これからの働き方の、キーワードとなるのは、仕事のポートフォリオマネジメントです。今後は終身雇用も年功序列も終わりを告げます。
ひとつの会社で働き続けるのではなく、百姓として複数の仕事を行いつつ、さまざまな会社やさまざまな人たちと一緒に働くのが普通になるのです。
今までの会社の働き方は、基本的には新卒でどこかの会社に就職したあと、その、会社のラインに乗っていくというのが慣例でした。新卒として、入社した最初の就職先で、キャリアを積み上げて出世していくというルートです。
しかし、この働き方では、入社の時点で年収の大枠が決まってしまいます。メーカーに入った人よりも、金融機関に入った人の方が年収レンジが高いので、学生はみんな銀行や、投資銀行やコンサルティングファームを目指してしまいます。
逆にいうと、メーカーの人は年収レンジが低すぎて、今の会社から離脱できなくなってしまいます。たとえば、トヨタからほかのメーカーに転職して、トヨタ以上の年収を稼ぐのは結構大変です。トヨタを辞めて、金融業界に途中から入っても出世するのは容易ではありません。
だからこそ、トヨタの人たちは、ほかの会社に移るという選択肢を選びにくいのです。
こうした会社のシステムは、採用した人材を流出させない、という点では正解なのですが、イノベーションを起こすことには向いていません。本当はいろんな人材が会社に入ってきたほうが、イノベーションが生まれやすいのですが、日本の企業では人材が滞留してしまいます。経営陣からすると、臨機応変に時代やプロジェクトごとに人を組み合わせて、人材をポートフォリオマネジメントを組むことができないのです。
そして、気づいたら日本の大企業は、でかくてのろい恐竜みたいになってしまきました。この状況を打開するためにも、どうやって哺乳類型の小さくてフットワークの軽い企業をたくさん作り出して、恐竜型のでかい企業と繋げて、これまでと違うイノベーションを起こせるかを考えなければなりません。
僕が言いたいのは、哺乳類型の新しい企業が、恐竜型の古い企業を食いつぶすべきということではありません。むしろ、哺乳類型が恐竜と組んだり、恐竜型が哺乳類型を買ったりしながら、一緒に製品を生み出していけばいいのです。
これが、俗に言われるオープンイノベーションだす。
こうした、時代になってくると個人のキャリアプランとしても、ベンチャーに入ることが賢い選択になります。なぜなら、ベンチャーの株式やストックオプションを保有していれば、上場や買収などでエグジットしたときに、年収のレンジが爆上がりする可能性が高いからです。
数億円、数十億円、数百億円というレンジも視野に入ってきます。ベンチャーも選択肢が広いですが、特に大切なのは専門性のあるベンチャーにはいることです。なぜなら、会社の専門性=自分の専門性になるため、専門性のある会社でキャリアを磨けば、市場価値が上昇しやすくなるからです。
今後のキャリアマネジメントを考えると、ベンチャーに就職したり、大企業からベンチャーに転職したり、ベンチャーから大企業に戻ることは普通になっていくでしょう。
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