鼻炎(アレルギー性・非アレルギー性)に関する包括的レビュー(2019年以降)
はじめに・総論
鼻炎は鼻粘膜の慢性炎症または機能異常による症候群であり、**アレルギー性鼻炎 (AR)と非アレルギー性鼻炎 (NAR)に大別されますpmc.ncbi.nlm.nih.gov。ARは吸入抗原に対するIgE介在性の反応で季節性(花粉症)と通年性(ダニや動物由来抗原など)に分類され、小児から成人まで世界人口の10~40%が罹患すると推定される極めて一般的な疾患ですmdpi.com。NARはアレルゲン感作を伴わない一群の鼻炎の総称で、その中には血管運動性鼻炎、好酸球性鼻炎 (NARES)、薬剤性鼻炎、ホルモン性鼻炎、味覚性鼻炎、特発性鼻炎など複数の表現型が含まれますe-cep.org。近年では局所アレルギー性鼻炎 (local allergic rhinitis, LAR)**と呼ばれる新たな概念も注目されており、従来NARと診断されてきた患者の中にも鼻粘膜局所でのみIgE反応を示すARサブタイプ(皮膚テストや血清特異的IgEは陰性)が存在することが明らかになってきましたe-cep.orgmdpi.com。
本稿では2019年以降に発表された主要な日英の査読付き文献に基づき、(1) 疫学・原因、(2) 診断方法・分類, (3) 治療法, (4) 特定集団への治療アプローチ, (5) 最近の研究トレンドの観点から鼻炎に関する知見を整理します。各セクション末尾にテーマごとの主な文献を表形式でまとめます。
1. 疫学・原因(有病率、リスク因子など)
有病率: 鼻炎は世界的にきわめて有病率の高い疾患で、総合的な鼻炎の有病率中央値は約30%、このうちアレルギー性鼻炎(AR)は18.1%、非アレルギー性鼻炎(NAR)は12.0%との報告がありますpmc.ncbi.nlm.nih.gov。各地域・研究によるバラつきは大きいものの、ほとんどの報告で過去数十年で鼻炎患者が増加傾向にあることが示されていますpmc.ncbi.nlm.nih.gov。ARは小児~青年期に発症することが多く、小児の自己申告による有病率は地域差があるものの11~32%にも達しうるとされます(ISAAC調査)carenet.com。日本においてもAR患者は増加傾向で、特にスギ花粉症の若年層での増加が著明です。ある疫学調査では10代の約半数がスギ花粉症を発症し、5~9歳児の約30%が10年後に新たにスギ花粉症を発症したことが報告されていますcarenet.com。一方、高齢になるほど新規感作は減少する傾向があり、高齢者集団におけるAR有病率は概ね3~12%程度と推計する報告もありますpmc.ncbi.nlm.nih.gov。非アレルギー性鼻炎(NAR)は年少児では割合が高く、2歳以下の小児慢性鼻炎の多くを占めますが、年齢とともに相対的割合は減少し、学童以降ではARの占める比率が増加する傾向が示されていますe-cep.orge-cep.org。
地域・環境要因: 地理的な違いも大きく、例えば欧米ではダニ・ペット由来抗原や花粉が、アジアではイネ科花粉やブタクサ、そして日本ではスギ花粉が代表的アレルゲンとなっています。都市化や生活様式の西洋化に伴いダニやカビの繁殖しやすい気密住宅の増加、室内飼育ペットの普及、戦後植林されたスギの成熟による花粉飛散量増加などが抗原暴露の増大につながり鼻炎増加の一因と考えられていますcarenet.com。さらに大気汚染や気候変動も鼻アレルギー有病率上昇に影響する重要な因子です。大気中の微小粒子状物質 (PM2.5) やディーゼル排気は気道粘膜を傷害してアレルギー感作を助長し、地球温暖化に伴う花粉飛散時期の長期化・花粉産生量の増加が各国で報告されていますpmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov。実際、近年の研究は都市部の大気汚染・温暖化が花粉症や喘息の増加に寄与していることを示しており、2050年までに世界人口の数十億人がアレルギー疾患に罹患するとの予測もありますpmc.ncbi.nlm.nih.gov。他のリスク要因として、アレルギー素因の家族歴や遺伝的資質も大きく、AR発症には複数の感作要因と遺伝因子の相互作用が関与しますnature.com。
鼻炎の原因・病態: ARは吸入抗原によるTh2型免疫応答が中心で、肥満細胞から放出されるヒスタミン等による即時相反応と、その後の好酸球浸潤を伴う遅発相反応によってくしゃみ、鼻汁、鼻閉などの症状が生じます。一方NARでは明らかなIgE介在性炎症はなく、多様なメカニズムが存在します。例えば血管運動性鼻炎では自律神経系の失調による鼻粘膜血管の過剰反応性が示唆され、温度・湿度変化や刺激物質の吸入で鼻粘膜血管が拡張し鼻漏・鼻詰まりを生じますmed.uth.edu。高齢者では加齢による粘膜血流低下や萎縮性変化(老人性鼻炎)が慢性鼻閉・鼻腔乾燥や痂皮形成の原因となりますmed.uth.edu。NARESと呼ばれる subtype では鼻汁中好酸球の増多(>20%)が特徴でステロイド反応性が高い傾向があります。またホルモン変化が原因となる妊娠性鼻炎では、主に妊娠後期に女性ホルモンやプラセンタ由来ホルモンが鼻粘膜血管の透過性を亢進させ浮腫と鼻閉を来すと考えられていますpmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov(出産後に自然軽快)。このように非アレルギー性鼻炎は病態の異なる多彩な亜型を含むため、原因検索や分類が難しく研究報告も限られていますpmc.ncbi.nlm.nih.gov。しかし近年、NAR患者の中にも実は鼻内でのみアレルギー反応を起こしている局所アレルギー性鼻炎 (LAR)患者が存在することが解明されましたe-cep.org。LAR患者は皮膚プリック試験や血中特異的IgEでは陰性ですが、鼻粘膜には抗原特異IgEやIgE産生形質細胞が認められ、鼻内誘発試験で症状再現とメディエーター遊離が確認されますmdpi.com。近年の報告では従来NARと診断された成人患者の20~70%にLARが存在するとの報告もあり、見過ごされてきた新たな病態として注目されていますe-cep.org。
以上の疫学・原因に関する主な文献を以下の表1にまとめます。
表1.鼻炎の疫学・原因に関する主な文献(2019年以降)
| 文献タイトル/出典 (発行年) | 著者(発行年) | 主な内容(要約) | 主な結論 | 研究デザイン |
|---|---|---|---|---|
| Worldwide prevalence of rhinitis in adults: A review of definitions and temporal evolution【1】 (Clin Transl Allergy誌 2022年) | Savouréら(2022年) | 世界の成人一般集団における鼻炎の有病率を包括的にレビュー。定義の違いによる有病率の差や地域差、経時変化を分析した。pmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov | 鼻炎全体の有病率中央値は29.4%、AR 17.1~18.1%、NAR 12%と推定。定義や地域でばらつくが、過去数十年で有病率は増加傾向。pmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.govARに比べNARの疫学データは不足。 | 文献レビュー(PubMed/Scopus検索、184件の研究を解析) |
| Allergic rhinitis (Nature Rev Dis Primers)【36】 (Nature Reviews誌 2020年) | Bousquetら(2020年) | ARに関する包括的総説。疫学(リスク因子、負担)、病態、ARIA分類、診断、治療(ガイドライン推奨)を総括。nature.comnature.com | ARは世界的な主要慢性疾患でQOLや社会経済に大きな負担。nature.comリスク因子は吸入抗原曝露や遺伝的素因nature.com。ARIAガイドラインでARを重症度(軽度/中等度以上)×経過(間欠性/持続性)に分類。nature.com | 総説(国際ガイドラインの概要を含むレビュー) |
| コロナ禍の花粉症対策にも有用、「鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版」【34】 (ケアネットニュース 2020年) | 岡野 他(2020年) | 日本の鼻アレルギー(AR)ガイドライン第9版(2020)の改訂点に関する記事。日本におけるAR(特にスギ花粉症)の有病率動向と若年発症増加を解説。carenet.comcarenet.com | 日本のAR有病率は増加傾向。特にスギ花粉症の低年齢化が深刻で、10代の約半数が発症に至っているcarenet.com。生活環境の変化や抗原曝露増加が背景要因carenet.com。早期発見・治療の重要性を強調。 | ガイドライン改訂ポイント解説(国内疫学調査データ引用) |
| Climate change and allergic diseases: An overview【31】 (Frontiers in Allergy 2022年) | Singh & Kumar(2022年) | 気候変動とアレルギー疾患(花粉症・喘息)の関連を概説。地球温暖化による花粉カレンダーの変化、大気汚染物質によるアレルゲン性変化等をレビュー。pmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov | 気候変動は花粉症などアレルギー疾患の増加要因である。pmc.ncbi.nlm.nih.gov温暖化で花粉飛散量・期間が延長し、都市化・汚染物質もアレルギー感作を助長pmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov。将来的な患者急増に備えた公衆衛生対策の必要性を提言。 | 総説(環境医学的観点からのレビュー) |
| Rhinitis in the geriatric population: epidemiological and cytological aspects【52】 (Life誌〈MDPI〉 2025年) | Boniら(2025年) | 高齢者における鼻炎(AR/NAR)の疫学的特徴と診療上の課題について検討。高齢者のアレルギー感作率や診断の難しさ、加齢変化(presbynasalis)の影響を評価。pmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov | 高齢者AR有病率は3~12%と報告され過小診断されがちpmc.ncbi.nlm.nih.gov。加齢でアレルギー反応性は低下するものの、診断には他疾患との鑑別が必要。高齢者でもAIT(アレルゲン免疫療法)が症状・薬物量を減らす効果を示す研究があり、有効かつ安全に実施可能pmc.ncbi.nlm.nih.gov。総合的なQOL改善のため高齢者鼻炎への認識向上が必要。 | 観察研究(高齢者コホートの分析、文献レビューを含む) |
2. 診断方法と分類(ガイドライン、検査、バイオマーカー)
診断の流れ: 鼻炎の診断は症状と病歴の聴取が基本です。ARではくしゃみ・水様鼻汁・鼻閉・鼻痒を主症状とし、目の痒み・結膜充血を伴うことも多いnature.com。問診では発症時期(季節性か通年性か)、他のアレルギー疾患合併(喘息、結膜炎、皮膚炎など)、家族歴、生活環境(ペット飼育や住居環境)を確認しますjsom.or.jp。ARが疑われる場合、アレルゲン同定のための検査として皮膚プリックテストや血清特異的IgE検査が行われますmdpi.com。ガイドラインでは、症状が典型的で治療に反応する軽症例では必ずしも検査を要しませんが、重症例や長期持続例ではアレルゲン検査で原因同定し、必要に応じ免疫療法を考慮することが推奨されていますnature.com。実際、国際ARIAガイドライン2019でも「病歴に加え、治療抵抗性または長期症状例では皮膚テストや血清IgE検査による客観的診断を行う」とうたわれていますnature.com。NARの診断は除外診断であり、アレルゲン検査が陰性かつ感染性鼻炎や副鼻腔炎など他疾患が否定された上でNARと分類されますmdpi.com。NARでは原因により治療法も異なるため、薬剤性なら原因薬の中止、ホルモン性なら経過観察、萎縮性なら鼻腔洗浄など、それぞれのサブタイプ鑑別が臨床上重要ですe-cep.orgmed.uth.edu。鼻内視鏡や画像検査(副鼻腔CT)は、副鼻腔炎や鼻ポリープの有無を評価するために行われ、ARでは粘膜の蒼白肥厚、NARでは充血所見がみられることもあります。さらに専門的な検査として、鼻汁好酸球検査(NARESの診断に有用)、鼻腔誘発試験(特定抗原への反応性評価)、鼻腔通気度検査(鼻腔抵抗やフロー測定による鼻閉定量評価)などがあります。特に鼻アレルギー誘発試験は、前述の局所アレルギー性鼻炎 (LAR)の診断に必須で、鼻内での特異IgE産生を証明するため専門施設で施行されますmdpi.com。また近年、LAR診断には鼻分泌液中の特異的IgE測定や**好塩基球活性化試験 (BAT)**といった新手法も研究されていますmdpi.com。
疾患の分類: ARに関しては、ARIAガイドラインで提唱された分類が広く用いられます。ARIA分類では症状持続期間により「間欠性(週4日未満または連続4週未満)」「持続性(週4日以上かつ連続4週以上)」に二分し、さらに日常生活への影響度で「軽症(QOLや睡眠に影響なし)」と「中等度-重症(影響あり)」に区分しますnature.com。日本の鼻アレルギー診療ガイドラインでも症状日数や重症度に基づき軽症・中等症・重症・最重症といった重症度分類が示されています(くしゃみ・鼻漏・鼻閉の総合鼻症状スコアにより判定)jsom.or.jp。一方、NARの分類は明確にガイドライン化されてはいませんが、原因要因により以下のようなタイプがありますe-cep.org:
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血管運動性鼻炎 (vasomotor rhinitis): 自律神経性。温度変化や物理刺激で発作的に鼻汁・鼻閉med.uth.edu
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好酸球性非アレルギー性鼻炎 (NARES): 鼻汁中に好酸球が多数e-cep.org。ステロイドに反応しやすい
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萎縮性鼻炎: 高齢者に多い。鼻粘膜萎縮と乾燥・痂皮med.uth.edu
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ホルモン性鼻炎: 妊娠・思春期・更年期などホルモン変動で悪化(妊娠性鼻炎など)
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薬剤性鼻炎: 長期の点鼻血管収縮薬使用によるリバウンド鼻炎(鼻粘膜肥厚)や、NSAIDsによる鼻炎などe-cep.org
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味覚性鼻炎: 熱い食べ物・香辛料摂取で反射性に鼻汁(高齢者に多い)
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非アトピー性特発性鼻炎: 上記いずれにも当てはまらない原因不明のNAR(以前は血管運動性鼻炎と総称)
これらNAR各亜型の境界はしばしば不明瞭で、1人の患者が複数の要因を持つこともあります。また局所アレルギー性鼻炎 (LAR)は上述のように免疫学的にはARの一型と考えられていますが、従来は全身性のアレルギー検査陰性のためNARに含められてきた経緯がありますmdpi.com。LAR患者を見極めることは、アレルゲン免疫療法などARと同様の治療オプション適用のためにも重要ですmdpi.com。
客観的バイオマーカー: 鼻炎の診断・表現型分類を補助するバイオマーカーの研究も2019年以降進展しています。従来から総IgE値や好酸球数がアレルギー疾患の指標として利用されますが、疾患活動性や治療反応性を予測する新規マーカーの探索が盛んですpmc.ncbi.nlm.nih.gov。例として血中ペリオスチンが挙げられます。ペリオスチンはTh2炎症で上昇するマトリックス蛋白で、AR患者で値が高く、減感作療法への良好な反応と高ペリオスチン値が関連するとの報告がありますpmc.ncbi.nlm.nih.gov。実際、Hoshinoら(2021)は舌下免疫療法中の患者で血清ペリオスチン高値群の方が症状改善が顕著であったことを報告し、ペリオスチンは免疫療法効果予測の可能性を示しましたpmc.ncbi.nlm.nih.gov。またマイクロRNAも注目されています。miRNA-155など炎症関連のmiRNAがAR患者で発現変動し、炎症制御に関与することが示唆されていますpmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov。他にも鼻腔NO (一酸化窒素)は下気道のFeNOと同様に上気道炎症マーカーとして検討されていますが、ARとNARの鑑別指標としての有用性は低いとの報告がありますmdpi.commdpi.com(Loucaら2025年の研究ではAR群とNAR群で鼻腔NO濃度に有意差を認めずmdpi.com)。現時点で臨床で広く測定が推奨されるバイオマーカーは存在しませんが、患者ごとの病態把握やオーダーメイド治療の実現に向けた研究が進んでいますpmc.ncbi.nlm.nih.gov。
以上の診断と分類に関する主な文献を以下の表2に示します。
表2.鼻炎の診断・分類に関する主な文献(2019年以降)
| 文献タイトル/出典 (発行年) | 著者(発行年) | 主な内容(要約) | 主な結論・示唆 | 研究デザイン |
|---|---|---|---|---|
| Next-generation Allergic Rhinitis and Its Impact on Asthma (ARIA) guidelines【36】 (J Allergy Clin Immunol Pract 2019年) | Bousquetら(2019年) | ARIAガイドラインの最新アップデート。GRADE法と実臨床エビデンスに基づき、AR管理の意思決定経路を提示。間欠性/持続性・重症度分類や治療アルゴリズム、デジタル技術の活用を提案。nature.comnature.com | ARIA分類(間欠性/持続性×軽症/中等度重症)が国際標準nature.com。診断は症状+必要に応じ皮膚/IgE検査nature.com。モバイルアプリ等によるリアルワールドデータ活用で新たな表現型把握と管理が可能nature.com。 | 国際ガイドライン(システマティックレビューとエキスパート合意) |
| Prevalence, comorbidities, diagnosis, and treatment of nonallergic rhinitis…【7】 (Clin Exp Pediatr 2021年) | Yumら(2020年) | 小児の非アレルギー性鼻炎(NAR)に関するレビュー。NARの各表現型(NARES、特発性など)の特徴、子どもにおける有病率や診断・管理上の課題についてまとめた。e-cep.orge-cep.org | NARは異質な病態の集合であり、子どもの慢性鼻炎の最大89%を占めうるe-cep.org。成長に伴いAR比率が増すe-cep.org。NARの診断・分類法は確立しておらず、アレルギー検査陰性例で他疾患を除外して診断する。e-cep.org小児NAR管理のエビデンス不足を指摘。 | レビュー(小児NARの文献総説) |
| Local allergic rhinitis – a narrative review【44】 (Life (MDPI) 2024年) | Berghiら(2024年) | **局所アレルギー性鼻炎 (LAR)**に関するオープンアクセス文献を包括的スコーピングレビュー。LAR概念の歴史、疫学、病態、診断法(鼻誘発試験、局所IgE測定)、治療法を整理。mdpi.commdpi.com | LARは従来「非アトピー性鼻炎」と診断されていた患者の一部に存在するARのサブタイプ。mdpi.com診断には鼻誘発試験や局所IgE測定が必要だが、症状やQOLへの影響は全身性ARと同等。mdpi.com治療は回避・薬物・免疫療法がARと同様に有効で、LAR患者にもアレルゲン免疫療法適応があるmdpi.com。 | スコーピングレビュー(2019年以降の関連文献を網羅的検索・分析) |
| Emerging novel biomarkers in allergic rhinitis: A narrative review【14】 (Allergy & Rhinology 2025年) | Mishraら(2025年) | ARの新規バイオマーカーに関する最新レビュー。ペリオスチンや各種サイトカイン、microRNA、酵素など、IgE・好酸球以外の候補マーカーについて、臨床・前臨床研究の結果を整理。pmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov | ペリオスチン:AR患者で高値、免疫療法奏効例で有意に低下し治療反応予測に有望pmc.ncbi.nlm.nih.gov。miRNA-155:炎症経路調節に関与しARモデルで発現上昇pmc.ncbi.nlm.nih.gov。他にHIF-1α、酵素類、CD39など多数報告。pmc.ncbi.nlm.nih.govいずれも実用化には至らず、さらなる検証が必要と結論。 | ナラティブレビュー(動物モデル・臨床研究を含む最新知見の総説) |
3. 治療法(薬物治療、免疫療法、手技的治療、漢方など)
薬物療法: アレルギー性鼻炎(AR)治療の第一選択は薬物療法ですnature.com。主な薬剤クラスと特徴を以下にまとめます:
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抗ヒスタミン薬: 経口第二世代H<sub>1</sub>受容体拮抗薬(例: セチリジン、ロラタジン、フェキソフェナジンなど)はくしゃみ・鼻汁・眼症状に有効で、鎮静性や抗コリン作用の弱い第二世代が推奨されますaustinallergist.com。定期内服や症状出現前からの予防投与で効果的に症状を抑制できます。鼻粘膜への局所作用を狙った点鼻用抗ヒスタミン(アゼラスチンなど)は即効性があり、経口薬との併用も可能です。
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ステロイド点鼻薬: 鼻噴霧用ステロイド(モメタゾン、フルチカゾン、ベクロメタゾンなど)は最も有効性の高い単剤治療で、特に鼻閉を含む全症状のコントロールに優れますe-cep.org。効果発現まで数日〜1週間程度要しますが、定期使用で炎症を抑制します。中~重症ARでは第一選択薬と位置付けられ、安全性も高く長期使用可能ですaafp.org。
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抗ロイコトリエン薬: ロイコトリエン受容体拮抗薬(モンテルカストなど)は鼻閉や喘息を併発するARに有用で、小児の夜間症状改善にも用いられます。単剤では抗ヒスタミン薬ほど効果は高くありませんが、抗ヒスタミン薬との併用で相加効果が期待できます。
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抗コリン薬: 鼻汁過多にはイプラトロピウム点鼻が有効です。特に高齢者の寒冷刺激での水様鼻漏(血管運動性鼻炎)に適していますe-cep.org。副作用は軽度の鼻腔乾燥程度です。
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経口デコンジェスタント(血管収縮薬): 鼻閉緩和目的でプソイドエフェドリン等が短期使用されますが、高血圧や不眠など全身副作用に注意が必要です。点鼻用α作動薬(ナファゾリン等)の長期連用はリバウンドによる薬剤性鼻炎を招くため避けますe-cep.org。
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複合製剤: 近年、抗ヒスタミン+ステロイド配合点鼻薬(例: アゼラスチン・フルチカゾン配合剤)が登場し、単剤より症状改善が速やかかつ強力であることが臨床試験で示されていますnature.come-cep.org。例えばMP29-02(アゼラスチン+フルチカゾン)のRCTでは、ステロイド単剤に比べ鼻症状スコアの有意な追加改善が報告され、ガイドラインでも中等症以上では配合剤の使用が推奨されますe-cep.org。
免疫療法: アレルゲン免疫療法 (AIT)は、原因抗原を少量から徐々に投与し免疫寛容を誘導する根本治療です。ARに対するAITは100年以上の歴史がありますが、2010年代以降は舌下免疫療法(SLIT)の台頭で適用が拡大しました。皮下免疫療法(SCIT)は医療機関で抗原注射を行う方法で、舌下免疫療法は患者が自宅で抗原舌下錠/液を定期投与する方法です。代表的なのはダニや花粉(日本ではスギ花粉)のエキス製剤で、3~5年間の継続治療により約80%の患者で症状・薬物使用量が減少し、治療終了後も効果が持続しうるとされていますnature.com。免疫療法は中等症以上で薬物治療に十分な効果が得られない例や複数年にわたる長期管理が必要な例に推奨されますnature.com。適切に患者選択すれば小児から高齢者まで施行可能で、実臨床データでも長期的な喘息発症予防効果が示唆されていますnature.com。日本でも2014年に舌下免疫療法がスギ花粉症・ダニアレルギーに導入され、多くの症例で有効性が確認されています。なお局所アレルギー性鼻炎 (LAR)患者に対してもAITが有効との報告があり、従来「原因不明」とされていた患者にも新たな治療選択肢となる可能性がありますmdpi.com。免疫療法の欠点は治療期間の長さと一部患者での無効例がある点ですが、最近では投与経路の工夫(舌下錠の改良、経皮投与の研究など)やバイオマーカーによる奏効予測(例えばペリオスチン高値だとSLIT有効率が高い傾向pmc.ncbi.nlm.nih.gov)の研究も進んでいます。
新規の生物学的製剤: 重症のAR、特に従来治療で制御困難なケースに対して分子標的治療(生物学的製剤)の可能性が模索されています。代表例は抗IgE抗体オマリズマブ(喘息治療薬として承認済)で、ARへの適応は未承認ですが複数のRCTで有効性が検証されていますpubmed.ncbi.nlm.nih.govpubmed.ncbi.nlm.nih.gov。2021年のメタ解析では、オマリズマブ投与群はプラセボ群に比べ日常鼻症状スコアが有意に改善し、眼症状やQOL指標、レスキュー薬使用量も減少しましたpubmed.ncbi.nlm.nih.gov。特にスギ花粉症など季節性ARで効果量が大きく、副作用発現率もプラセボと差がない安全性が示されていますpubmed.ncbi.nlm.nih.govpubmed.ncbi.nlm.nih.gov。このことから**「従来治療で不十分なARへのオマリズマブ併用は有効である」と結論づけられていますpubmed.ncbi.nlm.nih.gov。さらに抗IL-5抗体(メポリズマブ等)や抗IL-4/13受容体抗体(デュピルマブ)も、鼻ポリープ合併例や重症好酸球性鼻炎への効果が報告されており、AR単独に対する治験も進行中です。生物学的製剤は費用が高額なものの、重症例では喘息や副鼻腔炎を含む合併症もまとめて制御**できる可能性があり、今後のエビデンス蓄積が期待されますpubmed.ncbi.nlm.nih.gov。
手技的治療: 鼻粘膜や神経に対する処置も、難治性鼻炎の症状緩和に用いられます。下鼻甲介粘膜焼灼術/手術は慢性鼻閉に対する古典的療法で、粘膜下組織を焼灼や切除して鼻腔通気度を改善します。さらに近年、後鼻神経の遮断/アブレーションが注目されています。後鼻神経(翼口蓋神経節由来の副交感神経線維)の過剰な信号伝達が血管運動性鼻炎の鼻漏・鼻閉を引き起こすため、この神経を選択的に破壊することで症状を改善する試みです。具体的には内視鏡下に後鼻神経を切断する手術や、局所麻酔下で経鼻的に後鼻神経領域を凍結焼灼(クライオアブレーション)する低侵襲治療が行われていますanthem.com。2023年の報告では、慢性鼻炎患者127例に経鼻クライオ治療を行ったところ、治療後に鼻症状スコア(TNSS)が平均5.94→3.44に有意改善し、約6割で臨床的に意味のある症状軽減が得られましたpmc.ncbi.nlm.nih.gov。QOLスコアも有意に向上し、使用していた点鼻薬・内服薬の28.6%が中止可能となっていますpmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov。副作用は一過性の頭痛など18.1%にみられましたが重大な合併症は報告されず、安全に鼻閉・鼻汁を長期軽減できる有望な治療と結論づけられていますpmc.ncbi.nlm.nih.gov。またラジオ波焼灼による後鼻神経部分切断も一定の効果を示し、中等症以上の難治性ARの補助選択肢となっていますsciencedirect.com。これらの神経治療はNAR(特に血管運動性鼻炎)の治療にも応用されており、反復する水様鼻漏や鼻閉に対しては薬物療法との併用で症状軽減が期待できますpmc.ncbi.nlm.nih.gov。
漢方薬: 日本ではアレルギー性鼻炎に対して漢方治療が併用されることもあります。特に小青竜湯(しょうせいりゅうとう)は古くから水様鼻汁を伴う鼻炎に頻用され、その有効性を支持するエビデンスも存在しますjsom.or.jp。実際、馬場らによる二重盲検RCT (1995年)では通年性鼻アレルギー患者に小青竜湯またはプラセボを投与した結果、小青竜湯群の約45%で症状が著明改善しプラセボ群を有意に上回りましたjsom.or.jpjsom.or.jp。鼻汁・くしゃみ・鼻閉の総合症状スコアも投与2週間後から有意に低下し、治療終了まで良好にコントロールされていますjsom.or.jpjsom.or.jp。このエビデンスを受け、日本のガイドラインでは小青竜湯を推奨度A(行うよう強く勧められる)と位置付けており、くしゃみ発作・水様鼻汁・鼻閉を有意に改善する治療選択肢としていますjsom.or.jpjsom.or.jp。小青竜湯以外にも葛根湯や苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)などが鼻炎に用いられることがありますが、これらは主に経験的処方でありプラセボ対照試験で有効性が証明されているのは小青竜湯のみですjsom.or.jp。漢方薬は患者の「証」に合わせて選薬する必要があり、例えば小青竜湯は比較的体力中等度以上で水様分泌物が多いタイプの鼻炎に適し、虚弱な体質には不向きとされていますjsom.or.jp。また麻黄含有処方であるため動悸など副作用にも注意が必要ですが、適切な患者に用いれば西洋薬と併用して症状緩和に寄与しうると考えられます。
以上の治療法に関する主な文献を表3に示します。
表3.鼻炎の治療法に関する主な文献(2019年以降)
| 文献タイトル/出典 (発行年) | 著者(発行年) | 主な内容(要約) | 主な結論・知見 | 研究デザイン |
|---|---|---|---|---|
| Allergic rhinitis: A clinical and pathophysiological overview【36】 (Nat Rev Dis Primers 2020年) | Bousquetら(2020年) | ARの病態と治療の総説。抗ヒスタミン薬、ステロイド点鼻、抗ロイコトリエン薬、抗IgE、免疫療法まで包括的に概説。ARIAの治療推奨や新展開(モバイルヘルス)の紹介。nature.com | 第一選択治療は抗ヒスタミン薬(経口・点鼻)やステロイド点鼻nature.com。重症例には免疫療法が有効で、専門医管理下で実施すべきnature.com。デジタル技術を活用した患者報告の収集が新たな治療最適化に役立つ。nature.com | 総説(国際ガイドラインと最新知見に基づくレビュー) |
| Omalizumab for the treatment of allergic rhinitis: a systematic review and meta-analysis【37】 (Rhinology 2021年) | Tsabouriら(2021年) | 抗IgE抗体オマリズマブのARに対する効果をRCTメタ解析で評価。主要評価は鼻症状スコアやQOL、レスキュー薬使用量、安全性。pubmed.ncbi.nlm.nih.govpubmed.ncbi.nlm.nih.gov | オマリズマブ併用は難治性ARの症状を有意に改善pubmed.ncbi.nlm.nih.govし、鼻眼症状・QOL・抗ヒスタミン使用をプラセボより改善pubmed.ncbi.nlm.nih.gov。副作用リスクはプラセボと差がなく、安全性も確認pubmed.ncbi.nlm.nih.gov。従来治療抵抗例に有用な追加療法と結論。pubmed.ncbi.nlm.nih.gov | メタ解析(12件のRCT, n=2,870を解析) |
| Improvement in nasal symptoms of chronic rhinitis after cryoablation of the posterior nasal nerve【16】 (OTO Open 2023年) | Rosi-Schumacherら(2023年) | 慢性鼻炎患者に対する後鼻神経クライオアブレーション効果を後ろ向き解析。127例の成人(AR49.6%, NAR50.4%)で施行前後の症状スコア・QOL・薬物使用を比較。pmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov | 後鼻神経冷凍アブレーションは慢性鼻炎の鼻症状とQOLを有意に改善pmc.ncbi.nlm.nih.gov。TNSSは5.94から3.44に低下し59.1%で臨床的改善pmc.ncbi.nlm.nih.gov、QOLスコアも改善。治療後に約29%の鼻炎薬を中止できたpmc.ncbi.nlm.nih.gov。副作用は軽微で、本治療は安全かつ有効な鼻閉・鼻漏改善策と結論。 | 後ろ向きコホート研究(治療前後の比較解析) |
| Intranasal capsaicin for nonallergic rhinitis (Rhinitis 2020 update)【22】 (Ann Allergy Asthma Immunol 2020年) | Dykewiczら(2020年) | 米国アレルギー学会の鼻炎治療アップデート。カプサイシン点鼻等、新規アプローチのエビデンスを解説。非アレルギー性(特発性)鼻炎に対するカプサイシン反復投与療法の有効性に言及。annallergy.org | カプサイシン点鼻療法は特発性NARの症状軽減に有効。annallergy.orgTRPV1受容体のダウンレギュレーションを介し鼻粘膜過敏性を低下させると考えられるannallergy.org。2週間連日投与するプロトコールで80%以上の患者に症状改善を示した報告あり。選択的TRP作動薬の開発にも期待。 | 治療指針アップデート(エビデンスレビュー) |
| 小青竜湯の通年性鼻アレルギーに対する効果【20】 (耳鼻咽喉科臨床 1995年) ※参考 | 馬場ら(1995年) | 小青竜湯のARに対する有効性を検証したプラセボ対照二重盲検試験。通年性AR患者49例を対象に4週間投与し症状・有用度を評価。jsom.or.jpjsom.or.jp | 小青竜湯はプラセボに比べ有意にAR症状を改善。jsom.or.jp全般有効率46.2% vs プラセボ22.9%jsom.or.jpで優越性を示した。特にくしゃみ・鼻漏・鼻閉の総合点が投与2週間で有意低下jsom.or.jp。副作用差は認めず、安全で有効な漢方治療と結論。 | ランダム化比較試験(プラセボ対照二重盲検RCT) |
※馬場ら(1995)の研究は2019年以前の文献ですが、日本のガイドラインで漢方治療推奨の根拠として重要なため参考として掲載しました。
4. 特定の集団への治療アプローチ(小児、高齢者、妊婦、合併疾患あり)
小児の鼻炎: 小児期のアレルギー性鼻炎(AR)は増加傾向にあり、世界的な有病率は10%前後(医師診断ベース)と報告されていますjaci-inpractice.org。ARは約8割が20歳までに発症するとされ、小児喘息や食物アレルギーとともにアレルギーマーチの一部を構成します。小児ARの診断・治療は基本的に成人と同様ですが、年齢に応じた投薬量調整やデバイス選択、保護者への教育が重要です。第二世代抗ヒスタミン薬やロイコトリエン拮抗薬は小児にも安全に使用でき、学童以上ではステロイド点鼻も安全性が確立しています。実際、ステロイド点鼻の長期使用による身長抑制等の懸念は最小限で、ARによる睡眠障害や学業障害を考慮すれば積極的な鼻噴霧ステロイド療法が推奨されますe-cep.org。一方、第一世代抗ヒスタミン薬は鎮静作用により学習能力へ悪影響を及ぼす可能性があるため小児では極力避けます。小児への免疫療法も、有効性・安全性が確立しつつあります。5歳以上であればSLITが実施可能で、日本でもシダキュア®(スギ舌下錠)やミティキュア®(ダニ舌下錠)が小児適応を有します。免疫療法により小児ARの症状軽減だけでなく、将来的な喘息発症予防効果も期待されます。実際、ある研究では小児期にスギ減感作療法を受けた群はその後の喘息発症率が低下したとの報告もあります(一部観察研究)。非アレルギー性鼻炎(NAR)の小児では、アデノイド肥大や副鼻腔炎の合併が頻度高く、それらの治療(アデノイド切除や抗菌薬)も考慮しますe-cep.org。小児のNARは全般に症状が軽めで一過性との報告もありe-cep.org、成長とともにARへ移行する例も少なくありませんe-cep.org。ただしNAR小児でも喘息や中耳炎など合併症のリスクはあり、AR同様に注意深い管理が必要ですe-cep.org。
高齢者の鼻炎: 高齢者ではアレルギー性鼻炎の新規発症は稀ですが、若年からの持続例や長年無症状だった潜在感作の顕在化がみられます。また加齢による生理的変化が鼻症状に影響するため、治療戦略は若年者とは異なる配慮が必要ですpmc.ncbi.nlm.nih.gov。高齢者ARの有病率は3~12%と推計されますが、多くが他の慢性鼻炎や嗅覚障害と混在し見逃されやすいと指摘されていますpmc.ncbi.nlm.nih.gov。症状としては慢性的な後鼻漏、咽頭違和感、臥位での鼻閉、鼻乾燥・痂皮形成、嗅覚低下などが目立ちますmed.uth.edu。治療の基本は若年者と同様に抗ヒスタミン薬・ステロイド点鼻ですが、併存疾患やポリファーマシーに注意が必要ですmed.uth.edu。高齢患者の80%以上は複数の慢性疾患で多剤併用中であり、新たなAR治療薬が他薬と相互作用を起こす可能性がありますmed.uth.edu。例えば抗ヒスタミン薬の抗コリン作用は前立腺肥大や認知機能に悪影響を及ぼしうるため注意します。したがって第一選択は局所治療(ステロイド点鼻や鼻洗浄)とし、経口薬は必要最小限に留めますmed.uth.edu。一方で免疫療法(AIT)は高齢者にも有効である可能性が示されており、安全性も報告されていますpmc.ncbi.nlm.nih.gov。最近の検討では65歳以上のAR患者でもAITにより症状・薬剤使用量が有意に減少し、副作用も若年層と差がなかったとされていますpmc.ncbi.nlm.nih.gov。高齢者では免疫加齢による反応性低下があるものの、適切な症例ではAITも選択肢となりうるというエビデンスが蓄積しつつあります。また高齢者は萎縮性鼻炎や嗅覚障害を合併することも多く、亜鉛製剤やビタミンA剤の投与、保湿剤での鼻腔粘膜ケアなど個別対応が求められます。総じて高齢者鼻炎では、全身状態に配慮したオーダーメイド医療が重要ですpmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov。
妊婦の鼻炎: 妊娠中は20~30%の女性が鼻閉・鼻汁などの妊娠性鼻炎を経験すると言われます。これはエストロゲンやプログレステロンが鼻粘膜血管を拡張させ、水分貯留や分泌過多を招くためと考えられますpmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov。妊娠性鼻炎は典型的には妊娠後期に出現し、出産後1~2週間で自然軽快します。既存のAR患者では妊娠中に症状が悪化することもあります。妊婦への治療は胎児への安全性を最優先に考えます。まずは非薬物療法として、生理食塩水による鼻洗浄や加湿、横向き睡眠でなく上半身挙上位で寝る、適度な運動による鼻閉改善などを指導しますpugetsoundsinus.com。薬物療法が必要な場合、一般的にステロイド点鼻薬(ブデソニドなどカテゴリBの薬剤)や第二世代抗ヒスタミン薬(ロラタジン、セチリジンなど)が比較的安全とされていますacog.org。米国産婦人科学会(ACOG)もロラタジンやセチリジンは妊娠中比較的安全であると勧告していますacog.org。抗ヒスタミン薬は可能なら妊娠初期を避け、第2三半期以降に用います。ステロイド点鼻は全身移行が極めて少なく、特にブデソニドは妊婦安全性カテゴリBであり重症例では最も推奨されますacog.org。一方、経口の充血除去薬(プソイドエフェドリンなど)は妊娠初期に腹壁裂肛のリスク増との報告もあり、少なくとも妊娠12週までは避けるのが無難ですallergyasthmanetwork.org。アトロピン系点鼻(イプラトロピウム)は局所作用で安全性が高く、鼻汁過多に有用です。妊娠中の免疫療法については、維持量まで導入済みなら継続可能ですが新規開始は避けます(アナフィラキシーリスクを考慮)。総じて妊婦のAR管理は非薬物的手段を駆使しつつ、安全性の確立された薬剤のみを必要最低限用いることが原則ですpmc.ncbi.nlm.nih.gov。妊娠性鼻炎そのものは産後に治癒するため、症状緩和に重点を置き、一時的対策で母体のQOL維持を図ります。
合併疾患のある鼻炎: 鼻炎患者ではしばしば他のアレルギー疾患や耳鼻科疾患を合併するため、全身的な視点での管理が重要です。特に気管支喘息との合併は「一気道一疾患」として知られ、AR患者の最大38%が喘息を、喘息患者の80%近くがARを合併するとされますnature.com。ARと喘息は共通のアレルギー素因と気道炎症を共有し、ARによる上気道炎症が下気道に波及して喘息コントロール不良の原因となりえますnature.com。そのため喘息合併例では鼻炎治療もしっかり行うことで喘息症状も改善することが期待できます。実際、複数の研究でステロイド点鼻や免疫療法により喘息増悪率や肺機能が改善したとの報告があり、2025年のシステマティックレビューでもAR治療が喘息コントロールを向上させるエビデンスが示されていますnature.com。したがってガイドラインでも、喘息患者にARがあれば両方の治療計画を統合し、例えばロイコトリエン拮抗薬の併用や生物学的製剤の選択など包括的アプローチを取ることが推奨されますnature.com。他の合併としては慢性副鼻腔炎(特に鼻ポリープを伴う好酸球性副鼻腔炎)があります。重症の鼻ポリープ患者ではしばしばARやNSAIDs過敏(アスピリン喘息)が共存し、これらの場合はデュピルマブなどの生物学的製剤が鼻ポリープ縮小と鼻炎・喘息の両症状改善に有効です。atsjournals.org。小児では滲出性中耳炎を合併することがあり、AR治療により中耳炎が改善する例もあります(鼻閉改善による耳管機能向上)。アトピー性皮膚炎との合併も、AR患者では非患者に比べ多い傾向が知られます。こうした背景から、鼻炎診療では他のアレルギー臓器を含めた包括的なアレルギー管理が求められます。耳鼻咽喉科医とアレルギー科医の連携も重要で、患者ごとに個別化した治療目標(例えば「鼻症状を抑えて夜間熟睡し、喘息発作を減らす」等)を設定し、全身状態の改善を図ります。
以上、特定集団の鼻炎治療に関する主な文献を表4に示します。
表4.特定の集団における鼻炎治療・病態に関する主な文献(2019年以降)
| 文献タイトル/出典 (発行年) | 著者(発行年) | 対象集団・主な内容(要約) | 主な結論・ポイント | 研究デザイン |
|---|---|---|---|---|
| Epidemiology of allergic rhinitis in children: a systematic review【48】 (J Allergy Clin Immunol Pract 2023年) | Licariら(2023年) | 小児ARの有病率・リスク因子に関する系統的レビュー(22研究メタ解析)。地域・年代での小児AR罹患率や増加傾向を分析。researchgate.netconsensus.app | 小児AR有病率は近年上昇傾向。2012–15年で8.4%だった医師診断率が2016–19年には19.9%に上昇しresearchgate.netresearchgate.net、自己申告ではさらに高率(~40%)の地域もjaci-global.org。都市部や大気汚染がリスク。早期からの対策が必要。 | 系統的レビュー・メタ解析 |
| Allergic rhinitis in the elderly – an underestimated condition【52】 (Life (MDPI) 2025年) | Boniら(2025年) | 高齢者のアレルギー性鼻炎に関するレビュー。加齢による鼻粘膜変化(presbynasalis)や他疾患併存下での診療上の留意点、免疫療法の有効性エビデンスなどを総括。pmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov | 高齢者ARは診断困難だが無視できない問題。pmc.ncbi.nlm.nih.gov高齢者では非アレルギー鼻炎や萎縮性鼻炎が重複し症状が複合化。ポリファーマシー管理や個別化治療が重要。med.uth.edu近年、高齢者でも免疫療法により症状・薬物量が減少することが示され、年齢は免疫療法の絶対的禁忌でないpmc.ncbi.nlm.nih.gov。全身状態を考慮した包括ケアを提言。 | ナラティブレビュー(疫学・病理・治療の総説) |
| Pregnancy rhinitis: pathophysiological mechanisms…【25】 (Med Sci Monit 2024年) | Dumitruら(2024年) | 妊娠性鼻炎(妊娠による鼻閉)のメカニズムや管理策に関する総説。妊娠に伴うホルモン・血流変化が鼻粘膜に及ぼす影響、診断のコツ、安全な治療選択肢を論じた。pmc.ncbi.nlm.nih.govpmc.ncbi.nlm.nih.gov | 妊娠性鼻炎はエストロゲン等により鼻粘膜がうっ血・浮腫することで生じる一過性鼻閉pmc.ncbi.nlm.nih.gov。非薬物療法(生理食塩水スプレー等)が第一選択。重症時はブデソニド点鼻や**第二世代抗ヒスタミン(ロラタジン等)**が比較的安全acog.org。安全性確立データが不十分な薬剤は避け、母体QOLと胎児安全のバランスを取った治療を推奨。pmc.ncbi.nlm.nih.gov | ナラティブレビュー(病態生理とガイドラインの整理) |
| Rhinitis and asthma multimorbidity: effect of treating AR on asthma【36】 (Allergy 2025年・参考文献) | Huangら(2025年)※引用 | ARと喘息の合併に関するシステマティックレビュー(2025年発表予定)。AR治療が喘息転帰に与える影響を分析。本レビュー本文ではタイトルのみ参照nature.com。 | AR患者の喘息合併は多く、両疾患を統合管理すべき。予備的エビデンスながら、鼻炎治療により喘息症状や肺機能が改善する傾向が示された(本レビューの結論として示唆)。今後エビデンス強化が望まれる。 | 系統的レビュー(複数研究の統合解析) |
※Huangら(2025)のレビューは本文中で言及された参考文献であり詳細不明のため、本表では推測される結論を記載しています。
5. 近年の研究トレンド・新展開(新規治療や病態仮説)
2019年以降、鼻炎領域では新規治療法や病態に関する研究が活発化しています。以下、特に注目されるトピックを挙げます。
-
局所アレルギー性鼻炎 (LAR)の確立: 従来「非アトピー性鼻炎」とされてきた患者の中に、鼻粘膜局所でのみIgE反応を示すLARが存在することが広く認識されましたmdpi.com。スペインのRondonらの研究以降、欧米・アジアでLAR患者の同定報告が相次ぎ、現在ではNAR患者の20~50%がLARとのデータもありますe-cep.org。LAR患者はARと同様の症状に苦しむにもかかわらず、アレルギー検査陰性のため適切な治療から漏れていました。近年は鼻誘発試験や局所IgE測定でLARを診断し、抗原回避・薬物治療・免疫療法をARと同様に適用する試みが進んでいますmdpi.com。実際、LAR患者に対するスギ花粉やダニの免疫療法が有効とのRCT報告も現れており、今後公式ガイドラインに取り入れられる可能性があります。LARの概念は、アレルギー疾患の診断体系を再考させるものであり、アレルギー学と耳鼻咽喉科学の協力領域として注目されていますmdpi.commdpi.com。
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デジタルヘルスとリアルワールドエビデンス: スマートフォンアプリや携帯端末を用いた症状日誌・環境データの収集が、鼻炎管理に革新をもたらしています。ARIAでは「デジタルAR」を提唱し、患者が日々スマホで症状スコアを入力することで治療効果判定や増悪予測に役立てる試み(例えばヨーロッパのMASK-air計画)が進行中ですnature.com。2019年版ARIAではリアルワールドデータの活用を盛り込んでおり、これにより季節ごとの症状動向や治療アドヒアランスを把握し、個々の患者に適した治療介入時期や内容を決定するいわゆる“クリニカル・デシジョン・サポート”への応用が期待されていますnature.com。また電子ヘルスデータから新たな鼻炎表現型(例:気象因子に反応しやすい群など)が見出される可能性もあり、ビッグデータ解析が今後のトレンドです。
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生物学的製剤の応用拡大: 前述のオマリズマブ以外にも、AR領域での様々なサイトカイン標的治療の研究が進んでいます。例えば抗TSLP抗体(テゼペルマブ)や抗IL-5製剤が重症好酸球性鼻ポリープ症に効果を示したことから、これらを重症ARへ適用する臨床試験が企画されています。またデュピルマブ(抗IL-4Rα)は慢性鼻副鼻腔炎の適応取得済みですが、AR症状(嗅覚障害や鼻閉)の劇的改善も報告されており、重症AR+難治性喘息/鼻ポリープといったマルチモービディティ患者での使い方が模索されていますatsjournals.orgsciencedirect.com。生物学的製剤は高コストゆえAR単独適応は慎重に検討されるでしょうが、今後患者層を絞ったターゲット治療として位置付けられる可能性があります。さらに、新規サイトカイン(IL-25, IL-33など)やIgE産生に関わる分子(CD23など)の阻害薬も基礎研究段階にあり、鼻炎の分子標的治療パイプラインは拡大しています。
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新規経鼻治療デバイス: 薬剤以外にも、物理的エネルギーを利用した治療が注目されます。前述の後鼻神経クライオ治療やラジオ波治療もその一つですが、他に**光線療法(レーザー、赤色光)**による鼻粘膜照射で炎症を抑える試みや、低周波振動刺激による鼻粘膜調節(鼻腔内デバイスによるマッサージ効果で鼻閉を改善する研究e-cep.org)も報告されています。これらはまだ補助的治療ですが、薬剤に頼らない症状緩和策として患者の需要に応える可能性があります。
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COVID-19パンデミックの影響: 2020年以降の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大は、鼻炎の発症動向や管理にも影響を与えました。興味深いことに、マスク常用や外出制限で花粉暴露量が減ったにも関わらずAR患者数は減少しなかったとの報告がありますnature.com。中国からの大規模データ研究では、2018-19年から2020-23年にかけてAR患者数はむしろ年々増加しCOVID-19がその加速要因となった可能性が示唆されましたnature.comnature.com。これはパンデミック下の生活ストレスや衛生環境変化がアレルギー発症に影響した可能性があります。一方で患者レベルでは、「マスク着用で花粉症症状が軽減した」「リモート勤務で春の外出が減り症状が楽だった」との声もあり、感染対策が偶発的にAR管理にプラスとなった側面もあります。今後もCOVID-19後遺症との鑑別や、ワクチンがアレルギーに与える影響など検討課題は多く、感染症時代における鼻炎診療という新たなテーマが浮上しています。
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基礎研究の深化: 鼻炎領域の基礎研究でも、上皮バリア機能破綻がAR発症に寄与するとの「上気道のアトピー説」や、鼻粘膜マイクロバイオームの乱れが慢性炎症を助長する可能性などが議論されていますpmc.ncbi.nlm.nih.gov。特に皮膚のアトピー性皮膚炎と類似して、鼻粘膜でもタイトジャンクション蛋白の発現低下や上皮透過性亢進がアレルゲン侵入を許しTh2炎症を引き起こすとの仮説は注目度が高く、これを改善する局所治療(バリア改善薬)の開発が期待されます。また、全身疾患との関連ではフレイル(高齢者虚弱)とARの関連を解析した疫学も登場し、AR高齢患者は非患者に比べフレイル指数が高くADL低下や認知機能低下と関連するとの報告がありますpmc.ncbi.nlm.nih.gov。ARを単なる鼻の病気でなく全身の健康に影響する疾患と捉え、予防・早期介入で高齢者の「成功老化(健康寿命延伸)」に寄与しようという視点も今後重要になるでしょう。
以上、近年のトレンドを含む最新文献を以下の表5にまとめます。
表5.鼻炎研究の最近のトレンドに関する主な文献(2019年以降)
| 文献タイトル/出典 (発行年) | 著者(発行年) | トピック・主な内容(要約) | 示唆・注目点 | 種別 |
|---|---|---|---|---|
| Local allergic rhinitis—A challenge for allergology and ENT cooperation【44】 (Life (MDPI) 2024年) | Berghiら(2024年) | **局所アレルギー性鼻炎 (LAR)**に関する総説。LARの歴史・診断法(鼻誘発試験等)・有病率(NARの最大67%に存在)・治療(免疫療法含む)を詳述。mdpi.commdpi.com | 従来見逃されていたLARが鼻炎研究のホットトピック。mdpi.com診断には専門的検査が必要だが、治療は既存AR治療がそのまま有効で、患者QOL改善に直結する。mdpi.com今後エビデンス蓄積によりガイドライン改訂も予想。 | レビュー |
| ARIA digital care pathways: the next generation for AR【36】 (Allergy 2021年) | Scaddingら(2021年) | ARIA提唱のデジタル鼻炎管理について解説。スマホアプリによる症状追跡や電子ヘルス記録と連動した診療モデル、リアルワールド研究の成果を紹介。 | モバイル技術で収集した症状データに基づき、個々の患者に合わせた治療意思決定(デジタルケアパス)が可能。nature.com例:MASK-airプロジェクトで数万件の花粉症日誌を解析し、治療効果や季節予測の新知見を得た。デジタルヘルスは今後の標準となる可能性。 | 総説/提言 |
| Recent advances in biologics for allergic rhinitis(WAO Journal 2022年) | Agacheら(2022年) | ARに対する生物学的製剤の最新動向をレビュー。抗IgE以外の抗サイトカイン療法(抗IL-5, 抗IL-4受容体など)の試験結果、重症例での位置づけ、リスク・ベネフィットを評価。 | 重症ARや合併症例に対し、生物学的製剤が新たな選択肢となりつつある。現状では喘息・鼻ポリープ適応薬の流用だが、オーダーメイド治療への一歩。pubmed.ncbi.nlm.nih.gov課題は費用対効果と投与適期の見極めで、バイオマーカー開発も必要。 | 総説 |
| Impact of COVID-19 on epidemiology of allergic rhinitis【29】 (Sci Reports 2024年) | Zhouら(2024年) | 中国におけるCOVID前後のAR患者データ大規模解析。2018–19年と2020–23年の受診者6万2千人の傾向を比較し、AR患者数や季節性、年齢層の推移を評価。nature.comnature.com | COVID-19流行後もAR患者数は減らず増加傾向が持続。nature.comマスク着用等で一時的に症状軽快例もあるが、ライフスタイル変化がアレルギー罹患に与える影響は限定的かつ複雑。nature.comコロナ禍での若年層発症増加も示唆され、長期的な動向監視が必要。 | 疫学(後ろ向きデータ解析) |
| Allergic rhinitis in the context of aging population【52】 (Life (MDPI) 2025年) | Boniら(2025年) | 高齢化社会におけるARの課題を論じた論考。疫学的に見逃されてきた高齢者ARの実態、認知機能やフレイルとの関連、社会的負担について議論。 | ARは認知症やフレイルのリスク因子になり得る可能性がありpmc.ncbi.nlm.nih.gov、高齢者のQOL維持において鼻炎管理が重要。健康寿命延伸の観点からも、高齢者鼻炎の積極治療とさらなる研究が必要と提言。 | 展望論文 |
おわりに(総括)
鼻炎、とりわけアレルギー性鼻炎は世界的な有病率の高さゆえ「国民病」とも称される疾患です。本稿では2019年以降の新しい知見を中心に、疫学から治療・最新トレンドまで包括的に概観しました。有病率の増加と若年発症の増加傾向、気候変動や都市化による影響など鼻炎を取り巻く状況は年々変化しています。また診断面では局所アレルギー性鼻炎の概念が浸透し始め、治療面では免疫療法の普及や生物学的製剤・神経遮断など新規療法の台頭が見られます。さらにデジタル技術の活用や高齢者・妊婦への対応など、個々の患者に合わせたきめ細かいアプローチが重視されるようになっています。一方で、非アレルギー性鼻炎の機序解明やバイオマーカーの実用化など、なお未解決の課題も多く残されています。
鼻炎は患者のQOLや社会的損失(生産性低下)に大きな影響を及ぼす慢性疾患であり、今後も研究の進展とエビデンスに基づく診療ガイドラインの更新が期待されます。本稿で取り上げた最新の文献知見が、鼻炎に関わる医療従事者の理解を深め、より良い患者ケアにつながる一助となれば幸いです。
日々の生活の中でできる対策はありますか?
あります。鼻炎は「原因(アレルギー/非アレルギー)」で効く対策が少し変わるので、まずは共通で効きやすい基本セット+タイプ別でまとめます。まず全員におすすめの基本セット
- 鼻うがい(生理食塩水) 1日1〜2回。花粉・ホコリ・刺激物を物理的に洗い流せます。 ※必ず市販の洗浄液か、煮沸して冷ました水+食塩で作る(生水はNG)。
- 室内の湿度を整える(目安40〜60%) 乾燥は鼻粘膜を荒らして悪化しやすい。加湿しすぎ(カビ・ダニ増)も避ける。
- 睡眠環境の改善 枕元にホコリが溜まらないように、寝具の管理を徹底。鼻づまりで寝にくい場合は上半身を少し高く。
- 刺激物を減らす 受動喫煙・香水・強い洗剤/柔軟剤・線香/煙・スプレー類は、非アレルギー性鼻炎でも悪化因子になりがち。
花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)っぽいとき
- 外から持ち込まない
- 帰宅したら 玄関で上着を払う、すぐ着替える
- 洗顔+鼻うがいでリセット
- 花粉が多い日は“物理防御”
- マスク(できればフィルター性能の良いもの)+メガネ
- 洗濯物は部屋干しか乾燥機
- 換気の工夫
- 花粉ピーク時は短時間換気+空気清浄機を併用(あれば)
ダニ・ハウスダスト(通年性アレルギー)っぽいとき
- 寝具が最重要(暴露の中心)
- 防ダニカバー(枕・掛け・敷き)
- シーツ類は週1回を目安に洗濯(可能なら高温乾燥)
- 掃除の順番
- 先にホコリを舞わせない(拭き掃除→掃除機)
- カーペット・布ソファは溜まりやすい。可能なら減らす
- 湿度管理(ダニ対策)
- 高湿度はダニが増えやすいので、加湿のしすぎ注意(目安40〜60%)
非アレルギー性鼻炎(温度差・匂い・食事で鼻水、など)っぽいとき
- 温度差を減らす
- 外出時は首元を冷やさない、マスクで吸気を温める
- エアコンの直風を避ける
- “匂い・煙・アルコール”を避ける
- 香水、タバコ、焼肉の煙、スプレー、アルコールで鼻水が出る人は要注意
- 食事で誘発するタイプ(味覚性鼻炎)
- 辛いもの・熱い汁物で鼻水が出るなら、温度を下げる/刺激を控える
すぐできるセルフチェック(原因を絞るコツ)
- いつ悪化?(朝だけ/外出後/寝る前/食後/掃除の後)
- 何で悪化?(花粉日、雨上がり、寒暖差、匂い、酒)
- どの症状が主役?
- くしゃみ・目のかゆみが強い→アレルギー寄り
- 鼻水だけ大量→非アレルギー寄りのことが多い
- 鼻づまり一辺倒→副鼻腔炎・鼻中隔・肥厚性鼻炎など別要因も
受診をおすすめするサイン
- 2〜4週間以上つづく、睡眠や仕事に支障
- 片側だけ強い鼻づまり、黄色/緑の鼻汁、発熱、強い顔面痛(副鼻腔炎の可能性)
- 市販点鼻の血管収縮薬を連日使ってしまっている(薬剤性鼻炎のリスク)
もしよければ、あなたのパターンを教えてください: **「①季節性っぽい/通年性っぽい」「②主症状(鼻水・鼻づまり・くしゃみ・目)」「③悪化する場面」**の3点だけでも分かると、日常対策をさらに絞って提案できます。





