令和2年度技術士第一次試験問題[機械部門] 専門科目Ⅲ-11 フィードバック制御系で極が与えられている時の安定化するための条件

著者:副業の宮殿|製造業に携わる現役エンジニア。技術士試験対策書籍をKindleで複数出版。技術ブログ「副業の宮殿」にて製造業DX・AI活用の情報を発信中。

解答

伝達関数

G(s)=2s+1s2+s+1,K(s)=k1s+k0G(s)=\frac{2s+1}{s^{2}+s+1},\qquad K(s)=k_1 s+k_0

 

閉ループ特性方程式は

1+K(s)G(s)=01+K(s)G(s)=0

 

より

1+(k1s+k0)(2s+1)s2+s+1=0    (s2+s+1)+(k1s+k0)(2s+1)=01+\frac{(k_1 s+k_0)(2s+1)}{s^{2}+s+1}=0 \;\Longrightarrow\; (s^{2}+s+1)+(k_1 s+k_0)(2s+1)=0

 

展開すると

(1+2k1)s2+(1+k1+2k0)s+(1+k0)=0(1+2k_1)s^{2} + (1+k_1+2k_0)s + (1+k_0)=0

 

希望する極は

23,1-\tfrac{2}{3}, -1

なので目標特性多項式は

(s+1)(s+23)=s2+53s+23(s+1)\left(s+\frac{2}{3}\right)=s^{2}+\frac{5}{3}s+\frac{2}{3}

 

係数は全体の定数倍まで同一であれば同じ根を持つので,

1+k1+2k01+2k1=53,1+k01+2k1=23\frac{1+k_1+2k_0}{1+2k_1} = \frac{5}{3},\qquad \frac{1+k_0}{1+2k_1} = \frac{2}{3}

 

(2)式から

3(1+k0)=2(1+2k1)    k0=1+4k133(1+k_0)=2(1+2k_1)\;\Rightarrow\; k_0=\frac{-1+4k_1}{3}

 

(1)式から

3(1+k1+2k0)=5(1+2k1)    k0=2+7k163(1+k_1+2k_0)=5(1+2k_1)\;\Rightarrow\; k_0=\frac{2+7k_1}{6}

 

両式を等置して

1+4k13=2+7k16    k1=4\frac{-1+4k_1}{3}=\frac{2+7k_1}{6}\;\Rightarrow\; k_1=4

k0=1+163=5k_0=\frac{-1+16}{3}=5

 

したがって

k0=5,  k1=4k_0=5,\; k_1=4

 

正解:②

 

参考:技術士第一次試験-令和2年度機械部門Ⅲ-11解答例 | 技術士のたまご

フィードバック | 副業の宮殿【PR】

問題はどういう意味ですか?

問題文の意味・意図をかみ砕いて説明します。


1. 状況(ブロック線図)

図のフィードバック制御系は「単純な 1 つのループ(単一フィードバック)」です。

  • 制御対象(プラント) : 伝達関数

    G(s)=2s+1s2+s+1G(s)=\frac{2s+1}{s^{2}+s+1} 

  • 制御装置(コントローラ) : 未知の 1 次(比例 + 微分的形)

    K(s)=k1s+k0K(s)=k_1 s + k_0 

  • 入力
    X(s)X(s)
     

    と出力 Y(s)Y(s) 

    があり,出力がマイナスで戻ってきて誤差信号を作る「単位負帰還」構成です。

2. 何をしろと言っているか(設計課題)

このループを閉じたとき(フィードバックをかけたとき)の 閉ループ系の極(= 特性方程式の根) を,指定された 2 つの値

s=23,s=1s = -\frac{2}{3},\quad s = -1

 

来るように コントローラ係数

k0,k1k_0, k_1

を選びなさい,という「極配置 (pole placement)」問題です。

3. なぜ極を指定するのか

閉ループ極は,時間応答(減衰速度・振動性など)と安定性を決める基本要素です。

  • 両方とも負の実数なので,安定(時間とともに応答が収束する)になります。
  • どの位置に置くかを設計者が決めることで,応答速度やオーバーシュートなどを調整できます。
    ここでは既に目標極が与えられているので,あなたはその極を実現する k0,k1k_0, k_1 

    を求めるだけです。

4. 特性方程式とは

単位負帰還では閉ループ伝達関数の分母(特性方程式)は

1+K(s)G(s)=01 + K(s)G(s) = 0

 

で与えられる多項式です。これを展開すると

k0,k1k_0, k_1

を含む 2 次多項式が得られます。その根が閉ループ極です。

5. 実際に何を計算するか


  1. 1+K(s)G(s)=01 + K(s)G(s)=0
     

    を展開して係数を k0,k1k_0, k_1 

    で表す。

  2. 目標極
    2/3-2/3
     

    1-1 

    をもつ 2 次多項式 (s+1)(s+2/3)=s2+(5/3)s+2/3(s+1)(s+2/3)=s^2+(5/3)s+2/3 

    を用意。

  3. 「自分が得た多項式の係数」と「目標多項式の係数」を(スカラー倍の可能性も考慮して)一致させて連立方程式をつくり,
    k0,k1k_0, k_1
     

    を解く。

  4. 選択肢の中から一致する組を選ぶ。

6. 選択肢

問題は計算で出た組と一致するものを ①〜⑤ の中から選べ,と言っています。
(前の回答で示した通り,結果は

k0=5,k1=4k_0=5, k_1=4

。)


まとめ(問題の意味を一言で)

「与えられたプラント

G(s)G(s)

に対し,1 次のコントローラ

K(s)=k1s+k0K(s)=k_1 s+k_0

の係数を選んで,閉ループ極を指定位置

2/3-2/3

1-1

に配置せよ。その候補として挙がっている 5 組の中から正しいものを選びなさい。」
これが問題の意味です。

さらに不明な言葉(極、特性方程式、極配置など)があれば続けて聞いてください。

 

問題文で与えられている特性方程式はどういう意味ですか?

「特性方程式

1+K(s)G(s)=01+K(s)G(s)=0

」が何を意味し、どう出てくるかを段階的に説明します。


目次

1. どこから出てくる式か(単位負帰還系)

ブロック線図は 単位負帰還

誤差信号 E(s)=X(s)Y(s)\text{誤差信号 } E(s)=X(s)-Y(s)

操作量 U(s)=K(s)E(s)\text{操作量 } U(s)=K(s)E(s)

出力 Y(s)=G(s)U(s)=G(s)K(s)E(s)\text{出力 } Y(s)=G(s)U(s)=G(s)K(s)\,E(s)

 

よって

Y(s)=G(s)K(s)(X(s)Y(s))    Y(s)+G(s)K(s)Y(s)=G(s)K(s)X(s)Y(s)=G(s)K(s)\bigl(X(s)-Y(s)\bigr) \;\Rightarrow\; Y(s)+G(s)K(s)Y(s)=G(s)K(s)X(s)

 

整理すると

Y(s)(1+K(s)G(s))=K(s)G(s)X(s)Y(s)\,(1+K(s)G(s)) = K(s)G(s)\,X(s)

 

従って 閉ループ伝達関数(入力

XX

から出力

YY

Y(s)X(s)=K(s)G(s)1+K(s)G(s)\frac{Y(s)}{X(s)}=\frac{K(s)G(s)}{1+K(s)G(s)}

 

この分母

1+K(s)G(s)1+K(s)G(s)

が系の 特性多項式(characteristic polynomial) を与え、その「=0」とおいた方程式

1+K(s)G(s)=01+K(s)G(s)=0

 

特性方程式(characteristic equation) です。


2. 何を表しているか(極=固有値)

閉ループ伝達関数の 極 (poles) は分母を 0 にする

ss

の値です。
極は時間応答

exp(st)\exp(st)

の指数部分に対応し、

  • 実部 < 0 なら減衰
  • 実部 > 0 なら発散
  • 実部 = 0 なら持続振動(純虚数)

したがって 「1+K(s)G(s)=0 の解」=「閉ループ系の極」=「閉ループ系の安定性と応答速度を決める値」 です。


3. なぜ「特性」と呼ぶか

線形時不変 (LTI) 系の内部ダイナミクスは、状態方程式で書けば

x˙=Aclx+Bclr\dot{x}=A_{cl}x + B_{cl}r

 

行列

AclA_{cl}

の固有値が時間挙動を決めます。
伝達関数表現ではその固有値集合が分母多項式の根になります。
行列での特性方程式

det(sIAcl)=0\det(sI-A_{cl})=0

が、ブロック線図を介してまとめると

1+K(s)G(s)=01+K(s)G(s)=0

の形に等価になるため、こちらも「特性方程式」と呼びます。


4. ここでの具体的な形

与えられた

G(s)=2s+1s2+s+1,K(s)=k1s+k0G(s)=\frac{2s+1}{s^{2}+s+1},\qquad K(s)=k_1 s + k_0

 

を代入すると

1+(k1s+k0)2s+1s2+s+1=0    (s2+s+1)+(k1s+k0)(2s+1)=01 + (k_1 s + k_0)\frac{2s+1}{s^{2}+s+1}=0 \;\Longrightarrow\; (s^{2}+s+1) + (k_1 s + k_0)(2s+1)=0

  (1+2k1)s2+(1+k1+2k0)s+(1+k0)=0\Longrightarrow\; (1+2k_1)s^{2} + (1+k_1+2k_0)s + (1+k_0)=0

 

この 2 次多項式が閉ループ特性多項式。これを望む形(目標極の多項式)に一致させるのが極配置設計です。


5. まとめ(意味を一言で)

「特性方程式

1+K(s)G(s)=01+K(s)G(s)=0

とは、閉ループ制御系の極(= 安定性と応答を決める固有値)を与える方程式で、その解がどこに来るかを調整するためにコントローラ

K(s)K(s)

のパラメータを選ぶ基礎となる式」 です。

さらに深掘り(状態空間との対応、根軌跡、ナイキストなど)も必要なら続けて聞いてください。

分母が極で0になるように設計すると、その極では数値が安定するのですか?

 

良い質問です。少し混乱しやすいところなので、丁寧に整理します。


1. 「分母=0 になる点」=極 (pole)

閉ループ伝達関数

T(s)=Y(s)X(s)=K(s)G(s)1+K(s)G(s)T(s)=\frac{Y(s)}{X(s)}=\frac{K(s)G(s)}{1+K(s)G(s)}

 

分母が 0 になる

ss

が「極」です。解析的にはそこでは

T(s)T(s)

無限大(発散) になります。
つまり 「分母を 0 に“して”安定にする」 のではなく、分母が 0 になる点(極)の複素平面上での位置によって時間応答の安定 / 不安定が決まる ということです。


2. 極と時間応答の関係

時間領域のインパルス応答は極に対応した項の和になります:

y(t)iCiesity(t) \sim \sum_i C_i e^{s_i t}

 

ここで

sis_i

が極。


  • Re(si)<0\operatorname{Re}(s_i) < 0
     

    なら esite^{s_i t} 

    tt\to\infty 

    で 0 に収束(安定)。


  • Re(si)=0\operatorname{Re}(s_i) = 0
     

    なら振幅一定(臨界・保守的)。


  • Re(si)>0\operatorname{Re}(s_i) > 0
     

    なら指数的に発散(不安定)。

安定とは「極が左半平面にあること」(連続時間の場合)であって、「分母=0 の値で“数値が安定する”」わけではありません。


3. “分母が 0” の直感的意味

ラプラス変換の逆変換を行うとき、分母多項式の根(極)から部分分数分解で

As(a)    Aeat\frac{A}{s – (-a)} \;\Longrightarrow\; A e^{-a t}

 

の形が出てきます。
したがって 極の位置を設計する=出てくる指数項の減衰速度や振動周波数を設計する ことです。


4. なぜ「分母=0 に“なるように”選ぶ」のか

設計では「望ましい応答」を仮定し、その応答に対応する極(例えば決まった減衰速度)を決めます。
→ その極をもつように 分母多項式の係数(= コントローラパラメータ)を調整 します。
こうして得られた閉ループ分母が、指定した根(極)を持つ=「極を配置した」という意味です。


5. もし極を右半平面に置いたら

分母のある根が

+0.2+0.2

など正の実部を持つと、応答に

e0.2te^{0.2 t}

が含まれて発散し、出力は無限大に向かう(理想数学上)ので 不安定
だから「極がどこにあるか」が決定的なのです。


6. よくある誤解のまとめ

誤解 実際
分母=0 で『安定点』になる その点は伝達関数が無限大。時間応答のモード(指数項)を決める“パラメータ”であり、安定点ではない
分母を 0 に設定する操作が安定化 分母(特性多項式)の根の位置を左半平面へ移すよう係数を選ぶのが安定化
極は計算だけの抽象概念 極 = 実際の過渡応答の減衰速度/振動数を表現する指数項の指数

7. さらに一歩:ゼロ (zero) との違い

伝達関数の 零点 (zero) は分子が 0 になる点。零点は応答の特定周波数成分を打ち消したり、位相特性を変えたりするが、安定性(発散/収束)を直接決めるのは極
(零点が右半平面にあると非最小位相で内部的な制約が増える、などは発展話題。)


8. 一言でまとめ

「分母が 0 になる“極”の位置が、系の安定性と過渡応答を決める。極そのものは“安定点”ではなく、そこに対応する指数モードが時間応答に現れる。だから設計では極を左半平面に配置して減衰させる。」


もっと例や数値シミュレーションで確認したい場合は言ってください。Python で簡単な応答比較もできます。どうしますか?

 

分母が極で0になるように設計するのは何を狙っているのですか?

「分母が極で 0 になるように“設計する”」=閉ループ分母(特性多項式)の根=極を目標位置に“置く”こと(極配置) であり、狙いは 閉ループ応答の性質を思い通りに整える ことです。具体的には下記の性能指標・性質を同時に(トレードオフを意識しながら)狙っています。


1. 安定化

  • 極(= 分母多項式の根)が右半平面にあると発散。左半平面に入れれば指数減衰して安定。
  • まず最優先:不安定な開ループ極を左に押し込む(安定化)

2. 応答速度(速さ)

  • 極の実部がより負(例: -5 )→
    e5te^{-5t}
     

    で速く収束。

  • 目標とする立上り時間 / 整定時間から “必要な実部” を逆算し、その位置に極を置く。

3. 減衰特性・オーバーシュート

  • 共役複素極
    ζωn±jωn1ζ2-\zeta\omega_n \pm j\omega_n\sqrt{1-\zeta^2}
     

    減衰比 ζ\zeta 

    固有角周波数 ωn\omega_n 

    がオーバーシュート、振動回数、減衰速度を決定。

  • 指定の過渡仕様(例:オーバーシュート < 10%, 2%整定時間 < 2 s)を極位置に変換し、配置。

4. 定常偏差(間接的効果)

  • 定常偏差そのものはタイプ数(原点極の数)で決まるが、極配置でレスポンス形状を決めながら、必要なら積分器を追加して原点極を導入するなど 必要な型 (system type) を確保。

5. 外乱・雑音に対する感度

  • 分母(= 特性多項式)は感度関数
    S(s)=1/(1+K(s)G(s))S(s)=1/(1+K(s)G(s))
     

    の形を左右する。

  • 低周波で極を十分左へ移す(ゲインを稼ぐ)→ 外乱抑制改善。
  • 逆に極をあまり左へ移し過ぎると高周波ゲイン増 → センサ雑音や未モデルダイナミクスを増幅(= ロバスト性低下)。

6. 制御入力(操作量)負担とのトレードオフ

  • 速さを求め極を左に寄せると、一般に必要ゲインが増加し操作量が大きくなる → 飽和 / エネルギー / アクチュエータ摩耗のリスク。
  • 所望の性能 vs. 現実的な制御エネルギー のバランスを極の位置で調整。

7. ロバスト性(不確かさへの余裕)

  • 極が安定境界(虚軸)から十分距離をとると、モデル誤差やパラメータ変動に対する余裕(安定余裕)が増える。
  • ただし非常に左に置く=高帯域化は未モデル高次モードや遅れの影響を拾いロバスト性を逆に損ねることがある。

8. 周波数領域仕様との対応

  • 極位置はボード線図の折れ点、位相遅れ、ゲイン交差周波数に影響。
  • 「帯域をどこまで拡げるか」「位相余裕・ゲイン余裕をどれくらい確保するか」を意識し極(と必要なら零点)を配置。

9. モードの形状(状態空間解釈)

  • 分母は閉ループ行列
    AclA_{cl}
     

    の固有多項式。

  • 極配置は 可制御なモードの固有値を再設計し、不要な遅い / 不安定モードを消す・速くする 行為。

10. 実装次元の制約・可制御性

  • 望む極をすべて自由に置けるのは「プラントがその極に関する可制御性 (controllability) を満たす」場合のみ。
  • コントローラ次数が足りなければ指定全ては達成できない(そこで補助としてオブザーバ、状態フィードバック、積分器追加などを検討)。

まとめ(狙いを一文で)

閉ループ分母(特性多項式)の根=極を意図した位置に“持たせる”ことで、安定性・速応性・減衰・外乱/雑音感度・操作量・ロバスト性のバランスを設計することが狙い です。


さらに直感的なたとえ

  • 系の各極は “バネで引っ張られた質量” の減衰付き振動モードに相当。
  • 極を左に動かす=減衰を強めて速く落ち着くようバネ/ダンパを調整する。
  • しかし強くし過ぎると摩擦熱(操作量)や機械的限界(アクチュエータ飽和)が問題になる。

補足してほしい観点は?

もし「数式から時間仕様算出の具体例」「オーバーシュート 10% なら極はどこ?」など、もう一歩具体的な換算例が欲しければ指示ください。
どう続けますか?「例を見たい」「他の設計法との違い」「零点の役割」など、知りたい方向を教えてください。

 

 

オーバーシュート 10% なら極はどこ?

以下,「標準 2 次系」を前提に 最大オーバーシュート

MpM_p

が 10%(=0.10) になる極位置の求め方と結果を整理します。
(※ 与えられた系が近似的に 2 次優勢(他極は十分左)であることが前提。)


1. 標準 2 次系と極

標準形:

Gcl(s)=ωn2s2+2ζωns+ωn2G_{cl}(s)=\frac{\omega_n^{2}}{s^{2}+2\zeta\omega_n s+\omega_n^{2}}

 

極:

s1,2=ζωn±jωn1ζ2s_{1,2}=-\zeta\omega_n \pm j\,\omega_n\sqrt{1-\zeta^{2}}

 

2. オーバーシュートと減衰比の関係

ステップ応答の最大オーバーシュート(%表示):

Mp=eπζ1ζ2M_p = e^{-\frac{\pi\zeta}{\sqrt{1-\zeta^{2}}}}

 

(%で 10% なら

Mp=0.10M_p=0.10

これを 0.10 に等置して

ζ\zeta

を解く:

eπζ1ζ2=0.10    πζ1ζ2=ln(0.10)2.302585e^{-\frac{\pi\zeta}{\sqrt{1-\zeta^{2}}}} = 0.10 \;\Longrightarrow\; -\frac{\pi\zeta}{\sqrt{1-\zeta^{2}}} = \ln(0.10) \approx -2.302585

πζ1ζ2=2.302585    ζ1ζ2=2.302585π0.732\frac{\pi\zeta}{\sqrt{1-\zeta^{2}}}=2.302585 \;\Longrightarrow\; \frac{\zeta}{\sqrt{1-\zeta^{2}}}=\frac{2.302585}{\pi}\approx 0.732

 

両辺 2 乗:

ζ21ζ2=0.73220.536    ζ2=0.536(1ζ2)ζ2(1+0.536)=0.536\frac{\zeta^{2}}{1-\zeta^{2}}=0.732^{2}\approx 0.536 \;\Longrightarrow\; \zeta^{2}=0.536(1-\zeta^{2}) \Rightarrow \zeta^{2}(1+0.536)=0.536

ζ2=0.5361.5360.349    ζ0.59\zeta^{2}=\frac{0.536}{1.536}\approx 0.349 \;\Longrightarrow\; \zeta \approx 0.59

 

結論:オーバーシュート 10% に対応する減衰比は

ζ0.59\zeta \approx 0.59

.

(よく使う目安:

Mp=5%ζ0.69M_p=5\%\Rightarrow \zeta\approx 0.69

,

Mp=10%ζ0.59M_p=10\%\Rightarrow \zeta\approx 0.59

,

Mp=20%ζ0.46M_p=20\%\Rightarrow \zeta\approx 0.46

3. 極の幾何学的比率

s1,2=ζωn±jωn1ζ2=0.59ωn±j0.807ωns_{1,2} = -\zeta\omega_n \pm j\,\omega_n\sqrt{1-\zeta^2} = -0.59\,\omega_n \pm j\,0.807\,\omega_n

 

10.5920.807\sqrt{1-0.59^2}\approx 0.807

したがって 実部 : 虚部 = 0.59 : 0.807 ≈ 1 : 1.37
あるいは虚部/実部比(減衰比の幾何学的表現):

Q=ωd(s)=0.8070.591.37Q = \frac{\omega_d}{-\Re(s)} = \frac{0.807}{0.59} \approx 1.37

 

(※ 電気で言う Q ≈

1/(2ζ)1/(2\zeta)

= 0.85 とは定義が違うことに注意)

4. 具体的な極座標表現

自然角周波数

ωn\omega_n

をまだ決めていないので,オーバーシュート 10% という情報だけでは “方向” しか決まりません。
極は原点からの距離

ωn\omega_n

でスケールします。極の角度

θ\theta

は:

cosθ=ζ=0.59    θ54\cos\theta = \zeta = 0.59 \;\Rightarrow\; \theta \approx 54^\circ

 

(虚軸との角度で言えば

9054=3690^\circ – 54^\circ = 36^\circ

極は負実軸から約 54° の方向線上(あるいは虚軸から 36°)に並び,原点からの距離(=

ωn\omega_n)を未確定に残した集合:

s=0.59ωn±j0.807ωns = -0.59\,\omega_n \pm j\,0.807\,\omega_n 

5. ωn\omega_n

 

を決めるには追加仕様が必要

例えば 2% 整定時間

TsT_s

(2% 基準)を指定すると

Ts4ζωnωn4ζTsT_s \approx \frac{4}{\zeta\omega_n} \Rightarrow \omega_n \approx \frac{4}{\zeta T_s}

 

例:整定時間 2 s を目標なら

ωn=40.59×23.39\omega_n = \frac{4}{0.59 \times 2} \approx 3.39

→ 極は

s=0.593.39±j0.8073.39=2.00±j2.74s = -0.59\cdot 3.39 \pm j\,0.807\cdot 3.39 = -2.00 \pm j\,2.74

 

6. まとめ

指定 得られる量

Mp=10%M_p=10\% 

ζ0.59\zeta\approx 0.59 

極の方向 負実軸から約

5454^\circ 

極の比率

s=0.59ωn±j0.807ωns=-0.59\omega_n \pm j\,0.807\omega_n 

追加で

TsT_s等を与える

ωn\omega_nと具体的な極座標値が確定


さらに知りたい?

  • 別の
    MpM_p
     

    のときの早見表

  • 実際のステップ応答波形比較(数値例)
  • 非 2 次系(高次系)での扱い

などあれば続けてどうぞ。どれを見たいですか?

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