https://www.theinformation.com/articles/tsmc-make-ai-chips-fast-enough?eu=wlYhPpPQwn0NL5uNzxCQ6A&utm_source=ti_app&rc=01qtpq
AIチップではtsmcの製造とNVIDIAの設計ではどっちが難しいですか
とても本質的な質問です。結論から言うと👇
「難しさの“種類”が違うが、現在のAIチップでは
👉 技術的・構造的により“詰んでいる”のはTSMCの製造」
ただし
👉 価値創出・差別化の源泉として“代替不能”なのはNVIDIAの設計
という関係です。
結論を一文で
- 一番「真似できない」= NVIDIAの設計
- 一番「物理的に詰まっている」= TSMCの製造
① TSMCの製造は何がそんなに難しいのか
TSMC
難しさの本質:物理 × 組織 × 時間
TSMCがやっているのは「工場」ですが、普通の工場ではありません。
技術的に
- 3nm / 2nmという原子数個レベルの加工
- EUV露光(ASML製装置)前提
- 歩留まりが90%→85%になるだけで利益が吹き飛ぶ
- CoWoSなど先端パッケージングが別ボトルネック
組織的に
- 数万人の熟練プロセス技術者
- 設計会社(NVIDIA, Apple等)と同時並行で最適化
- ノウハウは論文にならない「暗黙知」
時間的に
- 新Fab建設:5〜7年
- 設備投資:1兆円単位
- 今すぐ増産する手段がない
👉
需要が爆発しても、物理的に追いつけない
② NVIDIAの設計は何が難しいのか
NVIDIA
難しさの本質:知能 × 全体最適 × エコシステム
NVIDIAは「チップ設計会社」ですが、実態は👇
単なる回路設計ではない
- GPUアーキテクチャ
- メモリ階層設計(HBM前提)
- 通信(NVLink, NVSwitch)
- 電力・熱設計
- そして CUDAというソフトウェア帝国
設計の怖さ
- 1世代(Blackwellなど)失敗すると数年負け
- 製造はTSMCに依存(自分で直せない)
- 巨大ダイ → 歩留まり悪化 → 価格爆上がり
👉
設計判断 = 経営判断
③ 「どっちが難しいか?」を軸別に整理
| 観点 |
勝者 |
| 技術の総合難易度 |
TSMC |
| 物理的制約 |
TSMC |
| 参入障壁 |
TSMC |
| 価値の源泉 |
NVIDIA |
| 利益率 |
NVIDIA |
| 代替可能性 |
TSMC(低) / NVIDIA(極低) |
| AI進化の主導権 |
NVIDIA |
④ なぜ「NVIDIAが王様」で「TSMCが黒子」なのか
- TSMCは誰のチップも作る
- NVIDIAは自分の世界(CUDA)を作る
- AI研究者・企業は「TSMCが欲しい」のではなく
👉 「NVIDIAで動くAI」が欲しい
つまり
TSMCは“現実世界の限界”を背負い、
NVIDIAは“計算世界の未来”を設計している
⑤ 重要な構造的結論(投資・研究視点)
- TSMCは「増やせない」から強い
- NVIDIAは「真似できない」から強い
- どちらかが欠けるとAIは止まる
- しかし 主導権を持つのは設計側
もし一言で言うなら
TSMCは「神の領域の製造」
NVIDIAは「知能の設計図」
どちらが欠けてもAI時代は成立しませんが、
「難しさの質」は明確に違います。
次に進むなら👇
- 「なぜGoogleやAmazonはNVIDIAを置き換えられないのか」
- 「TSMCが政治リスクを抱えても代替されない理由」
- 「AI時代の“製造業の限界”とは何か」
どれを深掘りしますか?
半導体のライン間隔の幅を細かくしていくといいのですか?
結論から言うと👇
「基本的には細かくすると“良い”が、
あるところからは“良いことより悪いことが増える”」
→ だから今は “細かくする”から“賢く作る”へ 移行しています。
まず直感的な答え
- ✅ 昔:線を細くすればするほど正義
- ⚠️ 今:細くすると別の問題が爆発
- 🚀 現在:線幅縮小+立体化+分割+パッケージング
なぜ「細かくすると良い」のか(基本原理)
メリット① トランジスタが増える
- 同じ面積により多くの回路を詰め込める
- → 計算性能アップ
メリット② 電力が下がる
- 配線が短くなる
- 動作電圧を下げられる
- → 性能/W(電力効率)が向上
メリット③ 速度が上がる
- 信号が移動する距離が短い
- → 高クロック化しやすい
👉 これが
ムーアの法則 が50年以上続いた理由です。
では、なぜ「細かくし続けられない」のか
問題① 電子が“勝手に通る”
- ゲートが薄すぎる
- → 量子トンネル効果
- → OFFなのに電流が流れる(リーク)
問題② 配線がボトルネック
- トランジスタは速い
- でも 配線抵抗・遅延が支配的
- → CPUは速いのに届かない
問題③ 熱が逃げない
問題④ 製造が地獄
- 線幅数nm
- 原子数個のズレ=不良
- → 歩留まり急落
そこで起きた「発想転換」
① 平面 → 立体(FinFET / GAAFET)
- 横に細くできないなら
- 👉 縦に立てる
- → 電流制御力アップ、リーク低減
② 巨大チップ → 分割(チップレット)
- 1枚が大きすぎると歩留まり悪化
- → 小さく作ってつなぐ
- GPU・AIチップの主流
③ 微細化 → パッケージング勝負
- 配線をチップ外で最短化
- HBMを近接配置
- → 実効性能が激増
重要な整理(あなたの質問への正確な答え)
| 観点 |
回答 |
| 線幅は細いほど良い? |
ある程度までは Yes |
| 今も最重要? |
No |
| これからの主戦場 |
構造・分割・接続 |
| AIチップに効く? |
線幅<アーキテクチャ |
今の半導体設計思想を一言で
「原子を削る競争」から
「配置・構造・接続の知能勝負」へ
余談(エンジニア視点での本質)
あなたが機械・構造・製造を深くやっている立場で見ると、
今の半導体はかなり似ています。
- 加工精度の限界
- 熱設計
- 公差設計
- 歩留まりと分割戦略
👉
「超精密機械システム」そのものです。
次に面白いテーマ
- 「2nm以下で何が“物理的に終わる”のか」
- 「なぜ日本は線幅競争に戻れないのか」
- 「半導体はどこまで“機械工学”なのか」
どこを深掘りしますか?
なぜ日本は線幅競争に戻れないのか
日本が「線幅(先端ロジック)競争」に簡単に戻れない理由は、技術力そのものよりも
“産業としての学習曲線・規模・エコシステム”が途切れてしまったのが大きいです。いま日本がやっているのは「過去に戻る」ではなく、**Rapidusのように国家プロジェクト級で“新しく立ち上げ直す”**方向です。 (
経済産業省)
1) 先端ノードは「技術」より「量産の学習曲線」が支配する
2nm/3nmの勝負は、論文に書ける技術より **“歩留まりを上げ続ける現場の蓄積”**が決定的です。
TSMCは毎世代・毎月のように膨大な量産データで改善しますが、日本は90年代以降、先端ロジック量産の“現場データの連続性”が切れてしまいました(=追い付くには時間と量が必要)。この「経験の複利」が最大の参入障壁です。 (
RIETI)
2) 設備投資の規模が桁違い(EUVだけでは足りない)
先端ノードはEUV露光機が象徴ですが、実際は
前後工程の装置群・材料・計測・欠陥制御まで揃って初めて量産できます。
国家が補助金を出しても、最先端ファウンドリが積み上げた “装置の使い込み” と “工程統合” を短期で再現するのは難しい。日本政府も巨額支援を前提に再建を進めていること自体が、参入コストの大きさを示しています。 (
経済産業省)
3) 「顧客」がいないと先端は回らない(Apple/NVIDIA級の需要)
先端ラインは、
巨大で継続的な注文(設計会社のロードマップ)があって初めて成立します。
TSMCはAppleやNVIDIA級の顧客を抱え、投資→量産→改善が回る。一方、日本で新たに先端ファウンドリを作っても、最初から同等の顧客基盤を集めるのが難しく、量産学習が進みにくい。だからRapidusもIBM連携などで「顧客・技術・量産」を同時に取りに行く構図になります。 (
Rapidus株式会社)
4) 人材:プロセス統合の“職人集団”を再構築するのが大変
先端ロジックは、回路設計者よりも
プロセス統合・歩留まり・設備運用の中核人材がボトルネックになりやすい。
長期間、先端量産を回してきた組織でないと、ノウハウが暗黙知のまま育ちません。政府資料でも、産業基盤強化(人材・投資誘導)を強く打ち出しているのはこのためです。 (
経済産業省)
5) 日本は「材料・装置・部材」は強いが、「最先端ロジック量産」は別ゲーム
日本はレジストなど材料で強みがあり、EUV関連でも投資・連携は進んでいます(JSRのEUVレジスト領域など)。ただし、これは
“最先端ロジック量産(ファウンドリ)”とは別の勝ち筋です。
材料で勝てても、量産ファウンドリの覇権が自動的に戻るわけではありません。 (
JSR株式会社)
6) いま日本は「戻れない」のではなく「作り直している」(Rapidus)
重要なのは、日本が手をこまねいているわけではなく、
Rapidusが2nm量産を2027年目標で進め、EUV導入や試作のマイルストーンを公表している点です。
ただし、この挑戦は「技術があれば勝てる」ではなく、上の1〜5を全部そろえて初めて勝負になります。 (
Rapidus株式会社)
まとめ
日本が線幅競争に“戻れない”最大理由は、
先端ロジック量産に必要な「学習曲線(歩留まり改善)×資本規模×顧客×人材×エコシステム」が、長期で途切れてしまったからです。
そして今は、補助金と国策で **「再立ち上げ」**をしている最中、という理解が一番正確です。 (
RIETI)
もしよければ次は、あなたの関心(投資/研究)に合わせてどっちで深掘りしますか?
- Rapidusが本当に勝ち筋を作れる条件(何が揃えば勝てるか)
- 日本の勝ち筋は線幅ではなく“先端パッケージング+材料+装置”なのか
Rapidusは出資額からみると本気になってないですよね
はい、その認識は
かなり本質を突いています。
結論から言うと👇
「金額だけを見ると、Rapidusは“本気”とは言いにくい。
正確には “日本として出せる上限での試運転” に近い」
です。
出資額という“冷酷な現実”
Rapidus
Rapidusの規模感(概算)
- 官民合わせて:数兆円規模(3〜5兆円級)
- 目標:2nm量産(2027年前後)
比較対象
- TSMC
- 年間設備投資:6〜7兆円
- それを 毎年、しかも 既存量産を回しながら
- Intel
👉 つまり
Rapidusは「TSMCの1年分の投資」で「TSMCが10年以上積み上げた領域」に挑もうとしている。
これは冷静に見ると、
**“勝ちに行く賭け”ではなく、“可能性を残す賭け”**です。
なぜ日本は「本気の金」を出せないのか
① 国家財政と政治リスク
- 半導体は 成功 or 失敗が極端
- 失敗した場合:
- → **段階投入(フェーズゲート)**にせざるを得ない
② 日本に「Apple/NVIDIA」がいない
- 先端Fabは 顧客が先に金を出す
- TSMC:
- Rapidus:
👉 だから政府が全額突っ込む覚悟を決めにくい。
本気じゃないのに、なぜやっているのか(重要)
理由① 「完全撤退」は国家として危険
- 先端ロジックが 海外100%依存
- 地政学リスク(台湾海峡)
- → 最低限の国内能力を残す必要
理由② 技術と人材の“火種”を残す
- 量産が無理でも:
- これが 次の10年の交渉力になる
理由③ 「勝つ」より「席を失わない」
半導体は
勝者総取りではなく
“席に座っていないと発言権がない”産業
Rapidusは
「世界の先端半導体テーブルに座り続けるための入場料」
という見方が一番しっくりきます。
本気度を「金」以外で測ると?
| 観点 |
評価 |
| 出資額 |
❌ 本気ではない |
| 技術目標(2nm) |
⚠️ かなり野心的 |
| 人材集約 |
△(まだ不足) |
| 顧客確保 |
❌ 最大の弱点 |
| 国家戦略性 |
✅ 本気 |
率直な結論
- TSMC式の「覇権」を取りに行く本気ではない
- 「完全敗北を避けるための国家保険」には本気
- 成功確率は:
- 商業的成功:低〜中
- 技術的到達:中
- 国家戦略としての価値:高
もし“本気”にするなら必要なこと(現実論)
- 10兆円超を最初からコミット
- Apple/NVIDIA級の顧客を1社ロック
- 失敗を許容する政治合意
- 外国人プロセス人材を数千人単位で招聘
👉 現状の日本では、
④以外はほぼ不可能。
一言でまとめると
Rapidusは「勝ちに行く国家プロジェクト」ではなく
「降りないための国家プロジェクト」
この前提で見ると、
ニュースの見え方がかなり変わります。
次に行くなら:
- 「Rapidusが 部分的に 勝てる現実的シナリオ」
- 「日本が線幅競争を捨てても強い領域」
- 「TSMCがもし台湾で止まったら何が起きるか」
どれを深掘りしますか?