子育て以上に価値ある仕事はありません。私は妻の仕事を心から尊敬しています。
ある女性がこんな悩みを寄せてくれました。
独身の友人に「専業主婦なんて無職と同じ」といわれました。
それ以来、職業欄に主婦とかくことがつらくなりました。というのです。
この方は、子どもを産む前に社会的にある程度認められるような仕事をしていたといいます。
主産を機に会社を辞め、子育てに専念する道を選んだのですが、どうしても社会から取り残されたように思ってしまうのだそうです。
「子どもを産まなければよかったとは思わないけれど、もっと違う人生があったのではないかと思う事があります」とおっしゃっていました。
金銭を伴う仕事でなければ価値がないなど、狭くてかたい考えです
世の中にはさまざまな仕事があり、どんな仕事にも価値があると思います。
しかし、あえて言いますが、人間のさまざまな仕事の中で、子どもを育てること以上に価値のある仕事はないと私は思っています。
子育ては、次の時代を担う一人の人間の、人生の土台を固めていく重要な仕事です。
人間の基礎を作る仕事です。やり直しもきかない仕事なのです。
これから大人になり、新しい時代を開いていく子供たちに、愛される喜びを教えていく仕事なのです。
子育てをしている女性は、自分のやっている仕事にもっと誇りをもって頂きたいと思います。
どれだけ素晴らしい仕事をしているか、自覚してください。
私は医師という多少社会的な仕事についていますが、自分の仕事以上に家内の仕事を尊敬しています。
家内は専業主婦です。朝起きてから夜眠るまで、毎日三度食事を作り、洗濯をし、子ども三人を育ててきました。
子どもが成人してからは、音楽を通じて障害者のボランティア活動をしています。
専業主婦もボランティアも、金銭をともなう活動ではありません。
家内は音楽大学を卒業しているのですが、音大時代の中には音楽家や演奏家として成功しているひともいるようです。
しかし、その人たちよりも自分の人生が劣っているなどと、家内は一度たりとも考えたことはないと思います。
金銭的な収入を得ている人が偉くて、そうでない人はダメだなんて、そんな狭くてかたい視野で、自分の人生を囲んでしまってはいけません。
専業主婦は、無職などではありません。職業欄には堂々と「主婦」と書いてください。大きく書いてください。
家族を幸せにして、自分自身も幸せになる。その人生に誇りを持って
いまのお母さんたちは、自由で豊かな平等な社会で育ってきました。独身の頃には時間もお金もあり、自分の好きなことを好きなだけやり、楽しく生きていたのだろうと思います。
ところが、赤ちゃんが生まれたら全く自由がなくなります。
時間も、お金も、心の余裕もなくなる。
「それでも幸せ」と思えればいいのですが、そう思えない人もいます。
それはそれでいいと思います。
人は自分の与えられた環境の中で、やらなくてはならないことと折り合いをつけながら生きていかなくてはならないからです。
けれど、一つだけ確かなことがあります。
どんな人生を選んだとしても、人は誰かを幸せにしなければ幸せになどなれないということです。
それは、どんな人生においても共通です。
スポーツ選手がなぜオリンピックでメダルを取りたいのか。
それは、舞台が大きければ大きいほど、自分の活躍を喜んでくれる人も多いからです。
ボランティア活動をする人は、感謝して喜んでもらえる人がいるから何度も足を運ぶのです。
喜んでくれる人がいるから頑張れるのです。
周囲の人が不幸なのに自分だけが幸せだなんて、そんなことはあり得ないのです。
お母さんになった女性には、わが子を、ご主人を幸せにしてほしいと思います。
家族の喜ぶ食事を用意し、こどもの話を楽しみながら聞き、みんなで笑いあうのです。
家族の幸せな顔を見ながら、お母さんも幸せを感じるのです。
繰り返しますが、子育ては、世の中にあまたある仕事の中でも、最もすばらしい仕事です。
どうぞ、誇りを持ってやり遂げてください。
この子を幸福にすることが私の使命だと、私の誇りなのだと思ってください。揺ぎなく。
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