柱の両端とも回転拘束(回転固定)されているので,オイラー座屈の有効長係数は K=0.5K=0.5   よって Pcr=π2EI(Kl)2=π2EI(0.5l)2=4π2EIl2P_{cr}=\frac{\pi^2EI}{(K\,l)^2}=\frac{\pi^2EI}{(0.5\,l)^2} =4\,\frac{\pi^2EI}{l^2}   となり,選択肢①が正解です。 参考:技術士第一次試験-令和2年度機械部門Ⅲ-8解答例 | 技術士のたまご 08.座屈 | 合格ロケット

オイラー座屈の有効長係数について教えて下さい

  オイラー座屈の「有効長係数(有効座屈長係数)K」は、 柱がどのように支持されているか(端部条件)によって座屈のしやすさが変わることを、 「長さを見かけ上 もっと短く/長くしたものとして扱う」ための係数です。 まずは核心から説明し、あとで直感的イメージを添えます。

🔵 1. オイラー座屈の基本式

オイラー座屈荷重は [ P_{\mathrm{cr}} = \frac{\pi^2 EI}{(KL)^2} ] で与えられます。
  • (L):柱の実長(支点間距離)
  • (K):有効長係数
  • (KL):座屈する時の実質的な座屈長さ

🔵 2. 有効長係数 K の意味

  • 柱の端部が「回転できる」か「移動できる」かで、座屈形状の曲率が変わり、 その結果「座屈に対する強さ」も変わる
  • これを 長さが変わったものとして等価に表したものが K

🔵 3. 各端部条件の K(重要表)

端部条件(支え方) 有効長係数 K 座屈形状の特徴
両端ピン(両端回転自由) 1.0 基本形(最もよく出る)
片側固定・片側ピン 0.7(正確には 0.699) 剛端が変形を拘束するので座屈しにくい
両端固定(両端回転拘束) 0.5 最も座屈しにくい
片側固定・片側自由(片持ち柱) 2.0 最も座屈しやすい(2倍長い棒と同等)

🔵 4. 直感的な理解

■ K が小さいもの(0.5・0.7)

座屈しにくい(強い) → 固定端があるので曲がる前に反力やモーメントが効く → 座屈形状が「緩やか」になるため、短い棒のように振る舞う

■ K が大きいもの(2.0)

座屈しやすい(弱い) → 片持ちは先端が完全自由で「クネッ」と曲がる → 実際より長い柱(2L)のように扱う

🔵 5. 座屈モードのイメージ図(文字で描写)

● K = 1(両端ピン)

o——( )——o
      ↑
    最大たわみ

● K = 0.5(両端固定)

|——(  )——|
両端が曲がらず強い形状

● K = 2(片端自由)

|——(      )  
固定端 → 先端自由で長く見える

🔵 6. 設計でどう使うのか?

座屈耐力は [ P_{\mathrm{cr}} = \frac{\pi^2EI}{(KL)^2} ] なので、 K が小さいほど、分母が小さくなり Pcr が大きくなって強くなる。 例えば同じ長さ L でも:
  • 両端固定: [ P_{\mathrm{cr}} = \frac{\pi^2EI}{(0.5L)^2} =4\frac{\pi^2EI}{L^2} ] → 両端ピンの 4 倍の座屈耐力
  • 片端自由: [ P_{\mathrm{cr}} = \frac{\pi^2EI}{(2L)^2} =\frac{1}{4}\frac{\pi^2EI}{L^2} ] → 両端ピンの 1/4 の座屈耐力

🔵 7. まとめ(覚えるべき値)

支持条件 K
両端ピン 1.0
片側固定・片側ピン 0.7
両端固定 0.5
片端自由(片持ち) 2.0

必要であれば、
  • なぜ 0.7 になるのかの導出(固有値問題)
  • モーメント分布
  • たわみ曲線の微分方程式解法
  • 座屈モードの比較図
なども詳しく説明できます!

ピンは白抜きの丸で表現されますか?

  はい、そのとおりです。

材料力学・構造力学で「ピン支持」は白抜きの丸(○)で表現します。

一般的な図記号では以下のようになります:

🔵 支点の図記号(代表的なもの)

■ ピン支持(ヒンジ支持)

  • 白抜きの丸(○)
  • 回転は自由、水平と鉛直の反力が発生(2自由度拘束)
    ○─── 部材

■ 固定端(完全固定)

  • 黒塗りの端部または壁で表す
  • 回転も変位も拘束(3自由度拘束)
   |──── 部材
   |

■ ローラー支持

  • 白抜きの丸+下に小さなローラー
  • 回転自由、鉛直反力のみ(1自由度拘束)
   ○
  /\
──┘

🔵 座屈の端部条件で使う記号

オイラー座屈の端条件でも同じ記号を使います:
  • 両端ピン → ○────○
  • 片端固定・片端ピン → |────○
  • 両端固定 → |────|
  • 片端固定・自由 → |────(自由端)

🔚 結論

✔ ピン支持は「白抜きの丸」で表す

✔ 回転が自由で、水平・鉛直の反力が発生する支点


必要であれば、
  • 支点記号一覧
  • 各支点の拘束自由度
  • 座屈端条件の図つきまとめ
  • 有効長係数 K との対応表 なども作れます!