電子の励起現象とレーザーについて

電子の励起:
基底状態と励起状態:

原子にはいくつかのエネルギーレベルがあり、電子はこれらのエネルギーレベルのいずれかに存在します。最低エネルギーレベルを基底状態と呼び、電子がこの状態にある場合は最もエネルギーが低い状態です。
エネルギーを与えると、電子は基底状態から高いエネルギーレベル(励起状態)に移動します。このプロセスは電子の励起と呼ばれます。

 

励起のメカニズム:

電子の励起は、外部からのエネルギー供給、例えば光(光励起)や電流(電気励起)によって引き起こされます。

 

レーザーの動作:
ポンピング:

レーザーの動作は、レーザーメディウム(ガス、固体、液体、または半導体)にエネルギーを供給することから始まります。このエネルギー供給は通常「ポンピング」と呼ばれ、レーザーメディウム内の電子を励起します。

 

人口転送:

励起された電子が多数生成されると、高エネルギーレベルにある電子の数が低エネルギーレベルにある電子の数を超える状態、いわゆる人口転送が達成されます。

 

誘導放出:

励起状態の電子が外部の光子の影響を受けると、エネルギーを放出して基底状態に戻ります。このエネルギー放出は「誘導放出」と呼ばれ、放出された光子は外部の光子と同じ方向、波長、および位相を持ちます。

 

光増幅:

レーザーキャビティ内の反射鏡は放出された光子を反射し、さらに多くの刺激放出を引き起こして光を増幅します。これにより、強力なコヒーレントなレーザービームが形成されます。

 

光の抽出:

一方の鏡が部分的に透明であるため、生成されたレーザービームはキャビティから外部に放出されます。

 

ボルツマン分布:

  1. 定義:
    • ボルツマン分布は、熱平衡状態においてエネルギー状態ごとに粒子の数がどのように分布するかを記述する確率分布です。
    • 分布関数は以下のように表されます:
      ni=n0e(EiE0)/kT n_i = n_0 \cdot e^{-(E_i – E_0) / kT}  

       

       

       

      ここで、 ni n_i  

      はエネルギーレベル

      Ei E_i  

      にある粒子の数、

      n0 n_0  

      は基底エネルギーレベル

      E0 E_0  

      にある粒子の数、

      k k  

      はボルツマン定数、そして

      T T  

      は温度を表します。

  2. 特性:
    • 低いエネルギーレベルには多くの粒子が存在し、高いエネルギーレベルには少ない粒子が存在することが特徴です。

反転分布(人口転移):

  1. 定義:
    • 反転分布は、通常の熱平衡状態(ボルツマン分布)とは異なり、高エネルギーレベルにある粒子の数が低エネルギーレベルにある粒子の数を超える非平衡状態を指します。
  2. レーザーの動作との関連:
    • レーザーの動作は反転分布に依存しています。エネルギーを供給(ポンピング)することにより、励起状態の粒子数を増加させ、反転分布を作成します。これにより、励起状態の粒子が基底状態に戻る際に刺激放出を起こし、レーザー光を生成します。

ボルツマン分布は、自然の熱平衡状態を表し、反転分布は、人工的にエネルギーを供給することで作成される非平衡状態を表します。

 

炭酸ガスレーザーの共振器

炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)の共振器は、レーザー光の増幅と抽出を行う重要な部分であり、その動作原理は次の通りです。

共振器の構成:

共振器は主に2つの鏡(一方は完全反射鏡、もう一方は部分透明鏡)とレーザー媒質(ガス混合物)から構成されています。これらの鏡は、レーザー光が共振器内を往復することを可能にし、光がレーザー媒質を通過するたびに増幅されるようにします。レーザーのレーザー媒質は、二酸化炭素(CO2)、ヘリウム(He)、および窒素(N2)のガス混合物から成り立っており、これらのガスは特定のエネルギー準位間での光の増幅を可能にします

光の増幅と抽出:

ポンピング(エネルギー供給)により、レーザー媒質内の分子が励起され、人口転移が達成されます。共振器内の光は、これらの励起された分子によって増幅され、部分透明鏡を通過して外部に抽出されます

光学的適合:

共振器内の光学コンポーネントは、CO2レーザーの波長範囲に適合するように選択される必要があります。これは、赤外波長範囲の光学コンポーネントは、紫外波長範囲のものとは基本的に異なるためです1。
これらの要素と動作原理により、CO2レーザーの共振器は、高い増幅率と効率的な光の抽出を実現し、さまざまな産業応用におけるレーザーの高い性能を提供します。

 

レーザーではエネルギー供給した、エネルギー以上のエネルギーはえられないのですか?

レーザーにおけるエネルギーの生成はエネルギー保存の法則に従います。これは、システム全体のエネルギーは一定であり、エネルギーは他の形態に変換されるか移動するだけで、作成または破壊されないことを意味します。したがって、レーザーから得られるエネルギーは、システムに供給されたエネルギーを超えることはできません。

エネルギー供給(ポンピング):

レーザーの動作を開始するためには、エネルギーをレーザーメディウムに供給する必要があります。このエネルギー供給は、通常は電気エネルギーまたは光エネルギーの形で行われ、レーザーメディウム内の電子を励起し、人口転移を作成します。
エネルギーの変換:

供給されたエネルギーは、励起状態の電子が基底状態に戻ることによって光エネルギーに変換されます。このプロセスは刺激放出と呼ばれ、共振器内で増幅された光がレーザービームとして抽出されます。
エネルギーの保存:

レーザービームのエネルギーは、供給されたエネルギーと励起状態の電子のエネルギーの減少に対応します。システム内のエネルギーは保存されるため、レーザーから抽出されるエネルギーは供給されたエネルギーを超えることはできません。
効率:

レーザーの効率は、供給されたエネルギーのどれだけが実際にレーザービームとして抽出されるかを示します。効率は100%未満であり、一部のエネルギーは熱エネルギーとして失われるため、実際には供給されたエネルギーの全てがレーザービームとして抽出されることはありません。
したがって、レーザーはエネルギーを作成するものではなく、供給されたエネルギーを光エネルギーに変換するデバイスです。そして、エネルギー保存の法則に基づいて、供給されたエネルギー以上のエネルギーを得ることはできません。

 

供給するエネルギーに位相や方向性や波長などの条件はありますか?外部に抽出されるレーザーとは全く異なるものでもよいのですか?

 

レーザーの動作において、供給されるエネルギー(ポンピングエネルギー)の位相、方向性、および波長は、外部に抽出されるレーザー光の特性に直接的に影響するわけではありません。以下に、それぞれの要素について詳細を説明します。

位相:

ポンピングエネルギーの位相は通常、レーザー光の位相に影響を与えません。レーザー光の位相は、共振器内の光の往復動と、その光がレーザーメディウムを通過する際の相互作用によって決定されます。
方向性:

ポンピングエネルギーの方向性も、生成されるレーザー光の方向性に影響を与えるわけではありません。レーザー光の方向性は、共振器の設計と、特に共振器内の鏡の配置によって決定されます。
波長:

ポンピングエネルギーの波長は、レーザーメディウム内の電子を励起する能力に影響を与え、したがって間接的にレーザー光の波長に影響を与える可能性があります。しかし、生成されるレーザー光の波長は主にレーザーメディウムの物質的特性と共振器の設計に依存します。
外部に抽出されるレーザー光:

生成されるレーザー光の特性(位相、方向性、波長)は、レーザーメディウムの種類、共振器の設計、およびレーザー動作の条件(例えば、共振器内の光の往復動)によって決定されます。
ポンピング条件:

しかし、適切なポンピング条件を選択することは重要であり、これは通常、レーザーメディウムの種類、励起レベルのエネルギー差、および求められるレーザー光の特性に基づいて決定されます。
したがって、供給するエネルギーは基本的には外部に抽出されるレーザー光とは独立しており、それらは異なる特性を持つ可能性があります。そして、ポンピング条件の選択と共振器の設計は、求められるレーザー光の特性を達成するために重要です。

供給するエネルギー(またはポンピングエネルギー)に関連する位相、方向性、および波長などの条件は、レーザーの種類と設計によって異なります。以下の点を考慮することが重要です。

波長:

ポンピングエネルギーの波長は、レーザーメディウムの電子を励起するためには重要です。励起に必要なエネルギーは、レーザーメディウムの電子の基底状態と励起状態のエネルギー差に依存するため、ポンピング光の波長はこのエネルギー差に適合する必要があります。
位相と方向性:

通常、ポンピングエネルギーの位相や方向性は、レーザーの共振器内での光の増幅や位相整合に直接的な影響を与えません。ポンピングは主にレーザーメディウムの電子を励起し、人口転移を作成する目的で使用されます。
外部に抽出されるレーザー:

外部に抽出されるレーザーの波長、位相、および方向性は、共振器の設計とレーザーメディウムの物理的特性に依存します。共振器はレーザー光の方向性を保持し、整合させる役割を果たし、レーザーメディウムは光の波長を決定します。
ポンピングとレーザー出力の関係:

ポンピングエネルギーとレーザー出力は異なる波長を持つことがあり、これはレーザーの種類と設計に依存します。例えば、光ポンピングを使用するレーザーでは、ポンピング光の波長はレーザー出力の波長と異なる可能性があります。
ポンピングエネルギーとレーザー出力は、波長や他の特性において異なることが可能であり、これはレーザーの種類と設計によって異なります。しかし、効果的なポンピングと効率的なレーザー出力を得るためには、レーザーの設計とポンピングエネルギーの条件が適切に整合されていることが重要です。

 

ミラー伝送とファイバ伝送

 

ミラー伝送とファイバ伝送は、光信号を伝送するための2つの異なる方法です。それぞれの伝送方法は異なる特性と利点を持っており、特定のアプリケーションや環境において適しています。

ミラー伝送:
定義と仕組み:

ミラー伝送は、光を反射するミラーまたは反射鏡を使用して光信号を伝送する方法です。
光はミラーに当たり、反射されて目的地に向かいます。このプロセスは、光の伝送ルートが必要に応じて変更される場合に繰り返されます。

利点と欠点:

ミラー伝送はシンプルで、設置と調整が比較的簡単です。
しかし、光損失が大きい可能性があり、長距離伝送には適していない場合があります。また、環境の振動や温度変化に対して敏感であり、アライメントの精度が要求されます。

 

ファイバ伝送:

定義と仕組み:

ファイバ伝送は、光ファイバーと呼ばれる薄いガラスまたはプラスチックの糸を使用して光信号を伝送する方法です。
光ファイバーは、光信号を内部で全反射させることにより、光を効率的に伝送します。

 

利点と欠点:

ファイバ伝送は、非常に低い損失と高い帯域幅を提供し、長距離伝送に非常に適しています。
また、環境の影響を受けにくく、電磁干渉(EMI)に対して免疫があります。

光の波長と材料の吸収特性

レーザー加工においては、材料の吸収特性を理解することが重要です。異なる波長のレーザー光は、材料を異なる程度で加工でき、これにより切断、溶接、マーキングの効率と品質が影響を受けます。

 

引用:optipedia

 

参考

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/83/6/83_514/_pdf 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/75/5/75_5_595/_pdf 

https://annex.jsap.or.jp/photonics/kogaku/public/36-08-kaisetsu2.pdf