$\quad \varepsilon_1 = \frac{P_1}{AE}, \quad \varepsilon_2 = \frac{P_2}{AE}$ 棒の両端は拘束されているから,2つの棒に生じる伸びの和は0となる。 $\lambda_1 + \lambda_2= 0, \quad \therefore \frac{P_1 a}{AE} + \frac{P_2 b}{AE} = 0$ 軸力と外力の間には $P = P_1 – P_2$ の関係が成り立つので、 $P_1 = \frac{ b}{ l} P, \quad P_2 = -\frac{a}{l} P$ 荷重Pの作用点における変位λは $\lambda = \lambda_1 = \frac{P a b}{l}(\frac{1}{AE})$ [解答]⑤ 参考 第2回 引張と圧縮 棒の伸び 引張り強さ(H26) 材料力学 自重による段付き棒の伸び(H25)  

区間軸力について教えて下さい

  区間軸力(internal axial force)とは、 棒のある区間内部に生じている軸方向の力(引張または圧縮) のことです。 外力を受けると内部に「見えない力」が生じ、それが棒の伸び・縮みを決めます。 今回の問題は、この 区間 BC の軸力 (N_L)区間 CD の軸力 (N_R) が登場しました。 これがどうやって決まり、どんな意味を持つのかを、ゆっくり丁寧に説明します。

✅ 1. 区間軸力とは?

棒の任意の場所で「切断して」考えたとき、その切断面に現れる内部力のことです。 例えば区間 BC を切ると、切断面に次のような力が現れます:
  • 引張方向に働くなら 引張軸力(伸ばす力)
  • 圧縮方向に働くなら 圧縮軸力(縮める力)
これは外力のつり合いを満たすために棒の内部に自然に生じる力です。

✅ 2. 今回の棒の特殊な状況

棒は 両端が完全固定 されています。
[壁]—(BC)—C—(CD)—[壁]
          ↑
          P(右向き)
すると C に右向きの力 (P) をかけると…
  • 左側の BC 区間は引っ張られる(右端 C が引かれる)
  • 右側の CD 区間は押しつぶされる(C が壁側を押す格好)
つまり内部には
  • 左区間:引張軸力 (N_L)
  • 右区間:圧縮軸力 (N_R)
が生じます。

✅ 3. つり合いで求まる関係

節点 C の水平つり合いより [ N_L + N_R = P ] これは単純で、右へ P の外力を支えるため、内部は左右に分担して支える、という式です。

✅ 4. もうひとつ重要な方程式(変位の一致=適合条件)

C の変位は
  • 左区間 BC の伸び
  • 右区間 CD の縮み(符号は逆だが変位としては右へ動く)
が同じ値になる必要があります。 左区間の伸び [ \delta_L = \frac{N_L a}{AE} ] 右区間の縮み [ \delta_R = \frac{N_R b}{AE} ] 同じ点 C の変位なので [ \delta_L = \delta_R ] [ N_L a = N_R b ] これが 固定梁の内力が決まる本質的条件(適合条件) です。 力だけでは決まらないため、変形条件が必要になります。

✅ 5. この2式を連立すると区間軸力が決まる

[ \begin{cases} N_L + N_R = P \ N_L a = N_R b \end{cases} ] 解くと [ N_L = \frac{Pb}{l},\qquad N_R=\frac{Pa}{l} ]

✅ 6. 区間軸力の物理イメージ

  • 荷重点に近い側ほど大きな軸力を負担
  • 荷重点から遠い側は比較的小さな軸力
具体例 (a=b=l/2) なら [ N_L = N_R = \frac{P}{2} ] 左右で半分ずつ負担する直感的な結果になります。

✅ 7. 全体まとめ(区間軸力とは?)

  • 外力を受けた棒を切断すると現れる「内部の引張・圧縮力」
  • その値は つり合い条件変形(適合)条件 の両方で決まる
  • 伸びや縮みの計算には [ \Delta = \frac{NL}{AE} ] で使われる
  • 両端固定のような構造では、区間ごとに軸力が違うのが普通

必要なら ✅ この棒の内力図(軸力図) ✅ 組み合わせ応力との関係 ✅ 固定支持とピン支持の違い なども説明できます。  

N_L a = N_R bは適合条件の式変形をしたのですね

  はい、その理解で完全に正しいです!

✅ 結論

[ \boxed{N_L,a = N_R,b} ] この式は 変位の適合条件(compatibility) [ \frac{N_L a}{AE}=\frac{N_R b}{AE} ] を AE を消して整理しただけ です。 つまり、
C 点の変位は、左区間の伸び量と右区間の縮み量が一致する → その条件式を整理すると [ N_L a = N_R b ]
となる、ということです。

✅ 変位の適合条件 → N_L a = N_R b が生まれる流れ

  1. 両端固定だから C 点の変位は
    • 左側の伸び
    • 右側の縮み が「同じ距離」でなければならない。
  2. 材料力学の伸び縮みの式: [ \Delta = \frac{N L}{AE} ]
  3. 左右の変位を等しいと置く: [ \frac{N_L a}{AE}=\frac{N_R b}{AE} ]
  4. AE を消すと: [ \boxed{N_L a = N_R b} ]
以上です。

✅ さらに深い理解のための要点

  • 不静定構造は、力のつり合い式だけでは内部力(N_L, N_R)が決まらない。
  • 必ず 変形の一致(適合・compatibility) を使う。
  • その適合条件が、結果として [ N_L a = N_R b ] という非常にシンプルな関係式を生み出す。

✅ 直感も合っている

  • 長さ a 側は柔らかいので “小さい軸力” しか分担できない
  • 長さ b 側は硬いので “大きい軸力” を分担する
  • その比が「長さの逆比」になって現れる [ \frac{N_L}{N_R}=\frac{b}{a} ]

必要なら、
  • カスティリアノの定理で同じ式を導く方法
  • 内力図(N図)の描き方
  • 両端固定と片端固定での違い なども説明できます!