元来、セパレータの役割は3つで、電池一般にも通じるものです。
しかし、リチウムイオン電池の高性能化を追求する過程で、セパレータに求められる性能や機能も多様でハイレベルになっています。

セパレータの役割と求められる主な性能

セパレータの3大役割は次の通りです。

1.正極と負極を分離して、電解液を保持する。→二次電池としての基本構造を維持し、酸化還元反応が適切に行われる場を維持。
2.正極と負極の接触を防止する→両極が短絡(ショート)するのを防止
3.リチウムイオンの伝導性を確保する。→セパレータは多孔性で、電解液の拡散を防ぎながら、リチウムイオンだけを通過させる。

以上3点を高度に実現するために、セパレータには次のような性能が求められています。

①暑さをなるべく薄く、均一に、かつ強く→均一な厚さはイオン電導を部分的に集中させないため。セパレータ膜の厚さは現在15~30μm。電池の小型化・軽量化・強靭化を追求。
②空孔率を大きく→孔を小さく、かつ多数にする。一般に孔の直径は数百nm以下。
③高度な絶縁性→正極と負極を絶縁する。
④電解液との高い親和性→濡れ性ともいい、電解液とセパレータの付着を密にしてイオン伝導性を高める。
⑤耐電圧性・耐電解液性→電極の酸化還元電位にも安定で、電解液とも反応しない安定性を追求する。これにより高容量化・長寿命化を実現。

素材が持つ緊急シャットダウン機能

以上の性能を求められるセパレータの材料は、現在ポリオレフィン系が主流ですが、さまざまな素材が研究・開発されています。
ポリオレフィンとは特定の構造を持つプラスチックの総称で、セパレータにはポリエチレンやポリプロピレン、その複合材料などが多用されています。

ただし添加剤や表面加工が施されて機能が高められています。

ポリオレフィン系セパレータは、電池の熱暴走を防止する働きを持っています。
設定以上に電池の温度が上がるとセパレータが溶けて孔をふさぎ、電池反応を止めるのです。

これをシャットダウン機能といいます。

 

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