この記事について
筆者はNVIDIA(NVDA)株を5年以上保有している。この記事は、購入を検討していた2020年頃に実際に考えていたことを振り返り、それから5年以上経った現在の状況と照らし合わせて「当時の判断のどこが当たり、どこが外れていたか」を検証するものである。以下の「当時考えていたこと」の部分は、あくまで筆者個人の当時の見立て・推測であり、投資助言ではない。
2020年頃、何を考えて保有を決めたか
ゲーム用GPUの優位性は簡単には揺るがない
当時のNVIDIAは、ゲーム用GPUで圧倒的なシェアを持っていた。IntelがそこにシェアをNVIDIAから奪うことはまずあり得ず、唯一のライバルはAMDだと考えていた。つまり、ゲーム市場全体が今後も伸びると見るなら、NVIDIAとAMDの両方に分散投資しておけば大きく外すことはないだろう、というのが最初の考え方だった。
株価はその時点で既に割高感があり、「いつ買うべきか」を正確に判断するのは難しいと感じていた。そのため、一度にまとめて買うのではなく、少しずつ買い増していく方針を取ることにした。
Appleの自社チップ移行への影響は限定的
Appleが自社製CPU・GPUへ切り替える動きは、Intel・NVIDIA・AMDといったチップメーカー全体にとってはマイナス要因になり得る。ただし、NVIDIA製GPUはAppleにここ数年採用されていなかったため、NVIDIA自身への影響はほとんどないだろうと考えていた。
サーバー側GPGPU市場には期待しすぎないほうがよい
データセンター向けのGPGPU(汎用計算としてのGPU利用)市場は、それなりの規模に成長してはいるものの、当時はまだ発展途上で先行きが読みにくい市場だと感じていた。GoogleはすでにTPUという機械学習向け自社チップを持っており、AmazonやMicrosoftも同様の方向に進むだろうと予想していた。
そう考えると、NVIDIAがサーバー側で大きく稼ぐためには、クラウドサービスの領域でAmazon・Microsoft・Googleという3強と直接競争して勝つ必要が出てくる。ここについては、当時はあまり期待しすぎないほうがよいだろうという慎重な見方をしていた。
期待していたのはエッジ・コンピューティング市場
一方で期待していたのが、自動運転や顔認識といったエッジ・コンピューティング向け市場だった。当時の時点でNVIDIAは良い立ち位置にいると感じていたが、Teslaのように自社製AIチップを開発する企業もあり、楽観はできないとも考えていた。Teslaが自社AIチップを外販するという噂もあり、これが実現すれば強力なライバルになり得るとも見ていた。
エッジ・コンピューティング市場全体については、今後大きく伸びると予想していた。理由として、世界中の何千万〜億台規模のセキュリティカメラが画像認識機能付きのものへ置き換わっていく中で、大量の映像をすべてサーバー側で処理するのは非効率であり、最終的にはカメラのハードウェア側で深層学習処理を行い、メタデータに変換してからサーバーへ送るという方向に変わっていくはずだと考えていた。つまり、エッジ側での推論処理には、それだけの市場規模があるという見立てだった。ライバルや新規参入も多く、NVIDIAがこの市場の覇者になる保証はないが、たとえ10%でもシェアを取れれば大きな利益につながる、と考えていた。
暗号資産マイニング市場はニッチにとどまると予想
暗号通貨のマイニング需要もそれなりの規模にはなっていたが、マクロで見れば「エネルギーの無駄遣い」という側面が大きく、市場としてはニッチな規模にとどまるだろうと見ていた。
5年以上経った現在、答え合わせをしてみる
上記はあくまで2020年頃の筆者個人の見立てだったが、それから5年以上が経過した現在の状況と照らし合わせてみる。
- データセンター(サーバー側GPGPU)市場: 公開情報によれば、NVIDIAは2026年時点でもAIアクセラレータ市場の約75〜80%というシェアを維持しており、2026年度のデータセンター事業の売上高は1,937億ドルに達したと報じられている。Google・Amazon・Microsoftが自社製AIチップの開発を進めている構図は当時の予想通りだが、それでもNVIDIAが市場全体の中で圧倒的なシェアを維持し続けている点は、当時の慎重な見立てよりも良い結果になっていると言える
- AMDとの競争: AMDはデータセンター向けAI GPU(Instinct)で急成長しており、2026年第1四半期のデータセンター売上は約58億ドル(前年比57%増)と報じられているが、市場シェアでは依然5〜7%程度とみられ、NVIDIAとの差は大きい。「唯一のライバルはAMD」という当時の見立ては方向性としては合っていたが、AMDがNVIDIAに追いつくところまでは至っていない
- エッジ・コンピューティング市場: 2026年のAIエッジコンピューティング市場は約300億ドル規模とされ、NVIDIAはその中で約39%のシェアを持つと報告されている。自動運転領域でもJetsonプラットフォームの採用が広がっており、当時期待していた「エッジでの一定シェア獲得」という見立ては、実際に一定程度実現していると考えられる
- ゲーム用GPUの優位性: 当時の想定通り、ゲーム用GPU市場での優位性は現在まで大きく揺らいでいない
全体として、当時の見立てのうち「データセンター市場では他社との競合が激しくなる」という方向性自体は当たっていたが、その中でもNVIDIAが想定以上のシェアと収益を確保できた点は、当時の慎重な予想を上回る結果だったと感じている。
現在の見解
AIに対する需要は今後も間違いなく伸びていくと考えており、保有を継続している。結果として、含み益は10倍以上になっている。
まとめ
- 2020年頃は、ゲームGPUでの優位性・エッジコンピューティングへの期待・データセンター市場への慎重な見方、という複数の観点から投資判断をしていた
- 株価が割高に見えるタイミングでは、一度に買うのではなく少しずつ買い増す方針を取った
- 5年以上経過した現在、データセンター・エッジコンピューティングの両市場で、当時の想定以上にNVIDIAが強いポジションを維持していることが確認できた
- 一方で、Google・Amazon・Microsoftの自社チップ開発やAMDの追い上げなど、当時懸念していた競争要因も実際に進行しており、今後も注視が必要だと考えている
- 結果として含み益は10倍以上になっているが、これは結果論であり、当時の判断がすべて正確だったわけではない。市場環境や競争構造は今後も変わりうるため、保有を続けるかどうかは引き続き自分で判断していく必要がある
本記事は筆者個人の投資判断の記録であり、特定の銘柄への投資を推奨するものではない。投資判断は自己責任で行ってほしい。
Sources:
– The Great Decoupling: NVIDIA’s Data Center Revenue Now Six Times Larger Than Intel and AMD Combined
– NVIDIA AI GPU Market Share 2026: ~80% of AI Accelerators | Silicon Analysts
– AMD’s Data Center Revenue Hits $5.8 Billion as AI Demand Fuels Growth
– AMD vs NVIDIA AI GPU Market Share 2026: MI350X vs B200 Competitive Analysis
– AI Edge Computing Market Statistics 2026

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