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アフリカの貧困の原因について、漠然と「厳しい自然環境にあるからだ」と考えている人もいると思いますが、
紛争などの人為的な理由がその背景にある事も少なくないのです。

①西欧に振り回された歴史

10世紀を過ぎるころのアフリカには、他国と対等な立場で貿易を行う国もあったと言われています。
インド洋に面した東アフリカでは、アラビア、ペルシア、インド、中国との貿易があり、象牙や皮革などを輸出していました。

また14世紀には、イブン・バットゥータが金の取引を行っていたマリ王国等の繁栄について記しています。

 

しかし、16世紀以降(大航海時代以降)の奴隷貿易や、19世紀(産業革命)以降は、資源の獲得や市場の拡大を目指す植民地支配が行われ、西欧列強に搾取される時代となりました。

 

アフリカの国々が独立を果たすのは、第二次世界大戦後のことです。
1995年頃からアフリカ各地で、独立運動が活発化し、17の国が独立を果たした「アフリカの年」(1960年)を経て、1965年までにはアフリカ大陸は現在の地図とほぼ同じ版図となります。

 

その後、東西冷戦の激化に伴い、アメリカとソ連はアフリカの国々を味方に引き入れようと積極的に援助を行いました。
同時に、両陣営の支援を受けた勢力による内戦も各地で勃発していきます。

1989年以降、冷戦が収束に向かうと援助のも消極的になり代理戦争は減りましたが、依存として民族紛争が続いている地域もあります。
アフリカの貧困の原因について、漠然と「厳しい自然環境にあるからだ」と考えている人もいると思いますが、紛争などの人為的な理由がその背景にある事も少なくないのです。

 

②開発を阻む「資源の呪い」

リビア、アルジェリア、アンゴラなど、アフリカには巨大な油田を擁する産油国がいくつもあります。
第二次世界大戦後、アフリカの各地で大規模な油田の開発が進められましたが、そこで得らえれた資源が国全体を富ませる事はありませんでした。

世界のエネルギー産業の重要地点でありながら、なぜアフリカは長く停滞の中にいたのでしょうか。

理由はいくつも考えられますが、一つは天然資源の豊かさそれ自体にあると言えます。

豊富な資源を持つ国の為政者は、国内インフラの開発努力や教育の拡充などせずとも莫大な富を得られます。
また、その資源産業を中心にすることで、二次産業、三次産業を育成する必要がなかったともいえます。

国内の産業が未発達のままだと、市場が空洞かして富の再配分が行われないため、貧富の差は極端に拡大します。

アフリカを長年にわたって苦しめてきたこの現象を、経済学者たちは「資源の呪い」と呼んでいます。

天然資源に依存した貿易は、国内産業を荒廃させます。1970年代の石油危機では中近東の原油価格が高騰し、
アフリカの産油国は輸出が増えた事で短期的には潤いましたが、通貨高によって他の輸出産業が壊滅した結果、
ますます石油依存の度合いが進みました。さらに、アメリカがインフレ抑制のために高金利政策をとった事で、
ドル建ての融資を受けていた新興国の債務の負担は急増し、その返済はますます困難になりました。

 

③近代的な制度が定着しにくい

アフリカの困難、それは一言でいえば先進国でいうところの「近代化」を経由せずに現代に至った事です。

18世紀じゃら19世紀にかけて封建制や絶対王政から脱して近代国家を築いた地域では、
はやくから国民主権や議会政治を定着させるための試行錯誤が行われてきましたが、
20世紀前半まで欧米の植民地として過ごしていた国は、そういった民主化の過程を経験しないまま戦後社会に放りだされました。

国民国家や民主主義といった概念を導入しても、国民教育から行う必要があったため運用が定着するまで時間がかかり機能しませんでした。

その結果として、国民は国政に対して影響力を持つことができず、軍事政権による前近代的な独裁を許してしまうケースも多々ありました。
先ほど「資源の呪い」について触れましたが、アフリカで民主主義が育たないと言われる理由のひとつもそこにあります。

政治は外国企業に資源採掘の許可を与える事で巨額に収入を得られるため、国内からの税収に頼る必要はあまりありません。

この条件下では、国民の同意なく権力を維持できることから、為政者の独裁が進む傾向があるように思えます。
国民からの税収に頼らずとも利益が得られる資源国では、近代政治の礎である国家と国民の関係、「社会契約」が成立してこなかったとも言えます。

近代的な制度や仕組みが整っていない国が、天然資源を掘り当てたり、世界各国からの経済的支援を受けても、それは砂上に楼閣を立てるようなもので
その大半は軍事費や賄賂に費やされ、効率的な資産の分配を行えなかったと言えるでしょう。

また、アフリカの国境は19世紀にヨーロッパ列強が恣意的に定めたものが多く、国と民族が一致していないことがあります。
多くの国は同じ民族が複数に国にまたがったり、対立する民族がひとつの国に依存する複雑な状況です。

「国家」への帰属意識が低く、常に民族紛争が絶えない理由のひとつはここにあるのかもしれません。

 

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