よく日本とアメリカとの自動車メーカーの生産性格差が大きく異なる原因の一つとして、内製率の差があげられていた。

つまり、日本が約30パーセントの内製率であるのに対して、アメリカが約70パーセントであり、そのことによって日本のほうがコストダウンが進み、しかも開発段階からの部品メーカーの参加により、開発に携わる要因が少なく、かつ開発期間が短くなることによって開発コストそのものが低減される、といった指摘である。

もちろん現在は、八十年代に進められたウォマックらに代表されるマサチューセッツ工科大学(MIT)などの調査研究の影響や藤本隆宏氏らの研究成果、そして欧米のメーカー自身の努力により、ビッグスリーもどんどん内製率を引き下げている。

その結果、ダイムラー・クライスラーなどはほとんど日本と同じ内製率になってきているとすらいわれており、しかも世界同時生産が進められてきているので、完成品メーカーとサプライヤーとの関係は、かなり入り組みつつあるのが現状だ。
また筆者のアメリカケンタッキー州などでの現地調査などからも日本の部品メーカーにしても、八十年代に完成品メーカーと一緒に海外進出をはたした企業の多くが、その後、ビッグスリーをはじめとした現地の完成品メーカーとの取引を深めている例は枚挙にいとまがない。

つまり部品メーカーも親企業とともに現地化しているのである。

しかし、トヨタを見る限りにおいては、歴史的につくられてきた完成品メーカーと協力メーカーとの協調・協力の関係は、いわゆるグローバル化の進展があってもなお深まりこそすれ、薄めれてるといったことはない。

むしろ、たえず取引の中に緊張関係が盛り込まれることによって、より強固なものとまっているといってもさしつかえない。

もちろんこれはトヨタの事であって、日本の自動車メーカーすべてにいえることではない。
一部のメーカーの場合は、持ち株を手放すなど、いわゆる系列の再編や解体が進んでいると見られる現象もあって、状況は一様ではない。

しかし、トップメーカーとしてのトヨタの強さの重要な要素として、調達の仕組みはトヨタを知るためには欠かすことのできないテーマなのだ。

 

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