令和2年度技術士第一次試験問題[基礎科目:材料・化学・バイオ]1-4-2

a:CH3CH2CH2OHのOHと、HBrのBrが入れ替わっているため、置換の反応になります。

b:H2Oが分離しているため、脱離の反応になります。

c:CH2との二重結合が外れ、新たにBrと単結合が起きているので、付加反応になります。

d:-OHが-OH3と置き換わっているため、置換の反応になります。

したがって、置換反応の組み合わせはa,dとなるため、3が正解です。

[解答:③]

もっと知るには・・・

付加、脱離、置換、転位の4種類の反応について教えてください

有機化学では、化学反応をいくつかの主要な種類に分類することができます。**付加反応**、**脱離反応**、**置換反応**、**転位反応**の4種類について、それぞれ説明します。

### 1. 付加反応(Addition Reaction)
付加反応は、二重結合や三重結合などの多重結合を持つ分子に新しい原子や基が「付加」する反応です。多重結合が単結合に変わることで、分子に新しい部分が結合します。

– **例**:エチレン(\( \text{C}_2\text{H}_4 \))に水素が付加してエタン(\( \text{C}_2\text{H}_6 \))になる反応。
\[
\text{C}_2\text{H}_4 + \text{H}_2 \rightarrow \text{C}_2\text{H}_6
\]
– **特徴**:付加反応では、一般的に二重結合や三重結合が切れて新しい結合が形成される。アルケンやアルキンなどに多く見られる反応です。

### 2. 脱離反応(Elimination Reaction)
脱離反応は、分子から小さな分子(例えば水、アンモニア、ハロゲン化水素など)が「脱離」することで、多重結合が形成される反応です。逆に、付加反応の逆の反応とも言えます。

– **例**:エタノール(\( \text{C}_2\text{H}_5\text{OH} \))が脱水されてエチレン(\( \text{C}_2\text{H}_4 \))と水を生成する反応。
\[
\text{C}_2\text{H}_5\text{OH} \rightarrow \text{C}_2\text{H}_4 + \text{H}_2\text{O}
\]
– **特徴**:脱離反応では、通常二重結合や三重結合が生成される。また、アルコールやハロゲン化アルキルが酸や塩基の作用で脱離反応を起こすことが多いです。

### 3. 置換反応(Substitution Reaction)
置換反応は、分子内のある原子や基が別の原子や基に「置き換わる」反応です。一般的には、ハロゲンやヒドロキシ基などの官能基が別の官能基に置き換わります。

– **例**:メタン(\( \text{CH}_4 \))に塩素が作用してクロロメタン(\( \text{CH}_3\text{Cl} \))が生成される反応。
\[
\text{CH}_4 + \text{Cl}_2 \rightarrow \text{CH}_3\text{Cl} + \text{HCl}
\]
– **特徴**:置換反応は、アルカンや芳香族化合物などに見られる。例えば、求核置換反応(\( \text{S}_\text{N} \)反応)や求電子置換反応(芳香族置換反応)などが代表的です。

### 4. 転位反応(Rearrangement Reaction)
転位反応は、分子内で原子や基が「移動」することで、構造が変わる反応です。この反応では分子内で結合の組み替えが起こり、異性体が生成されることが多いです。

– **例**:ピナコール転位反応では、ピナコール(\( \text{C}_2\text{(CH}_3\text{)}_2\text{C(OH)}_2 \))が酸の存在下で転位してピナコロン(\( \text{C}_2\text{(CH}_3\text{)}_2\text{CO} \))になる反応。
\[
\text{C}_2\text{(CH}_3\text{)}_2\text{C(OH)}_2 \rightarrow \text{C}_2\text{(CH}_3\text{)}_2\text{CO}
\]
– **特徴**:転位反応は、カルボカチオンなどの中間体が安定化する際によく起こり、原子や基が分子内で移動して新しい構造を生成する。

### まとめ
– **付加反応**:多重結合が単結合に変わり、分子に新しい基が付加する。
– **脱離反応**:分子から小分子が脱離し、多重結合が生成される。
– **置換反応**:分子内のある基が別の基に置き換わる。
– **転位反応**:分子内で基が移動し、分子の構造が変わる。

それぞれの反応タイプには特徴的な反応機構や条件があり、有機合成や化学反応設計において重要な役割を果たします。

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