https://our.repo.nii.ac.jp/record/2008847/files/shimada36-2.pdf

Title (English and Japanese)
Visualization of Temperature Change in Cutting Operations
機械工作(切削加工)における被削材温度の可視化

Journal Name & Publication Year
The Research Bulletin of the Faculty of Education and Welfare Science, Oita University, Vol. 36, No. 2, October 2014
大分大学教育福祉科学部研究紀要 第36巻 第2号, 2014年10月

First and Last Authors
Kazunori Shimada

First Affiliations
Faculty of Education and Welfare Science, Oita University

Abstract
本研究の目的は、安全教育に繋がる知見を得るため、教育現場の工作機械を用いた切削加工実習等の場面において、加工時に被削材に発生する熱による温度変化の可視化を試みることである。FLIR Systems Inc.製のサーモグラフィカメラを用いて実験を行い、汎用旋盤、高速切断機、直立ボール盤、アセチレン-ガス溶接機を使用した。その結果、切削加工時に被削材及び切屑が500℃近くまで上昇することや、溶断作業では1200℃程度で切断された金属材料が、約700℃を下回った段階で目視では常温の状態と同様である等の現象を確認することができた。これにより、安全教育に有用な知見を得ることができた。

Background
教育現場での工作機械による切削加工実習において、被削材の温度変化を可視化し、安全教育のための基礎的知見を得ることを目的としている。現行の中学校・高等学校の技術科教育では、金属加工を伴う作品製作が実践されているが、工作機械の特性理解と安全面の配慮が必要である。

Methods

使用機材:汎用旋盤(ワシノ 型番:LR-55A)、高速切断機(リョービ 型番:C-3050)、直立ボール盤(YOSHIDA 型番:YBD-420)、アセチレン-ガス溶接機(SUZUKID 型番:2000SPZ)
材料:SS400材(一般構造用圧延鋼材)、STKM13A材(機械構造用炭素鋼鋼管)
サーモグラフィカメラ:FLIR Systems Inc. 型番:T45sc
各機械での加工条件を設定し、サーモグラフィカメラとビデオカメラで温度変化を記録
Results

汎用旋盤による切削加工では、被削材及び切屑が500℃近くまで上昇
高速切断機による切断では、切断直後の被削材の温度が670℃を上回り、目視では常温と同様の色合い
直立ボール盤による穴あけ加工では、200℃程度まで上昇
ガス溶断による切断では、材料が1200℃で切断され、700℃程度で常温と同様の状態
Discussion
切削加工時や溶断作業における被削材の温度上昇が明確に可視化され、安全教育において実際の温度認識が重要であることが示された。特に火傷の災害を防ぐための意識向上に有効な手立てとなる。

Novelty compared to previous studies
教育現場での実習において、サーモグラフィカメラを用いた被削材の温度変化の可視化を試みた初めての研究であり、安全教育のための具体的なデータを提供。

Limitations
実験は冬季に行われたため、周囲の温度状況が影響を与える可能性がある。さらに、被削材の材質や大きさ、使用する工具の種類によって結果が異なる可能性がある。

Potential Applications
本研究で得られたデータをもとに、安全教育用のデジタルコンテンツを作成し、教育現場での安全意識向上に役立てることが期待される。

専用ソフトウェアFLIR Research IRとはなんですか?

FLIR Research IRは、FLIR Systems Inc.が提供する専用ソフトウェアで、サーモグラフィカメラで取得したデータの解析や管理を行うためのツールです。このソフトウェアを使用することで、以下のような機能が利用できます:

温度解析:サーモグラフィカメラで記録した温度データを詳細に解析し、温度分布を視覚化します。
映像・画像の記録:温度データとともに、対応する映像や画像を記録・管理します。
時間-温度データの出力:温度変化を時間軸で追跡し、データを出力します。
レポート作成:解析結果を基にレポートを作成し、研究や教育に利用できる形にまとめます。
このソフトウェアを活用することで、被削材の温度変化を精密に解析し、安全教育に役立つ具体的なデータを提供することが可能になります。