名古屋大学大学院工学研究科の堀克敏教授が、三井化学株式会社(代表取締役社長:橋本修)及び名古屋大学発ベンチャーである株式会社フレンドマイクローブ(代表取締役社長:西田克彦)と共同開発を進めていた新しい3次元マスクが完成した。樹脂製のマスク躯体(ベース)、ウイルスカットフィルターの装着パーツ(カップとフィルターホルダー)から成る。

今回開発されたマスクは、細菌除去効率(BFE)はもちろん、ウイルス除去効率(VFE)及び微粒子(ウイルスと同じ0.1μm)除去効率(PFE)も99%以上(NelsonLab.における試験結果)の不織布フィルター(三井化学製)を、再使用可能な樹脂製マスク躯体に簡単な操作で装着する仕様になっている。また、顔に接する躯体部分の形状を工夫することにより、従来の使い捨て不織布マスクと比べ、フィルター以外の箇所からの空気の漏れを抑える設計となっている。それにも関わらず、3次元にすることで直接顔に触れる部分を少なくし、マスク装着時のストレスを軽減する構造となっており、マスクへの化粧うつりも最小限に抑えられる。さらに、食事などで一時的にマスクを外す際には、首から掛けることができる仕様になっているため、保管場所に困らず、衛生的な状態を保つことができる。なお、普段の装着も、後頭部で抑えるか耳掛けにするか、状況によって選択できるようになっている。使い捨てフィルターは、なくなったら買い足すことが可能だ。

本マスクは、使い捨て不織布マスクによる環境汚染への問題にも配慮しており、不織布の1日の使用量は従来の使い捨てマスクの1/10程度となっている。さらに、生分解性プラスチックのポリ乳酸(PLA)でできたマスク本体は、洗剤やアルコールで洗浄ができ、水切れも良いため、毎日清潔な状態を保ち続けながら、再利用が可能である。カラーバリエーションも用意しファッション性にも気を配った。

全国で新型コロナウイルスの感染者が増えていく状況にありながら、経済再生との両立も求められている。withコロナ時代の新しい生活様式としてマスクの着用が推奨されている中、ウイルス感染を防ぐ効果の高いマスクの需要がますます高まるであろう。マスクはウイルスへの感染を完全に防げるものではないが、新開発のマスクは、飛沫感染させない効果はもちろん、自分がウイルスに感染するリスクをかなり低減できるものと期待される。形状から、新型マスクをθ(シータ)と名付け、(株)フレンドマイクローブが、8月7日(金)からクラウドファンディングMAKUAKEを通じ、先行予約販売受付を開始する。また、同社は、以前にマスクの件で相談を受けたみよし市に、まとまった数のマスクを寄贈する予定であり、同日14時半よりみよし市役所にて、堀教授同席の下、贈呈式を行う。

【開発内容】

<コンセプト>

『ウイルス除去効果のある再使用可能な新型マスク』

<本開発の3次元マスク『θ(シータ)』の特徴>

ウイルス除去機能のある不織布フィルター

ウイルス除去機能を有する不織布フィルターは、装着パーツであるカップとフィルターフォルダーで簡単に固定できる。装着パーツはマスク躯体にワンタッチで取り付けられる。朝、家を出るタイミングで新しいフィルターを装着し、帰宅時の手洗いとうがいのタイミングで、フィルターを装着したままのマスク本体を、洗剤やアルコールで洗浄してからフィルターのみを外して捨てる。これにより、マスクに付着したウイルスへの感染も、ゴミ箱に溜まる使用済みフィルターからのウイルス含有エアロゾルの発生も防止することができる。なお、使用される不織布の量は、従来の使い捨て不織布マスクの約1/10なので、発生するゴミの量も少ない。

 

 

もっと知るには・・・http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20200805_engg1.pdf