水の力

仕事をすることのできる能力の事をエネルギーと呼ぶ。
仕事とは「加えた力と加えた方向に動いた距離[m]の積」と定義され、力の大きさは質量[kg]に可読度[m/s^2]を乗じて求められる。
力の大きさはニュートン(N:質量1kgの物体を1m/s^2で加速させることができる力)で表されるので、仕事はジュール[J]=力×距離[N・m]で表される。

質量50kgの物体が1mの高さにあり、高さ0mまで落下する場合、物体は下向きの力(重力)である50kg×9.8m/s^2(重力加速度)=500Nで、
この力の働く下向きの方向に1m動くことになる。したがって、1mの高さにあるこの物体の質量、
重力加速度と高さの積の50kg×9.8m/s^2×1m ≒500N・m = 500Jの仕事を行う能力があることになる。

水のエネルギーは、位置エネルギー、圧力エネルギー、速度エネルギーに分けられるが、水力学ではそれらを水の高さで表現し、それぞれ位置水頭、圧力水頭、速度水頭と呼ぶ。
これは、水の圧力も速度も、水の高さに換算してエネルギー量が表せることを示している。

例えば、1万Paの水圧は1m^2当たり1万Nの力で水圧を受ける面に押し、約1m水を押し上げることができるので、圧力が位置エネルギー換算できることはすぐにわかる。
同様に、幅1mの水路を水深1m、流速1m/sで流れる水は、1m^2の水が速度1m/sで運動しているとみなせ、水の密度1.0とすると運動エネルギーの式K=1/2mv^2より、500J
のエネルギーをもつこと、これが、「高さ1mのところにある50kgの水」がもつ位置エネルギーとだいたい同じであることもすぐに計算できる。

仕事率と仕事量

水のもつエネルギー量は、一般的に流量と高さから求めることができる。
「高さ1mのところにある50kgの水」が流れとして1秒ごとに次々と落ちてくるとしたら、
この流れのパワーは500Wということになり、継続的に出力500Wのエネルギーが取り出せることになる。

このような理由で、理論水力[W]=9.8HQで求められる。

H:落差[m]
Q:流量[m/s^2]

 

有効落差

水力発電にとって基本となる諸元は流量と有効落差と水車・発電機の効率である。
有効落差とは、水車に実際に作用する落差であり、以下の式で表される。

有効落差 = 総落差 - 損失落差

ここで、総落差とは取水口における水位と放水口における水位の高低差であり、損失落差は水が流れるときに失われるエネルギーを水の高さで表したものである。
水力発電所の水路工作物におけるエネルギーの損失としては、水路全体における摩擦損失のほか、取水口、スクリーン、沈砂池、ヘッドタンク、水圧管路、放水路などの各種の工作物における流入、断面変化、わん曲、屈曲、流出や管路における分岐、バルブなどの乱流などの発生による損失がある。

水車出力および発電出力

小水力発電出力は損失落差を15%程度、合成効率を70%程度として、両社を考慮した総合効率を60%と仮定し、流量、総落差と重力加速度の積に0.6(総合効率)を乗じる事で簡便に求める事ができる。

 

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