科学研究AIはどのような手法でつくるのですか?
科学研究AIは、普通のチャットAIとは少し違い、「論文を読む → 仮説を立てる → シミュレーション → 実験設計」までを支援する形で作られます。現在の主流は複数のAI技術を組み合わせたシステムです。 分野別に整理すると次のようになります。1. 論文理解AI(Scientific LLM)
まずは研究知識を理解するAIです。手法
- 大規模言語モデル(LLM)
- 論文データセット学習
- RAG(論文検索)
学習データ
- arXiv
- PubMed
- 特許
- 技術レポート
できること
- 論文要約
- 研究トレンド分析
- 仮説提案
2. 科学シミュレーションAI
これは物理・化学モデルとAIを組み合わせる方法です。手法
- Physics-informed neural networks(PINN)
- Graph Neural Network
- surrogate model
使われる分野
- 材料科学
- 流体
- 量子化学
- 半導体
材料組成
↓
シミュレーション
↓
性能予測
を高速に行う。
3. 実験計画AI(Self-driving lab)
これはかなり重要な分野です。 AIが仮説
↓
実験条件決定
↓
実験
↓
結果学習
↓
次の実験
を回します。
手法
- Bayesian optimization
- Active learning
- reinforcement learning
- 材料探索
- 触媒
- 新薬
4. 分子・材料生成AI
これは新しい材料を生成するAIです。手法
- Diffusion model
- VAE
- Transformer
- Graph generative model
分子構造
↓
性能予測
↓
最適構造生成
を行います。
AlphaFoldもこの系統です。
5. ロボット実験AI
AIが実験ロボットを動かす方法です。 構成AI
↓
実験計画
↓
ロボット操作
↓
測定
↓
AI更新
これを
self-driving laboratory
と呼びます。
6. 最近の最先端構成(研究AIの典型構造)
最新の研究AIはだいたいこうなります。LLM
↓
論文理解
↓
仮説生成
↓
シミュレーションAI
↓
実験計画AI
↓
ロボット実験
↓
結果学習
つまり
AI研究者を作ろうとしている
という流れです。
7. 材料研究だとこうなる
あなたがよく話しているテーマで例を出すと 例えば イオン交換ガラス AIは- 論文を読む
- 拡散モデルを構築
- 電場印加条件を探索
- ナノ粒子析出条件を提案
8. 実は重要なのは「RAG + シミュレーション」
研究AIで一番現実的なのは論文RAG
+
シミュレーション
です。
つまり
研究知識 × 物理モデル
9. 実際にこの方向の企業
最近増えています。 例- DeepMind(AlphaFold)
- Insilico Medicine(AI創薬)
- Orbital Materials
- Citrine Informatics
- Materials Project
重要な話
実はあなたが前に話していた- イオン拡散
- ガラス
- ナノ析出
- FEM
- 数式モデルがある
- 実験データが少ない
- 探索空間が広い
もし興味あればですが、 **「研究AIの作り方(現実的な構成)」**を説明できます。 実はあなたの研究テーマだと 個人でも作れるレベルの構成があります。 かなり面白いです。
論文をRAGにするのですか?
はい。 現在の科学研究AIの多くは「論文をRAGにする」方法を使っています。 ただし、普通のRAGよりも少し高度な構成になります。 整理して説明します。1 基本構造:論文RAG
一番基本は次の形です。論文PDF
↓
テキスト抽出
↓
ベクトル化(embedding)
↓
ベクトルDB
↓
LLM
質問すると
質問
↓
関連論文検索
↓
論文内容をLLMに渡す
↓
回答生成
つまり
論文検索 + LLM
です。
2 なぜRAGが必要か
LLMは- 論文の細かい内容
- 最新研究
3 科学RAGは少し特殊
研究用途では次のような拡張をします。① セクション分割
普通のRAG段落
研究RAG
Abstract
Method
Result
Discussion
Equation
などで分割します。
② 図表の理解
論文では- グラフ
- SEM画像
- 回路図
- フローチャート
図
↓
Vision AI
↓
説明文生成
↓
RAG
に入れることがあります。
③ 数式理解
研究では数式が重要なのでLaTeX
↓
数式抽出
↓
数式embedding
を行うことがあります。
4 研究RAGの典型構成
論文PDF
↓
OCR
↓
構造解析
↓
chunk分割
↓
embedding
↓
vector DB
↓
LLM
よく使うツール
- LangChain
- LlamaIndex
- Haystack
- FAISS
- Chroma
5 材料研究の場合
例えばあなたの研究テーマイオン交換ガラス
銀析出
混合アルカリ効果
の論文をRAG化すると
AIは
論文検索
↓
拡散モデル比較
↓
電場条件比較
↓
最適条件提案
などができます。
6 研究AIではRAGだけでは不十分
最近の研究AIは論文RAG
+
シミュレーション
+
実験データ
を組み合わせます。
例
論文
+
FEM
+
実験ログ
これを
scientific agent
と呼ぶことがあります。
7 重要:実は論文RAGは簡単
実装自体はそれほど難しくありません。 最低構成PDF
↓
embedding
↓
FAISS
↓
GPT
これだけでも動きます。
8 研究者が作るなら
本当に強い研究AIはこうします。論文RAG
+
実験ノートRAG
+
研究室データRAG
つまり
論文
研究データ
研究メモ
全部検索できるAIです。
実はですが、 あなたが前に言っていた 「図面添削AI」 と同じ構造です。
設計基準
+
図面
と
論文
+
研究
は
AIの構造は同じです。
もし興味があればですが、 研究AIで今一番面白いのは 「論文RAGの次の段階」 で、 AIが論文を読んで仮説を作る仕組みです。 これはかなり面白いので説明できます。
チャット形式だとAIの活動時間が短いですが、長くするにはどうすればいいですか?
良い質問です。 おっしゃる通り チャット型AIは基本的に「短時間の思考」しかできません。 理由は 1回の推論(response)で処理が終わる仕組みだからです。 研究AIや設計AIでは、これを解決するために **「長時間動くAI構造」**を作ります。 結論から言うと主な方法は 4つあります。1 エージェント化(AIをループで動かす)
一番よく使われる方法です。 普通のチャット質問
↓
AI回答
↓
終了
エージェント
目標
↓
AI思考
↓
ツール実行
↓
結果評価
↓
次の行動
↓
繰り返し
つまり
AIにループを作る
です。
Pythonの例
while True:
plan = llm("次の行動を決める")
result = tool(plan)
memory.append(result)
代表ツール
- LangChain Agent
- AutoGPT
- CrewAI
- OpenAI Agents
2 外部メモリを持たせる
チャットAIは通常 短期記憶しかありません。 そのためAI
↓
メモ保存
↓
次の思考で読み込み
を作ります。
例
vector database
SQL
knowledge graph
つまり
長期記憶AI
です。
3 タスク分解AI
大きな問題を 小タスクに分解して順番に実行します。 例研究テーマ
↓
論文検索
↓
要約
↓
仮説生成
↓
実験計画
↓
評価
これを
task planner
と呼びます。
4 AIをバックグラウンドで動かす
チャットAIは ユーザーが話したときだけ動く ですが 研究AIはcron
job queue
worker
で
24時間動くAI
にします。
例
夜中に論文検索
↓
朝にレポート生成
研究AIの実際の構造
多くの研究AIはこうなっています。planner AI
↓
research AI
↓
tool execution
↓
memory update
↓
planner
つまり
AIがAIを使う構造
です。
実際の例(科学研究AI)
目標
「銀析出ガラスの条件探索」
AI
↓
論文検索
↓
拡散モデル抽出
↓
シミュレーション
↓
条件探索
↓
結果評価
↓
次の条件探索
これを
scientific agent
と呼びます。
実は一番簡単な方法
意外ですが AIを長時間動かす最も簡単な方法はループ
+
RAG
+
ツール
です。
これだけで
半日くらい動くAI
が作れます。
かなり重要な話
あなたが前に話していた- 図面添削AI
- 設計AI
- 研究AI
RAG
+
LLM
+
Agent loop
もし興味あればですが、 実は 研究AIを作るなら今一番強い構造があります。 これは最近のAI研究者が使っているもので 「Deep Research型AI」 という構造です。 実は 個人でも作れるレベルなので、 希望があれば 研究AIのリアルな構成図を説明します。
エージェントでも1回の推論時間は短いですか?外部記憶を全部参照する前に止まるとかはあり得ますか?
はい。結論から言うと ① エージェントでも1回の推論時間は基本的に短い ② 外部記憶を全部参照する前に止まることは普通にあり得ます です。理由を少し整理します。1 エージェントでも「1回の推論」は短い
エージェントは長時間動いているように見えますが、実際はLLM推論
↓
ツール実行
↓
LLM推論
↓
ツール実行
という 短い推論の繰り返しです。
つまり
短い思考 × 何百回
で長時間動いているだけです。
1回の推論は普通
- 数秒
- 長くても数十秒
2 なぜ1回の推論が短いのか
理由は主に3つあります。(1) トークン制限
LLMは入力トークン + 出力トークン
に制限があります。
例えば
- 128k tokens
- 200k tokens
(2) 推論コスト
LLMはO(n²)
に近い計算量なので
入力が大きいほど
- 遅い
- 高価
(3) 推論時間制限
APIやシステム側で- タイムアウト
- 最大出力
3 外部記憶を全部参照する前に止まるか
これは よく起きます。 例えばvector DB
↓
検索上位5件
↓
LLM
のように
一部しか読まない
仕組みです。
4 RAGは基本「全部読まない」
RAGは質問
↓
embedding検索
↓
上位k件
↓
LLM
です。
例えば
論文10000本
↓
検索結果5本
です。
つまり
ほとんどの知識は読まれていません。
5 研究AIで起こる問題
研究用途だと- 論文を全部見ていない
- 重要論文を見逃す
- 局所最適になる
6 これを解決する方法
研究AIでは次の方法を使います。(1) iterative retrieval
繰り返し検索検索
↓
回答
↓
追加検索
(2) hierarchical RAG
段階検索分野検索
↓
論文検索
↓
段落検索
(3) long-context model
長文モデル 例- Claude (200k)
- Gemini (1M)
- GPT long context
(4) map-reduce型
全部読む方法論文1 → 要約
論文2 → 要約
論文3 → 要約
↓
統合
これは
研究AIではかなり使われます。
7 実は研究AIの一番大きな問題
実は一番大きい問題は 探索が途中で止まる ことです。 例えば論文検索
↓
5本読む
↓
答え出す
本当は
100本読むべき
かもしれません。
8 最近の解決方法(Deep Research)
最近はplanner AI
↓
research agent
↓
検証 agent
のように
複数AIで探索を広げる
方法が使われています。
重要な話
実は 「研究AIを作る難しさ」はここです。 問題はAIの賢さ
ではなく
探索戦略
です。
もし興味あればですが、 あなたが話している
- 論文RAG
- 図面添削AI
- 研究AI





