はい。対流型(向流)熱交換器の対数平均温度差(LMTD)は次の式:
ΔTlm=ΔT2−ΔT1ln(ΔT2/ΔT1)
ここで
ΔT1=Th,in−Tc,out=100−55=45 K,ΔT2=Th,out−Tc,in=75−15=60 K.
よって:
ΔTlm=60−45ln(60/45)=15ln(4/3)
ln(4/3)=ln4−ln3=2ln2−ln3=2×0.693−1.10=1.386−1.10=0.286
ΔTlm=150.286≈52.4 K
答え
① 52 K
この式は何かの公式から導出されたのですか?
はい。あの式(対数平均温度差:LMTD)は、局所的な熱伝達を積分して全体の熱流量を求めたときに出てくる公式で、以下の前提・導出から来ています。
前提(向流熱交換器・定常・一定の全体熱伝達率 U
・物性一定)
- 高温流体と低温流体が逆方向に流れる(向流)。
- 熱交換面積全体を
A、単位面積あたりの熱伝達率を
U
として、局所温度差に比例して熱が伝わる(フーリエ型の拡散と同型)。
- 熱容量率(流体ごとの比熱×質量流量)をそれぞれ
Ch、
Cc
(hot, cold)。
導出の骨子(対数平均温度差が出る流れ)
局所的な温度差を
ΔT(x)=Th(x)−Tc(x)
とすると、微小面積
dA
を通る熱流は:
dQ=U dA ΔT(x)
一方、エネルギー保存(熱容量率との関係)より:
dQ=Ch (−dTh)=Cc dTc
(符号は熱が高温流体から低温流体へ流れることを反映)
これらを使って温度差の変化を表すと:
dΔT=dTh−dTc=−dQCh−dQCc=−dQ(1Ch+1Cc)
しかし
dQ=U dA ΔT
なので、
dΔTΔT=−U(1Ch+1Cc)dA=−U(Ch+Cc)ChCcdA
これを面積全体
0
から
A
まで積分すると:
lnΔT2ΔT1=−U(Ch+Cc)ChCcA
(
ΔT1
:入口側の温度差、
ΔT2
:出口側の温度差)
一方、全体の熱流量は(熱容量率の組合せとして)
Q=ChCcCh+Cc(ΔT1−ΔT2)
また右辺を整理すると:
Q=[ChCcCh+CclnΔT1ΔT2]⋅ΔT1−ΔT2ln(ΔT1/ΔT2)=UA⋅ΔT1−ΔT2ln(ΔT1/ΔT2)
(ここで
UA=ChCcCh+Ccln(ΔT1/ΔT2)
という関係が上の対数式から導ける)
よって
Q=UA⋅ΔTlm,ΔTlm=ΔT1−ΔT2ln(ΔT1/ΔT2)
が得られる。これが「対数平均温度差」の由来で、温度差が位置によって指数関数的に変化する結果としての平均的な駆動差です。
補足:なぜ単純平均でないのか
温度差が直線的に変わるわけではなく、先ほどの微分方程式から分かるように指数関数的に減衰するため、単純な算術平均(
(ΔT1+ΔT2)/2
)ではなく、対数的に重み付けした平均を取る必要があり、それが上の式になる。
他の流れ(並流)の場合
並流(同方向流)のときも同様の導出をすると同じ形の式が出るが、
ΔT1
、
ΔT2
の取り方が変わる(並流では入口同士と出口同士の差を使う)。
ご希望なら並流との比較図付きの導出メモや、熱交換器の効果量(NTU法)との関係、実務で使うときの補正係数(効果的面積のF因子)なども出せます。どれを深掘りしますか?