化学電池に必要最低限の要素は、正極・負極の活物質と電解質であり、これは一次電池でも二次電池でも同じです。
そして、正極と負極で起こる酸化還元反応を利用して放電(電気を取り出す)するのも、共通しています。
違っているのは、一次電池は放電しかできないのに対して、二次電池は放電と充電を繰り返し行えることです。
充電とは、放電の際に回路に流れる電流の向きと逆向きに、強制的に電流を流して、電池に電気エネルギーを蓄えることです。
具体的には、外部電源のプラス端子を電池の正極につなぎ、マイナス端子を電池の負極につなぎます。
こうすることで、放電のときとは逆に、電池の負極側で還元反応、正極側で酸化反応が起こります。
こうして、電池を放電前と同じ状態にもどすのが充電です。
そして、充電によって生じた正極と負極の電位差を解消する現象が放電です。
これをダニエル電池で見てみましょう。
放電では、負極の亜鉛が硫酸亜鉛溶液に溶け出して亜鉛イオンになり、亜鉛板に残された電子が回路を移動し、正極で硫酸銅溶液中の銅イオンと結合して、銅が析出します。
ここで、上記のように外部電源のマイナス端子を電池の負極に、プラス端子を正極につなぎます。
すると、おおまかにいって、負極に流れ込んだ電子と溶液中の亜鉛イオンが結合して、負極に亜鉛が析出し、正極では銅板から銅が溶け出して銅イオンになる反応が進みます。
つまり、放電とは逆の反応が進み、電池は放電前の状態にもどっていくので充電です。
しかし、ここで重大な疑問があります。
実はダニエル電池は二次電池ではなく、充電できないはずの一次電池に分類されているのです。
ダニエル電池の負極の電解液である硫酸亜鉛溶液を電気分解すると、負極の亜鉛板に亜鉛が析出して付着しますが、水が電離して生じた水素イオンが亜鉛板上で電子と結合して水素ガスになって発生します。
亜鉛と水素のイオン化傾向を比べると、亜鉛のほうが大きいので、亜鉛の析出より水素ガスの発生のほうが起こりやすいことは明白です。
こうしたガスの発生は、密閉された電池の膨張を招いて、破損や液漏れをおこしたりします。
電池が破裂することも少なくありません。
また、ダニエル電池のように電極の亜鉛板や銅板が活物質である場合、放電によって電極の形状が変わってしまいます。
それが充電によって元の形状に戻ることはなく、再び放電する時の障害になります。
電池のショートを引き起こす危険性もあります。
マンガン乾電池も同様に一次電池ですので、絶対に充電しないでください。
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