はい。飛行によるよどみ点での圧力上昇は動圧に近く、非圧縮性近似で Δp12ρV2\Delta p \approx \frac{1}{2}\rho V^2   ととれる。まず与えられた条件から気体定数を取るために(または直接理想気体則で)、 標準状態のデータより空気の比気体定数は R=1013001.29×273.15287 J/(kgK)R=\frac{101300}{1.29\times273.15}\approx287\ \mathrm{J/(kg\cdot K)}   高度 4000m の空気密度は ρ=63200287×277.150.795 kg/m3\rho=\frac{63200}{287\times277.15}\approx0.795\ \mathrm{kg/m^3}   速度 V=950 km/h=264 m/sV=950~\mathrm{km/h}=264~\mathrm{m/s} を代入すると、 Δp12×0.795×26422.77×104 Pa=277 hPa\Delta p\approx\frac12\times0.795\times264^2\approx2.77\times10^4\ \mathrm{Pa}=277\ \mathrm{hPa}   よって選択肢で最も近いのは③ 270 hPa。   参考:よどみ | 副業の宮殿【PR】 技術士第一次試験-令和2年度機械部門Ⅲ-33解答例 | 技術士のたまご

PM=ρRTについて教えてください

はい。これは理想気体の状態方程式から来る関係で、次のように導けます。

1. もとの形:モル数を使った理想気体の式

pV=nRTpV = nRT  
  • pp  :圧力(Pa)
  • VV  :体積(m³)
  • nn  :物質量(モル)
  • RR  :普遍気体定数( 8.314 J/(molK)8.314\ \mathrm{J/(mol\cdot K)}  )
  • TT  :温度(K)

2. 質量密度 ρ\rho

 

とモル質量 MM

 

の関係

  • モル質量 MM  は 1 モルあたりの質量(単位:kg/mol)。たとえば空気なら約 0.02896 kg/mol0.02896\ \mathrm{kg/mol}  。
  • 質量 m=nMm = nM  。
  • 密度 ρ=mV=nMV\rho = \frac{m}{V} = \frac{nM}{V}  なので、 nV=ρM\frac{n}{V} = \frac{\rho}{M}  。
それを状態方程式に代入すると: p=nVRT=ρMRTp = \frac{n}{V}RT = \frac{\rho}{M}RT   両辺に MM をかけて: pM=ρRTpM = \rho R T   これがご質問の式です。

3. 使い方の例(空気の密度を求める)

標準状態(たとえば p=101325Pap=101325\,\mathrm{Pa} T=273.15KT=273.15\,\mathrm{K} )で空気( M0.02896kg/molM\approx0.02896\,\mathrm{kg/mol} )の密度は: ρ=pMRT=101325×0.028968.314×273.151.29 kg/m3\rho = \frac{pM}{RT} = \frac{101325 \times 0.02896}{8.314 \times 273.15} \approx 1.29\ \mathrm{kg/m^3}   (先の問題で使った値と一致します)

4. 別の書き方:比気体定数を使う

モル質量で割って p=ρ(RM)Tp = \rho \left(\frac{R}{M}\right) T   と書くと、 Rs=RM\displaystyle R_s=\frac{R}{M} をその気体固有の比気体定数(specific gas constant)と呼び、たとえば空気では Rs8.3140.02896287 J/(kgK)R_s \approx \frac{8.314}{0.02896} \approx 287\ \mathrm{J/(kg\cdot K)}   だからよく使う形は: p=ρRsTp = \rho R_s T  

5. 単位の確認

  • pMpM  の単位: Pakg/mol=(N/m2)(kg/mol)\mathrm{Pa} \cdot \mathrm{kg/mol} = (\mathrm{N/m^2})\cdot(\mathrm{kg/mol}) 
  • ρRT\rho R T  の単位: (kg/m3)(J/(molK))K=kg/(m3)J/mol=Pakg/mol(\mathrm{kg/m^3}) \cdot (\mathrm{J/(mol\cdot K)}) \cdot \mathrm{K} = \mathrm{kg/(m^3)} \cdot \mathrm{J/mol} = \mathrm{Pa}\cdot \mathrm{kg/mol}  で一致する。

6. 前提と注意点

  • 理想気体近似(低圧・中温域で比較的よく成り立つ)。高圧や極端な温度では実在気体の補正(圧縮率因子など)が必要。
  • MM  はその気体の平均的なモル質量(混合気なら組成に応じた平均)。

必要なら、実在気体への補正、混合気の平均モル質量の計算、あるいはこの式を使った逆に温度や圧力を求める例も出せます。どちらがよいですか?

モル質量、普遍気体定数は温度や圧力や密度が変化しても不変ですか?

  とても良い質問です。結論から言うと:
モル質量 (M)普遍気体定数 (R) は、温度・圧力・密度が変化しても**不変(一定)**です。 ただし、「どの気体を扱うか」によって値は変わる(特にモル質量)。

🔹 1. 普遍気体定数 (R)

  • (R = 8.314462618\ \mathrm{J/(mol\cdot K)})
  • この値は、どんな理想気体でも共通(普遍)な定数です。
  • 物理定数なので、温度・圧力・密度に依存しません。
📘 由来: ボイル=シャルルの法則や、実験的に確立された定数 [ pV = nRT ] で、(R = \frac{pV}{nT}) が気体の種類に関わらず一定となることから「普遍定数」と呼ばれます。

🔹 2. モル質量 (M)

  • 定義:1モル(6.022×10²³個)の粒子の質量。
  • 例:
    • 空気:約 0.02896 kg/mol
    • 水素:0.002016 kg/mol
    • 二酸化炭素:0.04401 kg/mol
  • 温度や圧力で変化しません。 ただし、混合気体(例:湿り空気)の場合は、成分比が変わると平均モル質量 (M_\mathrm{mix}) が変わります。

🔹 3. 比気体定数 (R_s)

モル質量 (M) を使って、 [ R_s = \frac{R}{M} ] と定義されます。これは気体固有の定数(空気なら約 287 J/(kg·K))。 つまり、(R_s) は気体の種類が変わらなければ一定ですが、混合比が変われば変わります

🔹 4. 注意点:実在気体では例外も

高圧・低温などで分子間力が効いてくる「実在気体」では、 理想気体式 (pV = nRT) が厳密には成り立たず、補正係数(圧縮係数 (Z))を導入します: [ pV = ZnRT ] しかしこの場合でも、(R) 自体は変わらず、変化するのは (Z)(気体の性質による偏差)です。

✅ まとめ

項目 記号 変化する? 備考
普遍気体定数 (R) ❌ 不変 すべての理想気体で共通
モル質量 (M) ❌(ただし混合比で変わる) 物質固有の定数
比気体定数 (R_s = R/M) △(気体の種類で変化) 空気:287 J/(kg·K)
圧縮係数 (Z) ✅ 変化 実在気体補正項

もしよければ、この内容を「理想気体と実在気体の比較表」つきで図解した教材風スライド画像にすることもできます。作成しましょうか?