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今、次世代二次電池の研究開発が戦国時代を迎えています。
それは、現行二次電池の王者リチウムイオン電池(LIB:Lithium Ion Battery)の性能が、理論的な限界に近づいてきたからです。
にもかかわらず、産業界が電池に求める性能はますます高くなるばかりです。

たとえば、電気自動車(EV)が1回の充電で走れる距離は、LIBでは350kmに達しています。
しかし、1回の給油で500km走るガソリンエンジン車にはまだ及びません。
EVがガソリンエンジン車に走行距離で並び、追い抜くためには、LIBを超える新しい高性能な二次電池が必要なのです。

 

全固体電池とは

全固体電池とは、電池を構成するすべての部材が固体である電池のことをいいます。
とはいえ、一般に電池材料の中で液体なのは電解液だけなので、「固体電解質を用いた二次電池=全固体電池」ということになります。

実を言えば、これまでも実用化された固体電解質の電池はあります。
NAS電池(ナトリウム硫黄電池)の電解質は、ファインセラミックスです。
しかし、電極活物質が液体なので全固体電池ではありません。

過去に唯一商品化された全固体電池はヨウ素リチウムイオン電池です。
負極に金属リチウム、正極にヨウ素が用いられているものの、もともと電解液とセパレータがありません。

というのも、リチウムとヨウ素が出会うと反応してヨウ化リチウム(固体)ができ、これが電解液とセパレータの役目をするからです。
全固体電解質ゆえに安全性が高く、心臓ペースメーカーの電源に広く用いられてきました。

ただし、ヨウ素リチウム電池は一次電池です。

全個体電池の種類

全個体電池は、電解質を固体にしたものであり、電極材料は基本的に従来電池と同じなので、電池反応も同じです。
電解質が固体ならば、充放電はイオンの脱離・吸着で行われるイオン電池の一種です。
そして、その伝導イオンの候補として、ナトリウムイオン、カリウムイオン、銀イオンなどさまざまなイオンが探索されていますが、主流はやはりリチウムイオンです。

 

全個体リチウムイオン電池(LIB)では、固体電解質に無機物質が用いられるため、可燃性の有機溶媒を使うLIBより安全性が高まります。
ただし、その材料には酸化物系、硫化物系、窒化物系があり、それぞれ一長一短があります。

中でも主流とみなされている硫化物系は最も導電性にすぐれています。
しかし、比較的発火しやすく、水に弱いという弱点があるので、酸化物系の開発に軸足を置くメーカーもあります。

一方、活物質の形状には薄膜型とバルク型があります。
薄膜型のほうが抵抗が小さくなる反面、容量が小さくなるので、容量を増やすためには薄膜の積層化や大面積化が必要になります。
薄膜型は製造しやすいため、すでに商品化されている製品もあります。

それに対して、バルク型は電極を厚くすることができ、そのぶん容量を増大できます。
課題は抵抗の低減です。
なお、バルク(bulk)とは「大きな塊」という意味です。

全固体LIBの長所と短所

かつては固体電解質は電解液に比べてイオン伝導性が低く、高性能な電池は難しいと思われてきました。
しかし、イオン伝導性が高い硫化物固体電解質が見つかり、さらに伝導性が有機電解液を大幅に上回る新しいガラスセラミック材料が発見され、全固体LIBの研究開発がにわかに加速しました。

ガラスセラミックとは、本来結晶構造をもたない(=非晶質)ガラスの中に、微細な結晶を析出させた材料をいいます。
電解液を上回るイオン伝導性を持つことから超イオン伝導体とも呼ばれています。

全固体LIBは、高い安全性、耐熱性、低温から高温までの拾い使用温度、長寿命、計量・小型化が容易、大規模組電池も構成可能、急速充電が可能など多岐にわたる能力を持ち、ほぼすべての点においてLIBを上回ると予想されており、小型電子機器や電気自動車、人工衛星の電源などあらゆる開発が考えられています。

短所は内部抵抗があげられていますが、その改善のために多方面から研究開発も進んでいます。

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