著者:副業の宮殿|製造業に携わる現役エンジニア。技術士試験対策書籍をKindleで複数出版。技術ブログ「副業の宮殿」にて製造業DX・AI活用の情報を発信中。

非破壊検査(NDT)とは何か

非破壊検査(Non-Destructive Testing: NDT)とは、製品・構造物を傷つけずに内部欠陥・表面欠陥・材料特性を評価する検査技術の総称です。航空機・圧力容器・橋梁・配管・原子力設備など、安全性が最優先される構造物では定期的なNDTが義務付けられています。製品を壊さずに検査できるため、全数検査や製品就役後の定期点検に適用されます。主な非破壊検査手法の特徴と使い分けを解説します。

超音波探傷試験(UT)の原理と特徴

超音波探傷試験(Ultrasonic Testing: UT)は、0.5〜20MHzの超音波を材料に入射し、欠陥からの反射波を検出して欠陥の位置・サイズを評価する方法です。主な特徴:①内部欠陥の検出に優れる(板厚方向の欠陥位置まで特定可能)②厚い材料にも適用できる③自動化・デジタル化が進んでいる(フェーズドアレイUT、TOFD法)。主な適用:溶接部の内部欠陥・鍛造品・鋳造品の内部欠陥検査。限界:材料の粒界散乱や複雑形状での適用が難しい場合がある。探傷感度はJIS等の規格基準試験片で校正して使います。

X線透過試験(RT)の原理と特徴

放射線透過試験(Radiographic Testing: RT)は、X線またはγ線を材料に照射して、透過後の強度分布をフィルム・デジタル検出器に記録する方法です。欠陥部は透過放射線量が多く、フィルムは黒く(または輝度が高く)なります。主な特徴:①ブローホール・割れ・異物混入を2次元像として記録・保存できる②溶接部の検査に広く使われる③作業者の被ばく管理が必要(放射線管理区域の設定・立入制限)。デジタルラジオグラフィ(DR)やコンピュータ断層撮影(CT)の活用が進んでいます。特にCTスキャンは内部の3D構造を非破壊で確認できる強力な手法として採用が増えています。

浸透探傷試験(PT)と磁粉探傷試験(MT)の特徴

表面欠陥の検出に特化した2つの方法を説明します。浸透探傷試験(PT)は、表面に浸透液を塗布・浸透させ、余分を除去後に現像液を塗布することで表面開口欠陥を可視化する方法です。設備が簡易で鉄鋼・アルミ・樹脂・ガラスなど材料を問わず適用できます。磁性体・非磁性体どちらにも使えます。磁粉探傷試験(MT)は、磁性体(鉄鋼等)を磁化して磁粉を散布し、欠陥部に形成される漏れ磁束に磁粉が吸着することで欠陥を可視化します。表面・近表面の欠陥を高感度で検出できますが、非磁性体(アルミ・オーステナイト系ステンレス)には適用できません。各手法の特性を理解し、材料・目的・欠陥の種類に応じて適切なNDT手法を選択することが品質管理の基本です。