ処理可能(定量値は公開少) 材料供給/物性変化、形状制御 :低コスト志向と記載、ただし材料制約(推定) エッチ残渣、形状ばらつきが後工程金属化に影響
    乾式(ICP‑RIE/DRIE) 垂直側壁を追求、微細形状制御に強い 速度が遅い、チャージアップ、マスク/選択比、装置コスト fused silicaで>1 µm/min条件探索、quartzで0.408 µm/min・側壁89° 150 µm厚で~5.5hなど(研究例)、厚いと12–16h 長時間→粗さ/欠陥、マスク剥離、歩留まり :長時間・高価装置・低スループット(推定) 熱履歴よりは機械欠陥(粗さ/欠け)と後工程界面不良
    放電(Focused Discharge/ECDM系) <1 msで局所形成、薄ガラス高密度(50 µmピッチ)報告 放電条件制御、再現性・装置成熟度が課題になり得る 100 µm薄ガラスで径20 µm、50 µmピッチ “<1 ms”現象として高速(ただし系統スループットは装置次第) 電極/放電安定性、孔形状ばらつき 中~低(薄ガラス・高密度で有望)(推定) 熱影響局所、金属化界面(シード密着)
    ガラスリフロー(Siモールド等) 垂直・平滑側壁、細ピッチ、ボイドレスCu充填と相性 高温工程・モールド作製が必要 RF MEMS向けでボイドレスCu‑TGV、抵抗36 mΩ例 バッチ工程(モールド/リフロー)中心 モールドコスト、熱応力 中~高:モールド工程がコスト要因(推定) 熱応力、Cu/ガラス界面、封止信頼性
    ワイヤ挿入(磁気組立) 高ARめっき依存を下げ、上面バンプ配置も可能 孔形成は別途必要、ワイヤ位置/接触信頼性 抵抗64 mΩ(典型) 組立工程の並列化可否が鍵 ワイヤ接触の長期安定、界面酸化 (推定) 接触抵抗変動、熱サイクルでの緩み/剥離

    出典(代表):LIDEの精度・AR・スループットはLPKF系資料(特徴5 µm、AR1:50、±5 µm、数千TGV/s)。 レーザー直接の加工例とテーパ/クラックの議論はMEMS向け論文とUSP研究。 乾式/ICP‑RIEの速度と長時間化はfused silica/quartz報告。 放電法の微細ピッチ/抵抗はIMAPS論文。 ガラスリフロー+シードレスCu充填のRF特性はJMM論文。 ワイヤ挿入の抵抗とバンプ配置はIEEE Access論文。

    重要論文の引用数ランキング(参照元表示値による簡易ランキング)

    順位 文献 引用数(表示) 備考
    1 Töpper 2010(ECTC, TGVガラス/Wプラグ) 179 検索メタ表示。CiNiiでは3と表示差あり。
    2 Lee 2013(ガラスリフロー+シードレスCu‑TGV, RF MEMS) 100 ADS表示。
    3 Yu 2023(Sensorsレビュー:TGV+センサ応用) 64 MDPI表示。
    4 Laakso 2018(磁気組立ワイヤTGV) 46 EPFL表示(“Cited by 46”)。
    5 Lai 2024(熱機械信頼性レビュー) 44 ScienceDirect表示。
    6 Okoro 2021(放射状クラック除去) 39 ScienceDirect表示。
    7 Pan 2022(Cu突出in‑situ) 30 ScienceDirect/ADS表示。
    7 Yang 2018(レーザードリルTGVでWLP) 30 PMC表示。
    9 Sato 2019(ラミネート薄ガラスの欠陥形成) 22 ResearchGate表示。
    10 Chang 2024(多段めっきでCu均一性/組織制御) 20 ScienceDirect表示。

    主要研究課題・未解決問題と研究方向提案

    未解決問題の整理

    TGV技術の“難所”は、工程が多段で、各段の微小欠陥が後段で増幅される点にある。特にガラス基板では、微小クラックや汚染があとから致命化しやすく、製造の「頑健性(robustness)」と「再現性(repeatability)」を工程設計で担保する必要がある。

    信頼性側では、CuとガラスのCTEミスマッチに起因する応力が支配的で、アニールや実装リフローの温度プロファイルがクラック生成を左右する。加熱レートの閾値で放射状クラックを除去できた報告は、プロセス条件がそのまま“設計制約”になることを示す。 さらに、Cu突出とガラスの面内変形が温度域とランプレートに依存し、~250 °C近傍でガラス変位が最大化してから、Cuクリープ・突出によって変形が緩和され得るというin‑situ結果は、「実装プロファイル」「材料(Cuのクリープ特性)」「ビア設計」が結びついた問題であることを明確にしている。

    湿熱や気密要求(ヘリウムリーク)に関しては、多くのサンプルが厳しい試験で規格を上回り得た一方、HASTでのTi–Cu界面の腐食/酸化がリーク悪化と関連した例が報告されており、界面材料(密着層)設計と腐食機構の理解が残課題である。

    今後の研究方向(提案)

    材料面では、ガラス組成・表面処理の最適化でCTEや強度、金属密着性、応力制御を改善できるとされており、TGV向けには「Cuとの熱機械整合」と「めっき/密着層の信頼性」を同時に満たす“ガラス‑界面材料設計”が有望である。 導体側は、めっきCuの結晶組織(粒径、双晶、HAGBなど)が機械特性・信頼性に影響するため、電気化学条件を設計変数として「均一性と延性(=応力緩和能)」を両立させる研究が重要になる。多段めっきでCuの均一性(スローイングパワー)と組織が改善した例は、その方向性を具体化している。

    プロセス面では、(1)形成法の選択(微細径/AR/欠陥/コスト)、(2)シード形成(高AR被覆)、(3)ボイドレス充填、(4)CMP・RDL・シンギュレーションまで含む「全工程の計測/フィードバック」を統合することが、量産移行の鍵になる。工程欠陥例(未貫通、欠落、メタ後クラック等)を前提に、工程ごとに“計測可能なKPI”を定義する提案がなされている。

    信頼性評価は、従来の温度サイクルに加え、in‑situ計測(突出/ひずみ)、湿熱(HAST)、ヘリウムリーク(気密)、高温プロセス耐性、さらにパネルエッジクラックやRDL多層化での応力集中など、実装条件に近い複合ストレス評価が必要になる。

    スケーリング(ウェハ→パネル)では、厚み均一性・平坦性がフォト/めっき/CMPに波及するため、材料サプライチェーン(ガラス、ハンドリング、洗浄、金属化、検査)を含めた最適化が必須となる。

    産業応用例と実装上の注意点

    高周波/ミリ波(RF/mmWave)

    ガラスは絶縁性が高く、Si等に比べ寄生容量が小さいため、高周波信号伝送に有利とされる(レビューで明示)。 実証としては、RF MEMSパッケージでCu充填TGVと伝送線路を含む構造の挿入損失/反射損失が報告されている。 実装上は、RDL/ビア配置がインピーダンス・共振に影響するため、ビア径・テーパ・ピッチ、Cu厚、近傍グラウンド、ガラス厚の同時最適化が必要になる(薄膜工程でのアライメント・平坦性も含む)。

    光学デバイス/MOEMS

    ガラスの光学特性(透明性)により、MOEMSなど光学応用に適するという整理がある。 設計上は、光学経路とTGV配線の共存(遮光/反射/散乱の制御)、熱源近接時のCTEミスマッチ、接合(アノード/直接接合)によるパッケージ歪み管理が重要となる。

    センサ・MEMSパッケージ(WLP、気密)

    MEMSではパッケージがコストの大きな割合を占め得るとされ、WLPとTGVは小型化・コスト低減・性能維持に寄与する。 レーザードリルTGVのWLPプロセス例では、デブリや金属化が信頼性懸念として明示されている。 また、ヘリウム気密信頼性評価では、熱衝撃・高温保持などで良好な結果を示す一方、湿熱でTi–Cu界面腐食がリーク悪化と関係した例が報告されるため、密着層・界面腐食・封止材料の選定が重要である。

    2.5D/3D集積・ガラスコア基板(Glass Core Substrate)

    ガラス基板は大面積パネルや広い厚みレンジでTGVを支え得るというまとめがあり、パネル(510×515 mm〜1500×800 mm)やウェハ(6–12インチ)などのスケール情報が提示されている。 産業側では、構造化ガラス基板(厚み0.1–1.1 mm、最大600 mm、孔半径25 µm級等)や、ガラスコア基板の設計自由度・歩留まりを強調する発表がある。 また、ガラス基板の先進パッケージ適用を謳う大手の発表もあり、今後の量産時期は「今 दशक(2030年頃)に向けて」計画されるとされる。

    実装上の注意点は以下に集約される。

    第一に、Cu‑ガラスのCTEミスマッチによる応力である。アニール時の加熱レートがクラック発生を支配し得るため、工程温度プロファイルは材料・ビア構造(充填/コンフォーマル)とセットで設計する必要がある。 第二に、金属化品質(シード被覆、めっき均一性、ボイド/シーム)とCMP・RDLまで含めた平坦性確保である。高AR化ほど難度が上がるため、MOCVD等の高コンフォーマルシードや多段めっきなどの“工程ブロックの高度化”が効く領域になる。 第三に、湿熱・腐食・気密などの環境ストレスで、界面材料(密着層Ti等)の劣化機構を把握し、封止/表面保護の設計を行う点である。

    主要参照文献一覧(DOI中心)

    • Töpper et al., “3‑D Thin Film Interposer Based on TGV…,” ECTC 2010. doi:10.1109/ECTC.2010.5490887 
    • Pei et al., “Formation of Through‑Glass‑Via (TGV) by Photo‑Chemical Etching…,” ISOM 2012. 
    • Lee et al., “Through‑glass copper via using the glass reflow and seedless electroplating…,” 2013. doi:10.1088/0960-1317/23/8/085012 
    • Takahashi et al., “Development of TGV Interposer for 3D IC,” IMAPS 2013(PDF)。
    • Tang et al., “Investigation of fabricated TGV process by ICP‑RIE of quartz glass,” IEEE‑NEMS 2015。
    • Lin et al., “Investigation of fused silica glass etching using C4F8/Ar…,” 2016. doi:10.1007/s00542-015-2449-z 
    • Laakso et al., “Through‑Glass Vias… Magnetic Assembly…,” 2018. doi:10.1109/ACCESS.2018.2861886 
    • Yang et al., “Research on Wafer‑Level MEMS Packaging with Through‑Glass Vias,” 2018(PMC)。
    • Sato et al., “Laser‑drilling formation of TGV on polymer‑laminated glass,” 2019. doi:10.1007/s10854-019-01354-5 
    • Okoro et al., “Understanding and eliminating thermo‑mechanically induced radial cracks…,” 2021. doi:10.1016/j.microrel.2021.114092 
    • Pan et al., “In‑situ temperature‑dependent characterization of copper TGV,” 2022. 
    • Okoro et al., “Evaluation of the helium hermeticity reliability of copper TGVs,” 2022. 
    • Chang et al., “TGV copper metallization and microstructure modification,” 2024. doi:10.1016/j.jmrt.2024.06.137 
    • Jung et al., “Advanced TGV electro‑filling and solder bumping…,” 2025. 
    • Franz et al., “Fabrication and analysis of TGVs… USP laser,” 2025. doi:10.1016/j.optlaseng.2025.109106 
    • Lai et al., “Thermo‑mechanical reliability… review,” 2024. doi:10.1016/j.microrel.2024.115477 
    • Yu et al., “Application of TGV Technology for Sensors…,” Sensors 24(1):171. doi:10.3390/s24010171 
    • LPKF Laser & Electronics SE LIDE公式資料(特徴サイズ~5 µm、AR~1:50等)。
    • Onto Innovation+LPKFによるTGV工程解説(Semiconductor Digest 2025、欠陥例・全工程)。
    • SCHOTT の構造化ガラス基板発表(FLEXINITY connect)。
    • Intel Corporation のガラス基板発表(News/Press Release)。
    • CorningのTGV技術資料(Precision Glass Solutions PIシート、IMAPS発表)。
    • LIDE/ガラスインターポーザの特許例(WO2018210484A1等)。

あわせて読みたい