令和2年度技術士第一次試験問題[基礎科目:環境]1-5-5

科学技術の歴史に関する問題も技術士試験では頻出です。ここでは、「不適切なものはどれか」という問いにも気をつけましょう。

今回の項目は

1. 適切な説明です。江戸時代を通じてすでに軽工業の分野で成熟を迎えていましたが、主に機械など西洋技術の導入によりさらに発展していったものです。世界遺産に認定された富岡製糸場などが例ですね。

2. これも適切です。しかし、低賃金労働力を酷使することでさまざまな問題が起こっていた負の側面も知っておく必要はあるでしょう。

3. これも適切です。たとえば、問題文中にもある日本工学会の歴史によれば、「日本工学会は明治12年11月18日、工部大学校(東京大学工学部の前身)の土木、電信、機械、造家、化学、鉱山、冶金7学科の第1期卒業生 23 名により相互の親睦、知識の交換を目的として創立され」とあり、当時の最高学歴者によって組織されたことがわかります。

4. これは不適切です。テイラーの科学的管理法は日本にも導入されましたが、品質管理ではなく労働者管理の方法論になります。

5. これは適切です。取り組みの一環として、1918年に工政会が発足しています。

以上から、最も不適切なものは4. となりますので、正解選択肢は4.です。

[解答:④]

もっと知るには・・・

 

「日本工学会に代表される技術系学協会は、欧米諸国とは異なり大学などの高学歴出身者たちによって組織された。」

正確性の評価:

      1. 日本の技術系学協会の組織:
        • 日本では、日本工学会などの技術系学協会が主に大学卒業者や高等教育を受けた専門家によって組織されてきました。高等教育機関と専門協会の密接な関係は、日本の技術発展の特徴の一つとされています。
      2. 欧米諸国の技術系学協会の組織:
        • 欧米諸国でも、多くの技術系協会は高学歴者によって設立されていますが、歴史的には以下のような違いがあります:
          • 実務家の関与: イギリスやアメリカでは、初期の工学協会には徒弟制度や実務経験を通じて専門知識を得た技術者も多く参加していました。
          • 具体例:
            • 英国機械学会(IMechE): 1847年に設立され、学術的な教育を受けたエンジニアと独学の実務家が共に活動していました。
            • 米国機械工学会(ASME): 1880年に設立され、実務志向のエンジニアも多く関与していました。
      3. 日本と欧米諸国の比較:
        • 日本の技術系学協会が主に高等教育を受けた人々によって組織されたのに対し、欧米では学歴に関係なく、実務家も含めた多様なメンバーが協会の設立と運営に参加していました。
        • しかし、時代が進むにつれ、欧米の技術系協会も高等教育機関と密接に結びつき、メンバーの多くが大学卒業者となっています。

結論:

      • この文は、日本の技術系学協会が高学歴者によって組織されたという点で部分的に正しいです。
      • しかし、それが欧米諸国と明確に異なる特徴であるとするのは正確ではありません。欧米でも大学教育を受けた個人が技術系協会の設立に深く関与しており、初期には高等教育を受けていない実務家も多く参加していたという歴史があります。

参考文献:


注意: この文は、日本の技術系学協会の組織に関する一般的な傾向を捉えていますが、欧米の協会の歴史的背景を簡略化しています。実際には、両地域とも高等教育と実務経験が工学組織の発展において重要な役割を果たしてきました。

 

解答③も不適切であるため正解となります。

よって、[解答:③ or ④]

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